タグ別アーカイブ: イチョウ

残り桜とクマバチ‐2104‐

週末は夏のような日差しでした。

冬の間は葉を落としていた公園の藤棚。

新芽が少しずつ顔を出していました。

すでに4月の中旬ですが、残り桜まで見ることができました。

近年は開花が早くなる一方だったので、こんな年があると気持ち的にはほっとします。

温暖化が収束した訳ではないにしても、です。

クマバチがホバリングしてから飛んでいきました。

どの花にするか、品定めをしていたのでしょう。

「クマバチ」とかいても読み方は「クマンバチ」。どことなくユーモラスで憎めないヤツです。

イチョウの若葉は色鮮やか。

こちらの木は青々としています。

同じ樹種でも、これほど違いがあるのが自然です。

普段はなかなか買い物に行けないので、休日の会社へ行く前に、日用品や食料を補給します。

焼き鳥を安く売っている店では、朝早くから店員さんが準備をしていました。

働き方は人それぞれですが「勤勉」を見て、嫌な気持になることはありません。

新社会人も少しはペースが掴めてきた頃でしょうか。

弁護士でタレントの橋下徹さんが、大阪府知事に当選したのは2007年の12月でした。就任後、以下のような話が、ニュースでよく取り上げられました。

就任当初、大阪を大きく変えるために、始業前の朝礼を提案すると、府幹部から「始業前の朝礼は超過勤務になる」と指摘されます。「ならば勤務時間中のたばこ休憩や私語は全部減額させてもらう」と反論したそうです。

2008年の3月。 若手職員との初めての朝礼で、この話を披露しました。

すると、ある職員が立ち上がり「どれだけサービス残業をやっていると思っているのですか。あなたはきれいなことを言っているが、職員の団結をバラバラにするようなことを言っている」 と発言。

「ありがたい意見。是非議論を」と返したのです。

府幹部の意見、職員の意見が100%正しいので、何か意見を書くことは止めておきます。多くのリーダーは同じ気持ちでしょうから。

1994年の4月。社会人1年生の私が、喜んで早出して掃除をしていたかと言えば、それはありません。

全く反対で「仕事って長いなあ」と思っていました。9時半始業で、終業は21時半くらい。少し遅くて23時くらいは普通で、確かに長かったのですが。

しかし今、そんなことを思うことはありません。

従業員から経営者になったのもありますが、私を必要としてくれる仕事があり、ただそれに応えたいとハチのように働いてきただけです。体の持久力も、精神の持久力も1年生の時と全く違うからです。

残り桜と若葉が瑞々しい公園で、30年前を少し思い出してから会社に向かいました。

今年の桜はこれで見納めでしょうか。

最後にもう一度、2024年の桜を上げておきます。

■■■2月14日『Best of Houzz 2024サービス賞』受賞

■■■1月29日発売『日本一わかりやすい 一戸建ての選び方がわかる本2024-25』「回遊できる家」掲載

■■8月1日プールのある「ささき整形外科 デイケアセンター」オープン

10月27日『houzz』の特集記事
「滋賀の家」掲載

10月11日『homify』の特集記事
「白馬の山小屋<リノベーション>」掲載

■ 『ESSE-online』にコラム連載

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古くても、安くても好きと言える‐1958‐

先週のことですが、久し振りに北大阪急行に乗りました。

地下鉄御堂筋線は中津を過ぎると外にでますが、緑地公園あたりからは更に景色が良くなります。

千里中央駅では、「茨城をたべよう!」というイベントが開催されていました。

立ち寄る時間はありませんでしたが、北摂までやってくるとやはり空間的にはゆったりしてきます。

新御堂筋が箕面の山に向かってまっすぐ伸びています。それに沿って続く街路樹が美しい。

かなり色付いていましたが、盛りまではもう少しでしょうか。

前回万博の頃の開発とはいえ、街としては新しい部類にはいります。

緑地の計画もしっかりとされ、とても住みやすそうな街でした。

こちらは大阪市内の下町ですが、こんな車をみつけました。

トヨタのマークⅡです。

箱型のスカイライン(通称ハコスカ)、フェアレディZ、コスモスポーツなど、中古車とは呼ばず、旧車というカテゴリーがあることは聞き知っていました。

私はレアとか古いとかいうことに魅力を感じるタイプではないので、旧車を手入れしながら乗る人は、本当に車が好きなんだろうなと思っていました。

しかしこのマークⅡをみて「格好いい」と思ったのです。

若い頃はそんなことを感じたことも無かったのに。

色と言い、ロゴと言い、フォルムと言い、何ともいいのです。

ナンバーが付いていないので、実際に走るのかは分かりませんが、とても美しく保たれています。
オーナーは、この車を大事にしているのでしょう。

古い物よりは新しい物、安価なものよりは高価な物のほうが間違いはありません。

反対の言い方をすれば、古かったり、安価な物を好きと言える人は、人に左右され難い人だと思います。

嗜好の本質を考えれば、当たり前のことですが、人は意外に自由でない生き物です。

人間は自由なものとして生まれた。しかも、いたるところで鎖につながれている。-ルソー- 哲学者

その鎖を断ち切るのは自分の心以外にありません。

2020年の春からコロナ下の社会となり、本当に色々なことを考えました。

もしかすると、自分のことを見つめ直したのは、20代後半以来かもしれません。

自由であること。それは、まず自分の心の声をよく聞くことから始まるのだと思います。

マークⅡ が格好いいと思ったから、11月18日はマークⅡ記念日。

ちょっと古い?

■■5月13日『住まいの設計6月号』「おいでよ House」掲載

■6月16日 『ESSE-online』「おいでよ House」掲載

■ 『ESSE-online』にコラム連載

10月11日「テレワーク時代の間取り」
9月18日「冷蔵庫の位置」
6月18日「シンボルツリー」
6月5日「擁壁のある土地」
4月11日「リビング学習」
2月27日「照明計画」
2月14日「屋根裏部屋」
2月1日「アウトドアリビング」
1月4日「土間収納」
12月6日「キッチン・パントリー」

■■1月6日『Best of Houzz 2022』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■6月11日『homify』の特集記事に「R Grey」掲載
■1月8日『homify』の特集記事に「光庭の家」掲載
■1月7日『homify』の特集記事に「白馬の山小屋」掲載

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恥を知り、恥を捨てたおじさん‐1862‐

大阪も少し郊外にでると、がらっと雰囲気が変わります。

敷地の調査に行っていたのですが、そんな時は少し足を延ばしてあちこちと歩き回ります。

住宅街を抜けると、一気に視界が開けました。

田畑の間を流れる水路も、かなりの水量です。

のぞいてみると、30cmくらいの魚が泳いでいました。

コイに見えますが、少し体高が低いような気も。

フランスを旅した時、電車がパリを離れると見渡す限りの畑でした。

パリは芸術の都ですが、フランスが農業国と言われるゆえんです。

そう考えると大阪産の野菜も色々あるよな、などと思っていました。

集落の間を電車が走り、古い町であることが伺えます。

神社やお寺もその地域を知る重要な手がかりになります。

やや寂しくなってきた、立派なイチョウも見つけました。

初期相談に見えた方が、ハウスメーカーの図面を持っておられました。

その図面の中に、敷地が描かれていないものもありました。

他社には他社の、ひとにはひとの方法があるので、私がとやかくいう事ではありません。しかし建物を中心に地球が回っている訳ではありません。

周辺建物によって、日の当たり方は変わります。風の抜ける方向もまたしかり。

車はどちらから入ってきてどう駐車するのか、庭や外部はどういった使い方を望んでおられるか……

一日くらいはそこに立って感じたいのです。

しかし、大きなカメラを提げてウロウロしていると、やや疑いの目で見られるもの。若い頃は、そんな目に負けて退散してきたこともありました。

しかし、そこはもう51歳です。

にこやかに、何となく会釈をしながらやり過ごし、納得いくまでしぶとく居続けるのです。

コンビ結成15年以内、漫才の若手ナンバーワンを決めるのがM-1グランプリ。今年は「錦鯉」の優勝で幕を閉じました。

ボケの長谷川雅紀さんは50歳ですが、コンビ結成9年目なので若手です。

私としては、1本目が抜群に面白かった「オズワルド」推しでしたが、とても良いものを見せて貰ました。誰よりも大きな声で、50歳は弾けきっていました。

恥を知り、恥を捨てたおじさんより強いものはそうないはず。

諦めず、どんな時も粘り強くと思うのです。

■■■ 12月6日『ESSEonline』にコラム連載を開始
第1弾は「キッチン・パントリー」■■■

■■ 8月17日『建築家・守谷昌紀TV』を開設しました ■■

■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

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コラム「建てるため」の土地探し‐1853‐

通勤にコートや手袋が必要になってきました。

そろそろマフラーも準備しておいた方が良いかもしれません。

通りがかった公園で、ネコが何かを見上げています。

何か小動物でも見つけているよう。

つられて顔上げると、葉を黄色に変えた立派なイチョウが目に入りました。

この時期、日の光を受けたイチョウの美しさは格別です。

眩いばかりの金色です。

先週、Webサイトをリニューアルしましたが、COLUMNというコンテンツを追加しました。

この日記で、家を建てるにあたって注意すべき点、工夫できることは一通り書いてきたつもりでいましした。

しかし、今回で1853回目になるので、必要な記事を見つけて貰うのは至難の業です。新たにまとめ直しては?とアドバイスを貰ったのです。

第1回目は-どこに住もうか?-というタイトルで、9月末にUPしておきました。

本日-「建てるため」の土地探し - をUPする予定でしたが、まだシステムを完全に把握できておらず……

初心に帰って、こだわりの家を建てたい人に役立つ情報を、月に1本くらいのペースで書いていきたと思います。ここで先に蔵出しします。

「建てるため」の土地探し

1. この中古物件買っていいですか?

土地や中古物件を探すには、まずは情報が必要です。
Webサイトや、広告などで情報を探すことからスタートします。

候補をしぼり、若いご夫妻と直接現地へ向かいました。
その場で、「守谷さん、この中古物件買っていいですか?」と尋ねられました。

コンマ数秒迷いましたが「新築を視野に入れないなら、いいと思います」と答えました。

こうして「神戸の高台の家」は計画がスタートしました。

2. 「リノベーション一択なら」

裏手に擁壁があり、現行法規の下で建替えをするなら、その部分を全てやり替える必要があります。数百万は掛かると考えたので、「リノベーション一択なら」と答えたのです。 

後にも書きますが、擁壁や高低差のある土地は、特に事前調査が大切なのです。

何千万もの買物を左右するアドバイスなので、重圧を感じなくはありません。
しかし、それを実務で経験させて貰ったからこそ私も鍛えられます。

建築基準法において、建物と土地の両方の安全を担保することを求められます。

上物だけに意識がいってしまうと、土地の調査がおろそかになり、「新築なら非常にコストが掛かる」または「建てられない」という最悪のケースまで起こり得るのです。

3. この土地買ったのですが

関西では北側に山が多く、南から日を受けるゆるやかな斜面地が多くあります。

南に向かって土地が下がっていくので、隣地の陰にならず、光環境は非常に恵まれます。

しかし、擁壁があったり、傾斜がきつかったりする場合には、土地の安全を担保しなければならないのは先の話の通りです。

バギーを押して、小さなお子さんと3人で見えたご家族は、すでに北摂の南斜面にある土地を購入されていました。

(写真と本文は関係ありません)

擁壁の上にあるとても見晴らしの良い土地で、不動産仲介会社からは「このくらいの家が建てれます」という、簡単な間取り図を貰っていました。

(写真と本文は関係ありません)

ただその擁壁の高さが5m以上あったので、「土地の安全ついての説明は受けましたか?」と尋ねると、「受けていません」と。

「プランの提案をして貰えますか?」という相談だったので、「まずはこの土地にこの大きさの建物が建つかの調査から始めてみます」とお答えしました。

写真で見る限り、擁壁の質があまり良さそうではなかったので、気になっていたのですが、調べていくと、完全にプライベートな擁壁だと分かりました。

4. 擁壁のメリットと絶対に気をつけるべきポイント

プライベートな擁壁とは何かを説明します。

例えば、山の斜面を住宅地として開発する場合は、半分を削り、半分を埋めたてることが殆どで、少なからず擁壁部ができます。

この擁壁が安全なものであるという、公的な照明書があれば問題なく建てることがで出来ます。しかし、これがなければこの擁壁に全く圧を掛けないように離して建てるか、荷重を掛けないような対処策を施さなければなりません。

先のご家族が購入されていた土地は、調査をしても安全を照明書できるものはなく、何かしらの対処をしなければ、予定していた建物が建たないことが分かりました。

出来るだけ安く地盤を補強する方法は見つけたのですが、それでも300万円程掛かります。それでは聞いていた話と違うということで、結局仲介会社と裁判をすることになってしまいました。

その為に資料を、できるだけ安価で製作することしか私には出来なかったのです。

反対に、「高台の家」ではこの擁壁が安全だという資料が役所に保管されていました。

それで、擁壁ぎりぎりまで建てることができたのです。

土地を売ることが専門の人と、土地に建てるのが専門の人の知識や意見が同じということはありません。

それは仕方がないのですが、さあこれからという、若いご家族がこのような目に会うケースを見るのは本当に忍びないものです。

私は「もし候補のひとつと思って下さるなら、遠慮なく相談下さい」と伝えます。

土地探しから新居を建てるという計画がスタートし、完成、そして生活が始まるまでは、夢の島を目指す長い航海のようなものです。

航海図を描いたり、船員を選んだり、舵を切ったりして、航海を成功させるのが、建築家の仕事だと思っているのです。


というのが、第2回目のコラムです。

バギーを押してこられたご家族から、その後の連絡はありません。

他の建築家と建てられたのか、注文住宅はやめたのか、そもそも一戸建てを諦めたのかは分かりません。

傾斜地が候補になった時、今でもあのご家族を思い出します。

そんなこともあり、初期調査にはかなり時間を掛けるようになったのです。


■■■ 8月17日『建築家・守谷昌紀TV』を開設しました ■■■

■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載

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イケイケ‐1753‐

 暦で言えば初冬を過ぎた頃ですが、日中は15、6℃あるのでそこまで寒さを感じません。

 未だに小春日和と言えるような日もあり、ここまでは暖かい冬と言って良いでしょう。

 街中の公園ですが、なかなかに見事な紅葉です。

 イチョウなら黄葉と書いたほうが正確なのでしょうか。

 青を背景に赤、青、黄、緑とこの時期の樹々は本当に色鮮やかです。

 街中と言わず、できれば大自然の中へ出掛けて行きたいのですが、師走となるとなかなか……

 どこの会社も同じだと思いますが。

 私の記憶が正しければ、コンピューターも計算機も原理は同じで、全てを「0」と「1」という情報に置き換えて処理しているはずです。

 「0」は「Stop」。

 「1」は「Go」といった感じでしょうか。

 人の脳もコンピューターの原理と同じようなものだと聞いたこともあります。

 神経の情報伝達は微弱な電流で行われていると言いますから、この話も私はそうなのだろうと思っています。

 脳が「1」「0」「1」と信号を送り、2歩進んだとします。

 「1」「1」「1」なら3歩。

 僅かな差ですが、もう一度繰り返せば4歩と6歩と2歩。

 結果を残す人を見ていると、多くの場合はこの差ではないかと考えたりするのです。

 アメリカでは、大統領選挙で政権交代が決まりました。

 トランプ大統領の功績や、現在の行動は置いておくとしても、第45代大統領であることは間違いありません。

 就任の際に以下の言葉を紹介しました。

 経験と実績がない場合、エネルギーと情熱を売り込むべきだ。

 求めるものを手に入れるためには押し、押し、押しの一手だ。

 -ドナルド・トランプ-  アメリカの不動産投資家

 原文がどうなっているのかも知りたいのですが、どんな時も ”Go, go, go!”

 一度たりとも「0」は発信していないのかもしれません。

 「物事はそんなに単純ではない」という声も聞こえてきそうですが、トランプさんを見ていると、結構単純なことのようにも思えてきます。

 アメリカの人には怒られるかもしれませんが。

 プロ野球では、中日、阪神、楽天で監督を務めた星野仙一さんの座右の銘も「迷ったら動け」だったそうです。

 情熱や意思は、持って生まれた容姿や才能とは違い、自分でコンロトールできます。

 これなら自分にも出来ると思い、厳しい局面に出くわした時はいつも言い聞かせてきたつもりです。

 ある意味、人生はイケイケでよいのだと思っているのです。

■■■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に巻頭インタビュー掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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有明の月と、漆黒の月‐1751‐

 2020年もいよいよ12月に入りました。

 黄色い葉をつけていたイチョウも、随分葉を落としています。

 見上げると、白く光るのは銀杏でしょう。

 すでに店頭に並んでいるのでしょうか。

 更にその上。

 西の空低くには、淡く白々とした月が見えました。

 「残月」とか「有明の月」と呼ばれますが、はかない美しさとでも表現すれば良いでしょうか。

 日曜日に見た月は、漆黒の中で煌々と輝いていました。

 地球の反対側に回り、太陽の光を反射しているだけという事実を疑いたくなるほどだったのです。

 先日、経営者の勉強会の前に、会社見学をさせて貰いました。

 こちらの会社の商品は「紙」です。

 このロール1つは、9000mで800kg程あるそうです。

 もちろん人の手では持ち上がりません。

 紙の中でも「クラフト紙」に特化しています。

 クラフト紙はとても丈夫なのが特徴で、主には梱包に使われます。

 1km近いロール紙からカットし、商品として出荷するのです。

 このプリミティブな機械はすでに生産が無く、修理しながら使っているとのことでした。

 これで巻き取った紙を切り、シートにするのですが、最新の機械ではこのスピードは出ないとのことでした。

 確かにびっくりするくらいのスピードでした。

 この鎌で紙を切るそうです。

 ちょっと恐ろしい気もしますが、プロの道具はいつも迫力満点なのです。

 一方、最先端の機械もありました。

 軽い切り味で、切れている実感が無いほどです。

 こちらの機械もすでに生産が無く、床柱等を養生する紙専用の機械だそう。

 機械を見ているだけで飽きません。

 「近年では、ビニールや不織布などの登場により、クラフト紙の出番が少なくなっている」と社長は言っていました。

 勿論その実感もありますが、世の中は「脱プラスティック」へと進んで行くことは間違いありません。

 紙の仕事にはかならず追い風が吹くのではと思っていました。

 仕事が同じでも、環境が変われば全く違う景色になります。「有明の月」と「漆黒の月」は全く同じ月なのです。

 高度情報化社会において、スピーディに変化していくのは大切なことで、企業が生き残る為には必須のことです。

 しかし、変わらず一つのことを探求していく粘り強さも、同じくらい大切なものだと思います。

 時代の流れを読み切り、華やかに結果を残す人も勿論いますし、尊敬します。

 しかし月は月であって、太陽にはなれません。どれだけ頑張っても恒星にはなれないのです。

 なら、自分の決めた道を極めるだけ。今回の会社見学を通して、そんなことを考えていました。

■■■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に巻頭インタビュー掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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せめて4対6‐1649‐

 冬が暖かくなったといっても12月中旬です。流石に寒くなってきました。

 ディーラーにスタッドレスへのタイヤ交換を依頼していました。

 預けてあった車を、なにわ筋沿いにある店舗へ引き取りに行って来ました。

 通りのイチョウが色付いており、この時期の楽しみでもあります。

 タイヤ交換だけなら1時間程ですが、先々週、運転席の窓ガラスが突然「ドンッ」という大きな音と共にドアの中に落ちてしまいました。

 窓ガラス無しの状態になっていたのです。

 調べて貰った結果「窓ガラスを固定するナットが緩んでしまったようで……」とのこと。

 誠実なお詫びがあったのと、再固定し緩み止めの薬剤をしっかり塗布するれば問題ないとのことだったので、納得して帰ってきました。

 持って行く時は半分オープンカーで、嬉しいのが本音でしたが。

 今年の年始は、伊豆半島を旅しました。

 沼津で少し遊び、駿河湾沿いを走りました。

 目的地を決める時は、何かしら風景のイメージをつくりますが、富嶽三十六景よろしく、海越しの富士山を思い描いていたのです。

 しかし残念ながら、丁度そのタイミングで山頂に雲。

 そのカットは、またの機会になってしまいました。

 この旅では、行きの高速道路で降り口を通過してしまい「特別回転」という制度を紹介しました。

実はもうひとつ大きな失敗をしていたのですが、恥ずかしくて書いていなかったのです。

 ちょっとした不注意で、縁石にタイヤを当ててしまい、ゴム部分がえぐれてしまったのです。

 この状態で大阪まで帰るのは怖いので、JAFに連絡すると提携会社の人がすぐにやってきてくれました。

 車の腹からスペアタイヤを外し。

 正月休みにも変わらず、とても愛想の良いお兄さんが、てきぱきと入替をしてくれたのです。

 自分で交換も不可能ではありませんが、旅先でもあり本当に有り難かったのです。

 そんな関係で、現在スタッドレスは前輪部のみが新品。

同じ銘柄のスタッドレスタイヤですが、楕円の部分を見れば「34週目、2018年製造」と分かるとディーラーの人に教えて貰いました。
 
 当たり前ですが、サービスする側とサービスして貰う側で言えば、前者の方が経験値が高いものです。

 しかしサービスする側が、自分にウェイトを置くか、相手に尽くそうとするかで、全く違った印象になります。

 この比率は、10対0、5対5、0対10と無段階のバリエーションがあります。せめて4対6でなければ、仕事上での会話は成立しないでしょう。

 職種は伏せますが、ある営業マンが「新しく担当になったので、守谷さんのいい日に行きますよ」くらいの感じで電話をしてきました。

 仕事のキャリアは5年目と言いますから20代でしょう。「まさかあなたに敬意など持っていませんよ」という言葉が後ろから聞こえてきそうで、印象的には2対8。

 あまりにも馴れ馴れしいので「守谷さまの間違いじゃないのか」と言ってしまいました。

 評論家、谷沢永一は著書「人間通」でこんなことを書いていました。

 才能も、智恵も、努力も、業績も、忠誠も「可愛げがある」という奴はかなわない。秀吉にあって家康にないものは「可愛げ」であると。

 しかし「律儀」を磨き上げれば、殆ど「可愛げ」になる。家康はそれで天下を取ったのだと。

 「律儀」も「可愛げ」も無いのに、口のきき方だけは一人前。そんな営業と喋りたいという人など誰もいません。

 翻って自分を見てみると、「可愛げ」はほぼ無いでしょう。

 ということは「律儀」で生きるしかありません。ということくらいは自覚しているのです。

■■■ 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』2019年12月3日で「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出

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【News】

『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』2019年9月30日発売に「回遊できる家」掲載
『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

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アールエイチマイナス‐1545‐

 大阪を南北に貫くなにわ筋。

 道幅もあって、比較的走りやすい道路です。

 スタッドレスタイヤへ交換するのに、毎年ディラーへ向かうのが12月初め。

 丁度この時期がイチョウの見頃なのです。

 先週、御堂筋を通るとピーク寸前という感じでした。

 同じ大阪市内で、2筋東に離れているだけなのに、かなり差があるものです。

 12月半ばを過ぎると、年賀状のことが気になりだします。

 2002年頃、こんなメールが友人から回ってきました。

 「知り合いが手術をするのだけれど、血液型がO型のRhマイナスで、非常に数が少ないのです。知り合いでRhマイナスの方は居ませんか」

 それは大変だなと思い、結構な数の知人にメールしました。

 すると「それはよくあるチェーンメールじゃない」と友人に指摘されました。

 実害があった訳ではないですが、人の善意につけこんで、また、私の無知をさらけ出したようで、とても後味が悪かったのを覚えています。

 その時「Rhマイナスの親族が居ます」と連絡してくれた人がいました。その人の年賀状を見る度に、毎年この事を思い出します。

 メールが(正確に言えばe-mailですが)連絡の主流になったのは、2000年頃でしょうか。今やライン、メッセンジャーと、様々な手段があります。

 「年賀状が減る一方」というニュースも毎年のことですが、私はやっぱり年賀状派です。

 気になる女の子から、自筆の手紙なり、葉書なりをもらったなら、簡単には捨てられないものです。

 それは、やはり「実際に手にとって」という部分が大きいと思います。読み方によっては少し気持ち悪いかもしれませんが(笑)

 また、葉書なら62円の切手が必要です。昨年の年賀状は52円だったので、実質今年からの値上がり。この傾向が止まることはないでしょう。

 もしメールが1通72円なら、チェーンメールなどは存在しないはずです。

 メールが完全に無料ではないにしても、やはりお金という物差しは、常に大切なものだと思います。

 無料や過度の安価に振り回されないよう、しっかり働かなければなりません。

 今週末には、クリスマスプレゼントを準備しなければなりません。

 ついに娘が「サンタはお父さんなんでしょう」と言い出しました。

 そこは頑なに「信じる人だけには見えるんだ」と言い続けます。

 物創りを生業としている私としては、プレゼントがデータなんていうのは、まっぴら御免です。

 物を介して、手跡とか体温が伝わると思いたいし、それが物の価値だと思うのです。

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm「回遊できる家」放映
■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
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【Events】
■4月1日「トレジャーキッズたかどの保育園」開園

【News】
大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『関西の建築家とつくる家 Vol.2』2月1日発売「阿倍野の長家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載
『homify』6月2日「イタウバハウス」掲載
『houzz』5月28日の特集記事「あちこちでお茶できる家」掲載

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