見学会

 まだ10月というのに、すでに木枯らし1号が吹いた大阪。

 急激に寒くなり、妻と娘がカゼをひきました。長かった夏と比べると、秋は一気に通り過ぎそうです。

 今日は夕方から、週末土曜日の内覧会を控えた「伊東内科クリニック」へ。建築設計をしている友人3人と見学会です。院長に相談すると快く受け入れてくれました。

 大学の同級生で、設計事務所を営む友人が4人います。他にいるのかもしれませんが、この4人は比較的連絡を取っているのです。

 同業者ですから、友人と言うよりライバルですが、話をするだけで勉強になり、刺激になります。後の食事会では感想、意見の交換です。

 ただ、一番の問題はその食事会の場所。みな、結構味にうるさいのです。

 「刺身の美味しいところ」「ビールのジョッキは毎回替えてくれないと」等など。

 先日、ミナミの歌舞伎座裏にあるバーに連れて行って貰いました。「NOLA」というお店。

 マスターの距離感がとても良く、知性的で、落ち着きあるお店でした。

 ハンバーグも有名なステーキハウス「清起」の横を上がって行きます。

 多彩なビールが用意されており、勿論ですがジョッキは毎回替わります。

 食べ物も厳選されているのです。

 ミナミへ行くなら2軒目はここですが、今回はキタ。

 どこに行くか思案中です。

池を望む取材

 先週に続いて、昨日は「池を望む家」の取材でした。

 実際の暮らしが始まって約2年。クライアントの理解なしには成立しないもの。感謝以外ありません。

 朝の9時半から、まずは外部の撮影。

 お子さんにも協力して貰いました。

 続いて内部の撮影。

 昼からは、ダイニングで、ライターからの質問を受ける段取りです。

 私も合わせて、取材側が7人。予想以上にテキパキと進んで行きました。

 昼休憩を挟んで、ご家族の横に座って、対談形式の質問が1時間半でした。

 その後に補足カットを撮り、全て終了。

 最後にカメラマンの撮ったものを見せて貰ったのですが、流石!という感じでした。

 普段は一般誌の写真が多いようで、楽しそうで、動きのある写真が沢山ありました。

 年明け1月5日の発行予定。また、お知らせします。

大きな壷の話

 今日は朝から雨。

 雲の高い秋空が一番ですが、時に雨も良いものです。

 5年ほど前に聞いた話を、ふと思い出しました。

 ある人が大勢の前で話をしています。彼は大きな壷を取り出し、その中に野球のボールぐらいの石を入れました。壷の上の方まで入れると、質問しました。

 「もう入らないと思いますか?」

 みんなはうなずきます。すると彼は小石を取り出して、中に入れ始めました。壷をゆすると小石が下に落ち、かなりの小石が入りました。やがて小石が上の方まで入ると、同じ質問をしました。

 「もう入らないと思いますか?」

 今度は、みんなも様子をうかがっています。彼は砂を取り出し、壷の中に入れました。砂が上の方まで入ると、また同じ質問をしました。

 「もう入らないと思いますか?」

 もううなずく人はいません。彼は水を取り出して、壷の中に入れました。水で一杯に入ると、こう言いました。

 「私が言いたかったことが、何だかわかりますか」

 一人が答えました。
 
 「どんなに過密なスケジュールでも、時間を細切れにすることで、さらに有効に使うことができるということでしょうか?」

 彼は、うなずきながら言いました。

 「いい答えですね。でも、そうではありませんす。私が言いたいのは、先に大きな石を入れなければ、後からは入らないということなのです」

 示唆に富んだ話です。重くても、大変でも、最も大切なことから行動します。砂で一杯になってしまう前に。

ロケハン

 ロケーションハンティング、略してロケハン。テレビ等では聞きますが、昨日立ち会ってきました。

 ある大手企業が発刊する、住宅情報誌で「池を望む家」を取り上げて貰うことになったのです。

 取材は次の日曜日ですが、編集者が大変熱心な方で、誌面の構成を考える為にも現地へ伺いたいとなったのです。

 また、クライアントへのご挨拶を兼ねて、企画の意図もお伝えしたいという事でした。

 カメラマンは本の種類に興味をもって見ていました。

 外部を回っていると、池を望む庭には、ハンモックが吊り下げられていました。

 IKEAで買ったそうです。

 お子さんはとても愛嬌があります。

 彼がお腹の中にいる時からの付き合いですから、もう3年になりました。

 少し見ない間に、随分行動が機敏になっていました。

 子供の成長は本当に早いと感じます。

 企画のテーマは、建築家と一緒に作る家。巻頭9ページの特集だそうです。

 建築家との家創りははまだまだ敷居が高いので、プロセス、ストーリーから取材し、紐解いてみたいという事でした。

 何か責任重大な気もしますが、どんな誌面になるのか楽しみです。

 来週の日曜日も晴れてくれれば良いのですが。

原理を知れるか

 昨日、高松宮殿下記念世界文化賞の贈呈式がありました。

 建築部門に選ばれたのは伊東豊雄氏。受賞時のインタビューで「ちょっと大それたことを言うようだけど、21世紀の建築の原理となるような建築を作っていきたい」と発言していました。

 伊東豊雄は初期の作品から、随分作風が変化しました。1941年生まれですから、もうすぐ70歳。老いてますます盛んを地で行く建築家です。

 「それまでは、軽くて、透明感があって、美しいものを作りたい。ひたすら美しいものを作っていくしかないと思い込んでいた。けれども、美しくなくても、軽くなくても、透明でなくても、何かもっと強くて、人々にアピールするものがありうると感じ始めた」

 という記事もありました。

 ミキモト銀座2。

 表参道にあるTOD’S。

 今回の受賞は作品群に対してのものですが、この2作品にもその哲学が垣間見えます。

 建築家の語源は諸説あるのですが、ラテン語のarchitekton(アーキテクトン)と言われます。

 「arche」と「teckton」からなり、arche はアリストテレスの言ったアルケーのことで「原理」を意味します。

 tecktonはテクニック等も同じ語源である「熟達した」などの意味があります。

 よって原理を熟知したもの、となるのです。

 原理を知る。

 物創りをする上での、永遠の課題です。

秋の最後の運動会

 昨日は保育園の運動会の予定でしたが、雨で順延に。

 今日は快晴になりました。長男にとっては、保育園最後の運動会。

 「今年のかけっこ勝ってくれよ!」と思っていると、年長組はリレーのみ。

 若干拍子抜けしました。

 来年からは小学生。

 もう立派にと言うか、親の立ち入れない、子供の社会があります。

 恒例の風船もこれで5回目。
 
 さあ始まるという気分になるものです。

 親のヒートアップ振りもなかなかのもの。

 とは言え、最後は自分も子供の正面を求めて移動するのですが。

 長女は「おどるポンポコリン」に乗ってのダンス。

 どうしてか、下の子を見る目は甘くなってしまいます。

 運動会のメインイベントは年長組のパレード。

 練習はハードらしく、家に帰っても疲れ過ぎで、とても機嫌が悪いと妻がぼやいていました。

 20分に渡る演技で、なかなか見応えがあったのです。

 運動会最後に、長男は挨拶がありました。
 
 3組から一人ずつが、各パートを担当します。長男は一番最後。

 風呂のシャワーをマイクにみたてて、練習を重ねていました。

 私も保育園、小学校と何度か挨拶をしましたが、練習しすぎて、ただの音になっているというか、1度とちったことがあるのです。

 上手くいっても経験、失敗しても経験。「元気にな」とだけリクエストしました。

 とはいえ、いざその時になると、やはり出来が気になります。私の心配をよそに、上手にスピーチできました。

 後で聞くと大して気にしている風もなく「前の子が終わったら、あっ僕の番やって思ってビックリした」とのん気なことを言っていました。

 何はともあれ、今は無事終えてほっとしています。こんな経験が意外と自信になったりするものです。

愛着

 関西の料理番組によく出演していた程一彦さん。

 人気番組だった「料理の鉄人」で初めて鉄人を破ったのが程さんで、タコ対決でエビチリの陳建一を破ったそうです。

 焼き飯を作るとき、溶き卵の中にご飯を入れてから炒めるのが彼の作り方。テレビで見てから真似しているのですが、簡単にパラパラ焼き飯が出来るので、親近感を覚えていました。

 程さんが新聞に「好き嫌いをなくす一番の方法は、自分で料理する事」と書いていました。

 なるほど。これは分かります。自分で手間隙掛けて作った料理なら、美味しいところを探します。屋外で自炊して食べる料理が美味しいのも、そんな理由かもしれません。

 ハングリー・イズ・ベスト・ソースという慣用句がありますが、愛着もベスト・ソースなのです。

 また、出来合いのものを使うのは良いが、一手間掛けるのが大切とも書いています。解釈を広げて考えれば、その過程に係わることが大切、ということだと思うのです。

 これは建築も同じ。完璧な完成品を渡されるより、悩み、迷い、決断したものにやはり愛着が湧くものです。決断が大切で、悩み、迷っているだけでは愛着は湧きません。



 間もなく竣工を迎える「伊東内科クリニック」の机は、何度も修正を重ね、この形状になりました。

 机だけではありませんが、院長も「これだけ時間をかけて創ってきたので、愛着がある」と言っていました。

 もちろん私も愛着があります。

 愛情は時間に比例するとも言いますが、モノに対しても全く同じ事だと思うのです。

姫路

 昨日は昼前から雨の予報。安藤建築でも見ようと姫路へ向かうことにしました。

 山陽道の姫路西ICまで1時間半ほど。

 高速道路を降りると、のどかな里山風景が広がります。雨のドライブもなかなか良いものです。

 0分ほど南へ走ると、桜山貯水池があります。

 その湖畔に、児童館の「こどもの館(やかた)」と体験型宿泊施設の「星の子館(やかた)」があるのです。

 児童館は幼児が対象らしく、すぐ近くの「姫路科学館」へ目的地が変更となりました。こちらの設計は東畑建築事務所です。
 
 恐竜の模型あり、体験イベントありで、子供たちは喜んでいました。

 キッズプラザ大阪のコンパクト版のようで、大人500円は安いと感じます。

 プラネタリウムは大人400円ですが、日本で4番目に大きいものだそうです。

 満点の星空は、プラネタリウムだということを忘れさせるほどの迫力でした。

 5階展望台からは向いにある「星の子館(やかた)」が見えます。

 昼はレストランがオープンしていると聞き、昼食はこちらで取ることに。


 クリームコロッケ定食980円、お子様ランチ680円。

 安藤建築特有の丸柱がスロープを支えます。

 子供は「この壁なんかイヤ」と言うので「石みたいに硬いんやで。触ってみたら」と応えました。

 手でドンドン叩いてみて「ほんまや」と若干驚いている様子。確かに家の壁とは違います。

 再び「姫路科学館」に戻り、ひとしきり遊んだあと、3時頃大阪に向かったのです。

 姫路城もすぐ近くですが、現在は大改修の最中。別名は白鷺城です。

 コサギでしょうか、道路脇の畑に降りてきました。

 白鷺は、ダイサギ等、仲間の総称です。城の名になるくらいなので、昔から多くが生息していたのでしょう。

 彼岸花のそばにたたずむ、コサギの姿を見るだけで、出掛けてきて良かったなと思えるのです。