生命が宿り動き出す‐1732‐

 日曜日の朝は空が高く、秋らしい青空が広がりました。


 
 朝ジョギングにでると、風がひんやりとして本当に気持ちが良い。

 どこかへ遠出したくなるのです。

 近所の校庭をのぞくとテントが張られていました。

 運動会の準備でしょう。

 今年は父兄も入れないところが多いのだと思います。

 早朝の公園で、逆上がりの練習をする親子を見掛けました。

 我が家の子供達は運動は得意なほうで、あまり教えを請われたことはありませんが、何だか懐かしく、温かい気持ちになるのです。

 家に帰ってシャワーを浴び「さあ、今日も働くぞ」と気合をいれ、清々しい気分でアトリエへ向かいました。

 一日目一杯仕事をし、お楽しみの夕食は娘のリクエストでモダン焼きを作りました。

 「お腹パンパン」とのことで、沢山焼き過ぎましたが、日曜日くらいは良しとしましょう。

 9時までには全てを終え、チャンネルは4chに。

 テレビドラマは生涯5本目くらいですが、流石に「半沢直樹」は面白かった。

 視聴率の30%越えも、前シリーズから7年振りとのことで、話題をさらっていました。これは前作もレンタルしなければなりません。

 池井戸潤さんの小説は外れなしで、何を読んでも最高のエンターテイメントです。

 タイミングが良すぎますが、新刊『半沢直樹5』が発刊されたそうで、これも買わずには居れ無さそう。

 今日のwebニュースに、作者本人のインタビューが掲載されていました。

 小説は、登場人物のたった一言で話がガラッと変わってくるもの。書き進めるうちに物語に生命が宿り、化学変化がどんどん起きていく。その勢いを大事にして書くことが、すごく重要だと思っています。

 一番驚いたのは、ベストセラーを連発する氏が「600枚ぐらい先のことが予測できるかというとそれは無理」とあったことでした。

 「仮にその通り進んだとしたらそれは駄目な作品」ともあったのです。

 先日、初めてテレビで「Official髭男dism」を観ました。

 髭男(ひげだん)という言葉くらいは聞いたことがありましたが、観終えたあと『Pretender』『 I LOVE…』『宿命』の3曲を購入しました。

 すっかり好きになってしまったのです。

 音楽は極めて好みに影響されるものですが、インタビューのシーンで、ヴォーカルの藤原聡さんはこんなことを言っていたと思います。

 僕たちはどちらかと言えば、楽曲目線なんです

 私も創り手なので、池井戸潤さんと藤原聡さんの言葉はビシビシと伝わってきます。

 「やりたいことをやる」を否定はしませんが、自分の気持ちや気分より「作品がどうあるべきか」を大切にしていることが良く分かります。

 髭男の3曲も、映画やドラマの主題歌だそうで、お題があったということです。

 その中で、ヒット曲を連発でき人は「やるべきことをやる」人なのだと良く分かるのです。

 最後に。

 『Pretender』は映画『コンフィデンスマンJP -ロマンス編-』の主題歌と知りました。

 出演者が2人も自ら命を絶ち、世の中は落ち着きを無くしています。

 心からご冥福をお祈りしたいと思います。

 丁度、藤原さんと同じような歳の頃、私も何度も「死んでしまえば楽になれるのだろうか」と考えました。

 その心病んだ3年間を何とかやり過ごし、楽な時は少しもありませんでしたが、今、生きることこそが素晴らしいと実感します。

 命は自分の意思で掴んだものではありません。自分でコントロールするものではないし、してはなりません。

 人は生きるために生きるのです。

■■■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に巻頭インタビュー掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

仕事は上機嫌で‐1731‐

連休明けの水曜日は、朝から「うえだクリニック」の1年点検でした。

打合せがいつも水曜日だったのは、クリニックの休診日だったからです。

この点検は、1年前の竣工時に仮約束していました。

クライアントは皆お忙しい方ばかりなので、かなり先でもアポイントを取るようにしているのです。

「うえだクリニック」が面する長尾街道は、兎に角人通りの多い活気のある道で、この日もかなり渋滞していました。

打合せ回数は46回。

何なら、通いなれた通勤路くらいのイメージです。

水路が整備されているこの目抜き通りには、松原警察署もあります。

お巡りさんの言葉通り、しょっちゅうこの制服をみるので、治安もかなり良いはずです。

何と言えば良いのか、活気あるこの街道の風景が好きなのです。

10時にクリニックに到着し、院長と近況報告をしていました。

非情にポジティブな院長なので、いくらでも話すことはあるのですが、建築会社の担当者が一向に来ない。

電話をしてみると「あっ!」と。

忘れていたそうですが、偶然近くにいたので20分後くらいに慌ててやってきました。

怒っても仕方ないので、そこはぐっと我慢です。是正箇所を整理して、2時間程で失礼したのです。

すぐ近くには、松原市役所に松原市消防本部もあります。

渋滞で止まっていると、装備をつけたままの消防士方がジョギングしていました。

少し暑さがましになったとは言え、普段からこうやってトレーニングをしているのでしょう。

極限状態で人の命を救うことが、気合だけで出来るはずもありません。

仕事とは準備が全てなのです。

予定が押した為、このあと急いで谷町4丁目まで移動しました。

既存住宅状況調査技術者講習に参加するためです。

宅地建物取引業法の改正で、中古住宅の売買の際に行われる重要事項説明に、既存住宅状況調査を実施している場合にはその結果について説明することが義務づけられました。

この調査を行うことができるのは、既存住宅状況調査技術者の資格を持つ者のみです。

この資格は、建築士の免許を持っている人がこれらの講習を受け、修了考査に合格しなければなりません。

最後の考査中にも関わらず、ラインの着信音を切らないおじさんが隣に居たり。

「考査中はスマホは電源を切るかマナーモードにして鞄になおして下さい」と言われているのに、試験中にスマホをいじっているおばさんがいたり。

何ともどんよりした空気が流れていて、早く帰りたくなりました。考査は満点だったはずですが(笑)

「Ohana」のクライアントが「僕は風水とかあまり気にしないけど、このスタジオの気が良いのは分かるんですよ」と言ってくれました。

気が何かを正確に表現することは出来ませんが、40歳頃から、気の悪い場所には行かないようになりました。

時間は命です。気の悪い空間で時間を無為に過ごした時ほど後悔することはありません。

50年掛けて、自分の向かう方向が少しずつ、少しずつ分かってきました。

気の良いクライアントと、気の良い空間を、気持ち良く創り上げる。これが私の生きる、また生かされる道だと思います。

 仕事をするときは上機嫌でやれ

帝国ホテルの料理長を長年務めた村上信夫さんの信条です。

さすがはムッシュ村上。よく分かっておられるとい言えば言葉が過ぎますが。

■■■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載
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■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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親離れ、15年‐1730‐

 久し振りの休みなので、子供達に「一緒に出掛けようよ」と声を掛けたのですが、兄、妹ともつれない返事。

 考えてみれば、私も高校になって親と遊びに行ったことはないので、当たり前と言えば当たり前です。

 娘は中一なので、もう少し遊んでくれるのかなと思っていたのですが、どうやら親離れの時がやってきたようです。

 では夫婦で出掛ければ、という話にもなりますが、まだ食事を全て自分で用意できる訳ではなく……

 ということで、ひとりで1ヵ月振りにやってきました。

 連休ということもあって、池原ダムもかなり賑わっています。

 天気も雲一つない快晴です。

 この景色を見るだけでも来る価値があると思うのですが、ちょっと押しつけすぎたかもしれません。

 釣りだけでなく、鈴虫の鳴き声をききながら寝るこのバンガローも、簡素ではありますが私は大好きです。

 今この日記もここで書いていますし、たてこんでいるときはここで仕事もします。

 ダムサイト下にあるスポーツ公園村の付帯施設なのですが、それを見下ろす景色もなかなかのものです。

 風の谷を見下ろしているような気分にもなるのです。

 私は物づくりが好きで今の仕事を選んだのですが、朝昼晩のメニューを考え料理するのも好きなのだと思います。

 手間は掛けませんが、自分の好きなツマミをつくるのでひとりでも十分に楽しいものです。

 釣りの方は、そろそろ秋のタフシーンズンの入り口のようで、このくらいが精いっぱいでした。

 ボートのガソリンを買いにいつものスタンドに寄ると、沢山のライダーが引っ切り無しに給油に立ち寄ります。

 店主さんに「今日は大繁盛じゃない」と軽口をたたくと「この季節は晴れると、バイクが多いんです」と。

 車で走っていても気持ちよいので、バイクなら尚更でしょう。

 道端には彼岸花。

 彼岸の中日は明日だったはずですが、本当に良い季節です。

 シャワーを浴びにいくとヤモリがいました。

 決して私も好きではありませんが、都会にいると見れないものでもあります。

 2005年に子供が生まれてからは、できるだけ色々なものを見て欲しいし、色々な場所に連れて行きたいと思い、何とか休みを捻出しては、躍起になって出掛けていました。

 子供が行きたい場所で、自分も行きたいと思えるところは、ほぼ全て行ったと思います。

 親離れという文字を見ると、寂しくないと言えば嘘になりますが、「○○へ行こうか?」とか「□□はどう?」と、行先を探さなくてもよいと考えると、少し気が楽にもなります。

 その役割もそろそろ終わりのようです。我が家の場合は15年でした。

 子が親離れするなら、親も子離れしなければなりません。

 無関心でいる訳でなく、期待し、応援する。

 そんな神職のようなことを私ができるのかは疑問です。しかしその時はやってきたようです。

■■■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載
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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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表紙、頂きました‐1729‐

 日の出の位置が、ほぼ真東になりました。

 週末には彼岸の入りを迎えます。

 日の出が遅くなるとともに、起床時刻も少し遅めになってしまいます。

 子供達には「早起きは3億円の得」と伝えているのですが、気持ちよく寝れているのでよしとしています。

 アルファブックスから9月11日に発売された『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」が掲載されました。

 出版社から、3月にメールが届きました。

 「リフォーム設計デザイン」の本を発行します。

 商業施設(飲食、レストラン、物販、サービスなど)
 住宅(戸建、集合住宅、オフィス、宿泊施設など)

 これまでにないリフォームデザインの本になります。

 リノベーション事例「回遊できる家」様を拝見しました。本書に掲載をお願いしたくご連絡しました。

 それで、こう返したのです。

 参加させて頂こうと思います。

 出来るだけ前のページで、出来れば表紙でお願いします(笑)

 「回遊できる家」と指名頂いたので、そうしようと思います。

 楽しみにしております。

 で、表紙の一番上を頂きました。

 出版も当然ながらビジネスです。

 私が頼んだからといって、「買って貰える」と感じる写真以外が表紙にくることはないはずです。

 よって、とても嬉しいことなのです。

 もし言っていなかったらどうなったのかは知りませんが(笑)

 この日曜日は、大阪モノレールに乗って彩都へ向かいました。

 万博記念公園駅で彩都線に乗り換えます。

 彩都線は、中国道の上空を通過し、更に本線と交差します。

 この複雑なレール構成で、かなり高い位置を通過するのです。

 スピードも結構出ていて、運転席後ろからかじりつきで見ていました。

 もうアトラクションレベルでした。

 彩都に来たのは2回目だと思います。

 大阪大学箕面キャンパスがあり、二級建築士試験の監理員をするためです。

 学科試験を合格した人だけが受験できる二次試験のような位置づけです。

今年の7月、建築士試験の監理員を初めて経験したことを書きました。

 コロナ下につき、席の使用率を減らすので使用部屋数は増えます。

 監理員も増員が必要となり、建築士会の分科会から要請があったという流れです。

 前回の学科試験は大阪経済大学が会場で、最新のキャンパスに驚きました。

 今回は国立大なので、やはり敷地が広い。

 かなり早めに行ったのですが、受付には列ができていました。

 学科試験を合格している人達ばかりなので、やる気が伝わってきます。

 製図試験は5時間でプランを練り、図面を仕上げなければなりません。

 ほとんどの受験者はギリギリまでガリガリと図面を描いていました。

 私が見ていると、未完成の人が結構いました。まずは完成させなければ合格はないはずです。

 ひとまず全体を成立させてから、描き込みをふやすべきで、声を掛けてあげたくなりますが、監理員なので勿論そんなことはできません。

 11時から4時まで、持てるものを出し尽くした後ろ姿からは、安堵が伝わってくるようでした。

 モノレールに乗る機会もなかなかありません。

 これは摂津あたりにある新幹線の車庫と言えばよいのでしょうか。

 圧巻の景色です。

 おそらく建築士試験の監理員は今年限りにすると思います。

 受験生を見ていると、実際に仕事とさせて貰っている有り難さをひしひしと感じます。

 そして、建築士を真剣に目指す人達がこれだけ居ることを素直に嬉しいと思うのです。

 ただ、厳しいことを言うようですが、資格は勉強すれば必ず取れます。

 もし本気で仕事にしたければ、軽々と合格しなければなりません。

 先輩風を吹かせて偉そうにすることは格好悪いことです。しかし、本当のことを言う大人が少なくなったという危機感もかなり持っています。

 耳に痛い意見にヒントがある。

 スターバックスの元CEO、ハワード・シュルツもそう言っているのですから。

■■■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載
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千早赤阪村で夏の終わりを知る‐1728‐ 

 土曜日の朝はあまりにも気持ちのよい天気。

 「そうだ、棚田を見にいこう」と思い立ちました。

 国道309号線、内環状線を南へ走ります。

 富田林を抜けると大阪府下唯一の村、千早赤阪村です。

 「太平記の名場面 赤阪城の戦い」という案内を見つけました。

 鎌倉時代末期、倒幕を呼びかけた後醍醐天皇に応じたのが楠木正成です。

 倒幕を企てた後醍醐天皇は、幕府によって配流されますが、その意思を継ぐ護良親王を正成は赤阪城で守ります。

 30万もの幕府軍を、奇襲奇策を使って500名の兵で戦ったとありました。

 駐車場もあったので、ここから歩いて行きます。

 棚田は傾斜地に田をつくるので、中央にあるこの道路は完全な等高線。

 まったくアップダウンがなく、極めて歩きやすいのです。

 快晴の空が背景で、想像を上回る美しさでした。

 標高もあってか、そこまで暑さも感じません。

 そう思っていたら、自転車やウォーキングの人とすれ違いました。

 皆思うことは一緒です。

 等高線上の道に沿って進むと、赤阪城址という石碑が見えてきました。

 高台にあった城から、巨石を落とし、熱湯を浴びせ、糞尿をまきちらして敵を撃退したそう。

 兵糧が尽き、最後は城を放棄したそうですが、現存していたなら是非見てみたものです。

 現在は遠くにPLの塔、さらにあべのハルカスを望みます。

 700年前も、素晴らしい眺めだったことでしょう。

 現在は「日本の棚田100選」にも選ばれた下赤阪の棚田が眼下に広がっています。

 ここで糞尿をまきちらしたと考えると少し笑ってしまいますが。

 モノレールのような乗り物がありました。

 みかん畑などでよく見かけるあれですが、棚田の収穫にも使われるようです。

 すぐ近くに、農産物直売所があったので寄ってみます。

 ほとんど売れてしまったそうで、残っているものをかき集めて買って帰りました。

 味見用に数粒のブドウが残っており「お兄さん、味見して行ってよ」と声を掛けられました。

 「娘が大のブドウ好きなので、持って帰ってもいいですか」と聞き返しました。

 裏手に回って、さらに数粒持ってきてくれ「今度は朝一番に来てよ。ブドウがとっても美味しいから」とお土産にくれたのです。

 リモート、ネットショッピングの時代ですが、やはりその場に行かない、面白い事も面倒なことも起こりません。

 だから私は野外と旅が好きなのだと思います。

 田には豊富な水が必要です。

 水がスムーズに供給されるよう、また崩落しないよう、緩やかに連続する田の曲線は、極めて優しい風景をつくり上げます。

 自然と生活を美へと昇華させたものだと言って良いでしょう。

 棚田に日本の美の源泉を見る思いがしたのです。

 用水路にはヒキガエルの子供が。

 シオカラトンボも沢山飛んでいました。

 行く夏を惜しむように鳴くツクツクボウシ。

 つい先日まで、シャワーが水でも浴びれそうな水温でした。

 「水ぬるむ季節」という表現がありますが、丁度その反対の時期でしょうか。

 長かった今年の夏もいよいよ終わりのようです。

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
巻頭インタビューが掲載されました

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【News】
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
■2月3日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載

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鏡に映る自分と向き合え‐1727‐

 昨晩は一雨降ったようで、今日は涼しい朝になりました。

 青柿には雨粒が残っていました。

 クーラーを入れずに寝たのはいつ以来でしょう。

 やはり自然の風で寝るのが一番です。

 明け方の空気は澄んでおり、清流のような清々しさがありました。

 高野槙などで知られる槙。以前はよく庭木に使われていました。

 近所の庭ではかなり採用されていますが、この時期に新芽がでるようです。

 ジョギングしているとあちこちに水溜りが出来ていました。

 それぞれが、鏡のように空を映しています。

 三種の神器に鏡が含まれるように、古代においての鏡は特別なものだったはずです。

 庶民は自分の姿を見たければ水面を覗き込んだのだろうか、などと考えていました。

 現代では、透明ガラスに「銀引き」という加工をして鏡を製造します。

 洗面所には必須の材となりますが、「光庭の家」では、間接照明を後ろに仕込み、収納として開くよう考えました。

 「サンルームと吹抜けのある家」の寝室にはパウダースペースがあります。

 こちらは開くと三面鏡となります。

 「White Eaves」はタイミングが合わずで、竣工写真が撮れていないのが残念です。

 バスルームの鏡も格好良く仕上げたのです。

 先日2ヵ月点検だった「ときめく紺色の家」のパウダースペースです。

 仲の良い母娘が並んでお化粧できるよう、こちらは可愛く仕上げました。
 
 鏡は使い方によって、様々な演出ができる強い素材なのです。

 吉川英治の三国志につぎのような行があります。

 人と人との応接は、要するに鏡のようなものである。驕慢は驕慢を映し謙遜は謙遜を映す。

 人の無礼に怒るのは自分の反映へ怒っているようなものといえよう。

 いつも言い聞かせているつもりですが、なかなかこのレベルに到達するのは難しいものです。

 と、言っているから難しいのかもしれませんが。

 娘さんがアマレスの五輪メダリストであり、ボディビルダーでもある、元プロレスラー・アニマル浜口さんはこう言っていました。

 毎朝、素っ裸になって鏡に映る自分と向き合え!

 どんな文脈だったのか忘れましたが、半分は理解できます。

 左右反転である点を除けば、鏡は嘘をつきません。

 姿だけでなく心まで映すという言い方もできますし、姿には心も反映されているという言い方も出来ると思うのです。

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
巻頭インタビューが掲載されました

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大阪都天王寺区コリアタウン‐1726‐

 伊勢湾台風を上回る勢力とあった台風10号。

 九州西岸をかすめるように通過しました。

 九州では7月豪雨があったばかりで、何ともやりきれない気持ちだったと思います。

 大阪は風こそ強めでしたが、地鎮祭を執り行うことができました。

 しかしこれからが台風シーズン。明日は我が身と思い、備えておかなければなりません。

 地鎮祭には車で行ったのですが、阪神高速に乗るとすぐにあべのハルカスが見えてきます。

 大阪府と大阪市の二重行政を無くそうという「大阪都構想」。

 前回の住民投票では否決されましたが、再度民意が問われることになりそうです。

 実現すれば、当社のある平野区は、阿倍野区、生野区、東住吉区を合せて、天王寺区となります。

 新・天王寺区の紹介としては、日本一高い商業ビルのハルカスと、鉄道の南の玄関口となっていました。

 お向かいのような位置にある通天閣は浪速区で、新・中央区となります。

 1兆円の無駄遣いをなくせるとか、効果は0円とか、論調は様々です。

 仕事に関して言えば、建築確認申請の裏判を貰うのが、大阪市役所から天王寺区役所へ変わるくらいでしょうか。

 大きく無駄使いが減るなら実現して欲しいですし、大阪市という名称に愛着があると言えばあります。投票なら、もう少し勉強しなければなりません。

 新・天王寺区の紹介にもうひとつ取り上げられていたのが「コリアタウン」。

 それなら知らない訳にはいかないと、寄ってきました。

 近くのお好み焼きや焼肉の名店は訪れたことがありますが、コリアタウン自体は初めてだと思います。

 この時期にも関わらず、なかなかの活気です。

 疎開道路から東へのびる350m程の通りですが、東端には「百済門」がありました。

 世界中の大都市にチャイナタウンはありますが、コリアタウンも結構あるのでしょうか。

 韓国へは行ったことがないのですが、ミニ海外旅行のようでワクワクしてきます。

 食材といえばやはりキムチ。

 流石に種類も豊富です。

 この狭いエリアに肉屋さんも5軒はありました。

 韓国風焼き鳥なのか、これを頬張りながら歩いている人も。

 古い店のほうが雰囲気はありますが、どちらかと言えば若者をターゲットにしている店が多い感じです。

 トッポギや先程のヤンニョムチキンの文字も見えます。

 長男が中学校へ行き始めた頃、K-POP好きの友達とよくコリアタウンへ行っていました。

 アイドルグッズ店等もあり、このごった煮感が人気の秘密なのかもしれません。

 通りを行く人の年代も様々でした。

 このポテトチップを串に刺したような食べ物。歩きながら食べている若者を結構見ました。

 興味津々ですが、この時期なので挑戦するのはやめておきます。

 大阪都天王寺区のコリアタウンと言われると、かなり戸惑うかもしれません。

 勿論「都」が実現した際の話です。

 コロナ下の社会となり、当分海外は難しそうです。子供達が好きな番組「世界の果てまでイッテQ!」でも国内企画に変更されていました。

 流石にリモート旅行は寂しいので、国内で外国を感じられる場所を回るのも悪くないかもしれません。

 度々例に上がるペストやスペイン風邪のように、今回の新型感染症も、いつか克服されるでしょう。

 それが1年なのか2年なのか。5年海外へ出られないのはちょっと辛いところです。

 リモートで感じられないのは、触覚、味覚、嗅覚です。

 景色を見て、喧噪を聞き、風を感じ、屋台から漂う匂いが鼻腔をくすぐり、つい口にしてしまう。

 旅は五感で味わい尽くすものです。気兼ねなく屋台で食べられる時が来たら何処へ行こうかと考えます。

 台湾、オランダ、オーストリア、メキシコ、ブラジル……

 韓国も候補に加えてみます。

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
巻頭インタビューが掲載されました

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■2月3日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
「トレジャーキッズたかどの保育園」
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■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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地方創生。頑張れ、敦賀駅前商店街‐1725‐

 先週の日曜日、久し振りに日本海を訪れました。

 その帰り、敦賀の市街地にも寄ってきました。

 まずは目抜き通りをのぞきます。

 それぞれの街に特色があり、旅情をかきたてるものですが、最近で言えば、函館仙台金沢長崎那覇あたりが印象に残っています。

 敦賀半島は数え切れないほど訪れていますが、敦賀駅前は初めてだと思います。

 2023年春の北陸新幹線開通を目指し、工事は急ピッチで進んでいるよう。

 「シンボルロード」という駅前通りには、「銀河鉄道999」と「宇宙戦艦ヤマト」のモニュメントが多く設置されていました。

 古くは、東京とパリを結ぶ「欧亜国際連絡列車」が敦賀港駅を経由して走っていたことから、市のイメージである「科学都市」「港」「駅」と将来像を重ね合わせて設置された、とありました。

 心意気やよし、です。

 ただ残念ながら駅前商店街はシャッターばかり。

 旅行者としてはかなり寂しいのです。

 地の魚を買おうと、僅かに開いていた魚屋さんに入りました。

 乾物や缶詰等はあるのですが鮮魚はなし。

 仕方が無いので遠くに見えるスーパーへ行くと、地の魚やイカが多くありました。

 人は正直なもので、商店街とは比べものにならない活気だったのです。

 各店舗前には駐車場が整備され、広い庇もあり、夏でも冬でも歩きやすいはず。

 なんとも勿体ない話です。

 港も近いので、ぐるっと回ってみました。

 1905年完成の赤レンガ倉庫も風情はありますが、函館、横浜、舞鶴の赤レンガ倉庫と比べると寂しい感じは否めず……

 「わびさび」という美意識に照らし合わせれば、魅力があるとも言えますが、再び足を運んで貰うには少し弱いかもしれません。

 前回、第5の故郷と書いたくらいなので、水が美しく、魚の美味しい敦賀という土地が大好きです。

 観光客でごった返して欲しい訳ではありませんが、あれほど立派な商店街に人が居ないのは気になります。

 コロナ下の時期だけなら良いのですが。

 コンビニを日本に定着させたセブン&アイHDの名誉顧問、鈴木敏文さんの記事が新聞に連載されていました。

 コンビニにはほぼ使いませんが、創業の理念を読んで現在の隆盛を納得しました。

 昭和38年、イトーヨーカ堂に転職した鈴木さんは、スーパー出店説明会の度に、地元商店街から猛反発を受けます。

 昭和40年代中頃、アメリカ西海岸へ視察に行ったとき、移動休憩で「7」と「ELEVEN」を組み合わせた、見慣れない小型店に入りました。

 スーパーを小型にしたような店舗で、これがコンビニエンスストアとの出会いでした。

 アメリカでは大型ショッピングセンター、スーパー、小型店、個人商店などが共存していました。

 しかし、ダイエーの中内さん、西友の堤さん、自社のオーナー(イトーヨーカ堂)は、小売りの時代は終わったという考えでした。

 大型店だけで全てをまかなうことはできない。アメリカもヨーロッパもそうでしょうと、鈴木さんはオーナーを説得します。

 何より商店街が衰弱している。小型店には小型店として生きる道があると考えたのです。

 その業態だけでなく、全て過去を否定した先に生まれたものだともありました。

 「おにぎりは売るものじゃない」と反発を受け、「銀行なんて簡単にできるものではない」とメインバンクの頭取に説得され、競合他社が共同で小ロットで配送する「牛乳の共同配送」は物流改革の象徴とさえ呼ばれるものでした。

 ダイエーには何でもあるが、欲しいものはない。

 辛辣な言葉ですが、ダイエーが消滅した理由をこれ以上分かりやすく伝える言葉はありません。

 鈴木さんはこう語っています。

 僕がセブンーイレブンで当初から常に求めてきた基本は品質であって、合理性の追求は二の次、三の次だった。

 この記事を読んで、もう少しコンビニを使ってみようかなと思いました。ただ、ちょっと高いのは間違いありませんが。

 最後はこう結ばれていました。

 人はより良いもの、高質のものを求め続ける。(中略)世の中が変化することは多くのチャンスが生まれてくる。(中略)これからもどんどんやりがいのある社会がくるから、どんな商売も深堀すればやりがいのある仕事ができる。

 コンビニの輸入を決め、アメリカの運営会社との契約を成立させ、送られてきた27冊の経営マニュアルを読んだときにはあぜんとしたそうです。

 そこにノウハウと呼べるものはなく、あったのはレジの打ち方、人の採用の仕方などの説明ばかり。殆どが参考にならなかったのです。

 そこから、日本のコンビニ文化を50年で創り上げたカリスマは現在87歳。

 敦賀駅前商店街のリーダーにこの記事は絶対読んで欲しいと思いました。

 旅先でお金を使ってあげたいと思っても、欲しい物がないので使えない。

 退陣を表明した安部内閣の掲げた目標のひとつに「地方創生」がありました。

 こんな単純な問題を解決することからしか実現はないと思うのです。

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
巻頭インタビューが掲載されました

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【News】
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
■2月3日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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