朝ジョギングへ出ると、内環状線沿いのマンション前に消防隊員や警察官が集まっていました。
住民が何か騒ぎでも起こしたのかなと通り過ぎました。
が、少し違和感があったので振り返ると、皆が高速道路を見上げているのが分かりました。
ネコです。
遠目ですが、年老いたネコのように見えます。
近隣の人が「阪神高速にネコが登っている」と通報したのでしょう。
まさかハシゴ車で救出するのかなと思いながらジョギングへ向かったのです。
小一時間程走って戻ってくると、なかなかの大事になっていました。
人は助けようと思っているのに、ネコは追われていると感じている。
コントみたいな構図です。
ネコが本気で逃げたなら、タモ網くらいではちょっと難しいでしょう。
この人も、本当に捕獲できるとは思っていないと思いますが、人と動物ですから、なかなか思いは通じないものです。
更に一週間程前。
阪神高速から第二阪奈で奈良へ向かっている際、トンネルの避難帯に自転車を止め、荷台の荷物を縛り直しているおじいさんがいました。
「んっ?」と、通り過ぎたあと二度見してしまいました。
荒本あたりからか、急こう配の流入路を登り切ったのでしょうか。更に、トンネルの中央あたりまで自力で自転車を漕いできたようです。
その体力には恐れ入りますが、流石に笑い話では済まないので、すぐに110番しました。
歳を取って行くと、最終的には赤ん坊に戻っていくと言われます。
赤ん坊は純粋無垢に生まれて来ますが、この厳しい娑婆の世界で生きていると、知らず知らずのうちに、見栄が先に立った利、多少の錆が心に付いてしまうのも致し方ありません。
清濁併せ飲むの言葉通り、何かを得るには引き換えになるものも有ると思うからです。
しかし、ある程度の知識を得たなら、今度は併せ飲んだ「濁」を洗い落として行く必要があるようです。
京セラの名誉会長、稲盛和夫さんは「人生の目的は、頂いた魂をより美しく磨いてお返しすることだ」と語っていました。
磨けば美しくなるということは、本来は美しかったということなのです。
生きて行くために、また成長するために、錆びや汚れが付くのは必然とも言えます。それを自ら落とさなければならないなら、ある種切なくもあるのですが。
老いたネコに罪はありませんが、高速道路を自転車で走るのは罪です。
「迷惑を掛けない」ではなく「役に立ちたい」が、一番の処方箋なのだと思うのです。
■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』を「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
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■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
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