2020年もいよいよ12月に入りました。
黄色い葉をつけていたイチョウも、随分葉を落としています。
見上げると、白く光るのは銀杏でしょう。
すでに店頭に並んでいるのでしょうか。
更にその上。
西の空低くには、淡く白々とした月が見えました。
「残月」とか「有明の月」と呼ばれますが、はかない美しさとでも表現すれば良いでしょうか。
日曜日に見た月は、漆黒の中で煌々と輝いていました。
地球の反対側に回り、太陽の光を反射しているだけという事実を疑いたくなるほどだったのです。
先日、経営者の勉強会の前に、会社見学をさせて貰いました。
こちらの会社の商品は「紙」です。
このロール1つは、9000mで800kg程あるそうです。
もちろん人の手では持ち上がりません。
紙の中でも「クラフト紙」に特化しています。
クラフト紙はとても丈夫なのが特徴で、主には梱包に使われます。
1km近いロール紙からカットし、商品として出荷するのです。
このプリミティブな機械はすでに生産が無く、修理しながら使っているとのことでした。
これで巻き取った紙を切り、シートにするのですが、最新の機械ではこのスピードは出ないとのことでした。
確かにびっくりするくらいのスピードでした。
この鎌で紙を切るそうです。
ちょっと恐ろしい気もしますが、プロの道具はいつも迫力満点なのです。
一方、最先端の機械もありました。
軽い切り味で、切れている実感が無いほどです。
こちらの機械もすでに生産が無く、床柱等を養生する紙専用の機械だそう。
機械を見ているだけで飽きません。
「近年では、ビニールや不織布などの登場により、クラフト紙の出番が少なくなっている」と社長は言っていました。
勿論その実感もありますが、世の中は「脱プラスティック」へと進んで行くことは間違いありません。
紙の仕事にはかならず追い風が吹くのではと思っていました。
仕事が同じでも、環境が変われば全く違う景色になります。「有明の月」と「漆黒の月」は全く同じ月なのです。
高度情報化社会において、スピーディに変化していくのは大切なことで、企業が生き残る為には必須のことです。
しかし、変わらず一つのことを探求していく粘り強さも、同じくらい大切なものだと思います。
時代の流れを読み切り、華やかに結果を残す人も勿論いますし、尊敬します。
しかし月は月であって、太陽にはなれません。どれだけ頑張っても恒星にはなれないのです。
なら、自分の決めた道を極めるだけ。今回の会社見学を通して、そんなことを考えていました。
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