12月に入り、それらしい気温になってきました。
先月末、「尼崎園田えぐち内科・内視鏡クリニック」の江口さんから、開業計画打ち上げのお誘いがありました。
北新地の北の玄関口はHAT BOYビル。
その脇を抜け、東口女坂筋を南に。
本通を東へ。
先に来られており、早速乾杯でスタートしました。
屋号の通り、魚にこだわったコース料理です。
お造りは勿論でしたが、イセエビの小鍋が素晴らしかったです。
限りなくレアに近いイセエビの弾力と、しっかりとした出汁が絶品でした。
店の方に、その感激を伝えると「さっきまで活きていましたから」と。
火の通りが最小限なのがよく分かりました。
関西はやはり鯛。
煮汁は甘めです。
アナゴ、銀杏と、小皿も冴えていました。
締めは、土鍋で炊いた卵かけご飯。
黄身と煮魚の煮汁をかけて頂きます。
なかなか予約が取れず、1ヵ月前から取ってくれていたことが納得できました。
最後に、おこげはバリバリとスナックのように。
江口さんが豪快に割り分けてくれました。この方、何でも行動が早いのです。
美味しい料理に会話も弾み、至福の時間でしたが、本当に嬉しかったのは、クリニックの出だしが順調だったことです。
初日に10名程が来て下さったことは聞いていましたが、その後は何も聞いていませんでした。
しかし、お誘いがあるということは、吉兆だとは思っていたのです。
クリニックの設計・監理を何軒も経験させて貰いましたが、「内科系」の開業は、スタート時が本当に厳しいのです。
お父様から引き継いだケース等は別ですが、縁もゆかりも無い土地での開業を、「落下傘開業」と言ったりします。
文字通り、全く知らない地にいきなり降下し、すぐに本気の戦いが始まるのです。
この場合は、「内科系」以外でもかなり厳しく、多くの院長は「開業1年目のことだけは思い出したくない」と言います。
ナース、スタッフの方々も当然慣れておらず、オペレーションにも戸惑いがあるでしょう。
何より、院長はクリニックや医療機器に対する大きな投資をした上に、出だしの半年からから1年は、自己資金を持ち出しながらの運営になることが多いのです。
そういったことを見聞きしていたので、出だしから地域の方が訪れてくれるよう、出来ることは何でもしようと思っていました。
院長の江口さんが「Youtubeを見てきました、っていってくれる人が結構いるんですよ」と言ってくれました。
6回に渡って、【ゲンバ日記チャンネル】をUPしたのもそのためです。
しかし、一番効果があったのは、江口さんの話だと思います。
患者さんでなくても、元気な時から遊びに来て欲しい。
そのために、自分のコレクションであるコミックや、寄贈で13m以上もある本棚を一杯にしたい。
また受験勉強をできるカウンターを設置するという考えは、私の想像にも全く無いものでした。
それを私の口からでなく、江口さんに語って欲しかったのです。
膵臓がん・胆道がんを発見するエキスパートであり、内視鏡、超音波内視鏡の技術にも優れている。師長さん、技師さんも、長らくタッグを組んできた、熟練の方たちです。
知識、技術だけでなく、何と言ってもまず江口さんが元気なのです。
私は「えぐちずっと元気クリニック」という名前をずっと推していたくらいですから。
言い方が失礼かもしれませんが、このソフトがあって繁盛しなければ、ハードに問題があるとしか考えられないと思っていました。
コンセプトをダイレクトに表現したクリニックを実現し、少しでも早く地域の皆さんに知って貰えたら、必ず支持されると信じていたのです。
開業が9月17日(火)の一粒万倍日にこだわった通り、すでに何倍もの結果が出ています。
江口さんは「守谷さんは、建築家というよりプロデューサーみたいな役割ですもんね」と言ってくれました。
それを分かってくれるので、頑張り甲斐もあるのです。
ダイレクトに言えば、建築家でこういった類の発信をしている人は、そういないと思います。
恥ずかしくもありますし、かなりの時間も掛かります。しかし、それも全ては、できるだけ早く、クリニックを知って貰うためなのです。
一度、足さえ運んで貰えれば、確実にファンになってくれるはず。
そうなれば、それを知った本気のドクターがまたオファーを下さるので、ひいては自分のためでもあります。
一日に200人くらいが来て下さるクリニックに、あっという間になると想像しています。
物づくりが好きでこの仕事をしていますが、職能を活かし、誰かの役に立てる真剣勝負はもっと好きです。
住宅、クリニック、オフィスに関わらず、そんな機会の積み重ねこそが、私の仕事人生なのです。
■■■9月17日(火)「尼崎園田えぐち内科・内視鏡クリニック」開業■■■
■8月30日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋<リノベーション>」掲載
■2月14日『Best of Houzz 2024サービス賞』受賞
■1月29日発売『日本一わかりやすい 一戸建ての選び方がわかる本2024-25』に「回遊できる家」掲載