昨日、当社のスタッフが結婚しました。
2009年の3月に面接をした日から9年と3ヵ月。
本当に色々なことがあったと思いますが、よくここまで頑張ってくれました。
素晴らしくない結婚式など1つもありませんが、本当に素晴らしい式でした。
新婦側で参列させて貰ったのは、親戚以外では初めてかもしれません。
新郎側と、新婦側でこうも景色が違うものかと驚いたというのが正直なところです。
男同士は少なからず「ライバル」という視点があると思います。そういったものがなく、ただただ暖かいのです。
私は主賓のスピーチがあったのですが、2013年の後輩の式以来です。
この時も、祝辞は3分から5分がいいと言われましたが、自分の伝えたい話をして8分程掛かりました。
一緒に出席した弟が「飽きはしなかった」と言っていまいしたが、おそらくその言葉のままだと思います。
もっと彼の良さを上手く伝える言葉があったのではと、悔いが残っていたのも事実です。
今回も7分位を目指しましたが、妻によると8分50秒掛かったそうです。
しかし、感想を貰った人の全てから「良かった」「感動した」と言って貰えました。
スピーチの途中で、一番前にいる妻が泣いているのが目に入り、私も泣いてしまいそうになりましたが、何とか持ちこたえたのですが。
スタッフの友人と会うことなど滅多にないので、それも新鮮でした。
本人の頑張りが一番ですが、実際は多くの友人たちが支えてくれていたことを、彼女たちのスピーチからひしひしと感じます。
「何だ、お礼を言って回らなければならないのは、私の方じゃないか」と実感したのです。
新婦側だけになりましたが、各テーブルにお酒を注いで回ったのです。
高校時代の友人達が席にみえて、「内緒でAKB48の『恋するフォーチュンクッキー』を踊るんです。所長さんには是非一緒に踊ってもらいたいんです!」と。
「ごめん、AKB48の名前くらいは知ってるけど、観たことがないんだ」と言うと、「大丈夫、大丈夫、前で映像も流れますから」と。
実際何とかなるものです。
忙しい仕事を続けながら、精一杯の準備をしてきたのが、進行、料理、デザート、引き出物とよく伝わってきました。
私が涙してしまったのは、お色直しの退席の時。御祖父母の3人と手を取って中座した場面です。
久し振りに、ドラえもんの「おばあちゃんの思い出」という短編映画を思い出していました。
親族代表の挨拶、新郎の挨拶で宴も結び。
命は紡がれ、人は多くの人に支えられて私たちは生かされています。
それが実感できるのが結婚式なのでしょう。
幸せや笑顔を見て、むしゃくしゃするという人は居ません。また、「過ぎる」という事もありません。
周りに伝播するほど幸せに、周りを照らす程、明るい家庭を築いて欲しいと思います。
実際、私たち夫婦もとても幸せな気分で帰路につきました。
今日、皆忙しそうにしているので、私が備品を買いにいくと、ドラッグストアでスクラッチカードが出てきました。
コインでこすると「当たり」の文字が。
若い女の子の店員さんが「わ~、私初めて見ました。ホントに当たりって入ってるんですねッ」と。
店を出て行く時も、隣にいる同僚に「さっき初めて当たりを見たんですよ!」と話かけています。
思わず笑ってしまいました。
でも、それはそうでしょうとも思います。
ムスッと不機嫌そうにお金を払っているおばちゃんと、ニコッとお金を払っている人の、どちらに神様が当たりカードをしのばせてくれるのか。
考えるまでもありません。
いやもしかすると、これも幸せのおすそ分けなのかも。
【祝辞】
いつかこんな日がくるのかなと思っていたのですが、実際にこの場に立たせて貰うと、本当に感慨深いものがあります。
さちかさんが、当社に来てくれたのは2009年3月でした。
あれから9年間。真摯に仕事に打ち込み、成長し、今では当社になくてはならない存在となってくれました。
私どもの仕事は建築設計ですが、大きな夢を持ったクラアントの皆様からオファーを頂き、それを何とか形にし、感激して引き取って貰うというのが目的です。
遣り甲斐も大変大きいものがありますが、非常にプレッシャーも掛かる仕事です。
多くの若者が、その重圧に2ヵ月、1ヵ月が持たないなか、なぜさちかさんだけがここまで頑張ってこられらのか。ターニングポイントであろう場面を少しお話しさせて頂こうと思います。
入社から2年程経った2010年の冬、「Shabby House」という住宅が完成しました。Shabbyとは「着古した古着のような心地よさ」というような意味です。
クライアントご夫妻は完成したお家を大変喜んで下さり、お礼の席を設けたいということで、さちかさんと私を「Shabby House」に招いて下さいました。
手料理を振る舞って頂き、美味しいお酒を準備して頂き、本当に幸せな時間だったのですが、その席で奥様が「完璧、もう完璧だったわ」と言って下さいました。
大きな夢があるからと言って、予算はいくらでも良いと言う方はおられませんので、ありとあらゆる手段を使って、金額を合わせに行きます。
こちらのお家では、食器棚や本棚を量販店の既製品を組み合わせ、壁に埋め込むことで、職人がつくった家具とそん色ないものにしようという試みをしていました。
それには、入念なリサーチ、設計図面への落とし込み、現場との調整と、オリジナルの家具を設計するよりも、余程手間のかかる仕事です。
ともすれば、日の当たり難いこのような仕事をさちかさんは、丁寧に、労を惜しまず取り組んでくれるのです。それをこちらの奥様はよく見て下さっており、先の言葉になったのだと思います。
彼女はその場で、うれし泣きで大粒の涙を流していました。
多くの若者が、この場面を経験できず仕事が続けられません。彼女はそれを自身の努力でつかみ取り、決して安くはないお代を頂いているクライアントから、本気の感謝、本気の感激のことばを掛けて頂いたのです。
おそらく、プロとしてやっていけるという自信ができた瞬間だったと思います。
よく気が付く、聡明、礼儀正しい、字が綺麗と、およそ欠点など無いさちかさんですが、唯一の問題があるとすれば、仕事をするしか能のない私のもとで、働いていることだと思います。
しかし、彼女は懸命に仕事に打ちこむことによって、全てが変わったと言ってくれます。
考え方、行動、言動、全てが前向き、ポジティブなものになったと言ってくれます。
そして、○○さんと出会われたのです。
パナソニックの創業者、松下幸之助さんは
「全てのことは、必要、必然、そしてベストのタイミングで起る」
と言われたと思います。2人は、必要、必然、そしてベストのタイミング出合われたのです。
実は結婚のお話を聞いたとき、大変嬉しかったのですが、身勝手にも、「相手の方は、私たちの仕事に理解を示してくださるだろうか」と思ってしまいました。
しかしそれも全くの杞憂に終わりました。
この春、私どもが設計した保育園が完成し、お披露目の会が開かれました。その場で彼女は少し測定をしなければならない仕事があったのですが、○○さんも一緒に参加してくれました。
○○さんは、メジャーの一端を持ってくれ、こうもったほうが分かりやすい?このほうがいい?などと聞きながら、献身的にサポートしてくれたと、翌日のミーティングで聞きました。
普通なら、休日に彼女、奥さんが仕事だと言ったら、「そこまでしなくてもいいんじゃない」と言われても不思議のないところです。
一度3人で食事に行ったのですが、その席でも、互いを想い合い、リスペクトし合っていることがよく伝わってきました。
もとより2人の幸せに疑いなどありません。
喜びは分かち合えば2倍に、苦しみは分かち合えば半分になります。
これこそが結婚する本当の意味だろうと思っています。どうぞ際限ない幸せを実現して欲しいと思います。
最後に。
社員というには近すぎる、かといって家族ではない。
そういった存在にまで成長してくれたこと、そういったスタッフを持たせて貰ったことを心から誇りに思います。と伝えようと思っていました。
ところが、メッセージカードに、「仕事上の父」と書いてくれていました。
もちろん、本当にお父様の愛情には及ぶべくもありませんが、私なりに精一杯2人をサポート、応援させて頂きたいと思います。
そのお名前の通り、幸せが香るようなご家庭を築いて頂きたいと思います。
長くなってしまいましたが、これをもって私からのお祝いの言葉とさせて頂きます。
本日はご結婚誠におめでとうございます。どうぞ、末永くお幸せに。
■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映
■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
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■ 『住まいの設計05・06月号』3月20日発売に「回遊できる家」掲載
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■『homify』6月2日に「イタウバハウス」掲載
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