今年の桜

日曜日とは打って変わって、今日は気持ち良い天気です。この週末に、先月生まれた長女が帰って来ました。入院していたのです。

結果的に、何かの治療をした訳では無ありませんが、ある数値が低く、入院して様子を見たほうが良いとの判断からでした。

出産は近くの病院でしたが、少し離れた総合病院へ転院したので、妻は毎日授乳に通っていました。

産後の母親は消耗しているので、随分大変だったと思います。

娘が一ヶ月半を病院で過ごす間、感じた事は「私には何も出来ない」でした。

ミルクを与える訳でなく、おむつを変える訳でなく。毎週日曜日に、3:00pmからの面会時間に行って2、30分抱っこするだけ。

深刻に考えてはいませんでしたが、それでもぼんやりした無力感があります。「今まで間違った事をしてこなかったのか?精一杯生きて来たのか?」等と自問したりもします。私自身が間違っていようが、いまいが、娘の症状に影響するはずも無いのに、そんな気分になるのです。

しかし、結局は自分の役割を精一杯果す事しかないのだな、と思うようになりました。一所懸命仕事をする。ただそれだけです。

桜が咲く頃までには、というのが願いだったので、今は心から喜んでいます。

やっとこれから家族4人での生活が始まります。しつこいですが、彼女が嫁ぐまで。

今年の桜は、嬉しくもほろ苦く感じられるのです。

経験がものをいわない時代

 車で出かけた時、渋滞にはまれば抜け道を探します。結果的に少し遅くなったとしても、知らない道を行くのは楽しいのです。

 私が学生の頃は抜け道を知っているだけで、結構自慢になりました。今はカーナビ時代なので、あまり意味がありませんが、同じように隠れ家的な店なんかも、重宝する情報でした。

 ふと考えました。以前なら教えて貰いたかった事が、Webの発達によって随分様変わりしたと。探そうと思えば大概の事が自分で探せるからです。

 便利ではありますが、問題もあります。人の経験を聞く事が、さして重要でなくなったのです。「相手の都合や気分に左右されない。良いことばかりでは」という声も聞こえてきそうですが、そこなのです。ここからは、ちょと七面倒くさい話です。

 コミュニケーションは、同じ認識を持った人とだけする為のものではありません。気難しい人から、何とかスムースに情報を引きだしたい。そんな時、工夫をするのです。

 「コミュニケーションの不足から戦争が生れる」とはアートディレクター佐藤可士和の言葉。他人の経験が重要な世の中は、少々面倒かもしれませんが、「他人は他人」と無関心になりようが無いのです。
 
 極論すれば、人の経験に意味が無いなら、人に意味が無い事になります。「自分」という人間は大切だけれど「他人」には意味がない。そんな理屈は成立しません。

 効率、便利、リスクヘッジ。全てビジネスベースでは正しい事です。しかし、人として最も重要だとは思いません。効率が悪いことに、人の心は動くと感じます。便利な道具は誰にでも一定の成果を与えますが、人の気持ちの入る猶予を奪います。危険にさらされた事のない生物が、本当の危険を回避出来るのか……。

 普段勉強に来る学生に言いますが、納得していないようです。自分で何でも出来る(または出来ると思っている)のですから、納得出来ないでしょう。しかし、物創りをする上で一番大事な部分はそんな所にあると思うのです。

 いつの間にか、私も面倒くさい人間になってしまいました。しかし、思っていることは現実です。現実を伝えるのはとても難しいのです。

恐竜ラボ

日曜日は長居公園へ。恐竜ラボというイベントがありました。

ここにある自然史博物館と植物園には時々来ていますが、こいう催しは初めてです。

入場料は1100円。長男が恐竜好きなので、楽しみにしていました。

 恐竜の複製はちょっとコミカルな感じ。

骨格標本も原寸大。肉食恐竜のアロサウルス。ティラノサウルスの前身にあたります。

恐竜図鑑を読まされているので、少し詳しくなりました。

 最後の部屋を出ると、子供が「もう終わり~」と。その言葉通り、ちょっと物足りませんでした。

 それで、そのまま、自然史博物館へ。

 植物園との共通券でも300円。値段のことばかり言って何ですが、それくらいここの常設展示は素晴らしいのです。

 しかも、恐竜ラボに人が流れているからかガラガラ。

 子供も満足気です。

 1時間くらい遊んで、植物園に出ました。

 春の花が満開でした。まずはタンポポ。

 ペンペン草と呼んでいましたが、正確には何と呼ぶのでしょう。

 キク科の花にはモンシロチョウ。

 ユキヤナギは、弾けるように咲いています。

 チューリップは赤が美しく。

 ヤマザクラは満開でした。

 昨日は雨の予報でしたが、午前中はもってくれました。ソメイヨシノは、来週あたりでしょうか。

 「書を捨てよ、町へ出よう」は詩人、寺山修司の著書。

 「書を捨てて、公園に出よう」です。

銀座、渋谷、新宿

 今日は春分の日。随分暖かくなりましたが雨模様です。

 さて、前回の続きを。

 早朝に表参道あたりを歩き、そのまま銀座に移動し建築を見て回ります。

 ディオール銀座は乾久美子の設計。

 メゾンエルメスはレンゾ・ピアノ。全面ガラスブロックです。

 ルイ・ヴィトンは表参道と同じく青木淳。

 ミキモト銀座2は伊東豊雄の設計。

 また地下鉄に乗って渋谷に移動。

 駅前のスクランブル交差点は流石に凄い人でした。後ろに見えるのはシブヤ109。

 ライズは映画館などの複合施設で北川原温の作品。

 次は新宿の都庁に確認申請の調査へ。丹下健三の設計です。ここからが本当の仕事。

 都庁内でまわれるところを全て調査し、クライアントとの打合せに向かいました。

 新宿駅に向かう道から、建築中のビルが。さて、誰の仕事か。

 昼過ぎから、夕方の6時頃までしっかり打合せし、東京駅に向かいました。

 調査と建築探訪で歩きに歩いた2日間。帰りの新幹線の中は、一度も目が覚めませんでした。こんな時の疲れは心地よいものです。

表参道まわり

 先週末は、出張で東京に行っていました。

 朝の6時の新大阪発に乗れば、9時の打ち合わせに間に合います。新幹線は本当に早くなりました。

 一日掛けて、建築確認申請の関係省庁調査に回りました。

 夜は気になる建築を見に表参道へ。原宿駅から東へ向かいますが、あいにくの大雨。

 まずは、ディオール。設計はSANAA。

 次は、同潤会アパートの保存でも話題になった、表参道ヒルズ。設計は安藤忠雄。

 建築の大半は地下に埋めこまれ、内部は表参道と同勾配のスロープで繋がっています。

 ルイヴィトン、設計は青木淳。

 TOD’S、設計は伊東豊雄。

 雨が激しくなってきたので、その他は後日にして、少し離れたキラー通りにある、最小住宅の名作を目指します。

 ずぶ濡れになりましたが、来たかいがありました。ひっそりと生えるように建っていた建築家・東孝光の自邸「塔の家」。

 全体を撮ることは出来ませんでした。

 翌朝は昨晩とは打って変わって良い天気。

 早起きしてまずは、丹下健三の名作、代々木国立屋内競技場へ。

 原宿駅を越え、表参道駅へ向かいます。

 昨晩見た、表参道ヒルズ。

 TOD’S。

 表参道駅の上にはONE。隈謙吾の設計。

 南に下ると、槙文彦の代表作スパイラル。

 東のエリアには、プラダブティック。ヘルツォーク&ド・ムーロンの設計。

 コレッティオーネは安藤忠雄の設計。

 ずっと北上して、再び「塔の家」へ。

 建築面積は僅か7畳ですから3.5坪。1966年竣工で狭小住宅の傑作です。

 街に埋もれるように建っていました。

 この後、爽快な気分で打ち合わせに向かいました。次回は銀座、渋谷、新宿編です。

京阪萱島

 先週、仕事で京阪の萱島に行っていました。

 地名は、寝屋川の中洲に、茅、葦といった植物が育っていたところから来たようです。

 駅は門真市と寝屋川市にまたがり、境界が寝屋川。この駅は日本の駅百選に選ばれているのです。

 その訳は、樹齢700年のクスノキです。

 ホーム、屋根を貫いているのです。

 このクスノキは萱島神社の御神木で、1972年の高架化される時、伐採の予定でした。

 それが市民の声によって免れ、保存されることになったのです。

 高架下になった、萱島神社も1980年の夏に再興されました。

 ちょうど紅白の梅が満開でした。

 川をまたいでいる駅は、阪神武庫川、阪急芦屋川などありますが、随分趣きは違います。

 しかしこの景色に、なんとも言えない愛着を覚えるのです。

大泉緑地へ

 日曜日は気持ちの良い陽気でした。朝から長男と、堺市の北端にある大泉緑地に行っていました。

 敷地は広大です。

 巨大滑り台あり。

 雑木林あり。

 池あり。

 気温も上がってきたので、色々な生物も動き出しました。

 これはミドリガメ。お祭りのあとの放流でしょうか。ちょっと問題です。

 フタツホシテントウ。

 野鳩でしょうか。他には、ムクドリ、メジロなども。

 花はスイセン。

 ギリシャ神話では、泉に写る自分の姿に恋焦がれ、そのまま亡くなった美少年がナルシス。その生まれ変わりとされています。

 スイセンは水面をのぞくように咲き、英名はNarcissus。スイセンがナルシストに見えてきますか?

 こんな話しを聞いた時、ギリシャ神話っておもしろいなあと思うのです。

 サクラのつぼみも随分大きくなっていました。もう春本番です。

水溜り

 今日は良い天気です。しかし子供は雨の日も大好きです。

 長靴を履き、傘をさすと、非日常モードに入ります。水溜りでバチャバチャしだすと周りが一切見えなくなるくらいテンションが上がってしまうのです。

 私が小さい頃は、舗装していない道路が結構ありました。大きな水溜りはだいたい泥水ですから、深さが分からないのです。

 はまってしまい長靴に水が入る。ヒルもいっしょになんてこともありました。

 同じ街に住んでいますが、舗装していない道はなく、そんな深い水溜りは皆無です。それで子供は躊躇なくバチャバチャするのです。

 幼稚園へ送る道の途中、1ヶ所だけ田んぼが残っています。

 立ち止まって「あそこ、銀色やナ!」と言うのです。

 水路の部分に大きく深い水溜りが出来ていました。光の加減もあったのでしょうが、何か違うものを感じているようでした。

 平らは便利です。車が走れる便利を求めて、人が作ったもの。しかし雨が降っても深い水溜りは無い。不自然ではあります。

デスク

 以前から、働き良い机とは?と考えていました。それで今回、作り変えてみました。

 今のところ、L字の天板が最も広い範囲に手が届くと考えています。その内側は座る位置から離れ過ぎないよう、アールにするのがベストと考えています。

 向って右が私の席です。内側のアール部がないと肘を置く場所がなく、特に近年増えたキーボード打ちの作業が大変疲れるのです。体の動きに合わせれば、無駄なく空間を使えるという結論です。

 図面が出来たので制作しようと、付き合いのある材木店に聞くと「集成材は巾600くらいまで」とのこと。探していたところ「特注なら1300×6000まで可能」とある、広島の山根樫材工場のWebサイトを見つけたのです。

 2000×1300×30の内側をR600に切り取り、逆側には900×700×30の天板をつなげました。

 このエリアでの2人の仕事効率は随分上がったと思います。毎日のことですから「楽しく、気持ちよく働けるデスクにしたい」という目標が達成出来ました。

 以上が完成までの流れです。実は、特注の机は結構値が張ります。

 金額が合わない時は、クライアントにも頑張って机を作ってもらおうという、目論みもありました。それには、まず自分がやらないと、いう事です。