昨日、関西もようやく梅雨入りしました。
ここまで遅れたことによって、私の現場は随分助かりましたが、そんな事だけを言っている訳にはいきません。
日本が日本であるための恵みの雨。
アジサイも待ちくたびれていたでしょうから。
朝一番に「うえだクリニック」の現場から戻ってくると、阪神高速は通行止めの表示がでていました。
アナウンスされていたG20の影響ですが、丁度会社のある平野からの通行止めでした。これらも現場に響かなければ良いのですが。
池井戸潤の小説を初めて読んだのは2年前でした。
この頃は経済小説の名手、高杉良の作品ばかり読んでいました。「ザ・ゼネコン」という小説を購入すると、amazonでお勧めにでてきたのです。
「鉄の骨」という同じくゼネコンの話でしたが、なかなか面白かったので、長男が持っていた「アキラとあきら」も読みました。
こちらはドラマ化されてから文庫化されたそうですが、ジェフリー・アーチャーの「ケインとアベル」よろしく、恵まれた御曹司と、ハングリー精神で上り詰めて行く2人の人生が交錯する様を描いています。
そして、「下町ロケット」を読み終えました。
十年に一度の傑作小説だと思います。
ドラマ化もされているので、周知の作品なのだと思いますが、2011年直木賞受賞作品は伊達ではありません。
楽しみを奪いたくないので、最小のあらすじだけ書いてみます。
主人公は佃製作所という小さな精密機械工場の二代目社長です。
佃航平は大学をでたあと宇宙科学開発機構の研究員となりますが、革新的なロケットエンジンの開発者でした。
そのエンジンのトラブルで、ロケットの打ち上げは失敗。責任を取って佃製作所に戻ります。
父を継ぎ経営者となるのですが、その技術を持った零細企業の屈辱と、忍耐と、努力と逆転の痛快物語です。
ライバル関係にある上場企業から戦略的に訴えられ、耐力差からの兵糧攻めにあいます。
国産ロケットを開発中の大企業、帝国重工業の社内のパワーゲームに翻弄され、ありとあらゆる屈辱を味わうのですが、このあたりの描き方が抜群に腹立たしい。
それが、最後に溜飲を下げさせてくれる度合いを最大値にしてくれるのですが。
上質なエンターテイメント映画を見た後のような読後感で、これだけページの先を急いだのはいつ以来だったかと思っていました。
「子供の頃、アポロ計画に憧れて」という、ありふれたスタートからここまで描き切るのですから、その筆力は凄いの一言に尽きます。
前回、日曜日にミナミへ行ったと書きました。
高島屋の北西、御堂筋に面して建っていた歌舞伎座が、酷いことになっていました。
元の歌舞伎座は、大阪が誇る建築家、故・村野藤吾の代表作です。
その上に、こんなホテルを乗っけるとは!
現代の法規制が厳しいのは分かりますが、村野なら絶対そこは貼りものにしません。
もう呆れるレベルなのですが、何の発言力もない自分に腹が立つのです。
宮本輝の代表作「道頓堀川」に、川下から愁いを秘めてミナミの街を眺めるシーンがあったと思います。
それを読んでから、この辺りからミナミを見るのが好きになったのですが、新戎橋南詰には出世地蔵尊があります。
頭を垂れて、成長、成功をお願いするのです。
仕事を始めてからは、自分なりに精一杯生きてきたつもりですが、勿論のこと下に見られること、屈辱を受けることもあります。
安藤忠雄とて、屈辱を受けることはあるでしょうが、もし私が、せめて関西で一番なら、例えば歌舞伎座上のホテルに関しても、少しは発言できたかもしれません。
全ての結果は自分の責任で、誰のせいでもないのです。
ただ文字の配列だけで、これだけ人に元気を与えたり、涙を流させたりできるのですから、作家はいつまでたってもの私の憧れの仕事です。
やる気を出すのに、遅すぎるということはないはずです。もっと言えば、今が最速です。
液体酸素と、液体水素は十分注入して貰いました。下半期のロケットスタートを確実に決めなければなりません。
■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
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【News】
■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
■『homify』5月7日に「碧の家」掲載
■『houzz』4月15日の特集記事 に
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
■「トレジャーキッズたかどの保育園」が
地域情報サイトに掲載されました
■大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
■ 『住まいの設計05・06月号』3月20日発売に「回遊できる家」掲載
■『homify』6月29日に「回遊できる家」掲載