ことばの力-いつもそこにある 編-

 好きなwebサイトに構成作家・高須光聖さんのオフィシャルHP『御影屋.com』があります。

その中のブログに、

 「当たり前にあるものほど、本当は一番大事」

 ということばがありました。短い言葉ですが、奥深いものも感じます。

 彼の仕事はバラエティー番組を作ること。番組の構成を考えたり、コーナーのネタを考えたり。

 天才芸人、ダウンタウン松本のブレーンであり、ダウンタウン浜田とは小さい頃からのご近所さん。

 笑いを作るという難しい仕事の中で、磨かれた感性は実に繊細なものを感じます。

 このサイトにある同業者との対談が最高に面白いのです。

 私は一気に読んでしまいました。”秋”の読み物として一押しです。

信楽の美術館はシャングリラを目指す

 日曜日は天気が良かったので、たぬきの焼き物で有名な、滋賀県信楽(しがらき)町にある、ミホミュージアムに行ってきました。


 設計はアメリカ人のI.M.ペイ。

 ルーブル美術館のガラスのピラミッドでも有名です。

 この地には、桃源郷をイメージした美術館を創りました。

 標高が高く、モミジも色付き始めていました。


 アプローチは長いトンネルを電動カートか徒歩で抜けて行きます。

 軽く左にカーブしているので、谷の向こうに少しづつ美術館が・・・・・・。

 その演出は圧巻です。

 建物自体は日本の木造建築を意識したようです。

 コレクションは陶器などの日本美術から古代オリエントの古代美術品まで、多岐に渡ります。

 内部は開放的。とても明るく、甲賀の山並みを見下ろす景色がなにより贅沢。

 この日は、青山二郎という収集家が集めた魯山人の焼き物や、中国、明代の焼き物なども展示されていました。

 珍しいところではピカソ作の陶器等も。


 帰りの通路に、お供え物のような竹の籠が置いてありました。

 お彼岸だったからでしょうか。彩りがとても鮮やか。

 今はコスモスが満開。

 かつては忍者も修行したと言う山里は、小さな棚田の刈入れも最盛期。静かに実りの秋を迎えていました。

庭樹園の木々-その後

 先週末、庭樹園で選んだ木々が(2006/9/4参照)、大阪市内の建築現場に届きました。

 設計した住宅の庭に植付けられるのです。


 庭の中央付近には、ヤマザクラ。

 山の中を歩いて廻り、この一本に決めました。散り際も美しいソメイヨシノは、日本人が最も愛する桜ですが、葉と花が共存するヤマザクラも、また美しいのです。

 接木で増えていったソメイヨシノに対し、自然に繁殖したこの種は、生命力が強いのも特徴。

 植付けの当日、造園会社の社長も見えていました。

 御歳、六十数歳。とっても元気です。表情が柔らかく、笑顔がなんとも素敵な方なのです。

 ふと思いました。この間の庭樹園のスタッフといい、造園会社の社長といい、やや荒っぽい気質もある、建築現場では異彩を放っています。

 常に木々に触れるというのは、それだけ人に影響を与えると言う事なのかもしれません。

 庭の中央には、ぼんやりとライトアップされたヤマザクラ。夕食の済んだご夫妻は、他愛のない話をしながら、時折庭に目をくれる。

 そんな風景をイメージしながら1階との繋がりを考えていました。

 昨年の5月から設計を始めたこの家も、ようやく完成を迎えます。

 次の春には、庭の木々も色鮮やかな花を咲かせてくれるでしょう・・・・・・

 無事竣工を迎えるというのは、設計者にとって何より幸せな事ですが、やはり寂しい気持ちもあります。

秋の近江路 燻製を食べながら

 九州に上陸し大きな被害をあたえた台風は、日本海に抜けたようです。

 今日は三連休の最終日。

 強風ながらも晴れ間が見えています。

 昨日は滋賀県南部の東近江市にあるバンガローへ行っていました。
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 ここ数年の恒例行事で、ちょうど一年振りです

 施設内にバンガローは何棟もありますが、棟も同じで、メンバーもほぼ同じ。

 要するに気を遣わない仲間が集まり、時間も気にせずワイワイとやろうという事なのです。

 大人16人と、小学2年生から1歳までの子供が8人。まあ賑やかです。

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 子供達は、昔から狭くて、不便な所が大好き。梯子で上がるロフトは、常に人口密度過多。

 この会は、I夫妻プレゼンツ。お料理の目玉はなんといっても燻製です。

 チップ(木の破片)で燻された鶏肉は、程よく脂が落ち、芳ばしい香りに包まれ、絶品でした。あっと言うまに売り切れ。

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 子供達はロフト階。大人達はビール片手に、炭火の周で話は盛り上がります。

 久しぶりなので、話したい事が多すぎて、誰もが話しだすチャンスを伺っているのです。

 よくまあ、これだけおしゃべりな人間が集まったものです。私も含めて。

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 楽しい雰囲気も手伝ってか、周りのお兄ちゃんに即発されてか、普段小食なウチの子供も、かなりたくさん食べました。

 些細なことですが、私達にとってはこれが一番嬉しいのです。妻は先輩ママの話を聞いたり、苦労話を聞いて貰ったり。これも私にとっては嬉しいこと。

 私達は、一番子供が小さいこともあり、昨晩中に帰りました。

 しかし会はまだまだ続きます。

 もっと居たいのですが、それぐらいで帰るのが一番良いのかもしれません。

 自分としては、まだまだ話足りませんが、周りはもう十分だったという事も考えられますし・・・・・・

今更だそうですが-新動物占い-

 前にも少し書きましたが、7月から9月にかけては、夏休みということもありオープンデスクの学生が続けて事務所に来ています。

 機会があると、色んな事を聞いてしまいます。”iPodって持ってる?どんな音楽聴いてる?今、学食ってナンボくらい?”等など。

 ただのオッチャンにはなるまいと思っていますが、聞いている内容は・・・・・・

 かなり前に流行ったと前置きして、学生から”新動物占いっ知ってます?”と聞かれました。

 12種類の動物に分かれるらしいのですが”生年月日だけで何が分かるんやろ”と思いながらもやってみました。

 1970/7/28と入れると”あなたはクールなさるです”と。

 内容を見ると、98%は頷けるのです。しかも、かなり嬉しい解釈で。これは流行るはずです。

 教えてくれた彼は”素朴な雰囲気のライオン”でした。

 最後に相性がでて来て、上司の”さる”との相性は×だそうです。

 まあ、就職活動に来ている訳ではないので、別にいいのですが。

♪夏の思い出~♪(唄:ケツメイシ)

 週末、海へ行って来ました。場所はいつも福井県敦賀半島。

 今回は大人10人、子供4人とちょっと大所帯です。

 朝8時ころ現地に到着し、まずは日よけのタープを設営。

 空は生憎の曇りで、天気予報も芳しくなく、設営が終わる頃にはポツポツと降って来ました。

 出来れば釣りたての魚をと、港を出ましたが、ウネリが高く湾内での釣りが精一杯。

 それでもキス、アジ、ベラを2、30匹釣りました。雨が土砂降りになって来たので、急いで港に帰ると、タープが飛びそうになるのを、残っていた女性陣が必死の形相で押さえていました。

 そんな状態を見かねて、ほぼここの住人”おっちゃん”(2006/8/28参照)が、浜に借りる家に招いてくれたのです。


 

 

 

 ボトボトになった一行は、乾いた服に着替え、やっと一息つきました。

 昼食は、T夫妻が結婚1周年なので、シャンパンからスタート。

 出来れば快晴の秋空の下、青い海を見ながらと、行きたかったところですが、贅沢は言えません。


 

 

 

 その後、持ち寄った料理と、キスの天ぷら等をツマミに宴会が始まりました。妙に盛り上がった会は、夕方まで続くことに・・・・・・

 帰る頃には雨も止んでいたので、曇天ではありますが、海をバックに記念撮影。

 

 

 

 

 帰る前に、友人の子供と誰もいない海で泳ぎ、波止から飛び込んで来ました。

 まだ来るつもりですが、今年最後になった時の為に……

 今回は祖父母と留守番しているウチの子も、来年は泳げるかなとか思いながら。

ことばの力-夫婦、家庭編-

 ことばの語源は言霊(ことだま)。

 古来より発するだけでも何らかの力を持っていると考えられて来ました。

 結婚式の忌み言葉などはその名残です。

 万葉集には、”言霊の幸ふ国(ことだまのさきはふくに)” とあります。

 言語の力によって、幸福がもたらされている国という意味で、日本を指すのです。

 日本語の奥深さは、他に類を見ないものかもしれません。

 今日は夫婦や家庭について、珠玉の名言(と思っている)をいくつか。

 「美しい笑いは、家の中の太陽である」サッカレー/作家

 「愛情には一つの法則がある。それは愛する人を幸福にすることである」スタンダール/作家

 「夫婦生活とは長い会話である」ニーチェ/哲学者

 「夢の行着いたところが結婚ではなく、結婚から夢の実現が始まるのです。それもほとんど妻の力で」 山本周五郎/作家

 「最良のワインから最強の酢が出来るように、最大の愛から最悪の憎悪が生まれる」 ゲーテ/作家

 「夫婦の愛情というものは、お互いがすっかり鼻についてから、やっと湧き出してくるもの」オスカー・ワイルド/小説家

 ワイルドの言葉は秀逸?

庭樹園の仕事

 大阪府の南の端っこ、南河内郡河南町にある”古川庭樹園”というところに行って来ました。

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 設計した住宅の庭木を選ぶのが目的で、造園屋さんはここから木や植物を仕入れるのです。

 古川庭樹園は、日本列島植木植物園という運動に参加しており、自然林に近い園内を、一般の人が見ることもできるのです。

 

 

 現地に着くと、まずそのスケールに驚きます。

 大げさでなく見渡す限り、山の斜面全てが敷地なのです。

 現地を案内してくれたスタッフからは、植物を愛する気持ちが真っ直ぐに伝わって来ました。

 ”こんな感じの樹形のものは?”とか”この場所にはこんな感じの木を”というリクエストに、山の中を3時間も掛けて案内してくれました。

 嫌な顔をするどころか、むしろ嬉しそうに。更に、

 ”家庭=家と庭で出来てるんやから、どっちも同じくらい大事なものやで”

 ”garは囲うという意味。つまりgarden(ガーデン)はeden(エデン=楽園)を囲ったものなんや”

 と、庭がどれほど大切なものか、熱心に私に説くのです。

 自分の仕事に使命感と熱意を持っている人に会うと、無性に嬉しくなります。

 そんな人と仕事が出来る時、その出会いに感謝するのです。

 

 

 

 

 ”いいサルスベリがあるから見ていかないか”と言われました。

 今まで”花は美しいが、立ち姿が・・・・・・”という印象で、あまり関心がありませんでした。

 しかし、それは自然な樹形が美しく、見事な花を付けていました。自然に近い状態で育てると、こういう形になるそうです。

 ”美の源泉は自然にあり”とは稀代の芸術家、北大路 魯山人の言葉。

 手を加えすぎないほうが良いのですが、建築、料理などなど、自然を実生活に持ち込む際は、このあたりの加減がとても難しいと思うのです。