緑男爵‐1294‐

 大阪を南北に貫くメインストリートは御堂筋です。

 大きな筋で言えば、東に堺筋、松屋町筋そして谷町筋と並びます。

 「タニマチ」は力士の後援者という意味ですが、この「谷町」に住んでいたからという説が一般的です。

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 谷町九丁目の交差点を少し北に行くと、パリ生まれのデザイナー、フィリップ・スタルクがデザインしたビルがあります。

 1992年完成の「バロン・ベール」。

 関西唯一の作品のはずです。

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 東京なら、1989年完成、浅草のスーパードライホールが有名です。

 左のビルは泡をたたえたジョッキをモチーフとしています。モチーフと言っても、かなり直喩的な表現ですが。

 2008年9月、この時点で「バロン・ベール」には7~8年、テナントが付いていないと書いていました。

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 テナント募集の広告がとれ、現在は埋まっているよう。

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 スタルクは建築家でもありますが、どちらかと言えばデザイナーのほうに軸足を置いているでしょうか。

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「White eaves」でも、スタルクがデザインしたシャワーを採用しました。

 何年か前、セブンイレブンでも、スタルクデザインの文房具が販売されていました。

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 しかし、その執着心は凄いの一言に付きます。

 薄目を開けたような開口部に、赤い▽マークが僅かに見えます。

 下にある四角い扉は、非常時に消防隊が侵入する為のもので、その位置を示すもの。

 限界まで、目立たないようにしているのでしょう。

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 1階は不動産会社が入っていました。

 横のエレベーターホールをのぞくと、各テナントのプレートがあり、一様に「18歳以下禁止」となっています。

 ビル全体が、風俗店を誘致しているよう。

 これは望ましいことか、望ましくないことか。スタルクに聞けばどう答えるでしょうか。

 近隣住民の風紀を考えると嬉しいことではないような気がします。しかし、ずっと空室のままなら何れ取り壊されるでしょう。

 「バロン・ベール」はフランス語で、イタリア人のマルコに聞くと「緑の男爵」という意味だと。

 どことなく、行く末を案じたくなるような……

 スタルクが、優れたデザイナーであることは疑うべくもありません。

 未来を完全に予測することは不可能です。しかし「バロン・ベール」がそう簡単にテナントが埋まらないのは想像できます。

 自分が表現したいことと、社会、クライアントが求めていることにずれがあると、無理や不幸が生じます。

 建築は、使われていなければ、地球最大の粗大ごみ。壊すよりは使われる方が良いは、消極的肯定と言えるでしょう。

 芸術と暮らしの中間にあるのが建築だという真理を、分かっている者が建築家だと思いたいのです。

 そして、積極的肯定を求めなければなりません。

RIOで考える、興味と体験‐1293‐

 今日は天神祭り。

 7月25日を過ぎれば、大阪の夏もいよいよ本番です。

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 日曜日は、朝からみさき公園のプールに行っていました。

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 岬町は大阪府の南端。海沿いに有り、西には関空も見えています。

 関空はイタリア人建築家、レンゾ・ピアノの設計で、グライダーの翼をイメージしたデザインです。

 しかし、遠く沖にあるのでなかなかその形を把握するのが難しいのですが。

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 みさき公園内にあるプールゾーンは「RIO」。

 まもなくオリンピックが始まる、リオデジャネイロから取ったのでしょうか。

 朝一番から、高速ウォータースラーダーに子供達は歓喜していました。

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 しかしこの日の目的は、イルカとのふれあい体験。

 妻が電車の広告で見かけ、申し込んでいました。

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 イルカが賢い動物だというのは分かりますが、本当によく躾けられています。

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 握手したり、キスをしてきたり、決まりのポーズをすると、それに反応してくれるのです。

 魚のようなヌルッとした感じは全くなく、冷たくない飛行機のボディのような感じが意外でした。

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 背びれに手をかけて一緒に泳がせて貰えます。

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 戻るときは、お腹の上に乗せて貰って。

 娘の顔もちょっとひきつっていますが。

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 最後は自由時間で、時間が許す限り、一緒に泳がせてくれました。

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 「もし足をくわえて引きずり込まれたら」と疑っていたのが全くの杞憂に終わりました。

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 正直、私はプールが苦手です。

 海なら、釣りをしたり、獲物を探したりと、いくらでも楽しめるのですが、何をしてよいのか分からない、というのが本音です。

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 しかし子供達は違います。

 延々と逆立ちの練習をしていたり、只々でんぐり返りを繰り返していたり。

 何時間でも遊んでいられるのです。

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 人生や仕事において、どこに行きたいかという目的が一番大切だと思っています。

 その行く先さえ決まれば、航海を計画することが出来ます。後は出港という実行に移すだけ。

 しかし、その目的がまだ明確ではない、または必要としない子供に、学ぶ意味を伝えるのはとても難しいことです。

 「良い学校へ行けば、人生の可能性が広がるから」

 「良い友人ができれば、互いに切磋琢磨できるから」

 どちらも正しい理由です。

 しかし正しければ、納得できるかと言えばそうでもありません。自分もそうでしたから。

 カタカナ英語で「モチベーション」と言う言葉があります。一般的には「動機」と訳されます。

 当社のイタリア人スタッフ、マルコと話していたら「興味」と訳しました。

 動機と言えば客観的な感じがありますが、興味と言えば完全に自分のことです。

 なかなか的確な意訳だと思いました。

 どうすれば積極的に興味を持ち続けることが出来るのか。それは分かりませんが、何かしらの体験を通してのことだと思います。

 ファンの人には申し訳ないのですが、それが、スマホの中で見つける動物ではないのは確かなはずです。

サイレント・マジョリティ‐1292‐

 梅雨が明け、本格的な夏の日差しになってきました。

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 昨日は、郊外の敷地を見に行っていました。

 少し緑が広がるだけで、目が涼しいものです。

 今週火曜日、大阪府内の高校生が来社しました。

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 何年かに一度、高校生からのインタビューを受ける機会があります。

 興味のある仕事別の班に分かれ、学生達がアポイントを取ります。そして、実際に足を運び、色々質問をするというカリキュラム。

 どうやら、この高校独自の取り組みのようです。

 建築家の仕事に興味のある生徒が、男女2人ずつ。質問は、前半がフォーマット、後半は自分達で考えたものだそうです。

 質問 「仕事をする上で、大切にしていることは何ですか」

 答え 「自分達の都合ではなく、人としての善悪で判断する」

 質問 「どんな時が一番うれしいですか」

 答え 「クライアントが喜び、そして私達も喜べ、喜びの輪がつながった時」

 彼らが未来に希望を持てるよう、45分くらいかけて、真剣に答えました。

 いや、私が未来に希望を持っているのかを問われた時間なのかもしれません。

 また、先週の横浜行きの帰り、セブンドリーマーズの本社へ寄ってきました。

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 セブンドリーマーズと言えば、現段階での商品は3つ。(のはず)

①完全オートクチュールの「カーボンゴルフシャフト」

②睡眠中の気道を確保するデバイス「ナステント」

③自動洗濯物折り畳み機「ランドロイド」

 ①のカーボンゴルフシャフトは、ジャンボ尾崎選手との契約でも話題になりました。

 社長の阪根とは中高からの友人で、昨秋に発表した③の「ランドロイド」について、色々聞きたいというオファーがありました。

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 行くと、大手広告代理店のスマートな社員さんが2人。

 建築家の観点から色々インタビューさせて欲しいというのが趣旨でした。

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 ランドロイドは2017年11月から出荷が始まります。

 古くからの友人ですし、何より画期的な商品です。最高の結果を出して欲しいと思っています。

 それで、質問については一切の気遣い無しで答えました。

 仕事において、「一切の気遣いなく」はなかなか無い場面です。

 アメリカ大統領候補となったトランプ氏。その妻が、スピーチを盗用したというニュースがありました。

 大統領ともなると、相当に優秀なスピーチライターが付いていると言います。彼女の原稿はなおざりになっていたのでしょうか。

 ウォーターゲート事件で知られるニクソン大統領ですが、「サイレント・マジョリティ」は彼のスピーチの中にあった言葉だそうです。

 文字の通り「静かな多数派」。対義語は「ノイジー・マイノリティ」です。

 褒め言葉、賛同の言葉より、クレーム、批判の方が先に聞こえてくるのはどの国でも同じです。

 これを仕事に置き換えると、人の意見を聞くことだけでは、プロの仕事をしているとは言えないと分かります。

 どこをすくい上げ、どう解釈するかは、聞いた本人に委ねられます。

 賛同の声が少ない。そんな時にこそ、判断力が問われると思うのです。

頭で勝負するしかない‐1291‐

 今日は海の日。

 ですが湖に来ています。

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 昨年に続き、夏の釣り合宿は奈良県の池原ダム。

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 昨年は4人で来ましたが、娘がピアノの発表会で、長男と2人旅です。

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 宿は湖の見えるバンガローと、もう釣り漬けの2日間です。

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 しかし、残念なことに釣りは私の趣味。

 特に長男は、小さくても一匹釣れれば満足というタイプなのです。

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 自然を体感してくれれば十分だとは思っています。

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 しかし、何が楽しいのかオールで遊んでみたり。

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 船の上げ下ろしに、凄く興味を持っていたり。

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 昼休憩に沢木幸太郎の「深夜特急」を渡したら、釣りに行かずにここで本を読んでいると。

 本好きは嬉しいのですが、折角だからと誘い出すのです。

 沢木幸太郎は2年前からのリベンジなので「面白い」と言ってくれたのは嬉しいのですが。

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 今回、私は前回つかんだ感触からのテーマを持っていました。

 その甲斐もあって、釣った魚は全て40cm以上。

 分かったことは、目先の結果にとらわれず、正しいと思ったことはやりきるべきということ。

 やりきらないと、正しいのか正しくないのかが分からないのは、仕事も趣味も全く同じでした。
 
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 今日は長男にも37cmがでて、任務終了。

 夕方には塾があるので、昼前に現地を出ました。

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 今朝、ボートの上で朝ごはんを食べようと、バナナをだしました。

 すると目の前を疾風が吹抜け、顔を麦藁帽子でバッシと叩かれたような感覚。

 手のバナナが無くなっていました。トンビが奪い去ったのです。

 あの鋭い爪でバナナだけを捕らえ、木の上で悠々と朝食をとっていました。

 一瞬何が起こったか解らず呆然としましたが、まず横でバナナを食べていた子供でなくて良かったと思いました。

 大きな羽が私の目をかすり、今も結構痛いのです。

 取られて瞬間は「ブンッ」とすごい音でした。手には一切触れませんでしたが、あの鋭い爪に手が一緒に捕まれたらと、ゾッとします。

 カラスを見て怖いなと思ったことはありますが、トンビに恐怖を感じたのは初めてでした。

 近頃、クマが人をエサとして認識しているという物騒なニュースもあります。

 今月だったか、池原ダムのすぐそばで登山者がクマに襲われたという記事も見ました。野生の動物から見れば人は何と無力なことか……

 人が人である理由はこの大きな頭があること。

 頭の良し悪しなど全く関係なしに、頭で勝負するしかないのだと改めて思わされました。トンビにさえ何の対抗手段も持っていないのです。

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 頑張れ長男。そして祝日も勉強する受験生。君たちはきっと報われるから。 

自分事と他人事‐1290‐

 昨日から横浜に来ています。

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 ずっと雨模様でしたが、今日は晴れそうです。

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 水の美しさは望めませんが、潮が香り、やはり海はいいものです。

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 クイーンズスクエアーには、横山剣の大きなポスターが掲げられていました。

 彼の出身地、横須賀はまだ訪れたことがなく、一度行ってみたい街なのです。

 先週から、隣家が建て替えのため、解体工事が始まりました。

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 境界を越えて足場を建てるとか、足場をこちらの敷地の中に張り出させて欲しいとか、説明がなく工事がスタートしました。

 隣の住人も良く知っていますし、お互い様なので構いません。しかし、他人敷地に入るのだから、説明くらいはするべきだと、施工会社に伝えました。

 こんな話を聞いている時の態度が、信用か、不信感かの分水嶺になるのが良くわかります。

 早く立ち去りたいと思っている、ただ相手の話が終わるのを待っている。そう感じた時、不信感へメーターの針は振れるのです。

 立場が変われば、感じ方が全く違うこともよく分かりました。普段は工事を監理する側の立場にいます。

 監督から近隣の話しを聞くと「お互い様ですよね」と感じることが殆どでした。

 ところが立場が変わると、子供に危険はないか。知らない職人に連れ去られはしないか……疑いの目でみれば、際限なく不安は広がるのです。

 当事者にとっては、工事をするのが大前提になっています。しかし、隣地の工事によって、全くメリットがあるわけではない、もしくはデメリットしかない、立場で考えたことがなかったことになります。

 人の気持ちになって考えると言いますが、どこまで出来たのだろうかと、考えてしまいました。

 完全に人の気持ちになる等、所詮無理なことなのかもしれません。しかし、だからこそ大事なことなのだとも言えます。

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 横浜に来た理由は、京セラ名誉会長の稲盛和夫さんの話を聞くためです。

 今年も、世界5カ国から4千7百名の人達が集まりました。

 また、6名の経営者の経営とその人生を聞かせてもらいました。職種が違うから、年齢が違うから、国が違うから……違う理由を探せばいくらでもあります。

 46億年の地球の歴史の中で同じ数十年を生き、70億人の人類の中の5千人として同じ時間をすごし。重なるところを探せば、いくらでもあります。

 他人事を、どれだけ自分事として考えられるか。それが、退屈な人生を送らない要諦なのではと思うのです。

 横山剣の代名詞といえば「い~ね」。

 齢四十五にして、常に前向きで、かつ素直でありたいと思うのです。

積年の澱‐1289‐ 

前回は、熊本に到着したところまで書きました。

私が担当したのは熊本市の東隣、嘉島町です。災害時の支援活動は以下の流れです。

① 応急危険度判定

② 被害状況調査(1次調査)-外部からの簡易なもの

③ 被害状況調査(2次調査)-内部、外部とも測定等が伴うもの

災害対策本部のある、町民会館。宿泊もここでさせて貰いました。

立派な建物で、山下設計の仕事とのこと。

各班は7名ずつくらいで、嘉島町役場の人をリーダーに、熊本県庁、広島や静岡の町役場の人も参加していました。

市町村はこういった時、互いに助け合うシステムが構築されているようです。

熊本県庁から来ている女性が「普段はデスクワークなので、毎日足がパンパンです」と言っていました。

一日で、大きな会社を2つと住宅の調査をしましたが、暑い中、なかなかの重労働です。

それぞれの班に、日本建築家協会(以下JIA)から参加している私達2人が入ります。

そして、基礎、外壁、屋根、柱などの被害の程度をチームで判定していくのです。

嘉島町から東に益城町や橋が落ちた南阿蘇村があります。

やはり断層が直下に通っている線上に、大きな被害は集中しているとのことでした。

同じ町内でも、被害の集中度が全く違います。

これらの判定で、半壊、全壊と判断された場合、助成金が出るという側面もあり、当然のことながら、責任のある仕事です。

この判断を、役場の方がしているケースが多いのです。

役場の中にも建築士の資格を持っている人がいるのかもしれませんが、やはり専門家が判断するほうが、精度が高いのは間違いありません。

JIAや建築士事務所協会などから、組織的にスピーディーに調査員を派遣するシステムが間違いなく必要だと感じました。

これはJIA九州の人から聞いたのですが、JIAとしては仮に費用が一切でなくても、判定員を派遣すると、早々に結論を出したそうです。

非常時に無報酬でも支援活動をするというのは賛成です。

しかし、それらの詰めがされていないという事実は問題です。

嘉島町に限らないのですが、本当にこのあたりは水が豊かです。

水田の水でさえ、澄み切っています。

川の中でもいたるところから湧き水があります。

そこで泳ぐ人も沢山見かけました。

帰りは、JIA九州の方が、福岡まで帰るので車で送りますよと言ってくれました。

JR博多駅前にあるのは、西日本シティー銀行で1971年、磯崎新の設計です。

博多は2年前の夏に来ましたが、本当に雰囲気のある街です。

まもなく山笠祭りが始まるとのことで、街中に山笠を見かけました。

博多駅前にはかなり大きなものも。

夜の8時過ぎに博多を新幹線で出発しました。

すると8時半頃に熊本で震度3の余震が。またその翌日にも震度4の地震がありました。

私が一人で出来ること等たかがしれています。また、仕事がなければ、ボランティアも不可能です。

その関係に正しい比率などありません。

地震国日本において、建築の専門家でありながら、公には何の貢献も出来ていないという、積年の澱は少しだけ流すことが出来ました。

しかし、地震に終わりなどありません。

豊かな水田、祭りに活気づく若者、そして震度7の地震。いずれもこの日本です。自分に出来る貢献とは……そんな事を考えながら大阪まで帰ってきました。

要請があればすぐに駆けつけられるよう、日々の仕事を頑張るだけだと思っています。

熊本へ‐1288‐ 

昨晩、熊本入りしました。

夕方の便で伊丹を発ち、熊本空港からバスを乗り継いで2時間。夜の8時頃に災害対策本部のある嘉島町民会館に到着しました。

熊本市街を上空から見ると、キラキラと輝き、「水の国」熊本が視覚的に理解できます。

市内にある水前寺江津湖公園 は、阿蘇山系に降った雨水が、豊富な湧水となって出来たものだそう。

市の水道の多くが地下水で供給されているというから驚きます。

地震から3カ月経ちましたが、ブルーシートで屋根を覆っている家が、まだまだ残っています。

目的のバス停に着きましたが場所が分からず、通りがかりの人にたずねました。

上品な感じの女性で「遠いから乗せていってあげる」と。キャリーバックを引いているから、支援活動の人かなと思ったと仰っていました。これまでに沢山の人がボランティアに来ていたのです。

今日は朝8時半から、建物の被害認定調査をします。

今年のゴールデンウィーク前、大阪府建築士協会からの要請で、危険度判定活動に参加する予定でした。

しかし、直前になって「受け入れ態勢が整わず」とのことで中止に。

今回は日本建築家協会(以下JIA)からの要請でした。

色々なプロジェクトが進行するなか、かなりの時間を使い、また、それ相応の出費も必要で、大阪を離れて良いものか迷いましたが、参加することにしました。

この日本に、幸せな建築を求める人が居り、仕事をさせて貰うことで、私は育てて貰いました。もし授業料を払っての勉強なら、これだけの長い期間、一つのことを続けることは不可能です。

1995年24歳の時の阪神淡路大震災から、2011年41歳の東日本大震災まで、実際に行動に移せたことはありませんでした。社員が成長した今なら何とかなるかもと思ったのです。

建築を生業にするなら、日本の風土を受け入れるところから全てが始まります。

まずは調査活動に汗を流します。そして受け入れ、向き合いたいと思うのです。

幸せは繋がり、伝播する‐1287‐ 

 梅雨空はどこかに行ってしまい、真夏の太陽が照りつけます。

 いよいよ夏がやってきたという感じ。

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 昨日は「羽曳野の家〈リノベーション〉」のオープンハウスでした。

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 竣工したのは6月の中旬でした。

 そして、引っ越ししてから1週間。

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 収納棚やダイニングテーブルが新調され、とてもいい感じです。

 こんな時、クライアントの「好き」を幹にした家創りの可能性を感じます。

 当然とも言えるのですが、出来た時から、住まい手にピタリと合っているのです。

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 この日、活躍してくれたのは、小学1年生になった長男君。

 全ての来訪者を、ロフトやその奥にある書斎へ案内してくれました。

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 書斎は、ご主人の為に計画した空間です。

 お子さんが3人。間もなく第4子が生まれる予定で、もしかすると子供部屋になるかもしれません。

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 ご主人は、この日も深夜まで仕事とのことでした。

 そんなお父さんの頑張りで、ここに至ったことを、お子さん達に我が事のように伝えるのです。

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 半日だったこともありますが、ゲストが途切れることのない、活気あるオープンハウスになりました。

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 熱心に見てもらいましたが、この時計は一番人気。

 ご夫妻で取り付けたそうです。

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 キッチン後ろにある収納は、冷蔵庫や、ポストが隠れていますが、奥さんが説明してくれました。本当に有り難いことです。

 現在設計中のクライアントあり、すでにお家が建ったクライアントあり、相談前の方もあり。友人知人も訪ねてくれました。

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 「遠里小野の家」のクライアントも参加してくれました。

 こちらのお家でもオープンハウスを開催させて貰いました。

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 写っているのは「松虫の長屋」のご家族です。また、「長田の家」のクライアントも参加してくれました。

 すでに完成していた「shabby house」のご家族も遊びに来てくれたのです。

 この時、大感謝祭を決意したのですが、未だ実現出来ておらず……この秋、必ず開催します。

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 子供さんは、そのうち皆で遊びだします。

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 子供部屋とLDKが繋がっているメリットは、親の目が行き届くところ。

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 娘も来てくれたのですが、小3と小1の長男君のかけっこが始まりました。

 キッチンエリアはぐるっと回遊できるようになっているのです。

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 説明せずとも、それらを体感して貰えるのがオープンハウスの一番の価値です。

 映画「ライオン・キング」の主題歌は「サークル・オブ・ライフ」でした。

 命が繋がっているなら、幸せも繋がっています。更に伝播するものです。

 決して卑屈にならず、また反対に奢らず。そんなことを思いながら、一所懸命働いているつもりです。

 こんな日は、全てが報われた気分になるのです

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