昨日で役所も御用納め。
しかし今日も現場は動いています。午前中は「北摂の家」の現場へ行ってきました。
建築と農作業は似ていて、一足飛ばしが出来ません。よって年末年始は正直堪えます。
しかし土曜休みなどないのが職人の世界。たまの休みには英気を養ってもらいましょう。
2016年の日記も今日で最後。1年間を振り返ってみます。
1月 日に新た‐1235‐
2014年9月27日に噴火した御嶽山。
麓のスキー場で年明けを迎えました。
今年のテーマは「日に新た」。本田宗一郎の言葉です。
2月 とどめの一撃‐1247‐
芥川賞の選考委員をしていた作家・開高健は受賞作を選ぶ基準をこう表現しました。
その作品に『鮮烈な一言半句』はあるか?
「クー・ド・グラース(とどめの一撃)」とも表現しています。
「高台の家」で、私が目標にしていた、賞をとることは出来ませんでした。再度、戦いを挑む覚悟です。
3月 朝焼けの中で‐1259‐
3月27日(日)は、「SEIUNDO」の写真撮影でした。
深夜0時まで夜景を撮り、仮眠をとって5:00amから撮影再開。
写真家は、何時であろうと最高のカットを求めます。
4月14日(木)21時26分に熊本で最大震度7の地震が発生しました。
しかし、火の国・熊本。不死鳥のように蘇ると信じます。
観光シーズン真っただ中の金閣寺。
夕日を受けて黄金の軒裏が、池からの反射を受け輝いていました。
5月には『住まいの設計07・08月号』の「阿倍野の長屋」が掲載。
3月にも『住まいの設計05・06月号』に、「滋賀の家」が掲載されました。
弁護士・宇都宮健児は言いました。
1年2年じゃ花も咲かなきゃ芽もでない
でも10年待てば必ず実がつく
7月 積年の澱‐1289‐
熊本地震の被災地支援活動に、初めて参加しました。
建築の専門家として、これらの活動に参加できていなかったことが、常に引け目としてあったのです。
8月 フィンランドの旅① -ヘルシンキ、ユバスキュラ編 -‐1299‐
憧れの建築家、アルヴァ・アアルト。
作品群をみにフィンランドへ。25年来の恋人は、私の想像より美しく、逞しいものでした。
名古屋と言えば、櫃まぶし。
娘との2人旅でした。
10月末、『住人十色』で「阿倍野の長屋」を取り上げてもらいました。
快く出演を引き受けてくれたクライアントこそが、私達の一番の強みなのです。
5年半乗った、休日の相棒とお別れしました。
建築も車も物ですが、機能という血管に、愛情という血液が流れだした瞬間、心が通い始めるのです。
12月 大阪の宝‐1333‐
織田作之助は、大阪人を「紋切型を嫌う、永遠の新人」と言い表しました。
私も大阪人のはしくれ。その意地をみせたいと思います。
日曜日の新聞に、俳優・風間杜夫の記事がでていました。
「鎌田行進曲」などで、その才能を発掘してくれた演出家・つかこうへいはこう言ったそうです。
「舞台ではおまえの幼児性も正義感もストイシイズム(禁欲主義)も一緒くたに出せ!」
人間はひと色ではない。この役はこうだと決めつけず、役の中に何色も塗り込んでいく。
風間杜夫は、役者を最高にかっこよく見せてくれるつかこうへいを指して「こういう人を天才というのかと思いました」と言っていました。
リーダーとして、身につまされる思いがします。
ひとりで出来ることは限られている。人はひと色ではない。
今年最後の自戒の言葉にしたいと思います。
今年一年、この日記、並びに現場日記にお付き合い頂き、本当に有難うございました。
来年も素晴らしい一年となることを確信しております。
2016年12月29日 守谷昌紀