10月の中旬、取材に立ち会ったことを書きました。
大阪ガスの機関紙『住まう』のものでしたが、「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載の67号が届きました。
読み物としても面白いですし、大阪ガス関係の施設で無料で配布しているので、良ければ手に取ってみて下さい。
会社にも何冊か残っているので、ご希望の方にはお送りします。
今回は、巻頭特集の8ページ。
表紙をめくると大きく写真が2枚。やはり一番前は嬉しいものです。
『住まう』にはこれまでに「池を望む家」と「イタウバハウス」が掲載されたと書きました。
大阪ガスのwebサイトには、44号以降の作品が掲載されています。
この号から誌面のスタイルが変わったそうで、その巻頭特集の第1号が「池を望む家」だったのです。
2010年の秋のことでした。
webサイトでは最下に『CASE 1』として紹介されています。
ちなみに「イタウバハウス」は『CASE 33』。こちらは見開き1ページの中ほどのコーナーでした。
『住まう』のスタイルが変わったのは、製作会社が変わったからでした。
その1回目ということで、担当者も気合が入っており、非常に熱心だったことを覚えています。
テレビの取材でロケハンは普通ですが、雑誌取材でロケハンをしたのはこの時以外に経験がありません。
この方はカメラマンだったと思います。熱心に内部を見て回っていました。
実は「池を望む家」は、撮影の天気に恵まれず、外観だけは晴れの日に撮りなおしています。
しかし、このロケハンの日は素晴らしい天気でした。
写真を見ていると外部の景色がよく分かり、この家の空間がよく伝わってきます。
それで、10年振りに当社のサイトも何枚か写真を差し替えてみました。
現在なら、天気が少しでも悪ければ、クライアントにも写真家にも延期をお願いします。
負担が大きいのは分かっていますが、これらの機会は私達にとってはおそらく一生に一度。
当時撮って貰っていた写真家は、「天気が少々悪くても、いい建築はいいから」と言っていました。
現在撮って貰っている写真家も「曇りや雨の方が映える建築もありますよね」と言います。
いずれも真理ですが、私が絶対晴れでないと駄目だと思った建物は、譲らないことにしました。
もし「このくらいの天気なら撮ってしまいましょうよ」と言われたら、写真家を替える覚悟で延期をお願いします。
当社にオファーをしてくれるクライアントも、おそらく一生に一度だという気持ちの方が殆どのはず。
それを一番理解していないのは、概ねプロ側です。
写真家にとって撮影は日常です。建築家にとって建築設計もまた然りですから。
「いつもクライアントの気持ちだけを考えています」と言いたいのですが、そんな甘っちょろい言葉の何百倍も、お客さんは求めているはずなのです。
もし、他の人よりクライアントに寄り添える方法があるとしたら、どれだけ後悔したかや、苦い経験をしたことがあるかに尽きる気がします。
「十分にやったんだ」と言い聞かせることもできますが、それでは駄目なのです。
「中庭のある無垢な珪藻土の家」も2度延期し、3度目の撮影でした。
クライアントは、「もう一度あの撮影を、という気持ちには……」と。今回の誌面もその時の写真です。
本当に正直な、愛すべき方でしたが、やはり一生に一度だったのです。
多くのことは一生に一度の経験です。
利休の言う「一期一会」は決して特別な場面を指すのではない気がするのです。
■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm「回遊できる家」放映
■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
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【Events】
■4月1日「トレジャーキッズたかどの保育園」開園
【News】
■ 『住まいの設計05・06月号』3月20日発売に「回遊できる家」掲載
■『関西の建築家とつくる家 Vol.2』2月1日発売に「阿倍野の長家」掲載
■『homify』6月29日に「回遊できる家」掲載
■『homify』6月2日に「イタウバハウス」掲載
■『houzz』5月28日の特集記事に「あちこちでお茶できる家」掲載