暮れは元気にご挨拶

 今日で2010年のゲツモク日記も終わり。

 長野県の木曽福島まで来ています。

 弟家族、父と母を合わせた親族11人で3泊4日のスキー旅行。子供達は着いた途端大騒ぎです。

 キリッと引き締まった冬山の空気、白銀の世界。大人でも心躍るもの。ある人からこんな話を聞きました。

 どのあたりから、人は人を信用し始めるのか。「今までに関わった人間のうちで、この人が一番深く関わってくれていると感じた時から」だそうです。

 これは簡単と考えるか、大変と思うのか。勿論前者のはず。

 分かってくれない、信じて貰えないという前に、ただ深く関わるだけで良いのですから。

 来年は、アトリエmを設立して15年目を迎えます。クライアントに求められる、信用される建築家で有りたいと心から願います。そして、そうあれるよう精進したいと思います。

 今年も1年、この日記、または現場日記にお付き合い頂き、本当に有難うございました。

 皆さんにとって、来年も素晴らしい1年となりますよう、心からお祈りしています。

 2010年12月30日 守谷昌紀

オリジナルであること

 いよいよ今年も最後の週になりました。

 昨日は子供の体調がもう一つで、家の片付けをしていました。休みは必ずどこかに行きたいのですが、叶わない時は皆でDVDを観ます。

 子供が5歳と2歳なので、ディズニー、ドラエもん、ジブリの映画など、ある程度限られてきます。何回も観たがる1位2位は「カーズ」と「アイスエイジ3」。特にアイスエイジ3は、大人が見ても楽しい傑作だと思います。

 昨日はちょっとチャレンジして「カリオストロの城」を観ました。

 宮崎駿、初の映画監督作品です。

 泥棒が主役でヒーローを、どう解釈しているのか分かりませんが、子供達は楽しんでいました。それはそうでしょう。ここまで痛快な冒険活劇はそうありません。

 その後の宮崎作品「天空の城ラピュタ」につながるような世界観もでてきます。

 この映画が発表されたのは1979年。画像こそ現代のアニメに劣りますが、それも安心できるのは、自分の子供時代に一致するからでしょうか。

 芥川龍之介は、古典を題材にしたもの方が、良い作品を残したとも言われます。自由にストーリーを考えるより、表現者に徹したほうがより作品性が高いというのです。

 宮崎駿も同じだとは言えませんが、才能がある人には規制があるほうが良いのかもしれません。オリジナルである事とオリジナリティーは違うと感じたのです。

 しかし、これが38歳のデビュー作品とは。巨匠は初めから違います。

サンタは見える

 今日は天皇誕生日で祝日。冬至の翌日でもあります。

 日が長くなって行く一日目。ともても前向きな日と言えます。しかも明日はクリスマスイブ。子供は散々盛り上がっているのです。

 昨日はOhanaへ。一年点検でした。

 つい最近まで七五三の撮影があったそうで、忙しいのは何よりです。

 壁の隙間が開いたところなどの補修点を、工務店の人と順にチェックして回りました。大きな問題はなし。

 店内はすっかりクリスマスの飾り付けになっていました。

 店の前には、メッセージボードが新設されています。

 奥さんと娘さんの合作だそうで「大人にもサンタさん来てほしいなぁ……」は、ちょっと笑えます。

 長男は保育園の年長ですが、すでに「あれはお母さんが、買って置いてんねんで」という子もいるそうです。

 その理由が、プレゼントの自転車に、近所のショップシールが貼ってあったからとか。

 子供に非は無いのですが、そこまで見なくてもという気もします。
 
 サンタはいるのと聞かれた時、あるクライアントはこう答えると言っていました。

 「大人にはもう見えないけど、信じている子供には見えるらしいよ」

 これはもう完璧な答えと、ちょっと感激したのです。

 この答え、仮にサンタを夢に置き換えたとすれば、あながち子供用の答えとは言えない気もします。

オープンハウス

 先週の金曜日、現場日記にオープンハウスの告知をしました。

 週末の折込広告に入っている、内覧会のことです。場所を公開せず、申し込みのあった人に地図を送る点が、少し違うところでしょうか。

 私の事務所は今年で14年目になりますが、本格的なオープンハウスは今回が初めて。良い建物にしようと思えば、時間が有るにこした事はありません。引っ越し前のギリギリまで工事が続いているのが実状です。

 オープンハウスとなると、引っ越し前の休日が条件。更に告知期間をなど考えると……結局開催できていませんでした。何より、家はクライアントのもの。開催を前向きに考えてくれた場合に限ります。

 この計画は、平野区で20坪ほどの敷地に完成した、木造3階建てのローコスト住宅です。

 クライアントは、自身の要望と別に「頑張れば、自分達の思う家が必ず建てられる事を証明し、伝えたい」と考えていました。

 なぜそこに至ったかと言えば、まず家創りをスタートするだけでも簡単ではなかったからだと思います。

 候補の土地が見つかっては、金額が合わなかったり、建築の条件が合わなかったり。1年半の時間をかけ、目処がついたのが今年の3月。
ローンの条件で、6月末までに金額と施工会社の決定が必須でした。あわただしく図面を仕上げ、見積りをとり調整を終え、施工会社と契約。着工となったのです。

 私たち設計事務所と家を建てるのは、土地探し1つとっても、大変なことです。そこがスタートですから、完成にいたるまでには、多くの時間と、労力が必要になります。

 しかし、終盤にさしかかれば、もう終わってしまうのかという気持ちになるはずです。

 何故そんなことが言えるのか。私もそんな気分になり、その現場を見続けてきたからです。最も充実した時間は、最も苦労した時間なのです。

 と、言っているはなから「上がってきた木製建具の寸法が間違っていて、12月24日になるとメーカーが……」と監督から連絡が。
どんな状態であるにしろ、今回は必ず開催します。それもこれも全て現実。

 興味のある方は気軽に遊びに来てください。

マイベストプロ大阪

 今日は失礼して私の写真から。

 先月の末、メールが届きました。件名は以下の通り。

 読売新聞 マイベストプロ大阪 「大阪において一級建築士の先生を少数名募集させていただいております」

 このwebサイトに参加しないかというものでした。

 サイトを見に行くと『困ったときに、大阪で活躍するプロを簡単に探すことができる、地域密着のwebガイド』とありました。

 説明を希望すると、すぐ事務局の方が来所してくれたのです。
 
 何か問題があった時、webサイトも多すぎてどこに相談して良いか分からないという、読者の声がある。そんな時、読売新聞が審査した専門家を紹介するサイト、という話でした。

 オープンは1年前だったのですが、その時は応募→審査という形式でした。今回アンケートで一級建築士が不足しているという意見があり、探していたところ、当事務所のwebサイトを見つけたとのこと。

 このサイトは読売新聞のTOPページにも小さくリンクが貼られ、読売新聞の関西版サイトにもバナーが貼られています。

 掲載して貰うのに全く問題ありませんが、サーバーのレンタル代だけはこちらで負担しないといけません。しかし、利益を求めているような金額ではないのです。事務局の人に読売新聞がこのwebサイトを運営するメリットは何か聞いてみました。

 新聞とはそもそも、読者の知りたい地域に密着した情報を伝えるのが役目。その役割を果たし、更に他紙と差別化するためです、と。

 すべて納得したのです。早速お願いすると、次は読売新聞サービスというところから取材日の連絡がありました。

 当日現れたのは、60歳を少し過ぎた紳士。聞けば読売新聞のスポーツ欄担当記者だったそうです。50歳中頃のカメラマンも、元・高知支局長。

 何となく若い人をイメージしていたので、一瞬驚きましたが、話し始めると興味を持って質問をしてれ、話は盛り上がったのです。支局長撮影の写真が初めの一枚。

 記事はその記者が書いてくれたもの。専門の情報だけは少し校正しましたが、出来る限り元の文章を尊重しました。初めて接した、新聞記者という仕事に敬意を払ったつもりです。 

 良ければまたサイトものぞいて下さい。 

ベイブレード

 昨日の夕方、長男とおもちゃ屋さんへ寄りました。

 昔の仮面ライダーなら、本郷猛のベルトは最高にかっこいいけど、おもちゃはチャチなもの。しかし今は違います。主人公のものが若干安っぽい、要するに量産できるものなのです。

 長男が欲しがっているのはベイブレードという、ベーゴマ風のおもちゃ。コマは紐で巻いて回すものですが、専用の回す器具があるのです。

 これはアニメなので、主人公と同じものではありませんが、子供が欲しがるように、ありとあらゆるオプションがあります。元はベーゴマにも関わらず。

 スタジアムと呼ぶ専用の台、コマ自体も右回り用、左回り用、両対応。

 軸部分が取り外し可能になっていて、色々なパーツを組み合わせ、コマの特性を変えれるという触れ込みです。

 すでに2つ持っているのですが、なぜか娘の分も合わせて2つ追加で買ったのです。1つ700円程。

 帰って特性を見ると「回転時間重視」とありました。一体何を根拠にそんなことを……と見ていると、コマ自体と軸が別構造になっていて、コマは回っているが、軸は回らない構造になっていたのです。

 ベアリングでも入っているのかもしれません。摩擦がかなり軽減されるので、実際良く回ります。

 よくもまあ、と思いながらも、大人が本気で売る気になれば、ベーゴマでも、ここまで出来るのだなと関心しました。

 ゲームと比べると、体を使う分圧倒的に良いと思っていますし、買って買えない金額でないところが、親としては難しいところです。

 「大人が本気で売る気になれば」と書きましたが、彼らが本気で狙っているのは子供でなく、我々なのだと思うと、ゾッとしないではありません。
 

CO2

 明日、ノーベル賞の授賞式がスエウェーデンのストックホルムで開催されます。

 日本人の受賞者は2人。北海道大学の鈴木章名誉教授(80歳)、米パデュー大学の根岸英一特別教授(75歳)。共に化学賞を受賞しました。

 授賞式に先駆けてのインタビューで、根岸さんは以下のような発言をしていました。

  温暖化をを防ぐ為に、CO2を減らしましょうというのはばかげた方法だ。もっとCO2が欲しくなるように、もっていかなければ。人類の必要な営みの副産物としてCO2を出している。CO2を出さないようにしようというのは人類にとって重要な化学反応を抑えるのと同じだから、非常に消極的な考えだ。

 ではどうすれば良いか。

 その答えは自然にある。光合成だ。それを自然にやってももらおうとすると、たくさんの木を植えるとか大変だ。まず実験室でやって、成功すれば工場でやる。
 おかしな方向に行っているが、科学者が百八十度切り替え正しい方向に持っていかなければならない。

 詳細な研究の方向性は新聞で読んで頂くとして、最高の成果を残す研究者は、限りなくポジティブで、かつ痛快です。

 物を大切に、慎ましく生きることは大切なことですが、順番を間違えれば、息をするのさえ気を使いながら……となりかねません。近ごろ閉塞感という文字を良くみますが、空気を吸うのさえ気を使うなら、当たり前と言えます。

 しかし空気を買う時代が絶対来ないとは言えません。それらを払拭する為にも、根岸さんをはじめ、研究者の発表を楽しみに待っています。

 

友人は大切に

 日曜日の夜は、妻が出産のときに一緒だった友人家族と自宅で忘年会。今年初です。

 その会の前に、近くの現場に皆でやって来ました。

 お母さんから、近くなら現場を見てみたいとリクエストがあったのです。

 しかし子供達は前にある遊具のほうが気になり……見学会にはなりませんでした。

 休日に近くを通れば、出来る限り家族で現場に寄ります。

 子供が手にするおもちゃでも、モノはどんどん完璧に、精度が高くなって行きます。これからもその傾向は強まる一方。

 建築現場は精度低く、クレームだらけという訳ではありませんが、人の手の跡がまだまだ残っています。削った木屑、曲がった釘など。
こんな物を見るのが大事だと思うのです。

 忘年会の方は、妻も気合が入っており、食卓は料理でいっぱい。飲んで食べて、子供達も10時頃まで遊んでいました。

 家に友人が遊びに来てくれるのは、本当に嬉しいことで
す。そう言えば、引っ越してからも我が家に来てくれたのは、クライアントと妻の友人ばかり。

 はたして私に友達は……

 子供には、友人を大切にしなさいと言っているのですが。

コラム 第2章

 『住まいの設計』は扶桑社が出版する住宅雑誌。

 今までには、「光庭の家」「サロンのある家」を掲載して貰いました。

 そのweb版が『住まいの設計プラス』

 こちらでは、4月から「伊東内科クリニック」の現場日記をコラムとして取り上げて貰いました。

 クリニックが先頃竣工したので、編集部から引き続きコラムを書かないかと、オファーを貰ったのです。 

 どの計画にするかは、私が決めて良いと言われ、これから始まる「四丁目の家」にしました。今回は、工事に入る一歩手前。見積り調整から始めてみます。

 TOPページにも告知があり、嬉しい限りですが、何より嬉しいのは、引き続き書かないかと言われたこと。はやり継続は力なりでしょうか。

 計画地が東京なので、現場監理の回数は限られますが、コツコツUPして行くのでまたのぞいてください。

 禅宗のお坊さんは、生活の全てが修行だと考えます。ただし、集中して取り組む、というのが条件。そう考えると、文章を書くことも、物創りの修行であると言えますし、実感もしています。

 今日は12月に入って2日目。今年も最終章に入りました。今年も頑張った、と言えるかはこれからに掛かっています。

 終わりよければ全てよしなのです。