重力に抗え‐1671‐

 先日、八尾空港を訪れた際に、初めてヘリコプターを真近に見ました。

 望遠レンズをのぞいてみると紫の機体には「ABC」のロゴ。

 朝日放送のヘリなのかもしれません。

 バリバリと大きな音が聞こえてきたので見上げると、真っ赤な機体が見えてきました。

 大阪市消防局のヘリのようです。

 八尾空港には大阪市消防局航空隊の建物があるのです。

 着陸するのかなと思ったら一旦ホバリング。

 訓練でもしているのか、低い位置で移動、停止を繰り返します。

 きびきびとした動きが、かなりの迫力でした。

 1月末にNBAのスーパースターだったコービー・ブライアントを乗せたヘリコプターが墜落するという事故がありました。

 あまりにもショッキングなニュースで、ヘリコプターを話題にすることをためらっていたのですが、傍観するだけでその圧倒的な性能を体感できました。

 これだけ繊細な動きができるから、災害救助や救急医療に使われることがよく分かったのです。

 中世の天才芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチは科学者としても一流だったと言われます。

 そのダビンチも構想を持っていたというヘリコプター。

 当時の動力では実現できなかった訳ですが、1939年にアメリカの航空技術者イゴール・シコルスキーが現在のようなヘリコプターを完成させました。

 80年前のことで、飛行機の実用化に比べて、いかにハードルが高かったかが分かります。

 シコルスキーは、ホバリングできるヘリコプターなら人命救助や、けが人の安全な輸送に力を発揮できると考えたのです。

 その純粋な動機が、ヘリコプターを実現したのですが、完成までに30年を費やしています。

 天才ダビンチも現実に出来なかった要因は、やはり重力でしょう。

 重力を振り切り、遠心力と釣り合っている状態が人工衛星です。

 理論上、重力と遠心力で釣り合う為に必要な速度を第一宇宙速度と言いますが、28,400 km/hとありました。

 例えば惑星探査機のように、地球の重力を振り切るために必要な第二宇宙速度は40,300 km/h。

 音速が1,225 km/hなので、一桁違う速度です。

 重力を振り切ろうと思うと、ロケット打ち上げのような膨大なエネルギーが必要となるのです。

 学生の頃、また働き始めた若い頃、「いつになれば楽になるんだろう」と思っていました。

 しかしこの世には重力があります。

 ローターを回すのを止めると、すぐに地表まで引きずり降ろされてしまうので、結論で言うと楽になることはないという身も蓋もない話でした(笑)

 唯一方法があるなら、重力を振り切ってしまうことでしょうか。

 ビル・ゲイツなら、第二宇宙速度をも超えているかもしれません。

 どうやらビル・ゲイツにもスティーブ・ジョブズにもなれそうにはないので、精一杯ローターを回す方を選択させて頂こうと思います。

■■■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

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【News】

■2月3日 『Houzzの特集記事』「阿倍野の長屋」が取り上げられました
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
■9月30日発売『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』「回遊できる家」掲載
■7月21日BS朝日『大改造!!劇的ビフォーアフター』「住之江の元長屋」再放送
■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました
■4月1日発売『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
 アトリエmの現場日記

試合は続行中‐1670‐

 温暖化が進む中での暖冬で、今年のスキー場はどこも大変だったと思います。

 廃業を決めたというニュースもあり、野外こそが大好きな私としては寂しい限り。

 子供達を、年に一度くらいは雪上へと思い蓼科へ来ています。

 この辺りは標高が高いので、雪はしっかりあります。

 むしろ暖冬時の方が賑わうそう。

 標高2240mで、気温は-9℃。大阪から392km。

 子供が小さい頃から、よく来ていたので概ね勝手は分かっています。

 2歳の長男を初めて雪上に連れてきたのも、ここピラタス蓼科スノーリゾートでした。

 13年前のことです。

 2010年、実家で陸上トレーニング中の娘。

 あっという間に10年が経ちました。

 6年前に、「滋賀の家」のクライアントにスノーボードを教えて貰ってから、長男はどちらかと言えばボード派です。

 娘はほぼショートターンが出来るようになりました。

 一番の変化は、娘までがスマホを持っていることでしょうか。

 家族のもめ事はほぼスマホがらみで、難しい時代に入りました。

 それでも、何かしらの答えを出しながら進んで行くしかありません。

 宿は蓼科高原内のペンションを妻が探してきました。

 針葉樹の森に夕日が沈んでいきます。

 八ヶ岳あたりの夕日はとても美しいのです。

 ロフトのような部屋で、天窓からは星が見えます。

 夕食は薪ストーブの前で。

 手作りのコース料理に、子供たちが喜んでいました。

 長男が生まれるまでは、本気で国体を目指していました。シーズンになると毎週のように信州へ向かいます。

 冬季国体のアルペンスキーは「大回転」という種目で争うので、各地である試合にエントリーするのです。

 公式記録はあるのかなと探してみると、1998年(平成10年)1月の国体予選の成績がUPされていました。

 成年男子Bに、27歳の私が居ました。

 国体の出場枠は2~3人ですから8位では全く駄目。

 15/51とあるのは、51人の出走という意味のはずです。27歳の私の名誉の為に(笑)

 1998年の2月頃に、初めて自律神経失調症と診断されたので、その直前の時期です。3年弱を鬱で苦しむことになるので、よく出場していたなと思います。

 この時期は、写真を撮る気力も無かったので、この数字に当時の自分を見るようでした。

 経営を教えて頂いた、京セラの創業者稲盛和夫さんは、「どんなことでも数字で語りなさい」と言われていました。

 数字だけが公平だし、客観的に語れるからです。

 また、数字=お金というケースも良くあります。

 長男が将来の仕事のことを意識しているのだと思いますが、お金のことに関心をもつようになりました。

 お金を稼ぐという意味においては、IT長者と私とでは雲泥の差があるでしょう。

 億単位のお金を掛けて奥さん探しをしている人のことを、私が「格好いいと思わない」と言うと、長男に「お父さんが言っても説得力がない」と言われました。

 それはその通りだと思います。ただ、お金を稼ぐことを人生最大の目標としていないのも正直なところです。

 どんな生き方をしたいかが前で、その後に、評価はついてくるものだと信じています。

 負け惜しみに聞こえるのかもしれませんが、誰が何と言おうと、そこが揺らぐことはありません。

 作家、開高健はこう言っていました。

 金を儲けようとすると逃げていきよる。結果として手にするんならええんヤ。そんなもんより名だ、名を惜しむんヤ。いいか、いい仕事しなくてはいかんゾ。

 思えば、身近な人に仕事観を理解をして貰ったことは無い気がします。

 だからこそ、立派な人はどんな考えを持っているのだろうと本を読み続けるのでしょう。

 ただ夢想家で終わるのか、現実とできるのか。試合は未だ続行中です。

 目標が国体出場から、関西建築家大賞、建築大賞、プリツカー賞、世界遺産へ変わっただけ。

 多分、根っからの競争好きなのだと思います。

■■■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

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■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
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灰色の巨塔‐1669‐

 フッターに書きましたが、2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞しました。

 Houzzの人から、案内等も含めて電話がありましたが、建築家のうち3%の受賞だそうです。

 多いのか少ないのか分かりませんが、選んで頂けることはやはり嬉しいことです。

 先週「ゴッホ展」に訪れた兵庫県立美術館は2002年の開館で、安藤忠雄の設計です。

 案内図をみていると「Ando Gallery」とありました。

 館の人に聞くと、一昨年に増築されたとのこと。

 早速のぞいてきました。

 こちらは1/200の住宅模型。

 六甲の集合住宅は木製模型でした。

 出世作、住吉の長屋は1/10のコンクリート製模型。

 茨木市の光の教会も同じくコンクリート製でした。

 鉄筋は入らないと思うので、少しクラックが入っていましたが流石の迫力です。

 長男は「ゴッホ展」より面白かったと言っていました。

 松下幸之助もマッカーサーも愛したという、サミュエル・ウルマンの詩「青春」をモチーフにしたオブジェも安藤忠雄がデザインしたものとあります。

 実物は丁度海側に見えていました。

 青春とは人生のある期間だけでなく、心の持ちかたを言う。薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな肢体ではなく、たくましい意思、ゆたかな想像力、炎える情熱をさす。青春とは人生の深い泉の清新さをいう。

 青春とは怯懦を退ける勇気、安易を振り捨てる冒険心を意味する。ときには、20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。年を重ねただけでは人は年老いない。理想を失うとき初めて老いる。

 私も大好きな詩で、色々な翻訳を読んだことがありますが、今回は「Ando Gallery」版を記しておきます。

 帰ってから調べると、「Ando Gallery」の設計、施工費用の約5億2千万円は安藤事務所の負担で、市に寄贈されたとありました。

 安藤に憧れこの仕事を選び、RC打ち放しの建築でも、真っ向勝負と頑張ってきたつもりです。

 私を選んでくれるクライアントがいる以上、絶対に負けないつもりですが、彼はどこまでも走り続けるのです。

 私にとってはまさに灰色の巨塔。

 間もなく現場が2つスタートするので、現場日記の準備をしていました。

 ヘッダー画像をランダムに表示する機能があると分かり、何パターンか作ってみました。






 作品も80作に近付いてきました。

 模型もかなりの数を保管してあります。個展もしてみたい、作品集も出してみたい、そして美術館を設計してみたい。

 安藤さんとは29歳違いなので、現在78歳のはず。

 能力が足りない分は時間で補います。仕事がある限り、命が続く限り、現役で頑張るつもりです。

 理想を失わなければ年老いないとサミュエル・ウルマンが教えてくれてたのですから、それを信じるのみなのです。

■■■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

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■2月3日 『Houzzの特集記事』「阿倍野の長屋」が取り上げられました
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不遇の直情家、ゴッホ‐1668‐

 新型肺炎で、観光地が閑散としていると言います。

 日本経済はインバウンドにかなりの恩恵を受けていたので、観光に携わる企業はかなりの痛手だと思います。

 世の中は繋がっているので、勿論他人事ではないのですが。

 しかし兵庫県立美術館はかなりの賑わいでした。

 1月25日から3月29日まで開催のゴッホ展です。

 開館30分前に到着しましたが、チケット売り場はすでに30人ほど列が。

 みるみるうちに列は伸びて行きます。

 最近は、演出も華やか。

 webサイトのTOPページにある『糸杉』です。

 今回はこちらが目玉でしょうか。

 チケットを購入し、いざ展示室へ。

 いやがうえにも期待が高まるのです。


1887年9-10月 『パイプと麦藁帽子の自画像』

 観終わったあと、娘に小学館の「学習まんが人物館」を買い与えました。

 読んだ後、娘もそれなりの衝撃を受けているようでした。フィンセント・ファン・ゴッホの人生がいかに苦難に満ちたものだったかにです。

 1880年、27歳で画家として生きる決意をしたゴッホですが、生前は評価されずで絵も殆ど売れませんでした。

 画家としての才能を信じるのは弟のテオだけで、彼だけが良き理解者だったのです。

 これまで読んだ本からの印象ですが、情熱的ではあるがカッとなりやすく、ハンドルで言うところの「遊び」が少ない、直情家だと感じます。

 牧師の手伝いなどをした経験から、画家たちが集まってすむ修道院のような暮らしを理想という考えを持っていたようです。

 1888年2月、それを実行に移した場所が南仏のアルルです。


1988年6月 『麦畑』

 今回もその時期の描かれた作品が多数ありました。

 南仏の自然に魅入られたゴッホは、絵の具を厚く塗り重ねていく技法を確立していきます。

 ひまわり、麦畑、そして『夜のカフェ・テラス』で描いた、黄色く照らされた屋外席。

 私は『夜のカフェ・テラス』が一番好きなのですが、ゴッホの黄色はどんな展覧会場でも一番初めに目に飛び込んでくる気がします。

 当時、賛否両論だった印象派の画家とも知り合い、大きく影響を受けています。

 彼らをアルルに誘うのですが、実際にやってきたのはゴーギャンでした。

 ところが口論から「そんな役に立たない耳なら切り落としてしまえ」と言われ、あの耳切り事件が起こってしまうのです。

 1889年、自らサン・レミの精神病院に入院することになりますが、そのときに彼の心をとらえたのが糸杉でした。

1889年6月 『糸杉』

「糸杉のことを私はいつも考えている。-ひまわりの絵
のような何かを描きたい。私が糸杉を観た徳、誰もまだその絵を描いていないのに驚いた。線といい、形といい、エジプトのオベリスクのように美しい。そして緑が何とも特別なすばらしい色である」

 弟テオへの手紙でこう語っています。

 糸杉がモチーフとなっている絵は初めて観たと思いますが、最晩年の傑作だと思います。

 キャンバスからはみ出してしまっているその構図が、彼の興奮と息遣いを感じさせます。

 渦を巻くようなタッチは、彼の人生への迷いそのものでしょうか。

 その後、医師のガシェを頼ってオーヴェールへ。1890年の7月27日にピストル自殺を試み、29日に亡くなります。

 この『糸杉』を完成したおよそ1ヵ月後のことでした。

 7月に描いている『カラスのいる小麦畑』は、鮮やかな黄色の小麦畑を、暗い空が覆い、真っ黒なカラスが群れを成して飛んでいる構図です。

「自然が大変美しいとき、私は驚く程に澄んだ気持ちになる期間を経験する。私はもはや私心がない、そして絵は夢のように思われる」

 確かに死を予感させる一枚で、寒々しい迫力を感じます。

 それから97年後、1987年にゴッホの『ひまわり』を安田生命が53億円で落札します。

 この高度情報化社会ならという仮定はナンセンスですが、本当にゴッホの才能を見抜く方法はなかったのでしょうか。

 今年の7月ロンドンのナショナルギャラリーから『ひまわり』が大阪にやってくるようです。

 この不遇の直情家に何故か惹かれます。おそらく長い列ができるでしょうが、また出掛けて行くのだと思うのです。

■■■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

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みをつくし‐1667‐

 南港にある「なにわ自動車検査登録事務所」は、車検を受けたり、登録をしたりするところです。

 管轄は大阪市全域。

 車を購入したら、登録等はディーラーがしてくれるのが一般的でしょうか。

 3年前、生まれて初めてローンで車を購入しました。

 リピーターや固定のお客さんがある仕事ではないので、それまでは考えたことも無かったのです。

 しかし金利がほぼゼロだったことと、まあ何とか払っていけるかなと思い、挑戦してみたのです。

 何とか担保を取り上げられずに済んだのですが、ローンが完済したら、所有権の移転が必要とのこと。

 誰かに頼めばやって貰えるのでしょうが、書類を送っている間にさっさとやってしまえ、ということで訪れました。

 2、3わからない欄もありましたが無事完了。

 何と言っても、番号札が77番で縁起が良い。

 道を検索している時、近くに「木津川渡船場」という表記を見つけました。

 大阪には8か所の公営の渡船場があるそうです。

 時刻表を見てみると、結構な頻度で便があります。

 3分程待てばやってくると分かり、少し待ってみました。

 対岸に待機しているあの船のようです。

 側面にはみおつくしが見えます。

 運河を船が行き来している風景を見ているだけでも飽きません。

 東の市内を見ると、ハルカスが霞んで見えます。

 何だかせかせかと生きてるなあと、ちょっと感傷に浸っていました。

 気が付けば、あっという間にこちらに近付いて来ました。

 まだあまり使い方が分かっていませんが、ゲツモク日記チャンネル第一弾です。

 その間、わずか1分程。

 乗客は2名でした。

 ひとりは同い年くらいの男性で、ロードバイクと上船していました。

 すれ違った時に声を掛けてみました。

 「料金は幾らなんですか?」

 「タダですよ。楽しいですよ~」

 「ほんと、楽しそうですね」

 バイクでも始めてみるか、という気分になったのです。

 大阪市の市章「みをつくし」は澪標と書き、浅瀬に立てられた標識の形からきています。

 「身を尽くし」と掛けた歌が、小倉百人一首にありました。

 わびぬれば 今はた同じ難波なる

 みをつくしても 逢はむとぞ思ふ

            元良親王

 不義の発覚に思い悩むが、どう考えても同じことなら、と窮した気持ちををふるいたたせ、我が身の破滅と引きかえに逢瀬を遂げようとする。「身を尽くす」は、いわば社会的生命を失うぐらいの気持ちで、こうなったからには自らの恋情に殉じようという気持ちである。

 と解説書にはあります。

 何かどこかで聞いたような話ですが、色恋は人の世の常です。

 ただ、不義をするなら「社会的地位」でなく「社会的生命」を失うくらいの覚悟を持ちなさいと識者は言っているのです。

 中村天風師は、よくこういう表現をされます。

 「何せ我々は万物の霊長であるのだから」

 どうせなら、動物とは違う次元で身を尽くしなさいと言っているのです。

 もてない男のひがみ?

 いえいえ、何せ私達は万物の霊長ですから。

■■■ 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』2019年12月3日で「「中庭のある無垢な珪藻土の家」」が5位に選出

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バカで結構‐1666‐

 年始から取り組んでいた実施設計がようやく完了しました。

 折からの人出不足につき、企画提案、実施設計、予算調整、現場監理、時に電話番と、零細企業のトップは何でもしなければなりません。

 やっと一息と、2ヵ月振りに奈良県下北山村、池原ダムへと出掛けたのです。

 土曜日の朝6時頃に到着しました。

 人出不足と書きましたが、このトボトスロープも同じく人出不足。

 同い年の店長さんが、ボートのメンテナンス、予約の受付、そしてボートランチングまで、全てひとりでこなすのです。

 正直、自分の体より店長さんの体調の方が心配です。

 ここが無くなってしまうと、私に休日は不要となってしまうのですから。

 冬のわりに湖面は穏やかです。

 例年だともっと水温が下がるのですが、暖冬の影響で現在9.1℃。喜び勇んで湖上に出たのです。

 ところが寒さと眠気に勝てず、まさかの昼過ぎでギブアップ。

 寄る年波 とは言いたくないのですが、年始から無休で、また前々日の徹夜も効いていたのだと思います。

 早々にバンガローへ引き上げました。

 安い上に眺めも良く、一方的に自分の別荘だと思っています。

 布団を引いたら、文字通りバタンキューでした。

 折角ここまで来たので、日曜日は6時起きです。

 冬のブラックバスは大きく2種類に分かれると言われます。

 水温が下がっても、浅いエリアで積極的にエサを捕食するタイプ。

 反対に、水温が安定する湖底近くの10mから15mくらいに居つくタイプです。一番深い時は20mに居たこともありました。

 前者は、寒くても動ける個体なので、必然的に大きな魚が多いのです。

 よって、朝一番から浅いエリアを狙いますが不発。

 戦略を変えて、春の産卵場所近くの深いエリアへ移動してきました。

 水深10mから15mあたりを狙いますが、8m位のエリアに魚の映像が映りました。

 直撃で狙うと、一発でバイトしてきました。

 45cmくらい。

 しっかりとエサを食べている、1.2kg程のグッドコンディションの魚でした。

 この日は気温3℃くらいでしたが、前日と打って変わって強い北西風が吹き続けます。

 湖面も白波が立ち、山の頂は白く、狙い通りの魚を1本確保すると、急に寒さが身に堪えだし……

 この日も10時過ぎにギブアップ。

 店長に電話で連絡し、ボートを揚げて貰ったのです。

 防寒対策もかなりしていたのですが、不本意ながら2日続けての途中棄権となりました。

 帰り道、伯母峰あたりは-2℃。

 早めに上がって、ゆっくり帰宅で正解だったかもしれません。

 そもそも、釣ったところで食べる訳でなし、誰かが褒めてくれる訳でなし。

 いつ上がっても何の問題もないのです。

 なのに極寒の湖上へ何故出掛けるのか?誇り高きフランス人が見事に言い表していました。

 釣り竿とは何か?先端に釣り針、もう一方にバカ者をぶら下げている竿。 -フランスの諺-

 バカで結構。やりたいことの無い人生なんて考えられませんから。

■■■ 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』2019年12月3日で「「中庭のある無垢な珪藻土の家」」が5位に選出

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80円で天国‐1665‐

 この冬一番の寒気だそうで、昨晩は革手袋をしていても指先がしびれる程でした。

 寒いのは辛いと言いながらも、少しほっとしたのが正直なところでしょう。

 やはり冬は冬らしくあって欲しいものです。

 庭木の老梅が満開です。

 お向かい宅のキンカンも、大きな実をつけていました。

 近所は古い家が多いのですが、季節ごとにバランス良く庭木が植わっているのが分かります。

 個人の庭ですから、どんな樹を植えるのも自由です。

 それでも、多少街の景色をイメージしながら庭木を選んでいたのでしょう。それが昭和という時代なのかもしれません。

 下町を車で走っていると「たこせん120円」という看板が見えました。

 「たこせん」は、せんべいでたこ焼きを挟んだものです。

 私が子供の頃は、満月ポン2枚にたこ焼きを2個で30円。

 それが亀田のカレーせんに変わっても値段は同じく30円。私はどちらかと言えば「カレーせん」派でした。

 大きなえびせんを2枚に割って、たこ焼きが3個の「えびせん」もありました。

 これは50円だったと思います。

 駄菓子屋のおっちゃんが、たこ焼き用の目打ちで中央にキズを付け、パリンと割ってくるのです。

 飲み物は「みかん水」で50円。あのビビッドな黄色が、自然の色ということはないでしょう。

 大阪の下町のガキンチョはこれらで成長したのです。

 そんなジャンクフードで育ったんですと言ったら、あるクライアントが「それはソウルフードですよ!」と。

 なる程、言葉は選びようだなと感心したのです。

 中国なら医食同源と言いますし、ソウルフードということは自身の精神性にも大きく影響を与えることになります。

 ロンドンならフィッシュ&チップス。

 バンコクならパッタイ。

 大阪ならたこ焼き。

 気楽に食べられると言うことは、高価すぎる物はNGです。

 リーズナブルだけどジャンクでない。

 ここに本質がありそうですし、商いの原点も全く同じでしょう。

 近頃はローコスト住宅のオファーが随分減りました。

 若い頃はびっくりする位の低予算でオファーを貰うことが結構ありました。

 とっても個性的なクライアントと、唯一無二の物語を創ってきたという自負もあったのです。

 社会は概ね三角形です。お金持ちが一番多い逆三角形にはなりません。

 そう考えると、コストが高い仕事が少なく、低い仕事が多い方が自然です。

 今もローコストの建物を設計したくないということは全くありません。

 ミース・ファン・デル・ローエが

 Less is more.

 と言った通り、少なきことは豊かなことでもあると思うのです。

 「厳しいですね~」などと言いながら、何とか建築を生み出して行く。それが私の日常でした。

 若い時に「君の得意はどっちなんだ」と聞かれたことがあります。

 「クライアントが本気なら、どっちでも構いません」と答えると、「そんなことでは差別化できないよ」とアドバイスを貰いました。

 それはそうだと思いますが、思っていないことを口にすることはできませんし、設計料には下限を設けているので、尚更なのです。

 小学生の時は、たった80円で天国へ行けました。今でも、220円のビールをプシュとやれば結構幸せです。

 本質は何も変わっていませんが、子供が受験をし、スマホを買えといい、海外研修など聞こえてくると、800円、8千円、8万円……

 もう我武者羅には働くしかないのです。そして分かったことがあります。

 少なきこと=豊かなこと

 ではなく

 少なきこと⇒豊かなこと

 なのだと。

 ピンチの中以外に、チャンスなどある訳がないのです。

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『houzz』4月15日の特集記事
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『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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怒るで、しかし!‐1664‐

 今日は節分です。

 節を分けるの言葉通り、「この時期が過ぎてから着工したい」というクライアントもいました。

 立春も明日に控え、春へ向かっての分岐点でもあります。

 前を通るたびに気になっていた八尾空港。

 天気が良かったので、少し寄ってみました。

 八尾空港で思い出すのはやっさんです。

 勿論その筋の人ではなく、昭和の破天荒芸人、横山やすしのことです。

 彼がプライベートセスナを操縦するため、ここに通ったことは良く知られています。

 ネットフェンスからのぞいてみると、沢山の小型機が見えます。

 青空駐艇なのか、今日飛ぶ予定なのか、初めてなので全く分かりません。

 滑走路に面して「パイロット養成」「遊覧飛行」などの看板が上がった建物が10軒程並んでいます。

 このあたりは、伊丹や関空とは随分違った雰囲気です。

 一番奥まで行くと、見学スペースもありました。

 管制塔も小振りでかわいい感じ。

 整備士の人達でしょう。

 燃料を入れたり、大きな動作で合図を出していたりとなかなかに活気があります。

 格納庫も目の前で、自然にテンションが上がるのです。

 想像していたより離着陸があり、気が付けばセスナが戻っていました。

 先程まで目の前で整備していた小型ジェットも。

 機体が小さいからでしょうか、短い滑走距離でふわりと浮かび上がります。

 目の前で離陸するのですが、大型機のエンジン音と比べると静かなもの。

 あっという間に小さくなっていきました。

 やっさんも、さぞ気持ちよく飛んでいたことでしょう。

 八尾市のwebサイトによると、八尾空港は交差滑走路を持つ数少ない空港だそう。

 他には東京国際空港(羽田)、新潟空港、仙台空港のみで、地図を見ると東西がメインの滑走路のようです。

 最近の豪華客船ブームもありますが、渡航手段と言えば日本なら飛行機です。

 同じ島国のイギリスはEU離脱を決めましたが、海底トンネルでフランスと繋がっています。

 そう考えると、隣国と全く接していないこの国は、かなり独特な環境と言えます。

 ブリティッシュ・エアウェイズは、先月末に中国とイギリスを結ぶ直行便を全て運休すると発表しました。

 やはり孤高の国。決断が早い上に、誤解も恐れないようです。

 小学生低学年だったと思うのですが、こんな本を読みました。

 地球上の空気がある日突然なく無くなると分かり、世界中がパニックになります。

 あるお金持ちの家庭が、我が子の為に世界中の風船を買い集めます。

 それらを全て膨らませ、体にくくりつけ、我が子にくわえさせるのです。少年が風船で見えなくなる程の量でした。

 もう40年くらい前のことで内容はあやふやですが、少年が体中に風船を巻き付けた挿絵は、何故かはっきり覚えています。

 この話を読んだ時、2つのことを考えました。

① お金持ちだけが生き残ることが起り得る。

② 世界中でたった1人になっても生き残りたい?

 子供の私が、この2つのことを考えていたとき、かなりドキドキしていたと思います。初めて生と死について考えたのかもしれません。

 話の結末ですが、その日が来ても空気は無くならず、デマだと分かりました。

 少年は何かバツの悪い感じで、クラスの友人と会って終わったと思います。

 それはそうです。クラスの皆が亡くなっても、自分は生き残る予定だったのですから。

 ①に関してはその通りです。

 やっさんのようにプライベートセスナでも持っていれば、どこかへ脱出できるかもしれません。

 まだ諦めていませんが、どうやらこの人生では難しそうです。

 ②ですが、流石に70億分の1に値するとは思っていないので、答えはNoです。

 天才芸人の最期は寂しいものでした。しかし、その芸が忘れられることがないなら本望だったかもしれません。

 「お前あたりに何が分かるねん!

  怒るで、しかし!」

 という声が聞こえてきそうですが。

 ケセラセラ

 全てはなるようになるし、行くべきところへ行くのだと思うのです。

■■■ 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』2019年12月3日で「「中庭のある無垢な珪藻土の家」」が5位に選出

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