扶桑社から隔月で発売される『SUMAInoSEKKEI』。
昨年は「サロンのある家」が掲載されました。webサイトでは現場日記の「四丁目の家」をコラムとして取り上げて貰っています。
誌面には「地元建築家がガイドする名建築」というコーナーがあります。発売中の3・4月号は大阪編。私がナビゲーターを務めています。オファーが届いたのは9月下旬でした。
大阪(市内)の近現代の建築を5件程度を選んで頂きます。写真は1つの建築について3~5点。イラストマップにまとめますので、なるべく中心部にあるもので。
有名建築はもちろん、知られざる名建築、守谷さんが個人的に好きな建築、 影響を受けた建築などが入っていると望ましいです。ただし、住所とマップを入れますので、住宅は除外です。
写真は自分で撮影します。迷惑駐車が多かったり、タイミングが合わずに、光がダメだったり。候補を絞るのに7、8回は街へ出ました。どの作品を選んだかは是非雑誌をみてください。
それ以外の「名建築」をここに掲載してみます。竣工年月日/住所/設計者/施工者/コメントの順です。
太陽の塔/1970年/吹田市/岡本太郎/大林組・竹中工務店・藤田組
岡本太郎の傑作。強く元気だった大阪の象徴。塔と私は同い年。
通天閣/1956年/大阪市浪速区/内藤多仲/奥村組
現在は2代目。初代は凱旋門とエッフェル塔を重ねた強欲なデザインだった。
高速道路から通天閣をが見えると、帰ってきたと実感する。
日本綿業会館/1931年/大阪市中央区/渡辺節(担当:村野藤吾)/清水組(後の清水建設)
清楚で美しい。日本建築家協会の近畿支部がはいる。
芝川ビル/1927年/大阪市中央区/渋谷五郎、本間乙彦/竹中工務店
無国籍な感じが、唯一無二のファサード。屋上がオープンテラスとして使われる。
大江ビルヂング/1921年/大阪市北区/葛野壮一郎/直営
作家の友人が個展を開いたことで知った。
映画「ブラック・レイン」ではエントランスが警察署として使われる。建物中央に光庭がある。
大阪マルビル/1976年/大阪市北区/フジタ工業/同左
キタは通学路だったので、多くのニュースをこの電光掲示板で見た。
現在はその部分が随分小さくなったのが残念。キタの高層ビルの先駆け的存在。
ナビオ阪急(現在はHEP NAVIO)/1980年/大阪市北区/竹中工務店/同左
建築の造形は自由なんだと感じた。
現在はシネコンが入っているが、以前の雰囲気が好きだった。ナビオは「船」の意味。
大阪弁護士会館/2006年/大阪市北区/日建設計/大林組
中之島の北に建つ。
単純なデザインの繰り返しが、美へと昇華している。
懸魚のある製図工場/1984年/大阪市北区/出江寛/堀田工務店
出江寛建築事務所。竹中工務店出身の大阪の重鎮。
主な素材はスレート。安価な素材で高い精神性を表現する。
出来れば取り上げたいと思っていたのが、安藤忠雄建築研究所。
ライターの方に相談すると「広報に交渉してからになるので、ちょっと時間が掛かるかも」といったニュアンス。結局オファー出来ずでした。
下見に行った日はすっかり夜でしたが、せわしなくスタッフが出入りしていました。ここから海外へも発信しているのだなと、思いながら。
大阪の建築を一言ではくくれませんが、キーワードは自由と責任でしょうか。
その気風はもちろん私の中にも流れていると思います。
一級建築士事務所 アトリエm
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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