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コラム「建てるため」の土地探し‐1853‐

通勤にコートや手袋が必要になってきました。

そろそろマフラーも準備しておいた方が良いかもしれません。

通りがかった公園で、ネコが何かを見上げています。

何か小動物でも見つけているよう。

つられて顔上げると、葉を黄色に変えた立派なイチョウが目に入りました。

この時期、日の光を受けたイチョウの美しさは格別です。

眩いばかりの金色です。

先週、Webサイトをリニューアルしましたが、COLUMNというコンテンツを追加しました。

この日記で、家を建てるにあたって注意すべき点、工夫できることは一通り書いてきたつもりでいましした。

しかし、今回で1853回目になるので、必要な記事を見つけて貰うのは至難の業です。新たにまとめ直しては?とアドバイスを貰ったのです。

第1回目は-どこに住もうか?-というタイトルで、9月末にUPしておきました。

本日-「建てるため」の土地探し - をUPする予定でしたが、まだシステムを完全に把握できておらず……

初心に帰って、こだわりの家を建てたい人に役立つ情報を、月に1本くらいのペースで書いていきたと思います。ここで先に蔵出しします。

「建てるため」の土地探し

1. この中古物件買っていいですか?

土地や中古物件を探すには、まずは情報が必要です。
Webサイトや、広告などで情報を探すことからスタートします。

候補をしぼり、若いご夫妻と直接現地へ向かいました。
その場で、「守谷さん、この中古物件買っていいですか?」と尋ねられました。

コンマ数秒迷いましたが「新築を視野に入れないなら、いいと思います」と答えました。

こうして「神戸の高台の家」は計画がスタートしました。

2. 「リノベーション一択なら」

裏手に擁壁があり、現行法規の下で建替えをするなら、その部分を全てやり替える必要があります。数百万は掛かると考えたので、「リノベーション一択なら」と答えたのです。 

後にも書きますが、擁壁や高低差のある土地は、特に事前調査が大切なのです。

何千万もの買物を左右するアドバイスなので、重圧を感じなくはありません。
しかし、それを実務で経験させて貰ったからこそ私も鍛えられます。

建築基準法において、建物と土地の両方の安全を担保することを求められます。

上物だけに意識がいってしまうと、土地の調査がおろそかになり、「新築なら非常にコストが掛かる」または「建てられない」という最悪のケースまで起こり得るのです。

3. この土地買ったのですが

関西では北側に山が多く、南から日を受けるゆるやかな斜面地が多くあります。

南に向かって土地が下がっていくので、隣地の陰にならず、光環境は非常に恵まれます。

しかし、擁壁があったり、傾斜がきつかったりする場合には、土地の安全を担保しなければならないのは先の話の通りです。

バギーを押して、小さなお子さんと3人で見えたご家族は、すでに北摂の南斜面にある土地を購入されていました。

(写真と本文は関係ありません)

擁壁の上にあるとても見晴らしの良い土地で、不動産仲介会社からは「このくらいの家が建てれます」という、簡単な間取り図を貰っていました。

(写真と本文は関係ありません)

ただその擁壁の高さが5m以上あったので、「土地の安全ついての説明は受けましたか?」と尋ねると、「受けていません」と。

「プランの提案をして貰えますか?」という相談だったので、「まずはこの土地にこの大きさの建物が建つかの調査から始めてみます」とお答えしました。

写真で見る限り、擁壁の質があまり良さそうではなかったので、気になっていたのですが、調べていくと、完全にプライベートな擁壁だと分かりました。

4. 擁壁のメリットと絶対に気をつけるべきポイント

プライベートな擁壁とは何かを説明します。

例えば、山の斜面を住宅地として開発する場合は、半分を削り、半分を埋めたてることが殆どで、少なからず擁壁部ができます。

この擁壁が安全なものであるという、公的な照明書があれば問題なく建てることがで出来ます。しかし、これがなければこの擁壁に全く圧を掛けないように離して建てるか、荷重を掛けないような対処策を施さなければなりません。

先のご家族が購入されていた土地は、調査をしても安全を照明書できるものはなく、何かしらの対処をしなければ、予定していた建物が建たないことが分かりました。

出来るだけ安く地盤を補強する方法は見つけたのですが、それでも300万円程掛かります。それでは聞いていた話と違うということで、結局仲介会社と裁判をすることになってしまいました。

その為に資料を、できるだけ安価で製作することしか私には出来なかったのです。

反対に、「高台の家」ではこの擁壁が安全だという資料が役所に保管されていました。

それで、擁壁ぎりぎりまで建てることができたのです。

土地を売ることが専門の人と、土地に建てるのが専門の人の知識や意見が同じということはありません。

それは仕方がないのですが、さあこれからという、若いご家族がこのような目に会うケースを見るのは本当に忍びないものです。

私は「もし候補のひとつと思って下さるなら、遠慮なく相談下さい」と伝えます。

土地探しから新居を建てるという計画がスタートし、完成、そして生活が始まるまでは、夢の島を目指す長い航海のようなものです。

航海図を描いたり、船員を選んだり、舵を切ったりして、航海を成功させるのが、建築家の仕事だと思っているのです。


というのが、第2回目のコラムです。

バギーを押してこられたご家族から、その後の連絡はありません。

他の建築家と建てられたのか、注文住宅はやめたのか、そもそも一戸建てを諦めたのかは分かりません。

傾斜地が候補になった時、今でもあのご家族を思い出します。

そんなこともあり、初期調査にはかなり時間を掛けるようになったのです。


■■■ 8月17日『建築家・守谷昌紀TV』を開設しました ■■■

■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記


日経新聞は面白かった‐1453‐

 今日から2月に入りました。

 厳しい寒さは続きますが、徐々に日が長くなっていくことに、季節の進行を感じます。

 1月の中旬に、

 「Best of Houzz 2018 受賞おめでとうございます!」

 というメールが届きました。

 Bestとなっていたので、全ての中で一番だと思い、喜んでサイトを見に行くと、大阪のリビングルームというカテゴリーの中で選ばれたようです。

 7枚の中の1枚に、「松虫の長屋」のリビングの写真がありました。

 このcutは、写真家の平井さんが「2015年の Best cut」と言ってくれたもの。勿論嬉しいのですがちょっと微妙な感じもあります。

 かなり絞られたカテゴリーなので、正直、betterくらいでしょうか。

 火曜日の夜、久し振りに大学時代の友人と、梅田で会っていました。

 お初天神通りの「ニューミュンヘン」が改修工事中で、別館的な「北大使館」へ。

 この店のこだわりも生ビールです。

 ここの生ビールは飲みやすく、やっぱり美味しい。

 閉店の11時まで、2人で話し込んでいました。

 彼は高槻でjamjamという設計事務所を経営する、いわば同業です。

 彼とは、私が創業して3~4年目あたりは一緒に仕事をしていました。私がお願いして、アトリエmに来て貰ったのです。

 設計、デザインのことをズバッと意見してくれる彼の存在は、本当に貴重でした。友人であり、パートナーでもあったのです。

 同じく、時々アドバイスをくれる知人に、「seiundo」の社長がいます。

 もうひとつ経済に弱い私に、以前から「日経新聞を読んだ方がいい」と勧めてくれていました。

 あまりそういったことに興味がなく、グズグス言っていたのですが、ようやく昨秋から購読をはじめました。

 確かに面白いのです。

 日本経済新聞社という社名から、お堅い記事をイメージしていたのですが、アート、スポーツなどの記事も分厚く「流石」と言いたくなります。

 サッカーの現役最年長選手、三浦知良さんのコラムがあります。

 彼は勉強などしたことがないと書いていましたが、その含蓄ある内容の素晴らしいこと。

 果たして勉強って、何なのだろうと思います。

 「私の履歴書」は、著名人が1ヵ月に渡り、自身の半生を語る名物コラムです。

 昨年の12月は、元プロ野球選手の江夏豊さんでした。

 オールスター9連続奪三振、江夏の21球と、多くの伝説を残した名投手ですが、コラムは覚醒剤事件のお詫びから始まりました。

 その生い立ちから興味深いものばかりでしたが、私が立ち止まったのは、こんな話のところでした。

 1967年、阪神でキャリアをスタートさせた江夏投手は、2年目の1968年に、年間401個の三振を奪っています。

 これは日本記録であり、メジャーリーグでのノーラン・ライアンの383個を上回ります。

 この年、勝利数は25で最多勝も獲得。しかしMVPに選ばれませんでした。

 この時から、人が評価をする賞には全く興味が無くなったとありました。

 このあたり、彼の無頼漢な雰囲気に通じるところがあり、人生感を決定づけたのかもしれません。

 401奪三線は、その数字が越えられるまで、時代がどれだけ変わろうとも、日本一、いや世界一かもしれません。

 この絶対的数値を持つアスリートは、常に自分が世界一とも言えますし、実際そうです。

 言い方は難しいのですが、世界一という甘美な重荷を背負ったまま、その後の人生を生きることになるのです。

 しかし、大衆も、メディアも移ろいやすいものです。

 グラウンドでカクテル光線を浴び、多くの観衆の目を引き付ける快感を味わったなら、それを越える体験はそう起りえないだろう。

 行間から、そんなことを感じていました。

 ちなみに、夕刊は産経新聞をとっています。娘が、読者投稿のコラムがいたく気に入っているからです。

 結論として、日経新聞は面白かった。人のアドバイスはやはり善意で聞くものです。