タグ別アーカイブ: 一級建築士事務所

千早赤阪村で夏の終わりを知る‐1728‐ 

 土曜日の朝はあまりにも気持ちのよい天気。

 「そうだ、棚田を見にいこう」と思い立ちました。

 国道309号線、内環状線を南へ走ります。

 富田林を抜けると大阪府下唯一の村、千早赤阪村です。

 「太平記の名場面 赤阪城の戦い」という案内を見つけました。

 鎌倉時代末期、倒幕を呼びかけた後醍醐天皇に応じたのが楠木正成です。

 倒幕を企てた後醍醐天皇は、幕府によって配流されますが、その意思を継ぐ護良親王を正成は赤阪城で守ります。

 30万もの幕府軍を、奇襲奇策を使って500名の兵で戦ったとありました。

 駐車場もあったので、ここから歩いて行きます。

 棚田は傾斜地に田をつくるので、中央にあるこの道路は完全な等高線。

 まったくアップダウンがなく、極めて歩きやすいのです。

 快晴の空が背景で、想像を上回る美しさでした。

 標高もあってか、そこまで暑さも感じません。

 そう思っていたら、自転車やウォーキングの人とすれ違いました。

 皆思うことは一緒です。

 等高線上の道に沿って進むと、赤阪城址という石碑が見えてきました。

 高台にあった城から、巨石を落とし、熱湯を浴びせ、糞尿をまきちらして敵を撃退したそう。

 兵糧が尽き、最後は城を放棄したそうですが、現存していたなら是非見てみたものです。

 現在は遠くにPLの塔、さらにあべのハルカスを望みます。

 700年前も、素晴らしい眺めだったことでしょう。

 現在は「日本の棚田100選」にも選ばれた下赤阪の棚田が眼下に広がっています。

 ここで糞尿をまきちらしたと考えると少し笑ってしまいますが。

 モノレールのような乗り物がありました。

 みかん畑などでよく見かけるあれですが、棚田の収穫にも使われるようです。

 すぐ近くに、農産物直売所があったので寄ってみます。

 ほとんど売れてしまったそうで、残っているものをかき集めて買って帰りました。

 味見用に数粒のブドウが残っており「お兄さん、味見して行ってよ」と声を掛けられました。

 「娘が大のブドウ好きなので、持って帰ってもいいですか」と聞き返しました。

 裏手に回って、さらに数粒持ってきてくれ「今度は朝一番に来てよ。ブドウがとっても美味しいから」とお土産にくれたのです。

 リモート、ネットショッピングの時代ですが、やはりその場に行かない、面白い事も面倒なことも起こりません。

 だから私は野外と旅が好きなのだと思います。

 田には豊富な水が必要です。

 水がスムーズに供給されるよう、また崩落しないよう、緩やかに連続する田の曲線は、極めて優しい風景をつくり上げます。

 自然と生活を美へと昇華させたものだと言って良いでしょう。

 棚田に日本の美の源泉を見る思いがしたのです。

 用水路にはヒキガエルの子供が。

 シオカラトンボも沢山飛んでいました。

 行く夏を惜しむように鳴くツクツクボウシ。

 つい先日まで、シャワーが水でも浴びれそうな水温でした。

 「水ぬるむ季節」という表現がありますが、丁度その反対の時期でしょうか。

 長かった今年の夏もいよいよ終わりのようです。

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
巻頭インタビューが掲載されました

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
■2月3日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

鏡に映る自分と向き合え‐1727‐

 昨晩は一雨降ったようで、今日は涼しい朝になりました。

 青柿には雨粒が残っていました。

 クーラーを入れずに寝たのはいつ以来でしょう。

 やはり自然の風で寝るのが一番です。

 明け方の空気は澄んでおり、清流のような清々しさがありました。

 高野槙などで知られる槙。以前はよく庭木に使われていました。

 近所の庭ではかなり採用されていますが、この時期に新芽がでるようです。

 ジョギングしているとあちこちに水溜りが出来ていました。

 それぞれが、鏡のように空を映しています。

 三種の神器に鏡が含まれるように、古代においての鏡は特別なものだったはずです。

 庶民は自分の姿を見たければ水面を覗き込んだのだろうか、などと考えていました。

 現代では、透明ガラスに「銀引き」という加工をして鏡を製造します。

 洗面所には必須の材となりますが、「光庭の家」では、間接照明を後ろに仕込み、収納として開くよう考えました。

 「サンルームと吹抜けのある家」の寝室にはパウダースペースがあります。

 こちらは開くと三面鏡となります。

 「White Eaves」はタイミングが合わずで、竣工写真が撮れていないのが残念です。

 バスルームの鏡も格好良く仕上げたのです。

 先日2ヵ月点検だった「ときめく紺色の家」のパウダースペースです。

 仲の良い母娘が並んでお化粧できるよう、こちらは可愛く仕上げました。
 
 鏡は使い方によって、様々な演出ができる強い素材なのです。

 吉川英治の三国志につぎのような行があります。

 人と人との応接は、要するに鏡のようなものである。驕慢は驕慢を映し謙遜は謙遜を映す。

 人の無礼に怒るのは自分の反映へ怒っているようなものといえよう。

 いつも言い聞かせているつもりですが、なかなかこのレベルに到達するのは難しいものです。

 と、言っているから難しいのかもしれませんが。

 娘さんがアマレスの五輪メダリストであり、ボディビルダーでもある、元プロレスラー・アニマル浜口さんはこう言っていました。

 毎朝、素っ裸になって鏡に映る自分と向き合え!

 どんな文脈だったのか忘れましたが、半分は理解できます。

 左右反転である点を除けば、鏡は嘘をつきません。

 姿だけでなく心まで映すという言い方もできますし、姿には心も反映されているという言い方も出来ると思うのです。

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
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大阪都天王寺区コリアタウン‐1726‐

 伊勢湾台風を上回る勢力とあった台風10号。

 九州西岸をかすめるように通過しました。

 九州では7月豪雨があったばかりで、何ともやりきれない気持ちだったと思います。

 大阪は風こそ強めでしたが、地鎮祭を執り行うことができました。

 しかしこれからが台風シーズン。明日は我が身と思い、備えておかなければなりません。

 地鎮祭には車で行ったのですが、阪神高速に乗るとすぐにあべのハルカスが見えてきます。

 大阪府と大阪市の二重行政を無くそうという「大阪都構想」。

 前回の住民投票では否決されましたが、再度民意が問われることになりそうです。

 実現すれば、当社のある平野区は、阿倍野区、生野区、東住吉区を合せて、天王寺区となります。

 新・天王寺区の紹介としては、日本一高い商業ビルのハルカスと、鉄道の南の玄関口となっていました。

 お向かいのような位置にある通天閣は浪速区で、新・中央区となります。

 1兆円の無駄遣いをなくせるとか、効果は0円とか、論調は様々です。

 仕事に関して言えば、建築確認申請の裏判を貰うのが、大阪市役所から天王寺区役所へ変わるくらいでしょうか。

 大きく無駄使いが減るなら実現して欲しいですし、大阪市という名称に愛着があると言えばあります。投票なら、もう少し勉強しなければなりません。

 新・天王寺区の紹介にもうひとつ取り上げられていたのが「コリアタウン」。

 それなら知らない訳にはいかないと、寄ってきました。

 近くのお好み焼きや焼肉の名店は訪れたことがありますが、コリアタウン自体は初めてだと思います。

 この時期にも関わらず、なかなかの活気です。

 疎開道路から東へのびる350m程の通りですが、東端には「百済門」がありました。

 世界中の大都市にチャイナタウンはありますが、コリアタウンも結構あるのでしょうか。

 韓国へは行ったことがないのですが、ミニ海外旅行のようでワクワクしてきます。

 食材といえばやはりキムチ。

 流石に種類も豊富です。

 この狭いエリアに肉屋さんも5軒はありました。

 韓国風焼き鳥なのか、これを頬張りながら歩いている人も。

 古い店のほうが雰囲気はありますが、どちらかと言えば若者をターゲットにしている店が多い感じです。

 トッポギや先程のヤンニョムチキンの文字も見えます。

 長男が中学校へ行き始めた頃、K-POP好きの友達とよくコリアタウンへ行っていました。

 アイドルグッズ店等もあり、このごった煮感が人気の秘密なのかもしれません。

 通りを行く人の年代も様々でした。

 このポテトチップを串に刺したような食べ物。歩きながら食べている若者を結構見ました。

 興味津々ですが、この時期なので挑戦するのはやめておきます。

 大阪都天王寺区のコリアタウンと言われると、かなり戸惑うかもしれません。

 勿論「都」が実現した際の話です。

 コロナ下の社会となり、当分海外は難しそうです。子供達が好きな番組「世界の果てまでイッテQ!」でも国内企画に変更されていました。

 流石にリモート旅行は寂しいので、国内で外国を感じられる場所を回るのも悪くないかもしれません。

 度々例に上がるペストやスペイン風邪のように、今回の新型感染症も、いつか克服されるでしょう。

 それが1年なのか2年なのか。5年海外へ出られないのはちょっと辛いところです。

 リモートで感じられないのは、触覚、味覚、嗅覚です。

 景色を見て、喧噪を聞き、風を感じ、屋台から漂う匂いが鼻腔をくすぐり、つい口にしてしまう。

 旅は五感で味わい尽くすものです。気兼ねなく屋台で食べられる時が来たら何処へ行こうかと考えます。

 台湾、オランダ、オーストリア、メキシコ、ブラジル……

 韓国も候補に加えてみます。

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
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地方創生。頑張れ、敦賀駅前商店街‐1725‐

 先週の日曜日、久し振りに日本海を訪れました。

 その帰り、敦賀の市街地にも寄ってきました。

 まずは目抜き通りをのぞきます。

 それぞれの街に特色があり、旅情をかきたてるものですが、最近で言えば、函館仙台金沢長崎那覇あたりが印象に残っています。

 敦賀半島は数え切れないほど訪れていますが、敦賀駅前は初めてだと思います。

 2023年春の北陸新幹線開通を目指し、工事は急ピッチで進んでいるよう。

 「シンボルロード」という駅前通りには、「銀河鉄道999」と「宇宙戦艦ヤマト」のモニュメントが多く設置されていました。

 古くは、東京とパリを結ぶ「欧亜国際連絡列車」が敦賀港駅を経由して走っていたことから、市のイメージである「科学都市」「港」「駅」と将来像を重ね合わせて設置された、とありました。

 心意気やよし、です。

 ただ残念ながら駅前商店街はシャッターばかり。

 旅行者としてはかなり寂しいのです。

 地の魚を買おうと、僅かに開いていた魚屋さんに入りました。

 乾物や缶詰等はあるのですが鮮魚はなし。

 仕方が無いので遠くに見えるスーパーへ行くと、地の魚やイカが多くありました。

 人は正直なもので、商店街とは比べものにならない活気だったのです。

 各店舗前には駐車場が整備され、広い庇もあり、夏でも冬でも歩きやすいはず。

 なんとも勿体ない話です。

 港も近いので、ぐるっと回ってみました。

 1905年完成の赤レンガ倉庫も風情はありますが、函館、横浜、舞鶴の赤レンガ倉庫と比べると寂しい感じは否めず……

 「わびさび」という美意識に照らし合わせれば、魅力があるとも言えますが、再び足を運んで貰うには少し弱いかもしれません。

 前回、第5の故郷と書いたくらいなので、水が美しく、魚の美味しい敦賀という土地が大好きです。

 観光客でごった返して欲しい訳ではありませんが、あれほど立派な商店街に人が居ないのは気になります。

 コロナ下の時期だけなら良いのですが。

 コンビニを日本に定着させたセブン&アイHDの名誉顧問、鈴木敏文さんの記事が新聞に連載されていました。

 コンビニにはほぼ使いませんが、創業の理念を読んで現在の隆盛を納得しました。

 昭和38年、イトーヨーカ堂に転職した鈴木さんは、スーパー出店説明会の度に、地元商店街から猛反発を受けます。

 昭和40年代中頃、アメリカ西海岸へ視察に行ったとき、移動休憩で「7」と「ELEVEN」を組み合わせた、見慣れない小型店に入りました。

 スーパーを小型にしたような店舗で、これがコンビニエンスストアとの出会いでした。

 アメリカでは大型ショッピングセンター、スーパー、小型店、個人商店などが共存していました。

 しかし、ダイエーの中内さん、西友の堤さん、自社のオーナー(イトーヨーカ堂)は、小売りの時代は終わったという考えでした。

 大型店だけで全てをまかなうことはできない。アメリカもヨーロッパもそうでしょうと、鈴木さんはオーナーを説得します。

 何より商店街が衰弱している。小型店には小型店として生きる道があると考えたのです。

 その業態だけでなく、全て過去を否定した先に生まれたものだともありました。

 「おにぎりは売るものじゃない」と反発を受け、「銀行なんて簡単にできるものではない」とメインバンクの頭取に説得され、競合他社が共同で小ロットで配送する「牛乳の共同配送」は物流改革の象徴とさえ呼ばれるものでした。

 ダイエーには何でもあるが、欲しいものはない。

 辛辣な言葉ですが、ダイエーが消滅した理由をこれ以上分かりやすく伝える言葉はありません。

 鈴木さんはこう語っています。

 僕がセブンーイレブンで当初から常に求めてきた基本は品質であって、合理性の追求は二の次、三の次だった。

 この記事を読んで、もう少しコンビニを使ってみようかなと思いました。ただ、ちょっと高いのは間違いありませんが。

 最後はこう結ばれていました。

 人はより良いもの、高質のものを求め続ける。(中略)世の中が変化することは多くのチャンスが生まれてくる。(中略)これからもどんどんやりがいのある社会がくるから、どんな商売も深堀すればやりがいのある仕事ができる。

 コンビニの輸入を決め、アメリカの運営会社との契約を成立させ、送られてきた27冊の経営マニュアルを読んだときにはあぜんとしたそうです。

 そこにノウハウと呼べるものはなく、あったのはレジの打ち方、人の採用の仕方などの説明ばかり。殆どが参考にならなかったのです。

 そこから、日本のコンビニ文化を50年で創り上げたカリスマは現在87歳。

 敦賀駅前商店街のリーダーにこの記事は絶対読んで欲しいと思いました。

 旅先でお金を使ってあげたいと思っても、欲しい物がないので使えない。

 退陣を表明した安部内閣の掲げた目標のひとつに「地方創生」がありました。

 こんな単純な問題を解決することからしか実現はないと思うのです。

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
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だって人間なんだもの‐1724‐

 日曜日は早起きして、名神、北陸道を北へ走ります。

 日の出は、八日市あたりだったでしょうか。

 8月も下旬に入ってくると、無性に海に行きたくなります。急遽時間ができたので出掛けることにしました。

 ただ、子供達は用事があって難しいと。

 妻と二人になったのですが、段々とそんな機会も増えるのでしょう。

 2時間半くらいで、敦賀半島の先端までやってきました。

 第5の故郷くらいに思っているのですが、調べてみると3年振りでした。

 これだけ開いたのは初めてだと思いますが、海水浴場はコロナの影響でか閉鎖中。

 港にもロープが張られ、船も少なくなっているよう。

 今回の影響なのか、それとも漁師が減ったのか……

 最年長の友人に会いに来たのですが、船も陸に上げられたままでした。

 夏の週末に来て、居ないことなど皆無でしたが、車も見当たらず。どうやら本当に不在のようです。

 連絡せずに来た私が悪いのですが、夏、赤銅色のオッチャンに会えないのはやはり寂しい。

 海用のボートを2017年の12月に処分したので、今回船は無し。

 オッチャンも居らずで、沖に出れないのは寂しいですが仕方ありません。

 少しだけ釣りをすることにしました。妻はサビキです。

 ちょっと撒き餌をすると、水面を割ってアジが餌を奪い合います。

 ただ、釣るのも簡単かと言えばそうでもなく、暑い中、何とか夕食分だけは確保。

 ここを出たのです。

 青い空、緑の山、白い砂浜に澄んだ海。

 ここより美しい海を私は知りません。

 早くに出たので、敦賀半島をぐるっと回りました。

 海水浴場の駐車場は閉鎖しているところが殆ど。

 ただ開けている駐車場もあり、このあたりは二分されているようです。

 海に来れば、釣って潜って食べてと、一日目一杯遊ぶので、「敦賀」という街をゆっくり回ったことはありません。

 名勝、気比の松原も初めてだと思います。

 人は少な目で、のんびりとしたムードですが、海の美しさは先の浜の方が上でしょうか。

 子供達も待っているので、夕方には大阪も戻りました。

 獲物は少な目ですが、喜んで食べてくれたのです。

 小さい頃から散々通った浜ですが、一番良く来たのは大学時代だと思います。

 色々な友人を連れて、7月、8月、9月に8回くらい来た年もあります。

 何度も来た理由は、まず多くの人が海の美しさに感激してくれること。

 そして、自分達で獲った獲物での食事がをとても楽しんでくれることだったと思います。

 原始の生活に戻ることはできませんが、そもそも、自分で獲って食べることは最高に楽しいのです。

 ただ、野外遊びは準備が肝心で、10年前くらいからなかなかそれも叶わなくなりました。

 一番その面白さや、自然の美しさを伝えたい自分の子供に、その醍醐味をあまり伝えてやることが出来ず……

 この点が唯一の心残りなのです。

 今回は、長男は週明けにテストがあると、娘はそもそもあまり海が好きな方ではなく、丁重に断られてしまいました。

 長男に、「お父さんは、美しい海や湖をみるとワクワクするんだ」と伝えると、「僕も好きだけど、ちょっと怖いかな」と。

 私はこんな景色をみると、どんな獲物が居るんだろうと思うのですが、長男は不安が先に立つと言っていました。

 生物は海が生命の源なので「好き」が大前提だと思っていましたが、親子でもこれだけ違うのは面白いところです。

 「好み」や「好き」は他人がコントロールすることはできません。ただ、知らない人を「好き」になることは絶対にありません。

 そう考えると、「見る」「好き」「遣り甲斐」はかなり親密な関係にあると言えそうです。

 親が出来ることは一番前の「見る」機会を増やすことだけです。

 子供にどれだけ忙しいと言われても、自分が忙しいと絶対言わず、行きたくなるプランをプレゼンテーションし続ける。これが私の理想です。

 ただ、「私も行きたい!」というポイントは外さないのが大方針なので、理想的な親ではないかもしれません。

 それでも良いのです。だって人間なんだもの。

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走る、曲がる、何より止まる!‐1723‐

 前回は創業の地、天王寺について書きました。

 そもそも天王寺へ行ったのは、自転車引き取りの為です。

 修理しながら、騙し騙し乗っていましたが、いよいよブレーキの効きが悪くなっていました。

 近所の自転車屋さんを2軒回るも「うちでは修理できません」とつれない返事。

 それで、購入した「MOVEMENT」まで車で運び、修理をお願いしていたのです。

 お盆期間を挟んでいたので、10日振りに帰ってきました。

 593年に、聖徳太子によって建立されたは四天王寺は、日本最古の官寺です。

 一般的に「天王寺さん」と呼ばれることが、あたりの地名となりました。

 四天王寺は朱色の五重の塔でも知られます。

 その南にある、「阿像」と「吽像」が守る仁王門。

 ここから南に下ったあたりに「MOVEMENT」はあります。

 そこまで行って購入したのには訳があります。

 創業と共に購入した無印の自転車に18年乗りました

 しかし、携帯を見ながら自転車を運転していた女の子がぶつかってきたのが致命傷となり、仕方なく乗り換えを決めました。

 色々探しましたが、希望の自転車が見つからず、こちらのお店に相談。この自転車を紹介して貰ったのです。

 2013年のことです。

 ところが1年前くらいに、焦る表情を浮かべながら、完全な信号無視で私に急に飛び出してきた、若いお母さんの自転車がありました。

 衝突を避けるために急ブレーキ。その時、前輪のワイヤーが切れてしまったのです。

 詫びるどころか、止まりもせずに行ってしまいました。

 衝突は何とか回避しましたが、ワイヤーが短くなったのでブレーキまで届かない。

 何ともやりきれない気持ちで、出勤したのです。

 その後、ギリギリまで引っ張ってブレーキと繋ぎ、無理やり乗っていたのですが、今度はディスクを挟むパッドの部分も擦り切れてしまったよう。

 後輪のブレーキもたるんだワイヤーを引っ張り、引っ張りしているとこの通りに。

 今回、前輪はワイヤー、パッドとも新品に。

 後輪のワイヤーも付け替えて貰いました。

 帰り道、上町台地からは下る一方で、暑さなど全く気にならない快適ライドです。

 ペダルも軽く、軽量のアルミボディにつきハンドリングも軽やか。

 何より適切に効くブレーキがこれ程心地よいものだったとは!

 ルンルン気分で、20分程かけて自宅へ戻ったのです。

 MOVEMENTの店長さんも言っていましたが「こんな時期なので、有り難いことに自転車の需要が増えているんです」と。

 街でも、電動自転車を見る比率もかなり増えました。

 今回は致命傷になりませんでしたが、マナーの悪い運転で危険な目にあったことがある人も多いと思います。

 人間の体は、自分が走れるスピード以上の衝撃に耐えれるようには出来ていません。

 世界記録、ウサイン・ボルトでも時速37.5kmです。

 住宅の3階の高さを8mと仮定し、地面まで落下した速度を計算してみます。

 自由落下の公式は以下の通り。

・v[m/s]=gt  (t[s]:時間)

・y[m]=1/2gt2

・g=9.8[m/s2]

 yに8を代入してみます。

・8[m]=1/2*9.8[m/s2]*t2 t=1.28[s]

・v[m/s]=9.8[m/s2]*1.28[s]=12.544[m/s]

 これを時速に直すと45km/h。

 2階からなら36km/hで、それ程怖さを感じないのは、人は敏感に本能で分かっているからだと思っています。

 スマホ見ながらのお嬢さん。暴走お母さん。

 自転車は人を傷つける可能性のある乗り物です。性能が上がった今は、生死にかかわることも稀ではありません。

 是非自分が止まれるスピードでとどめて貰うようお願いします。

 天王寺の仁王門から、MOVEMENTの店長……でなく、

 「阿像」那羅延金剛力士がにらみをきかしていますよ。

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■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
■9月30日発売『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』「回遊できる家」掲載
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逢坂へ逢いに行く‐1722‐

 週末、天王寺へ行く用事がありました。

 谷町筋から少し東に入った、悲田院にあるマンション。

 1996年にアトリエmを設立した際、初めに借りたワンルームマンションです。

 ハルカスの北側に位置します。

 1999年まで、このマンションをアトリエとしていたのですが、5畳弱のワンルームでとにかく狭かった。

 結局ここで寝泊りして働くことになるのですが、いったい何処で寝ていたのか……

 懐かしいなと思い、エントランスまでのぞいてきました。

 天王寺界隈も、谷町筋を一本入れば静かな街です。

 当時からあった立ち飲み屋さん。

 この日も昼から満員のよう。時期的にどうかと思いますが、そこは天王寺ですので。

 すぐそばにある、老舗料亭はマンションの谷間に沈んでいるかのよう。

 何だか寂しい気もするのです。

 25号線を西に歩くと道は下りだします。

 上町台地の西端にあたり、通天閣を見下ろすここは「逢坂(おうさか)」。

 大津の逢阪の関になぞらえたとも、聖徳太子と物部守屋の二人が信じる方法を比べ合わせた「合法四会」に近いことにより合坂と名付けられたとも言われているとありました。

 最も南にある、天王寺七坂のひとつです。

 逢阪に面して建つ安居神社は、日本一の兵と呼ばれた真田幸村終焉の地でもあります。

 家康をあと一歩のところまで追い詰めましたが、愛馬・月影とともにこの地で果てました。

 最も精神的に辛かった時期に読んだ、池波正太郎の「真田太平記」はどうにも忘れられない作品なのです。

 安居神社も、上町台地に西端に位置し北側は崖と言ってよい高低差です。

 階段を下りきったところにあるのが天神坂。

 安居神社が、菅原道真公を祭ることからこう呼ばれています。

 この坂を上らず、反対に西に下ると、バイクや人形で知られる松屋町筋に出ます。

 天王寺七坂の殆どは、上町台地の頂部を走る谷町筋と、西に下り切った位置にある松屋町筋を結ぶ東西の坂なのです。

 一本北にあるのは清水坂。

 上りきると、清水寺の門がありました。

 京都に似た名前のお寺がありますが。

 清水寺舞台があるところまでそっくりなのです。

 境内の中にある「玉出の滝」は大阪市内唯一の滝だそう。

 パワースポットという言葉を簡単に使いたくはありませんが、なにやら良い空気感なのは間違いありません。

 あたりには井戸も多く、上町台地に降った雨がここから噴出してくるのでしょうか。

 暑い日だったので、しばらく水音を聞いていました。

 北隣には大阪星光学園、さらに北には大江神社。

 その脇にある愛染坂を上ると縁結び、商売繁盛の神様で知られる愛染さんです。

 正確には、勝鬘院(しょうまんいん)で、聖徳太子の建立とありました。

 境内にある多宝塔は、1597年に秀吉によって再建された市内最古の木造建築です。

 正直、一番驚いたのはこの一等地に建つ大阪星光学園の大きさです。

 流石に、市内トップ私学の名は伊達ではありませんでした。

 アトリエmにとって、天王寺は創業の地と言えるのですが、当時は生きるのに精一杯で、ろくに周辺を歩いたこともありませんでした。

 天王寺の路地を歩いていると、25、6歳の頃の記憶が一気に蘇ってきます。

 能力もないので、移動のつなぎはいつも走っていました。

 暑い暑いと言っていても、朝夕はすでに秋の気配です。

 夏季休暇も終わり、現場も一気に4計画程進みだします。企画の提案、実施設計もまだまだ続きます。

 四半世紀前は頑張りたくても、知識も技術もありませんでした。

 今は自分の頑張り次第で、多くのことは解決しますし、質も上がります。

 25年前と考えると夢のようだと言っても間違いないのです。

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
巻頭インタビューが掲載されました

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
■2月3日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
■9月30日発売『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』「回遊できる家」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

水風土があう‐1721‐

 月曜日から続く、同級生のセカンドハウス訪問です。

 前日、最も早く寝てしまったので、朝は私が一番です。

 野辺山高原の朝は涼しく、小鳥のさえずりの中をジョギングにでました。

 走っていると、急に森が開けます。

 開拓記念碑とあるので、もとは森林だったようですが、大部分は畑となっていました。

 レタスのようです。まさに高原野菜。

 トラクターが作業をしていたので近づくと、農薬をまいているようでした。

 使用しないのが理想ですが、売り物である以上仕方ないのかもしれません。
 
 できる限り少なくして欲しいものですが、高原は非常に虫が少なく、そんなメリットがあるのかもしれません。

 標高1400mは涼しいのですが、太陽に近い感覚もあります。

 存分に太陽光を浴びたレタスは、瑞々しく、シャキッとしてみえるのです。

 沢山ある畑では、時間差で育てられているようでした。

 常に食卓に並ぶので当たり前と言えば当たり前ですが。

 昨日の新聞にも、長雨の影響でレタスが高騰し900円台という記事もありました。

 安いに越したことはありませんが、手間暇かけて育てられ、日本全国に届けられる訳なので、そんな時もあるでしょう。

 1万円と言われれば手がでませんが、普段の4倍感謝しながら食べるべきかもしれません。

 牛乳も地元のもの。

 パッケージを見るだけで美味しそうです。

 今回は立派なキッチンがあるので、料理モードは常にオン。

 地元の柔らかそうなサニーレタスがあったので、スペシャルサンドウィッチ2種盛りです。

 車での旅なら、必ずマイ調理キットを持って行きます。

 旅先での朝食は重要です。忙しない日々の暮らしと、一番違うのはここかもしれません。

 近くにある八ヶ岳音楽堂は、建築家・吉村順三の傑作と聞き、立ち寄ってきました。

 残念ながらリハーサル中で入ることができず。次回の楽しみにとっておきます。

 昼過ぎ、滞在のお礼をして帰路につきました。

 私の人生は、建築、野外、旅の三本立てだと書きました。旅の魅力は、見る、食べる、感じるです。

 高価なものでなくても、その土地や風土が育んだ味は心に残るもの。

 バンコクのパッタイ(焼きそば)、ホーチミンのフォー、ミラノのジェラート、パリのフランスパン、香港のエビチリと、風景や匂いと共に蘇ってくる味が沢山あるのです。

 今回食べたレタスは、実は同級生のお姉さんが生産したものでした。

 スキーに訪れていた縁で、レタス農家に嫁いだそうです。彼がこの地にセカンドハウスを構えるに至ったことにも影響を与えているはずです。

 「水があう」という表現がありますが、これは食も含まれているでしょう。

 風土という言葉もあるので、「風と土があう」まで満足すれば、そこは理想郷かもしれません。

 土地探しをしているクライアントに、「響くかどうかが一番大切」と伝えてきました。

 「響く」を分解して行くと、水、風、土という要素がかなり大きいのではと考え始めています。

 旅に出て感じる。だから旅は止められないのです。

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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

八ヶ岳の麓にて‐1720‐

 夏季休暇の後半は、信濃路を北へひた走ります。

 中央道が北向きから南向きへと変わるのが岡谷から諏訪湖にかけて。

 諏訪湖サービスエリアは景色がよいので、休憩に寄りました。

 甲高いエンジン音が聞こえてきました。

 小学生の頃大好きだった、カウンタックにそっくりですが、そのものなのでしょうか。

 車列を作って、本線へと流入して行きます。

 シザードアと呼ばれる、跳ね上げ扉を上げたり下げたりしながら走り去って行きました。

 何かしらの合図なのでしょう。

 子供達はかなりテンションが上がっていました。

 大阪から400km。

 清里の清泉寮までやってきました。

 前回訪れたのは10年以上前。少し景色が変わった気もします。

 普段と比べると随分空いているようで、名物のジャージィー牛乳のアイスクリームを食べました。

 娘は初めてかもしれません。

 この場所、この味で400円は良心的。

 更に北、別荘地の林の中を走ります。

 ありました。

 大学時代の同級生の作品、野辺山の家です。

 家となっていますが、彼の仕事場であり、セカンドハウス。実際には「仕事場」と呼んでいるそう。

 大学の同級生と書きましたが、実は28歳から29歳の頃、アトリエmで一緒に働いて貰いました。

 雇用するというよりは、私が鬱でどうしようもない時に、助けて貰ったというのが実状です。

 独立においては、常に私が先陣を切ってきました。

 しかし、彼は4年程みっちりとアトリエで勉強していたので知識も豊富。随分色々なことで助けて貰いました。

 昼過ぎに到着したのですが、焚火をしながら炭の準備をしてくれていたのです。

 休暇の前半は一緒に釣りをした中学1年生の長男君と、我が家の子供も合せて皆で食事の準備をします。

 食材の準備は基本私がしたので、夫妻と妻にはのんびりして貰うつもりです。

 しかし、ワンワンはどうにもクーラーの中身が気になってしょうがない。

 娘は、またとない機会とふれあいを楽しみながら、制してくれました。

 私も大好きなヘの字プランに囲まれたデッキで団らんする構図です。

 標高1400mは、流石に涼しい。

 クーラーは無く、夜はひんやりする程でした。

 少し早めの夕方4時半から食事がスタート。

 あとは焼いて焼いて、焼きまくるだけです。

 炭火に勝る調理法はそうありません。

 ステーキも焼き鳥も、かなり多めに買ってきたつもりですが、全て売り切れ。

 調理人冥利に尽きるのです。

 子供達はトランプやUNOを遅くまで楽しんでいました。

 安藤忠雄であっても、基本同業者はライバルです。

 彼も例外ではありませんが、助けて貰ったり、刺激を貰いあったりと、切磋琢磨してきました。

 その彼の「仕事場」に、コロナ下という状況もあり寄せて貰ったのです。

 焚火を見ながら、深夜まで語らうイメージでしたが、朝早かったせいもあり、10時頃に私だけがもう夢の中。

 しかし言葉が無くても刺激は十分でした。

 この大自然の中に、セカンドハウスなり別荘を持つということが、これ程豊かなことかと体感できたのですから。

 贅沢ではなく「豊か」と表現したいのです。

 3話完結と書いたのですが、前言撤回でもう1話だけ引っ張ります。

 翌朝の美しい景色もあり、仕事、家、家族についてもう少し書いてみたいと思います。

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やっぱり釣りが好き‐1719‐

月曜日に長男を橿原神宮前まで送り届けた後、スーパーで食料を補給。

169号線を南下し、再び池原ダムに戻ります。

明日香村を通るので、古墳らしき丘をいくつも見ることができます。

いつも通過するだけですが、景色がのどかでとても好きな道なのです。

戻ると夜になりましたが、食事を準備し終えた頃、友人親子がバンガローに到着しました。

中学一年になった長男君は、バスフィッシングが大好きと聞き、昨年のゴールデンウィークにも招待しました。

この時は思ったように釣らせてあげることができずで、帰着後の桟橋で小バスを2匹釣っただけでした。

それが人生初のバスで、以降は釣れていないと聞ていました。

それでもバス釣りが大好きと聞き、今年のゴールデンウィークも再度招待していたのです。

しかし緊急事態宣言で全てキャンセルとなり、夏季休暇でのリベンジとなりました。

明日は何としてでも釣らせねばと思いながらも、遅くまで友人と話し込んでしまいました。

朝一、池原ダム最大の滝に到着するやいなや、1匹目を釣り上げました。

お父さんもこれでひと安心。

しかし彼もどんどん釣り上げて行きます。

このあたりは親子であっても遠慮はありません。

入れ食いとまでは行かないまでも、2人とも10匹近くは釣ったと思います。

何より、これだけ嬉しそうにしてくれたなら、プラクティスした甲斐があるというものです。

これが彼の最大魚だったでしょうか。

暑くはありましたが、風も穏やかで釣りやすい一日でした。

池原の大自然と共に楽しんでくれたなら何よりです。

長男と合せて、三日間ガイドに徹しましたが、見てまわると色々な情報が手に入ります。

その後の二日間、頭をフル回転させて池原全域をひとりで回りました。

翌日は42cmまで。

夕まずめの、流れ込みがらみでした。

翌々日は54cmまでを。

朝一番の岬を回遊する魚をサイトで。

どちらもイメージ通りに展開できた、納得の魚です。

5日間、朝から晩までただ釣りをしました。生まれて初めてのことです。

昼間は暑いので休憩しますが、それでもクタクタになるまで釣りをしました。

バンガローと桟橋を通勤のように往復する日々が、これ程幸せな時間だったとは……

バス釣りの魅力は色々ありますが、考えれば考える程、上達することだと思います。

多分、中学生の彼と変わらないくらい好きなのだと思います。

実はこの答え合わせ、必ず正解を見つける必要がありました。

その訳は次回に。2度引っ張りましたが、次回の3話で完結です。

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