タグ別アーカイブ: 一級建築士事務所

ちょっと相当ヤンチャな愛嬌‐1709‐

 平時なら青葉美しい季節ですが、今年は休まる時がありません。

 梅雨とは言え、これだけ雨マークが続く天気予報はなかなか……

 「令和2年7月豪雨と命名」という記事がありました。

 地域名が入っていない通り、九州から東海、東日本に至るまで、日本列島を覆う程の雨雲をみると、不気味にすら感じます。

 河川の氾濫によって、濁流に家や田畑をのまれた人達の気持ちを慮ると、やりきれない気持ちになるのです。

 近所の中学校は開校していたようですが、電車通学の我が家の兄妹は2日続けての休校でした。

 土曜も学校があった私達世代と比べると、ことしの登校日は半分くらいになってしまうかもしれません。

 縁あって、中学・高校の同窓会の世話役代表を引き受けています。

 開催日をオリンピックイヤーの12月30日と決め、2004年に第1回を開催しました。

 2016年の第4回が最多で64名の参加。

 同窓生270名のうち、100名くらいが参加してくれる会になればと思い、4年に一度だけ、母校と同窓生のために頑張っているつもりなのです。

 前々回から、会場は大阪マルビルの第一ホテル、開始時刻も17時に固定しました。

 そんな関係で、私が進行もさせて貰っているのですが、3時間程かけて参加者全員が、順に近況報告をするだけ。

 だけなのですが、とにかく楽しいのです。

 普段連絡を取り合っている訳でもないのに、完璧な間合いでつっこみが入り、盛り上がります。空間がとても温かいのです。

 今回案内を出すと、2割くらいの返信がありました。

 その中に、当時現代文を教えてくれた中條先生からのものがありました。

 この6月に『蒼穹』(そうきゅう)という俳句の句集を出版されたとのこと。1冊送って下さったのです。

 すでに重版されているとのこと。1句触れてみたものがあったのですが、俳句はあまりにも知識がなく、もう少し勉強してからにします。

 ご自身のブログにそのやりとりをUPして貰っています。

 宮本輝の『優駿』と志水辰雄の『散る花もあり』を教えて貰ったのが中條先生で、どちらもストーリーが刺激的なのですが、リズムの良さ、文章の美しさが印象に残っています。

 もっと正直に言えば、折角書くなら、このレベルまで行ってみたと、心のどこかで思っているのですが。

 私の印象としてこう書いて下さいました。

「モリヤ」という呼び名の響きとちょっと相当ヤンチャな愛嬌ですね。そのずっとあとになってビフォーアフターで匠(アゲイン)を伝え聞いて嬉しかったですね。

 当時のあだ名が「モリヤ」で、かなりソフトに書いて貰ったのですが「相当ヤンチャな愛嬌」という表現がすっかり気に入ってしまったのです。

 来年が定年とのことで、最後はこう結ばれていました。

 こんなに嬉しい教え子からのメールは本当に久しぶりです・・・楠葉の花屋さんと同期でその彼のことは「激務をぬって二、三度出席してくれたはずです。」と教えてくれました。

2021年の歳末には激務ではないと思いますが…万難を排して出席させていただきたいです。

 母校である高槻中学・高校をどう書くかは難しいのですが、近年共学となり、更に偏差値を上げていると聞きます。

 弁護士、医師、上級国家公務員と錚々たるメンバーに加えて、パチプロをしている同窓生がいるという話もあります。

 中條先生も参加表明をして下さり、そんなユニークなメンバーの前に立つ訳ですから、毎回何かしらの結果を出して、参加したいと思っています。

 2004年、「平野西の家」が初めてのテレビ放映。

 2008年、「境内の中にある家」が『スーパーニュース』で密着取材。

 2012年、「住之江の元長屋」ビフォーアフター』出演。

 2016年、阿倍野の長屋住人十色で放映。初めての著書出版報告。

 発売は2017年という裏技でしたが、オリンピックイヤーは特に結果にこだわるのです(笑)

 第5回は、1年伸びた5年分の成果、関西建築家大賞という結果を持って参加したいと思っています。

 同窓会の世話役は、楽しみであり、遣り甲斐であり、励みでもあるのです。

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
巻頭インタビューが掲載されました

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【News】
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
■2月3日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
■9月30日発売『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』「回遊できる家」掲載
■7月21日BS朝日『大改造!!劇的ビフォーアフター』「住之江の元長屋」再放送
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

人生に遅すぎるということはない‐1708‐

 2016年4月の熊本地震の後、飛行機で現地へ向かいました。

 JIA(日本建築家協会)が被害認定調査の支援活動参加者を募ったのです。
 
空からみた第一印象はやはり「水の国」でした。

 私が担当した震源地すぐ近くの嘉島町も、水が豊かで本当美しいところでした。

 実際、町営の湧き水プールがあるのです。

 当時は凄惨過ぎてこの写真はUPしませんでした。

 一緒に調査をした町役場の方たちは、日常を取り戻しておられるのか……

 今回の豪雨では、日本三大急流に数えられる球磨川が氾濫しました。

 球磨川は熊本市の南にある八代市に流れ込んでいます。

 九州上空で、大きく旋回したあたりのような気がします。

 火の国であり水の国である熊本に、一日も早く、平穏な日々が訪れることをただただ願うのです。

 昨日、建築士試験の監理員というものを初めて経験しました。

 新型肺炎の影響で、席の使用率を50%まで減らすことになり、会場が変更になりました。

 使用部屋数が増えると、必然的に監理員も多く必要になり、普段の体制では人手が足りなくなったそうです。

 建築士会の分科会から、監理員が足りていないという連絡があり、お手伝いすることにしました。

 会場は大阪経済大学。

 大阪市内にも関わらず、明るく、緑も多い。

 こんな機会でもなければ、訪れることは無かったと思います。

 昨日は2級建築士の学科試験でした。

 私は1級を25年前に一度受けただけなので、記憶があまりないのですが、学科試験は午前は3時間、午後3時間。

 受験者はヘトヘトになっていました。

 私達は3人の監理員で90名程を担当したのですが、ベテラン監理員の方が「午後は結構辛いよ~」と言っておられました。

 私はむしろ新鮮で、6時間かけてじっくり真剣な受験者を観察させて貰いました。

 個人情報に関わることは勿論書きませんが、学校を卒業してすぐの若者世代が一番多くはありますが、上は同年代の方々まで。

 幅広い年齢層が、同じ条件での国家試験に挑みます。

 一番驚いたのは、左利きの人が8%もいたこと。

 私達の時代なら、書くのは右と矯正されたのが、現在はそこまでしないのだろうと想像していたのです。

 いくらかの謝金と共に、お昼はトンカツ弁当。

 非常に美味しかったですが、オペレーションの関係で11時が私の昼食時間でした。帰る頃にはかなりお腹が鳴っていたのです。

 学科試験の発表は8月末あたりで、合格者は二次試験となる製図試験に臨みます。

 合格率は1級で8~12%、2級で20~25%となっていました。

 2級、木造建築士と、規模や種別に制限のあるものもありますが、業務独占資格と言われるものです。

 ある規模以上の建築物を建てるには、建築士が必ず設計しなければなりません。

 業務独占資格なので、免許さえとってしまえば、いくらでも仕事があるかと言えば勿論そんなことはありません。

 車の運転免許証と同じで、運転しても宜しいと言って貰っているだけで運転が上手いとは限りません。

 もっと言えば、2種免許を持っているはずのバスの運転手でも、運転が下手な人はいくらでもいるのです。

 1級建築士について尋ねられた時は、いつも「普通運転免許証と同じレベルです」と答えてきました。

 建築設計を仕事としたいなら、持っていて当たり前なので、謙遜している訳ではありません。

 これまでは「これが、弁護士資格や医師免許なら違うのでしょうが」と付け加えていました。

 現在進んでいる計画の半分が医師の方なのですが、「医学部に行っても、国家試験を通らないと、ただの体に詳しい人で終わってしまうんです」と笑っていた方が居ました。

 聞いた時に私も笑ってしまいましたが、なるほどその通りです。医師として生きるには必須ですし、持っていれば名医ともなりません。

 あくまでも必要条件なので、資格を語る人は最低ラインを見ているのだということが分かってきました。

 約90名のうち、何人が製図試験に進むのでしょうか。

 大変そうな顔をしている受験者に、「ちょっと視線を上げてごらんよ。必ず合格するから」と伝えて上げたかったのですが、勿論そんなことは出来ません。

 天災が起った時は、特に気が引き締まります。

 建築は幸せを実現する為にあるものですが、非常時にはクライアントとその家族の命と財産を守るという役割も担います。

 物創りにおいて、建築設計において、妥協など一切許されないのです。

 そうそう、同年代の受験者に安藤百福さんの言葉を贈ります。

 人生に遅すぎるということはない 

 彼がチキンラーメンを発明したのは48歳ですから。

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
巻頭インタビューが掲載されました

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■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
■2月3日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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毎回、食事は真剣‐1707‐

 明日からは雨が続くようで、今のうちにと現場を回ってきました。

 商店街の入口に昔ながらの八百屋さんを見掛けました。

 こちらの商店街もシャッターが目立ちますが、奮闘しているお店もちらほら見えます。

 左に見えるバケツはおつり入れでしょうか。

 ゴムで伸びるザルからおつりを取り出し、新聞紙を巻いてくれる風景もすっかり見なくなりました。

 手書きの値札に、発泡スチロールの陳列台。

 これなら、季節季節の変化もた易いでしょう。

 イチジクの甘い香りに誘われて、近所の畑をのぞいてみます。

 カボチャの黄色い花が咲いています。

 実は葉に隠れて上手く撮れず。

 トウモロコシ。

 ナスビ。

 そしてトマト。

 まだ熟していませんでしたが、夏野菜が勢ぞろいです。

 夏野菜、何とも美味しそうな響きなのです。

 2004年に亡くなっった、作家・水上勉の「土を喰う日々-わが精進十二カ月」は、食に関する珠玉のエッセイです。

 軽井沢での四季の食卓を綴ったものですが、その暮らしぶりには、幼い頃を過ごした禅寺で経験が生かされています。

 貧しかった家庭の事情で、京都の禅寺に預けられたのですが、寺の畑には何もないような寒い時期、来客に食事を準備する場面で、師にこう教えられます。

 「ご馳走とは、旬の素材を探し、馳せ走ってもてなすことだ」

 料理であれ、仕事であれ、全ては心の所産です。

 気持ちの入ったハードワークの先に、悪い結果など出るはずがないのです。

 ある女性クライアントのお母さまが、「下の娘は、仕事が終わると『今日のご飯は何?』と必ずメールしてくるのよ」と笑いながら教えてくれたことがあります。

 こちらの女性、クラッシックバレエのダンサーで、ロシアへの留学経験もある方。

 「毎回、食事は真剣ですから」と言われていました。

 その気持ち、よく分かります。

 出来る限り体を動かすようにはしていますが、それでもバレエダンサーと比べると雲泥の差。

 それで、月水金は出来る限り粗食にし、火木土日を「食べて、飲んで良い日」にするというシステムを思いつきました。

 打合せの関係もあるので完全ではありませんが、15年位は概ねのようなリズムとしています。

 今日は木曜日。

 妻からタイの昆布じめとトンカツだと聞いています。聞いているということは、私にとっても「毎回、食事は真剣」なのです。

 冷えたビールと美味しい肴。適温のキャンティとカマンベールチーズが少しあれば、そこは私にとっての天国。

 今日はもうそんな口になってしまったので、そろそろ上がることにします。

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
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■2月3日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
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においKY‐1705‐

 いつもと違う道で会社へ向かっていると、何か違和感が。

 分譲地ができたてのようです。

 ここは確か……

 奥山牧場だったところ。

 住宅地の真ん中に牛を飼っている牧場があったのです。
 

 ときどきのぞいていたのですが、一番新しい写真は2017年9月のものでした。

 もし書くなら、あることを書かざるを得ないので、ここで詳しく書いたことはないはずです。

 入口からのぞくと、いつ行っても愛らしい目でこちらを見つめてくれるのです。

 一番古い写真は2009年8月でした。

 長男が4歳の頃なので、一緒に見に行ったのだと思います。

 ネットで探してみると、大阪市内最後の酪農家で、堺に引越したようです。

2018年3月25日 奥山牧場 堺へ移転決断

大阪市内唯一の酪農家が、堺市内の酪農団地への移転を決めた。長年、住宅街で乳牛を飼養してきたが、規模拡大とともに牛にとってのより良い環境を求めての決断。全国で事業承継が課題となる中で親子で家業を守り、移転後は頭数を1.5倍にするなど「希望の持てる場所」。これまでの地域への感謝とともに、次代の担い手は酪農経営の明日を見据える。

市内で酪農を営むのは、奥山牧場(平野区)の代表、奥山雅則さん(61)と長男の恭平さん(30)。現在は乳牛を50頭を飼養し、年間約400トンを出荷している。

飼料も工夫し、近隣の食品工場の食品残さを飼料に活用するなど、経験を生かした高い乳質も評価されている。移転は6月を予定し、計画では84頭に拡大する方針だ。

 最後に寄った半年後には引越していました。

 市内に暮らし、すぐ近所で牛を見れることはそうないでしょう。

 愛くるしいうるんだ瞳をみるていると、何とも癒されます。

 ただ、済んだことなので書きますが、勿論臭い!

 私の家からは1km程離れているので、流石に届きませんが、風向きによっては数百メートル離れていても、あの独特の臭いが漂ってきます。

 建築基準法では、用途地域によって建築可能な建物の種類が決められています。

 あの場所に牛舎を建ててよいか、などの細かいことを調べたことはありませんが、ちょっとKYかな(古い?)、とは思っていました。

 テレビ電話での打合せが増えました。

 夏のこの時期、クライアントのお宅に伺う際は、やはり多少のエチケットは必要です。

 しかし画像から匂い(臭いではない)は伝わらないので、気が楽と言えば楽。しかし、リアリティがないと言えばリアリティがない。

 先輩の車の芳香剤の香り。

 冬と春の変わり目の朝の匂い。

 ある香水の匂い。

 匂いは一瞬で記憶を引き戻す、最も強いスイッチです。

 奥山牧場の臭いが懐かしいとは言いませんが、これで平野区も無味無臭の都会となりました。

 一番思うのは、それを許容していた近隣の人達が凄い、ということです。

 先にあったんだからしょうがない。そういう考え方が昭和の日本にはあったのです。

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
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■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
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土師ノ里で、逃げ恥を考える‐1704‐

 議員が直接葬儀に参加した場合の香典は合法。参加していない香典は違法。

 元法相逮捕に関連する記事にこんなことが書いてありました。法律というものは、随分細かく決められているものだと驚きます。

 他人のことは気にしませんが、「恥を知れ」と言いたくなる報道もままあるものです。

 近鉄南大阪線にある土師ノ里駅は、ちょっと見たことのない景色の中にあります。

 恥ノ里でなく、土師ノ里(はじのさと)。ということで、ただの駄洒落です。

 それはさておき、ここは古墳と古墳の間に挟まれた駅。

 古墳銀座の銀座四丁目みたいな所です。

 駅の南西にある仲津山古墳の陪塚である鍋塚古墳。

 案内には、一辺40mとありますがほぼ円形に見えます。

 頂上まで登ることもできます。

 鍋塚古墳の上から北東を見下ろすと、土師の里駅と背後に市野山古墳が見えています。

 先の仲津山古墳とともに古墳時代中期とありますから、4~5世紀のもの

 全長200m以上の古墳が、住宅街に頻出する風景はなかなか無いものです。

 世界遺産、百舌鳥・古市古墳群をまたぶらぶら歩きに来てみて下さい。

 古墳築造のスペシャリストと言われた「土師氏」に由来し、土師ノ里という地名になりました。

 それから1000年程時代を下ると覇王、織田信長が登場します。

 司馬遼太郎はこう語っています。

 信長の面白さは、桶狭間の奇襲や長篠の戦いの火力戦を創案し、同時にそれを演じたというところに象徴されてもいいが、しかし、それだけでは信長の凄みがわかりにくい。

 むしろ朽木街道を疾風のごとく退却したところにあるだろう。

 1570年、越前朝倉氏との戦いにおいて、北近江の武将、妹お市の方の夫でもある浅井長政の協力で敵陣深くに攻め入ります。

 そうして敦賀の金ケ崎に陣を構えると、浅井長政が裏切ったという一報が入ります。

 織田軍は3万、敵軍は2万と、戦う選択もありましたが、信長がとった行動は退却でした。
 
 挟み撃ちを逃れるため、唯一の逃げ道と言ってよい、朽木街道を疾風のごとく退却したのです。

 「逃げるは恥だが役に立つ」というドラマがヒット中で、「逃げ恥」と略されるそうです。

 調べて見ると、原作はコミックでハンガリーのことわざの和訳「恥ずかしい逃げ方だったとしても生き抜くことが大切」からとったそうです。

 朽木街道を疾風のごとく退却した3年後、信長は浅井長政と朝倉義景を討ち、天下統一にあと一歩のところまで迫ります。

 攻めることは副将でも可能ですが、退却だけはトップしか判断できないこと。

 全ては生き抜くため、または幸福へ向かうための決断でなければならないということです。

 日本初のキリシタンとも言われる新しいもの好きの信長ですから、ハンガリーのことわざを知っていたのかもしれません。

 やはり過去とは学びで、ロマンです。

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
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プロとアマの違い‐1703‐

 今日、明日はしっかりした雨が降るようです。

 近頃の雨はまとまって降るので、できれば梅雨らしいシトシト雨が希望なのですが。

 天の気分が私の思うようになるはずもなく、今朝もパラパラと降ってきました。

 少し遠回りしてツバメの巣の前を通りました。

 昨日、巣立ったようです。

 寂しい気持ちもありますが、もう3匹が過ごすには狭すぎる感もありました。

 自然界には、一切無駄が無いのだと改めて教えられます。来年も見れると良いのですが。

 近くの保育園の植込みでは、ビヨウヤナギが花を付けていました。

 この時期に咲く黄色い花は少なく、自然と目に入ってきます。

 初めて植栽に採用したのは「下町のコンクリートCUBE」でした。

 大阪で住宅を設計する場合、1、2本の庭木を選ぶことはあっても、庭をデザインする機会はそれ程ありません。

 「下町のコンクリートCUBE」は敷地の半分が庭だったので、植栽の本を買ってきて、また実際に庭樹園まで足を運び、私なりに勉強しました。

 正面にある中木はアオダモで、塀越しに見えているのはヤマモミジです。

 キッチンに立つと目線の先には、左からシロヤマブキ、ヒメシャラ、ビヨウヤナギ、キソケイ、シロヤマブキ。

 右手にヤマモミジが少し見えています。

 2006年、植栽工事の時の写真です。

 一緒に仕事をした造園会社の社長は自らクワを持つのですが、色々と熱心に教えてくれたのです。

 同じく2006年完成の「サロンのある家」の奥さんも、庭木にとても詳しい方でした。

 植栽工事は金額が合わずだったのですが、正面、裏庭とも、ほぼご自身で完成させた程。

 正面右端に、ひょろっと伸びているのはジューンベリーです。

 花、実、紅葉と三拍子そろった庭木で、2010年の「イタウバハウス」でも採用しました。

 何と言っても、ご主人お手製のルーバーがポイントですが、遊び道具でもあり、正面のマンションからの目隠しでもあります。

 ジューンベリーというくらいですから、この時期に実をつけます。

 収穫し。

 ジャムになった写真を送ってくれたのです。

 3~4mの擁壁の上に建つ「高台の家」

 こちらのご主人も、建物と同様、庭木にもこだわりのある方でした。

 シンボルツリーは中央のヤマボウシ。

 「サロンのある家」と同じく、減額で植栽工事がなくなったのですが、近所の庭木屋さんに通い、こつこつと植樹されたのです。

 多様な木々を上手く組み合わせ、配置されています。

 何本かあるスラッとして、葉がカールしたような木はハイノキ。

 常緑樹にも関わらず葉が細やかという点ではソヨゴと合せて貴重な存在です。

 こちらのクライアントに教えて貰いました。

 初めは砂場だったところはミニ農園となりました。

 「高台の家」の植栽図面の一部です。

 植栽計画を私がした訳ではありませんが、伺った時にメモをとり、図面化しておきました。

 樹木名の後に、落葉か常緑か、広葉樹か針葉樹か、花の時期と花の色が書いてあります。この図面では外していますが、内部資料には100点満点での評価付けもしています。

 プロとアマの違いは、それに掛けられる時間の量、すなわち仕事として選ぶのか選ばないのか、その一点だけのような気がします。

 これだけ自在に情報が手に入る時代なので、こだわりの家を建てようかというクライアントは、私以上に知識を持っていることは普通にあります。

 インテリアに詳しい奥さんなら「今の流行は○○ですよね」と尋ねられ、その言葉を知らないこともありました。

 しかし、最終目標はクライアントにとって幸せな建築を創造することですから、私が知っていても、奥さんが知っていても、どちらでも構いません。

 重要なのは全てを踏まえ、何を選択するかです。建築は多くの部位があるので、その選択は組み合わせによって無限に変化もするのです。

 初めは不安ばかりだった植栽計画ですが、今はむしろ楽しみにしています。最後の仕上げといった感じでしょうか。

 そもそも悪い庭木などないので、余程うがった見方をしなければ、失敗などあり得ないのですが。 

 お代を頂いて設計、デザインをさせて貰っているクライアントから、学ばせて貰ったことがどれだけ沢山あったことか……

 ビヨウヤナギを見かけてはYさんを思いだし、ジューンベリーを見てはTさんを思い出し、ハイノキをみてはHさんを思い出します。

 プロとアマの違いは、仕事として選ぶかどうかだけと書きました。もう一点だけ付け加えるなら、悪い木などないと知ることでしょうか。

 結果を出す為に皆が全力を尽くし、結果が出ないということの方が矛盾するのです。 

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
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5S-7S‐1699‐

 今週末はようやく野外へ出られるかなと、週間予報が気になります。

 春の花から主役はアジサイへ。

 もし、あのウィルスが湿気を嫌うなら、梅雨さえ待ち遠しいのです。

 2005年頃だったか、初めて経営者の勉強会に参加させて貰いました。

 ある方が「付き合いは広い方が良いだろうし」と声を掛けてくれたのです。

 そこで「5S」という言葉を初めて聞きました。

 ①整理 ②整頓 ③清掃 ④清潔 ⑤躾(しつけ)

 頭文字がSで始まる5つを並べたものです。

 経営者なら普通は知っているのだと思います。

 物創りとアートが好きでこの仕事を始めたもので、経営やリーダー論などには全く興味がありませんでした。

 しかし言葉の定義を教えて貰い、面白いなと思いました。

 ①整理=要、不要を分け、不要なものを排除すること

 ②整頓=理にかなった配置にすること

 特に①には軽く衝撃を受けました。整理とは要らないものを「捨てる」ことだったんだと。

 人員整理などという言い方がイメージしやすいかもしれません。

 仕事場で特に長い時間を過ごしたこの2ヵ月。こつこつと「更に5S活動」をしていました。

 時間を大切にしている人の話は説得力があります。

「うえだクリニック」の院長に、モニターを持ち上げるアームはとても良いですよと教えてもらいました。

 良いと聞けば何でもやってみます。

 そのアームを上の棚につけ、モニターを完全に浮かせました。

 大きな図面はモニター後ろまで滑りこませることができます。空間は立体的に使うと、累乗的に価値が増すものです。

 正面はマグネットが付くブラックボードなのでメモの入替がスピーディです。

 机の上、50cmのところにある棚は、座ったまま手が届き、24インチのモニターが入るギリギリの高さ。

 右端の棚は、カタログに挟むしおりとエアコンのコントローラー置場。

 色にもこだわっています。

 付箋は10色+白と茶があるので、10件までは色を見ればすぐに分かります。

 初期段階と中盤以降に分けて、各色に2件割り当てれば、20件まではスムーズに進められるイメージ。

 本棚にあるサンプルBOXも色で認識できますし、小さい方の付箋で売っていない色はカットして作ります。

 クリアファイルも同じく10色あります。

 クライアントのパーソナリティと計画の方向性でイメージカラーを決めるのですが、ここは慎重に考えます。

 少なくとも1年位は計画と色が連動するので、しっくりこないと嫌なのです。

 若い頃は2件仕事が重なれば、嬉しくも大変だ大変だと言っていましたが、かなりの計画を並行して進められるようになりました。

 並行して仕事をすると濃度が薄まるかなと思っていたのですが、全く逆でした。

 ひとつ懸念が浮かんだとすれば、全ての計画をチェックできます。反対に良いアイデアも全てに反映できるのです。

 大きく机に広げて見るのではなく、アニメのセル画のように全てを重ねて見るイメージです。

 とても良かったので、実務的な話もひとつ書いておきます。

 最近パソコンのスピードが落ちた気がしたので対策をしてみました。

 このサイトはとても分かりやすかったですし、実際かなり軽くなりました。

 ①できるだけ外付けHDDにデータを移行、⑦Google Chromeの同期する情報を減らす、⑧エクスプローラーのフォルダオプションを出来る限り無効化、が特に効果がありました。

 ⑧は全て無効にするとかなり軽いですが、テキストが読み難いので、私の設定は以下の通りです。

 5Sに「Speed」を加えたり、ある自動車メーカーは「死ぬまで働け」もあったと聞いたことがあります。

 どんな立派な人でも1日は同じ24時間です。

 同じ時間をどう使うか、また自分の居る空間の価値をどれだ高められるか。工夫し、改善した結果が出た時は単純に気分が良いのです。

 6番目に「Speed」、7番目に「Success」を加えて、当社は7Sで行きたいと思います。

A photograph is wonderful.
2018年1月 山形/蔵王

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
巻頭インタビューが掲載されました

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
■2月3日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
■9月30日発売『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』「回遊できる家」掲載
■7月21日BS朝日『大改造!!劇的ビフォーアフター』「住之江の元長屋」再放送
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

見える景色が変わるから‐1698‐

 6月は旧暦で言えば水無月。

 「水はありすぎるけど」となるのは、旧暦と1ヵ月程の誤差があるためです。

 しかし、7月や8月を「水無月」と呼ぶよりは良い気がします。やはり何でも後回しよりは前倒しですから。

 新型肺炎の影響で銀行業務が縮小されたり、メーカーからの見積り提出が遅れたりで、着工が遅れ気味のプロジェクトもいくつあります。

 その中で、契約工期の前に完成しそうな「ときめく紺色の家〈リノベーション〉」

 ようやく足場が外れたので、良ければ「現場日記」ものぞいてみて下さい。

 出掛けるのは現場行きとジョギングくらいで、その道程だけが外界を目にする機会でした。

 この古墳にはいつも目が行きます。

 年配の方が写真を撮っているなと思ったら、菖蒲が花をつけだしていました。

 県外移動自粛も今日から解除。これまでの分まで「お出掛け」したいものです。

 どうしても食事の写真に頼ってしまったこの期間。

 締めくくりは関西のソウルフード、お好み焼きです。

 意外にも、一番人気はモダン焼きでした。

 私はソバを炒める派。

 「カリカリで美味しい!」と子供達もなかなかの食べっぷりでした。

 ネギ焼きは製作途中の写真のみ。

 焼きながらなので写真はどうしても……自慢のネギ焼きはまたの機会に紹介します。

 長男も今日から授業が始まるので、早起きして降りてきました。この期間で一番カリカリ来ていたのが、長男の朝が遅いことでした。

 勉強云々より早起きする習慣を保つことのほうが、学校の価値は高いかもしれないとさえ思った程です。

 玄関を出る前にバタバタしているので聞くと「定期が見当たらない」と。

 「後回しにする人で、立派な人を見たことがないといつも言ってるだろう」とまたカリカリ来ていると定期が出てきて、妻が送って行きました。

 一本早めの電車に乗っているので、それでも友人との待ち合わせには間に合うとのこと。「よく分かってるじゃない」と、怒ったり褒めてみたり。

 高校時代、数学の先生が「一本早い電車で登校してみなさい。見える景色が変わるから」と言っていました。

 ギリギリ間に合ったことを自慢する方が多数派で(勿論私も!)、この意味が分かっている生徒は少なかったと思います。

 人は機械ではないので、スケジュールがタイトになればなる程、良い習慣なら崩してはならないと思います。

 朝のジョギング中、問題解決のヒントや、プランのキーになるアイデアが浮かんだことが何度あったことか……

 その数学の先生は、確か実家に戻りお寺を継がれたはずです。

 「君オリジナルの考え方で解いてもいいんだよ。ただ、それならこの解き方が正しい事から証明しないといけないね」とも言っていました。

 学生時代は言う事も聞かず、反発もしていましたが、全て先生の言われた通りで、それを伝えても受け入れてくれないところまで一緒です。

 この世は輪廻転生。

 お詫びの気持ちと、感謝の気持ちを、今ならお伝えしてみたいと思うのです。

A photograph is wonderful.
2014年11月 滋賀/石山寺

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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

サツキを見ると思い出す‐1697‐

 遠出がないので、普段の生活は殆どが自転車で事足ります。

 このような状況でなければ、近所をウロウロする機会などそう無かったかもしれません。

 大自然は無理なので中自然をもとめて大和川へ。

 母校の校歌にもでてくるのですが、高度成長期には最も汚い川のひとつでした。

 大阪湾の水質が改善され、プランクトンが減ったのでイカナゴが不漁というニュースもありました。

 イカナゴは好きですが、自然が美しくなるならそのくらいは我慢できます。

 車が通らない道は、ランナーや通学中の学生が行き交います。

 穏やかな日常が少しずつ戻ってきていることを実感するのです。

 春先のツツジに続き、サツキも満開です。

 満開と言いましたが、咲き始めなのでツボミも見えます。

 満開になれば目が行きますが、いきなり花がさく訳でないのは、仕事も勉強も同じ。

 私は浪人している上に、仮面浪人までしていたので、車の免許を取ったは20歳の春です。

 合宿免許で取得したのですが、その合宿地が宮崎県の都城でした。

 近大の生協で申し込んだのですが、阪大、神大、関学、電気通信大など様々な大学から参加者がありました。

 合宿免許は、試験に落ちる追加費用が掛かったはずです。

 それもあって、授業や試験は皆真剣。私は全てストレートで合格したので(小さい自慢で……)、結構空き時間がありました。

 他大学の子とも連れだって、色々なところに遊びに行きました。同じような年頃の男女が集まるので、とても楽しいのです。

 時間が余っていたこともあり、「みんなで霧島にでも行こうよ」と声掛けしました。

 15人くらいだったか、電車とバスを乗り継ぎ、霧島に登りました。もう30年も前のことですが、とても楽しかったことを覚えています。

 大阪に戻って、生まれて初めてドライブに誘った女の子も、その中に居ました。

 私は近大の1回生で、彼女は阪大の4回生でした。

 付き合っている人が居るとのことで、ドライブは1度きりでしたが……

 キリシマツツジという種があるくらいですが、霧島でサツキが咲いていたのでしょうか。

 サツキを見ると、なぜかこの霧島行きをいつも思い出します。

 誰も聞きたくないと思いますが、20歳の楽しく、甘酸っぱい思い出でした。

 思い出を書いているということは、そろそろネタも本当に尽きてきました。

 来月から、本格的に野外活動を再開します!

A photograph is wonderful.

2017年7月 宮崎/高千穂峡

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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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キネマの神様、本の神様‐1695‐

 今年度は、落ち着かない4月からスタートしました。

 一年で最も気持ちの良い時期、八十八夜も過ぎ、あっという間に5月も下旬に。

 キンカンの実を照らす日差しは、すでに初夏を感じさせます。

 本日、関西の3府県もようやく緊急事態宣言が解除されました。

 4月8日の宣言から43日。

 関東圏と北海道の方には少し気兼ねしますが、誰もがほっとした表情に見えます。

 完全に収束した訳ではありませんが、出口があるとさえ分かれば人は頑張れるものです。

 帰りが遅くなった時でも、一行でも本を読むように心掛けています。

 この自粛期間中で面白かった本は、まず恩田陸さんの『蜂蜜と遠雷』。

 ピアノコンクールを舞台に、才能ある若者が個性をぶつけ合うのですが、音楽を、更にクラッシックを、ここまで言葉で表現できることに関心しました。

 キーとなる人物、若き天才ピアニスト風間塵の扱いが少し雑なのは気になりましたが、読者を楽しませるエンターテイメントにまで仕上げるのですから、直木賞、本屋大賞を唯一W受賞の看板は伊達ではありませんでした。

 連載10年も凄いですが装丁も素晴らしい。

 もう一冊は原田マハさんの『キネマの神様』。

 亡くなった志村けんさんが主役を務めるはずだったあの映画の原作です。

 原田マハ作品は今年読み始めたばかりですが、『楽園のキャンバス』 『本日はお日柄もよく』に続いて三冊目。

 少しだけあらすじを書くと、39歳独身の女性が大手ディベロッパーの課長職を辞するところから物語は始まります。

 映画とギャンブルが大好きな彼女の父親が、傾きかけた映画雑誌社と小さな名画座を救うというハートウォーミングな物語。

 救った手法を書いてしまうと、未読の人の楽しみを奪いかねないので止めますが、ファンタジーのようでもありました。

 考えてみれば、本と模型とカタログに囲まれた半生です。

 建築設計を仕事にしてから25年経ちますが、関連の本も増える一方。

 ベースが乱読なので、小説、哲学書、写真集に実務書と、もう本に埋もれて働いてると言っても過言ではありません。

 ペーパレス時代に完全逆行していますが「物」が好きなのだと思います。

 時間を持て余していた子供達に「本と映画なら全て補助してあげる」と伝えると、彼らは日に一本ペースで映画を観ています。

 それがいつからかアメリカのテレビドラマに変わっていました。映画は大好きですが、続き物のドラマは少々苦手。

 子供にも、何故テレビドラマでなく映画を観て欲しいのか上手く説明できないのですが、本と映画にはいつも誰かの本気を感じるのです。

 勿論、ドラマも本気で作られているはずですが、限られた時間、紙面の中で描かれる人生模様を垣間見るのが好きなのだと思います。

 「キネマの神様」の帯には「本の神様ありがとう!!」とありました。

 粋なメッセージですが、神様はこの世に存在するとも、しないとも言えます。

 神様は人の良心が作り上げものだとするなら、私が垣間見たいのは誰かの良心なのかもしれません。

 神様≒良心は、ぼんやりしたところが苦手で、本気の場面でしか見掛けることが出来ない。

 そんな気がするのです。

 全て勝手な空想なので、ドラマ好きの人へはごめんなさい。

 実際、『24-TWENTY FOUR-』は寝られないくらい面白かったテレビドラマでしたし。

A photograph is wonderful.
2017年5月 青森/白神山地

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