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鉄骨ラーメン?‐1894‐

先日、「鉄骨造って安全ですか?」という質問がありました。

「構造計算通りの強度を出せる、とても丈夫な構造体ですよ」と答えました。

ただ、言葉だけではもうひとつ説得力がないなと。鉄骨ラーメン構造の躯体が出来上がるまでをまとめてみました。

ちなみに「ラーメン」は柱と梁といったフレームだけで成立する構造体を指します。

ドイツ語で額縁を意味する”Rahmen”と書きますが、日本の国民食、ラーメン(拉麺)とは全く関係ありません。

鉄骨は、こういった国土交通大臣によって認定された認定工場で製作されます。

どのくらいの規模の工事まで請け負えるかは、認定グレードによって5段階に区分されています。

大型サイズの角形鋼管を「コラム」と呼びますが、丸型鋼管を使うこともあります。

鋼管という工業製品は安定しているので、重要なのは接合部です。強度の強い「溶け込み溶接」が採用されます。

十分な溶け込みを確保するため、コラムの端部が開先加工されているのが分かるでしょうか。

柱と基礎を緊結する部分に、「ベースプレート」が溶接されました。

こちらは柱の頭部や中間部の梁が取りつく部材です。

通称「サイコロ」と呼ばれています。

運搬上、柱に全ての梁を取り付けるのは無理なので、「継手」まで70cmほどの短い梁をサイコロに溶接します。

梁組みが複雑な例です。

こういった部分の確認が非常に重要なのです。

溶接部の検査については後述します。

完成した状態で寸法のチェックをしています。

継手の位置なども重要ですがやはり溶接部です。

溶接部を超音波探傷検査で確認しています。

チョークで梁に描いてあるスケッチのように、溶接部は盛り上がっているので、斜角探傷法で調査します。

探触子から斜めに入射した超音波は、傷などがあれば反射します。


その時間によって、どの深さに欠陥があるのかが分かるのです。

鉄骨は基礎に固定されて建物の躯体となります。

コンクリートを打設すると鉄筋は見えなくなるので、打設前に配筋検査を行います。

鉄筋のサイズ、定着、コンクリートの被り厚が確保されているか等を確認しているところです。

柱が取りつく、「基礎柱型」は特に重要です。

施工精度による強度のばらつきを避けるため、ISベースやベースパックと言われる、ユニットを使用することも多い箇所です。

コンクリートの打設の前には、「受け入れ検査」を行います。

生コンクリートのスランプ値(やわらかさ)、空気量、塩化物含有量などの試験を合格したものを打設するのです。

また、テストピースを製作し、7日後、28日後に強度試験を実施します。

検査に合格した生コンクリートを打設。

養生期間を置き、コンクリート強度が確認できたら今度は建て方です。

重機によって柱、梁が建てこまれていきます。

先述した 基礎柱型部で、鉄骨の柱と基礎が緊結されるのです。

継手部分で梁を固定。

まずは仮止め。

そして、指定のボルトを規定のトルクで締め付けて完成です。

鉄骨は「 構造計算通りの強度を出しやすい構造体」 と書きました。

木造より金額的には高くなりますが、しっかりとした設計、監理をすればとても頑丈で安全な構造体ができあがります。

何より、鉄骨ラーメン構造でなければこういった大空間をつくることは難しいのです。

構造体としてのコストは「木造<鉄骨造<鉄筋コンクリート造」という並びになります。

コスト、目的と合せて選択することになりますが、建築を計画する際、いきなり大きな分岐点がやってくる訳です。

鉄骨造の躯体としての魅力をまとめてみました。

かなり専門的な話になりましたが、参考にして貰えればと思います。


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2月27日「照明計画」
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昭和という時代‐1476‐

 先週は、木曜日と日曜日に撮影がありました。

 昨日は、トレジャーキッズたかどの保育園でした。

 一度、曇天で延期しましたが、やはり白い外壁の建物は青い空が望ましいもの。

 もっと青くても良いのですが、贅沢ばかりも言っていられません。

 芝生も根付きだし、青々とています。

 芝生のにおいに、バッタ取りをしていた40年前の記憶が一気に蘇ってきます。

 草むらのない時代、泥んこになって遊べる、大きな砂場と芝生だけの園庭としました。

 泥んこになった園児が、さっとシャワーを浴びれるスペースもあります。しかも温水付き。

 カートや三輪車も揃っており、子供たちの声が聞こえてきそう。

 しかし面積が600㎡を超えてくると、撮影はなかなかに大変です。

 何とか午前の部を終え昼食へ。

 昼食は、カメラマンの平井さんも一緒に取りますが、すぐに目に入った中華料理店へ。

 なかなか感じがでています。

 炭水化物+炭水化物のラーメン、焼き飯セットが600円。その他の定食は概ね500円とかなり安い。

 栄養は偏っていますが、こんな時はOKだろうと皆ラーメン、焼き飯セットを。

 昔ながらの醤油ラーメンと、焼き飯は少しウースターソースが入っている感じです。

 昔は何でもウースターソースを掛けたもの。(うちだけ?)

 創業40年とのことで、間違いなく昭和の味。当たりでした。

 食後すぐに現場に戻り、何とか一通り撮影を終えたのが夕方4時半頃でした。

 少し休憩をして、夕景の撮影が始まる前に、辺りをぶらっと歩いてみます。

 なぜこうも下町にときめくのか。

 確実に昭和40年代、50年代の雰囲気です。

 確実に、時計に価値があった時代がありました。

 この店の看板猫。

 さらに歩いていると、千林商店街が見えてきました。

 千林商店街といえば、ダイエー創業の地です。

 1957年、昭和32年に「主婦の店・大栄薬局店」がこの地にオープンしました。

 どこかに手掛かりがあるかなと探しましたが、何も発見することはできず、端まできました。

 ダイエーの栄枯盛衰に、再度触れるのはやめておきますが、夕日もあってか何となく物悲しい気分に。

 夕景を全て撮り終え、片付けが終わったのが8時前。

 朝からほぼ休みなく撮影し、もうヘトヘトでした。

 1989年、平成1年は18歳の時に予備校で迎えたので、私は昭和の人間と言えます。

 昭和という時代の表現は色々ありますが、私は「報われる時代」だと考えています。

 もしくは、「報われると考えることができる時代」と言い換えてよいかもしれません。

 ヘトヘトだとすれば、必ずいいことがあると思えます。

 反対の言い方をすれば、ヘトヘトでなければ、ちょっと物足りません。

 高度成長期の昭和の終盤、人口が減少曲線を描き始める平成の、両方を生きさせて貰ったから、余計に強調したくなるのかもしれません。

 勿論、昭和を生きなければ夢を見れない訳ではありません。それは、例えば大谷翔平選手が軽々と証明してくれます。

 要は、自分の生きた時代、また、自分の暮らしした環境の中で、自らのストロングポイントを探し、磨くしかないのです。

 世には五月病という言葉があります。

 新一年生には、そんな言葉なんかに微塵も左右されないくらい、懸命に働いて欲しいと思うのです。
 
 働くことが最も最も尊い行いなのは、いつの時代も変わらないはずですから。

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映

■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【Events】
■4月1日「トレジャーキッズたかどの保育園」開園

【News】
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『関西の建築家とつくる家 Vol.2』2月1日発売「阿倍野の長家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載
『homify』6月2日「イタウバハウス」掲載
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来たれ!ラーメン好きの若者

 昨年の大晦日の事。阪神間の山手と呼ばれるエリアへ行っていました。

 12月29日に初期相談があり、近いうちに既存建物を見ることになりました。

 「もう休みですよね」と聞かれたのですが、この日の午前中が空いており、早速現地へ向うことになったのです。

 企画段階につき詳細は控えますが、流石に街の雰囲気、眺めは素晴らしいの一言に尽きます。

 また、初めての敷地を見る時、ワクワクとしか言いようのない気持ちになります。

 打合せ、既存建物の調査が終わると午後1時頃でした。所員と昼食をとることに。

 休日くらいは好きなものをと思い、聞くと大概、ラーメン、ハンバーグ、ハンバーガー……あたりがリクエストです。

 大学時代はスキー部の関係で、良くこの辺りに良く来ていました。

 そういえば石屋川沿いだったか、連れていって貰ったラーメン屋があったな。結構おいしかったような記憶が……ということで早速移動することに。

 山幹(正確には山手幹線)沿いをイメージして車を走らせると、何だか景色が違う。違ったかなと思い、もう少し南へ下ると「神戸の中華そば もっこす 石屋川店」の看板がありました。

 山幹ではなく2号線沿いでした。

 若い頃は、麺類だけでは頼りなく、好んでそういう店には入りませんでした。

 しかし、40歳になり少し量が少なくても我慢できるようになったのと(あくまで我慢しているのですが)、所員が食べたいのならと、ラーメンを食べる機会が少し増えたのです。

 それで思うのですが、ラーメンって本当に美味しいなと。もっとはっきり言えば「旨過ぎる」という感じです。

 これでもかと旨みがが濃縮されており、ほぼどんな店でも間違いない気がします。

 ただ、全てが濃すぎるのも間違いありません。これをしょっちゅう食べていたら、他のものを食べれなくなるんじゃないかとも。

 久し振りに食べたこの店のラーメンは、少し味が優しいと感じました。

 このあたりが、もう20年も支持されている理由かもしれません。

 探している時「チャーシューの代わりに、スジ肉が入っていて、ネギが沢山盛られていて……」と話していました。

 出てくると、細麺に王道のようなチャーシューの入ったラーメンでした。

 私の食への執着心はその程度なのです。

 2号線と石屋川の交点の北東角には御影公会堂があります。

 その西向いがこのお店。良ければ是非。

 今日は成人の日です。

 若者にとっては風当りの強い世の中ですが、いつの時代でも「少年よ大志を抱け」です。

 当事務所は慢性的な人手不足。大志ある若者を、いつも私は待っているのですが……

 休日の昼は、ラーメン付です。