タグ別アーカイブ: 下町

松井秀喜の心の種‐1674‐

 学校が休校になり、子供達が時間を持てあましているのは、どこの家庭でも同じでしょう。

 本来なら長男は学年末試験の時期でした。

 「試験があったつもりで勉強しなさい」と言っても流石にそれは無理でしょう。

 自分の胸に手を当てて考えてみてもやっぱり無理です。

 聞くと「スキーなら行きたい」というので、ちょっと無理をして時間をひねり出しました。

 早起きして高鷲スノーパークへ。

 理想は信州ですが、東海北陸道あたりのゲレンデはやはり近い。

 自宅から300km弱なので、3時間くらいで到着。雪も結構ありました。

 娘の足が大きくなり、義妹にブーツを借りていったのですが、くるぶしが当たって痛いと。

 朝一番から娘のテンションは急降下。

 ブーツをレンタルすると一気に復活しました。

 雪上スポーツは道具が大きく影響するとはいえ、へたったレンタルブーツの方が滑りやすいとは面白いものです。

 夕方まで滑って、大阪に向かいました。

 雪の上は、また来年です。

 とある大阪の下町。私だけ先に降りました。

 Ohanaのクライアントが、知人宅での会食に声を掛けてくれたのです。

 こちらのご主人が釣ってきた70cm位のメジロをさばいているところでした。

 聞けばマイ出刃とのこと。慣れた手つきのはずです。

 ツバス→メジロ→ブリのメジロ。

 とても瑞々しいお味でした。

 いろどりが素晴らしいこのお皿は、アクアパッツアというそう。

 見た目以上にしっかりしたお味で、お酒が進みます。

 鯛飯までのフルコースでした。

 魚大好きの娘は、この写真を見て自分には無いのかと怒っていました。

 和やかな空間で、楽しい時間を過ごさせて貰いましたが、あっという間に10時。

 そろそろと、失礼したのです。

 とある下町の、小さな立ち食い寿司。

 遠くから見ると、回転ずしに変わったよう見えましたが違いました。

 この大きさでは回転するスペースがないので、当たり前なのですが。

 24、5歳の頃、この辺りの設計事務所に勤めていたのですが、変わらないなと懐かしんでいたのです。

 ある野球選手の愛読書に、松井秀喜「不動心」とあるのを見かけました。

 ジャイアンツからニューヨーク・ヤンキースに渡った松井秀喜。中学まで野球部だった私は、ジャイアンツファンで、中でも一番好きな選手でした。

 同じ打者としてメジャーで成功したイチロー選手と対照的に、彼はそれ程多くの言葉を発信してきませんでした。

 それで、著書があることさえ知らなかったのです。

 短い言葉ではありましたが、やはり一流の考え方があってこそ、彼はあのステージへたどり着いたことがよく分かったのです。

 松井選手は、悔しい思いは口に出さないと決めていたそうです。

 凡打した悔しさに顔をゆがめ、バットやヘルメットを投げつけたりしたい自分も隠れているような気もする。思い出せば「あーあ」と言いたくなる。しかし、言葉として口に出すと、気持ちがエスカレートしてしまう気がするのでそうしないと。

 甲子園で5打席連続敬遠を受けたときも、「1球でも好球が来たら打ってやる」と思っていたそうです。

 高校時代の師である山下監督に、王貞治氏はどれだけ四球攻めをされても、表情ひとつ変えずにバットをそっと置き、一塁へ歩いていったと教えて貰ったそうです。

 強く動じない心、すなわち「不動心」を持った人間でありたいといつも思っていると。
 
 変わらない過去を嘆くより、可能性に掛ける。

 日本、世界が何かと騒がしい時期です。こんな時、結果という花を咲かせた人達の、種となった考え方を見返してみたいと思います。

 IT時代になっても、グローバル化が進んだとしても、真理はいつだって単純で、変わらないものだと思うのです。

■■■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

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【News】

■2月3日 『Houzzの特集記事』「阿倍野の長屋」が取り上げられました
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
■9月30日発売『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』「回遊できる家」掲載
■7月21日BS朝日『大改造!!劇的ビフォーアフター』「住之江の元長屋」再放送
■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました
■4月1日発売『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

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目指せ、下町のプリンス‐1595‐

 昨年の夏季休暇は、広島県の尾道愛媛県の大三島を回りました。

 大三島は大学時代の後輩の家を訪ねたのですが、先日、第一子が誕生したと聞き、ささやかなお祝いを送ったのです。

 不要だと伝えていましたが、内祝いが返ってきました。

 本人曰く「和歌山人の魂の味」抹茶アイスでした。

 和歌山、吹田、京都、鹿児島、ハワイを渡り歩いた彼が選んだものなので間違いないはず。

 早速、コーヒーブレイクに頂きましたが、和歌山人の魂を、ひしと感じたのです。

 大変美味しゅうございました。

 彼らが暮らす大三島の周辺環境は、素晴らしいの一言に尽きます。

 私なら毎日釣りをして、仕事にならないでしょうが、子供さんはのびのびと育つでしょう。

 あまり小さい時は負担になると思うので、3歳くらいになった時を狙って、また押しかけてみたいと思います。

 我が町「平野」は間もなく夏祭りシーズンです。

 私は海外へ出かけるのも大好きですが、働き、暮らす場所としての下町は気にいっています。

 アーケードのある商店街。

 肉屋の手造りコロッケ。

 細々とですが(失礼!)、まだ釣具屋も残っています。

 

 こちらの模型屋さんは、シャッターを見ると微妙な感じ。

 こんなショーウィンドウに張り付き、お年玉でプラモデルを買ったものです。

 下町の特徴を一言で表せば「外に開いている」ということでしょうか。

 職住一体となっている場合が多いので、町行く人にアピールしなければならないからです。

 大学時代の後輩が、芦屋の六麓荘に住んでいました。

 家に泊めて貰ったことがあるのですが、六麓荘の中でも一番山手の方で、間違いなく関西一の高級住宅地です。

 広い庭があり、塀で囲まれ、プライバシーが確保されていますが、高台なので各住宅からの眺望も申し分ありません。

 竹中工務店出身の建築家・永田祐三さん設計の煉瓦造りの作品がすぐそばにありました。当たり前ですが、建築雑誌で見た街並みそのままだったのです。

 それに比べると、町工場まで混在し、同じ日本かと訝りたくなりますが、職と住が近い良さもあります。

 働く姿を真近でみれるのは、最も良い点でしょう。

 閑静な住宅街では普通ないものが、道端に転がっています。

 これは車軸でしょうか。

 こんな車の部品でも使えるのか。

 何しろ工場があると重機があるので、閑静な住宅街にはないことが起るのです。街に動きがあるのも下町の特徴でしょう。

 離島が良い、閑静な住宅街が良い、下町が良いという単純な話ではありませんが、子供は環境を受け入れ、活かし、成長していかなければなりません。

 そして、自分が大人になった時、どこで暮らすのかを決める時がやってきます。

 そう考えると、私もこの下町を離れる選択肢もありました。

 子供が小さい時は両親の助けが必要でしたし、現在のように急にスタッフが足りなくなると、妻にも店番をして貰わなければなりません。

 また、遅い時間まで仕事をしたければ、家が近いに越したことはありません。

 創業は天王寺だったのですが、会社を平野に移転したことで、多少下に見られることは理解しています。

 大メーカーの営業マンなどの応対を見れば明らかです。

 しかし、それでも多くのクライアントがこの下町まで足を運んでくれたことが、私のプライドなのです。

 おそらく子供が独立するまではこの地で暮らすでしょうが、会社は市内の中心へ出ていく気持ちはあります。
 

 かなり年老いたネコに見えますが、何故ここに暮らしているのだろうかと考えます。

 首輪がないところを見ると、どこで暮らしても良いはずです。

 もし話すことができたらこう言うに違いありません。

 「住めば都だニャア」と。

 今、自分が暮らす場所こそが、自分にとっての都そのもの。それ以外の人生は、今現在ありません。

 何と深く、前向きな言葉だったのかということが理解できました。

 積極的理由ではないにしても、下町で暮らすという選択をしたことに悔いはありません。

 名コメディアン東八郎の次男、東孝之はTake2のボケ担当。相方が女優・田中美佐子の旦那さんと言った方が分かりやすいでしょうか。

 東孝之の「下町のプリンス」というニックネームが私は大好きです。

 我が家の長男にも、下町のバイタリティは吸収し、かといって下品でない「下町のプリンス」を目指して欲しいと思っているのです。

 これは私の目標でもあったのですが。

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載

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【News】
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
■『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました
大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載

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昭和という時代‐1476‐

 先週は、木曜日と日曜日に撮影がありました。

 昨日は、トレジャーキッズたかどの保育園でした。

 一度、曇天で延期しましたが、やはり白い外壁の建物は青い空が望ましいもの。

 もっと青くても良いのですが、贅沢ばかりも言っていられません。

 芝生も根付きだし、青々とています。

 芝生のにおいに、バッタ取りをしていた40年前の記憶が一気に蘇ってきます。

 草むらのない時代、泥んこになって遊べる、大きな砂場と芝生だけの園庭としました。

 泥んこになった園児が、さっとシャワーを浴びれるスペースもあります。しかも温水付き。

 カートや三輪車も揃っており、子供たちの声が聞こえてきそう。

 しかし面積が600㎡を超えてくると、撮影はなかなかに大変です。

 何とか午前の部を終え昼食へ。

 昼食は、カメラマンの平井さんも一緒に取りますが、すぐに目に入った中華料理店へ。

 なかなか感じがでています。

 炭水化物+炭水化物のラーメン、焼き飯セットが600円。その他の定食は概ね500円とかなり安い。

 栄養は偏っていますが、こんな時はOKだろうと皆ラーメン、焼き飯セットを。

 昔ながらの醤油ラーメンと、焼き飯は少しウースターソースが入っている感じです。

 昔は何でもウースターソースを掛けたもの。(うちだけ?)

 創業40年とのことで、間違いなく昭和の味。当たりでした。

 食後すぐに現場に戻り、何とか一通り撮影を終えたのが夕方4時半頃でした。

 少し休憩をして、夕景の撮影が始まる前に、辺りをぶらっと歩いてみます。

 なぜこうも下町にときめくのか。

 確実に昭和40年代、50年代の雰囲気です。

 確実に、時計に価値があった時代がありました。

 この店の看板猫。

 さらに歩いていると、千林商店街が見えてきました。

 千林商店街といえば、ダイエー創業の地です。

 1957年、昭和32年に「主婦の店・大栄薬局店」がこの地にオープンしました。

 どこかに手掛かりがあるかなと探しましたが、何も発見することはできず、端まできました。

 ダイエーの栄枯盛衰に、再度触れるのはやめておきますが、夕日もあってか何となく物悲しい気分に。

 夕景を全て撮り終え、片付けが終わったのが8時前。

 朝からほぼ休みなく撮影し、もうヘトヘトでした。

 1989年、平成1年は18歳の時に予備校で迎えたので、私は昭和の人間と言えます。

 昭和という時代の表現は色々ありますが、私は「報われる時代」だと考えています。

 もしくは、「報われると考えることができる時代」と言い換えてよいかもしれません。

 ヘトヘトだとすれば、必ずいいことがあると思えます。

 反対の言い方をすれば、ヘトヘトでなければ、ちょっと物足りません。

 高度成長期の昭和の終盤、人口が減少曲線を描き始める平成の、両方を生きさせて貰ったから、余計に強調したくなるのかもしれません。

 勿論、昭和を生きなければ夢を見れない訳ではありません。それは、例えば大谷翔平選手が軽々と証明してくれます。

 要は、自分の生きた時代、また、自分の暮らしした環境の中で、自らのストロングポイントを探し、磨くしかないのです。

 世には五月病という言葉があります。

 新一年生には、そんな言葉なんかに微塵も左右されないくらい、懸命に働いて欲しいと思うのです。
 
 働くことが最も最も尊い行いなのは、いつの時代も変わらないはずですから。

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映

■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました

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■4月1日「トレジャーキッズたかどの保育園」開園

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『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『関西の建築家とつくる家 Vol.2』2月1日発売「阿倍野の長家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載
『homify』6月2日「イタウバハウス」掲載
『houzz』5月28日の特集記事「あちこちでお茶できる家」掲載

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