トレジャーキッズたかどの保育園– 人はひと色じゃない。自分色を探すトップライトのある保育園 –
トレジャーキッズたかどの保育園
– 人はひと色じゃない。自分色を探すトップライトのある保育園 –
この保育園は大阪市の北東部にある。非常に人口密度の高い地域で、待機児童を減らすことは、大きな課題でもある。
敷地は東側で道路に面し、奥行きが東西30m以上ある。都心部としては比較的大きな敷地で、特徴はそれを活かした広い園庭である。園庭に開いた大きな開口部は、全て南、東を向く。
恵まれた条件を活かすため、できる限り軒と庇をめぐらせている。夏の日差しをふせぎ、冬の直射をできる限り遮らないよう設計した。雨でも窓が開けることができ、暑すぎない、寒すぎないと、軒下空間はいつも人に優しいものだ。
外壁は白い塗り壁と、杉板張りで構成されている。杉板は全て軒下部分だが、保護材を含んだ淡い白の塗装を施した。人の手跡が残るもので仕上げたかったのは、0歳から6歳という感受性豊かな時期に、その暖かさ、美しさを体感して欲しかったからだ。
エントランスホールには500色の色えんぴつが飾られているのだが、こういうメッセージを込めた。
『人はひと色じゃない。明るい白木の園で自分色をみつけて欲しい』
ファサードも白の深い軒と、白木の壁が続いている。この園の特徴を、街へ伝えることができればと思う。
プランは敷地に沿って、僅かに90度より深く折れている。1階、2階の全園児室には、縁側のような空間を通過して優しい光が落ち、高低差がある窓を風が通り抜ける。1階の折れ点にあるのは0歳児室で、2層吹抜部にトップライトを設けた。高い位置から落ちてくる柔らかい光は、お昼寝に最適なはずだ。
吹抜部は2階のホールに面しており、その光をハイサイドから取り込んでいる。間接光がホールへ落ちる様を木漏れ日に見立て「こもれびひろば」とした。曲面壁が明るい緑なのはそのためである。
2階西奥にある、3、4歳児室とは可動間仕切で区切ることが出来るのだが、入園式やお遊戯会の際は、これらをフルオープンとする。50畳ほどの大空間は解放感があって気持ちが良い。各園児室の建具、家具は年齢が上がるごとに濃くなって行く。成長のイメージを重ね合わせている。
小さなトップライトのある絵本室は「あおぞらえほんしつ」、一番隅にある小さな部屋は「もりのひみつきち」と名付けた。
壁の色もそのコンセプトに合わせて選んでいるが、6年間の間には、泣いたり、べそをかくこともあるだろう。そんな時は「もりのひみつきち」へ。45年前の私が一番欲しかった空間だ。
メディア掲載
Data
所在地 | 大阪府大阪市旭区高殿7-16-29 |
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構造 | 鉄骨造 2階建て |
竣工 | 2018年3月竣工 |
敷地面積 | 638.58㎡ |
延面積 | 598.95 ㎡ |
建築面積 | 333.00 ㎡ |
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1階床面積 | 322.78 ㎡ |
2階床面積 | 279.17 ㎡ |