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サンワカンパニー産‐1809‐

 6月の中頃、サンワカンパニー大阪ショールームの方からメールが届きました。

弊社は来期のカタログで大幅改定を予定しております。
そこで普段から弊社商品をよくご採用頂いているプロの方にカタログに対しての率直なご意見を賜りたく、該当のアトリエm様にご連絡をさせて頂きました。

 クライアントとショールームに行く際は、やはり知識があって感じの良い人を指名します。

 いつもお世話になっている方だったのと、初めに声を掛けてくれたとのことで、引き受けることにしました。

 実際に話しをするのはカタログ製作チームで、そちらに担当が引き継がれたのです。

 一昨日がzoomでの会議でしたが、参加は私を含めて5名。

 リーダーは私と同年代の男性、その他3名は女性でした。

 うち1人がスケジュール調整をしてくれたのですが、以前もやりとりしたことがある方かなと思っていました。

 洗面ボールのシガラキは、当社の作品写真が採用されています。

 やはり、その時にやり取りした方でした。

 「あちこちでお茶できる家」は2012年の完成。 

 シンクが正面にあるキッチンに特徴があります。

 8畳近くある土間は、かなり思い切ったプランとしました。

 奥さんが、いつもオープンにしているというトイレ。

 その横にある洗面ボールがシガラキです。

 「ときめく紺色の家」の奥さんは、カタログを見てレノスに一目ぼれ。

 かつ、付箋の3色を重点的に使いたいというリクエストでした。

 2020年竣工のフルリノベーションですが、レノスをかなり多めに購入して1枚1枚を厳選セレクト

  全ての配置を完全に決めて施工したのです。

 北摂にある「高台の家」は2015年の竣工。

 大阪平野を見下ろす2階バルコニーは、プライバシーが保たれた屋外です。

 1階のキッチンは、ある程度金額を抑えたエレバートEXを採用しました。

 先月竣工した、「コンクリート打放し H型プランの平屋」でもキッチンを採用しました。

 GRAD45は、オールステンレスのキッチンです。

 カタログ上端にある付箋は、プロジェクトカラーで分けられています。

 こうしてみると、かなり採用しているんだなと、改めて認識したのです。

 サンワカンパニーは大阪で創業して41年とのこと。


 2013年のグランフロント開業のタイミングで、大阪ショールームが移転してきました。

 それまでは北浜にショールームがあったのです。

 メーカーからの相談は、何度か経験があるので、参考になるかなと思う資料は準備しておきました。

 少しは役に立てたのかなと思っていた会議終盤、「ところで、はじめはどうやってサンワカンパニーを知って貰ったのですか?」という質問がありました。

 想定していなかった質問で、思い返してみます……

 2011年に相談に見えたクライアントが、サンワカンパニー大好きご夫妻だったのです。

 「8.8坪の家」は、大阪市内の密集した住宅街にあります。

 建物巾は広いところで2.7m、狭い所は2.6m。

 延べ面積19坪たらずの小さな住宅に、豊かな1室空間を実現するのに腐心しました。

 1階はRC壁式構造、何とかインナーガレージ、2、3階は木造の混構造。

 外壁は折半、スキップフロアと、思いつく限りのローコスト案、また苦肉の策を詰め込んだ狭小住宅です。

 ローコスト化の為に内部扉はトイレも含めて4つだけ。

 その全てが、サンワカンパニーのCFPでした。

 道路斜線で切り取られたロフトのような寝室が3階に。

 腰壁タイルも床タイルもサンワカンパニー製だったはずです。

 先述の女性は「あ、○○ですね」と答えてくれました。「はず」と言ったのは、私が設計したのではないのです。

 少しでもコストを抑えるため、タイル自体はクライアントが直接購入。竣工後、知合いと一緒にご主人が自ら施工しました。

 とにかく良くショールームに行ったと聞いていたので、古い資料を引っ張り出してきたら、今もショールームで案内をお願いする方と思しき名前がありました。

 「8.8坪の家」の家は、2012年の12月竣工ですから、北浜時代の一番最後の頃、足しげくショールームに通っていたことになります。

 先日新聞の記事に、プロダクトデザイナー柳宗理さんのアトリエでの会話が載っていました。

 スタッフのひとりが「自転車が欲しい」というと、「作ったら」と答えたそうです。

 私も創り手なので、できれば全て設計、デザインしたいのが本音ですが、それはなかなか叶いません。

 その時、いわゆる既製品をセレクトしていくことになります。

 使い手に響く要素とは何なのか。サンワカンパニーにおいては、ミニマリズムだったり、金額だったり、露出だったりするでしょう。

 もしかすると、大阪本社もあるかもしれません。

 建築家という仕事は、料理人に似ていると良く書くのですが、素材の産地だけにフォーカスしたことは無かったので、今回の件は自分としても面白かったです。

 サンワカンパニーを産地とするなら、水が合うといった感じなのでしょうか。大阪発だけに。

 来春のカタログに、私の意見が何か反映されているのか、いないのか。2022-2023カタログを楽しみにしています。

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』を「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞 

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【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』に「回遊できる家」掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

◆メディア掲載情報

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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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宇宙船地球号。全乗組員で祝杯を‐1808‐

 今日は夏至。1年で最も明るい日です。

 大阪もようやく緊急事態宣言が解除されました。まん延防止措置は適用されますが、1歩進んだことには違いありません。

 ワクチン接種も本格的に始まり、明るい気持ちで確実に前進して行きたいところです。

 先週末も現場を回っていましたが、梅雨らしい天気でした。

 道中、コスモスが咲いていました。

 夏に咲く種もあるのでしょうか。

 雨濡れた花もよいですが、原色の花は晴れ空に限ります。 

 ひまわりを家族がプレゼントしてくれました。

 昨日は父の日。

 4人揃うのは日曜日の夕食くらいですが、父の日特典ということでエビフライでした。
  
 アワビの胆とともに、私の好きな食べ物1位、2位です。

 長男は友達と勉強?娘は卓球の試合で、それぞれ帰りにケーキとひまわりを買ってきてくれたのです。

 娘が買ってきてくれたケーキは撮りそびれたのですが、試合は納得いくものだったと報告してくれました。

 どんなことでも一所懸命に取り組んでくれたなら、親としては嬉しい限り。

 子供達もよく食べるようになり、あっという間に全て無くなったのです。 

 昨年の春、緊急事態宣言が発出された頃、コロナウィルスは高温多湿に弱いのではという記事を見かけました。

 多くの人と同じように今後の不安を抱え、そうだといいなという気持ちで夏を待ち望んでいたものです。

 実際そうではなかったのですが、それでも希望があれば人は生きて行けます。 

 ご近所さんは私の親世代が大半です。

 皆さん顔を合わせれば「もう1回目打った?」とか「ワクチン接種券届いた?」とか、元気そのもの。

 どんなに長いトンネルでも、薄っすらとでも出口が見えれば真っすぐ進むだけなのです。

 「なぜひまわりに?」と長男に尋ねると、「父の日は黄色い花が主流みたい」と。

 花屋さんで聞いたそうですが、「憧憬」や「尊敬」を意味するとも。

 子供達にどう思って貰いたい等はありませんが、せめて前向きな影響を与えられる存在では在りたいものです。

 今回、皆がお金を出し合って買ってくれたそうで、自邸にはひまわりを植えるスペースを捻出しようと決めました。

 瞑想の時、ひまわりが目の前にあれば「いつも顔を上げて」と思えるはずです。夏限定にはなってしまいますが。
 
 「人類は宇宙船地球号の乗組員である」

 建築家、バックミンスター・フラー の言葉です。

 沖縄もインドもありません。我慢と接種を両輪に、早く地球号の乗組員全員で祝杯を上げたいものです。

 全世界が一体感を持つことができる、またとないチャンスだとも言えるのです。

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』を「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞 

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■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
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■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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