タグ別アーカイブ: 阪神高速

老ネコ救出大作戦‐1793‐

 朝ジョギングへ出ると、内環状線沿いのマンション前に消防隊員や警察官が集まっていました。

 住民が何か騒ぎでも起こしたのかなと通り過ぎました。

 が、少し違和感があったので振り返ると、皆が高速道路を見上げているのが分かりました。

 ネコです。

 遠目ですが、年老いたネコのように見えます。

 近隣の人が「阪神高速にネコが登っている」と通報したのでしょう。

 まさかハシゴ車で救出するのかなと思いながらジョギングへ向かったのです。

  小一時間程走って戻ってくると、なかなかの大事になっていました。

 人は助けようと思っているのに、ネコは追われていると感じている。

 コントみたいな構図です。

 ネコが本気で逃げたなら、タモ網くらいではちょっと難しいでしょう。

 この人も、本当に捕獲できるとは思っていないと思いますが、人と動物ですから、なかなか思いは通じないものです。

 更に一週間程前。

 阪神高速から第二阪奈で奈良へ向かっている際、トンネルの避難帯に自転車を止め、荷台の荷物を縛り直しているおじいさんがいました。

 「んっ?」と、通り過ぎたあと二度見してしまいました。

 荒本あたりからか、急こう配の流入路を登り切ったのでしょうか。更に、トンネルの中央あたりまで自力で自転車を漕いできたようです。

 その体力には恐れ入りますが、流石に笑い話では済まないので、すぐに110番しました。

 歳を取って行くと、最終的には赤ん坊に戻っていくと言われます。

 赤ん坊は純粋無垢に生まれて来ますが、この厳しい娑婆の世界で生きていると、知らず知らずのうちに、見栄が先に立った利、多少の錆が心に付いてしまうのも致し方ありません。

 清濁併せ飲むの言葉通り、何かを得るには引き換えになるものも有ると思うからです。

 しかし、ある程度の知識を得たなら、今度は併せ飲んだ「濁」を洗い落として行く必要があるようです。

 京セラの名誉会長、稲盛和夫さんは「人生の目的は、頂いた魂をより美しく磨いてお返しすることだ」と語っていました。

 磨けば美しくなるということは、本来は美しかったということなのです。

 生きて行くために、また成長するために、錆びや汚れが付くのは必然とも言えます。それを自ら落とさなければならないなら、ある種切なくもあるのですが。

 老いたネコに罪はありませんが、高速道路を自転車で走るのは罪です。

 「迷惑を掛けない」ではなく「役に立ちたい」が、一番の処方箋なのだと思うのです。

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞 

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【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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車という戦友‐1756‐

 建築の設計・監理の中に、「現場説明」という仕事があります。

 競争見積りに参加する建築会社に図面を渡し、現場にて説明をするので、まさに文字通り。

 普段は略して「現説(ゲンセツ)」です。

 先週土曜日、現説へ向かうため、会社を8時頃出ました。

 阪神高速松原線はいたって快適。

 ところが東大阪線に乗り換える前に「事故渋滞高井田まで6km」と掲示板に出ました。

 駒川で乗った時には無かったものです。

 事故が起こった直後のようで、1時間ほど渋滞に引っかかってしまいました。

 35歳くらいまでなら、かなりイライラしていたと思いますが、そこはすでに50歳。

 迷惑を掛けてはしまいますが、こんな景色をゆっくり見れることも無いと覚悟を決め、クライアントと建築会社に連絡を入れたのです。

 昨年亡くなったシーザー・ペリ設計の、大阪NHK放送会館・歴史博物館が見えてきました。

 更にクリスタルタワー等の高層ビルを従えた大阪城も。

 また、難波宮跡あたりでは、阪神高速は急に高架でなくなります。

 埋蔵文化財の件なのか、太閤様より高い目線は不届きだとなったのか。

 おそらく前者なのだと思いますが、これも車ならではの景色です。

 ようやくノロノロ運転が終わり、第二阪奈を降りると生駒盆地です。

 野焼きの匂いが懐かしい。

 北上して学研都市を抜けたのですが、ここはまるで近未来都市のようです。

 中心部にある京セラの研究所。

 師事させて貰った稲盛さんの会社ですから、目礼して通り過ぎました。

 さらに北上すると一気に里山の風景に変わりました。

 柿がたわわに実り、まさに日本の風景。

 車移動には楽しみが多いのです。

 車の免許を取って30年近くなりますが、先日車を擦ってしまいました。

 代車にやってきたのがトヨタのカムリ。

 ハイブリッド車を運転するのも初めてですが、生まれて初めて乗った車がカムリでした。

 父が乗っていた白のカムリを貰ったのですが、この車は息が長い車なのです。

 トヨタのwebサイトを見に行くと「生誕40周年」とでていました。

 北米での乗用車部門では、販売台数がトップレベルだったはず。

 1年程カムリに乗ったあと、20年に及ぶハイラックスサーフ人生が始まりました。

 ハイラックスサーフの国内販売が終わり、2011年にディスカバリーに乗り換えたのですが、北米では現在でも「4RUNNER」として販売されています。



 初代サーフの写真が2枚しかないので、若気の至りをお許し下さい。

 2代目サーフ、初代ディスカバリー、2代目ディスカバリーです。

 当時のカムリではないものの、私の車人生のピースが埋まりました。

 2030年代には、ついにガソリン車に乗れなくなるようです。

 地球の環境問題は、個人の趣味嗜好より断然上にあるものだと理解しています。

 いずれ来る事は分かっていましたが、パワフルな車の無い人生を今は想像することができません。

 私にとって車は単なる物ではなく、人生のパートナーであり、戦友そのものなのです。

■■■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載
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【News】
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に巻頭インタビュー掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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論語と算盤‐1749‐

 先週、10日間にわたる阪神高速環状線の工事が終わりました。

 阪神高速環状線は、大阪のビル群を縫うように走りますが、都市計画的にはかなり珍しいと書いたことがあります。

 ニューヨークやパリをはじめ、世界的な都市では中心部まで高速道路は入っていかないのです。

 2週間前の打合せの帰りは丁度工事中で、2時間掛けて会社に戻りました。

 混んでいなければ30分なので、その有難味が身に沁みます。

 「狭い日本、そんなに急いでどこへ行く」ですが、やはり高速は圧倒的に早いのです。

 土佐堀川に沿って走るこの区間は、まず大阪市役所が見えてきます。

 ここが政治の中心地。

 隣には中之島図書館と中央公会堂。

 民の寄付によって作られた中央公会堂は、大阪の経済の象徴と言えるでしょう。

 並木が色付いてきたなと眺めながら、そういえば安藤忠雄が寄贈した図書館「子供本の森」は……

 すでに通り過ぎていました。

 当面、土日は子供連れだけのようで、中に入れるのは少し先になりそうです。

 「自分を育ててくれた大阪の街に恩返しがしたい」と、これだけの図書館を寄贈するのですから、本当に凄いと感服します。

 彼こそ、芸術と実業を両立させてた建築家だとも思うのです。

 2024年度から新紙幣が流通しますが、新一万円札は渋沢栄一。

 聖徳太子、福沢諭吉の後を引き継ぎ、最高額紙幣を担当です。

 立派な人に決まっていますが、時代が身近になり凄みも現実味が増してきます。

 少し前ですが、経済小説の第一人者、城山三郎の「雄気堂々」を読みました。

 渋沢栄一が、近代日本最大の経済人として何をどう成して行ったかが丁寧に描かれています。

 尊王攘夷の志士から、一橋(徳川)慶喜に宮仕え、フランスへ渡航した後は大蔵省に勤め、そして実業界に身を投じます。

 上巻の写真と下巻の写真は年齢が違うとはいえ、同じ人物には見えません。

 それほどまでに時代が変わったと言えるでしょう。

 最近読んだ口述記「論語と算盤」は凄い上にとても面白かったのです。

 初版は1916年で、論語、経済がキーワードと聞けば、読んでいて眠たくならない方が不思議です。

 この本はその不思議を簡単に吹き飛ばしてくれました。

 論語のなかにこんな一節がある「人間であるからには、だれでも富や地位のある生活を手に入れたいと思う。だが、まっとうな生き方をして手に入れたものでないなら、しがみつくべきではない」

 この文章に、そのエッセンスが詰まっていると感じます。

 孔子は富や地位を否定していない、まっとうな生き方をしているかが大事なのだと。

 「一個人の利益になる仕事よりも、多くの人や社会全体の利益になる仕事をすべきだ」という考え方を、事業を行う上での見識としてきたのだ。

 設立にかかわった企業、団体は約470。

 東京証券取引所、みずほ銀行、東京海上火災、東京瓦斯、王子製紙、サッポロビール、キリンビール、東洋紡、京阪電気鉄道……と、とても人間技とは思えません。

 人はその務めを果たす上で、ぜひ「趣味」を持って欲しいと思う。「理解することは、愛好することの深さには及ばない。愛好することは、楽しむ境地の深さには及ばない」とある。「趣味」の極致といってよいだろう。

 簡単に言えば仕事を趣味レベルにせよということですが、もう納得する他ないのです。

 見上げると、ANAの青い機体が見えました。

 旅行者の減少を受けて、ANAもJALも厳しい状況です。それでも何とか飛行機を飛ばしているのです。

 どんな世界でもそうですが、全ては青天井。上限などありません。

 しかも学ぶべき手本も無限。なのに結果は……

 そういえば、安藤忠雄はお酒も飲まないという聞いたことがあります。

 全く飲まないところまでは真似できませんが、仕事を趣味にすることは出来ると思います。

■■■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載
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■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に巻頭インタビュー掲載
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人は違う。でもそんなに変わらない。‐1517‐

 大阪近辺での打合せなら、阪神高速を使う確立が高くなります。

 首都高速程ではないにしても、通勤時刻は結構混むもの。

 会社近くを通るのが14号松原線ですが、駒川入口あたりも渋滞ポイントです。

 それで、早めの出発を心掛けていますが、1号環状線ををぐるっと回るだけでも、名物建築が色々見れます。

 松原線に乗るとすぐに見えてくるのが、あべのハルカス

 高さ300mは現在日本一。

 そのまま、なにわのエッフェル塔・通天閣のすぐ東を通り抜けます。

 高さは103m。

 環状線は、時計回りの一方通行。JRの環状線の更に内側にあります。

 その1号環状線と14号松原線が合流するあたりにあるのが湊町リバープレイスです。

 八角形の建物内には、FM大阪もはいっています。

 御堂筋と交差する位置からは、ナンバ・ヒップス。

 昨年、食事を2度ご一緒させて頂いた高松伸さんの作品です。

 環状線は大川を越えるあたりから、右に大きくカーブ。

 北に見えているのが梅田エリアです。

 高層ビル群の先駆けとなったのが大阪マルビル。高さは約124mで、1976年の完成です。

 東に向きを変えた環状線は、中之島の北を走ります。

 民の町・大阪のシンボルは中央公会堂。その存在感は、やはり抜きんでているのです。

 この日は12号守口線で、北へ向かいました。

 ついでにと言えば怒られますが、分岐点あたりにあるのが、私が設計した「seiundo」の入る、北浜一丁目平和ビルです。

 扇町には、キッズプラザ大阪の入るこの建物。

 大阪市環境局舞洲工場の設計で知られる、フンデルト・ヴァッサーの設計です。
 
 阪神高速、大阪建築ツアーはいかがだったでしょうか。

 12号守口線の城北インターで降り、さらに地道を北上すると、阪急電車が見えてきました。

 京都線の上新庄駅と相川駅の間で、神崎川の上を通過しています。

 中学・高校の間、この橋の上からずっとこの川を眺めていました。

 小学校から上がったばかりの頃、「いつか相川駅で降りて、釣りに行ってみたいなあ」などと思っていたのです。

 6年間も時間があったのに、それは一度も叶いませんでしたが。

 日々というものは、まさに電車に乗っているようなもの。「降りてみたい」と思ったら、すぐに行動しなければ、実現することはありません。

 また、角度、方向が違うと全く違う場所に見えるものです。

 私が毎日毎日見ていたあの場所だと、初めは全く気付かなかったのです。
 
 見る人の視点によって、全く違う景色があることを、今ならようやく理解できます。

 反対に、自分だけが特別な訳はないので、相手、他者も同じような、期待や不安を持っていることも、何とか想像できます。

 この相反する単純な真実が、未来をイメージする上で、とても重要だと考えています。

 こんなことを、学生に熱を入れて話していると、多くの学生は目が泳ぎ出します。それで「ああ、言い過ぎたんだな」と分かるのですが。

 人は違います。でもそんなに変わらない。

 これは私の人生哲学ですが、それぞれをフォーカスすると、それは間違っているという言い方もできるのです。

 なので、目的の「ある」「なし」が大切です。

 それがあれば、哲学はそこへ向かう道具となります。それが無ければ、間違い探し、出来ない探しを始めるネタでしかなくなると思うのです。

■■■9月16日(日) 9:00am~12:00pm 高槻中学・高校文化祭にて
「頼れる卒業生」による無料相談コーナーに参加します■■■

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映

■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから11月27日出版
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【Events】
■4月1日「トレジャーキッズたかどの保育園」開園

【News】
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『関西の建築家とつくる家 Vol.2』2月1日発売「阿倍野の長家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載
『homify』6月2日「イタウバハウス」掲載
『houzz』5月28日の特集記事「あちこちでお茶できる家」掲載

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