今日、明日はしっかりした雨が降るようです。
近頃の雨はまとまって降るので、できれば梅雨らしいシトシト雨が希望なのですが。
天の気分が私の思うようになるはずもなく、今朝もパラパラと降ってきました。
少し遠回りしてツバメの巣の前を通りました。
昨日、巣立ったようです。
寂しい気持ちもありますが、もう3匹が過ごすには狭すぎる感もありました。
自然界には、一切無駄が無いのだと改めて教えられます。来年も見れると良いのですが。
近くの保育園の植込みでは、ビヨウヤナギが花を付けていました。
この時期に咲く黄色い花は少なく、自然と目に入ってきます。
初めて植栽に採用したのは「下町のコンクリートCUBE」でした。
大阪で住宅を設計する場合、1、2本の庭木を選ぶことはあっても、庭をデザインする機会はそれ程ありません。
「下町のコンクリートCUBE」は敷地の半分が庭だったので、植栽の本を買ってきて、また実際に庭樹園まで足を運び、私なりに勉強しました。
正面にある中木はアオダモで、塀越しに見えているのはヤマモミジです。
キッチンに立つと目線の先には、左からシロヤマブキ、ヒメシャラ、ビヨウヤナギ、キソケイ、シロヤマブキ。
右手にヤマモミジが少し見えています。
2006年、植栽工事の時の写真です。
一緒に仕事をした造園会社の社長は自らクワを持つのですが、色々と熱心に教えてくれたのです。
同じく2006年完成の「サロンのある家」の奥さんも、庭木にとても詳しい方でした。
植栽工事は金額が合わずだったのですが、正面、裏庭とも、ほぼご自身で完成させた程。
正面右端に、ひょろっと伸びているのはジューンベリーです。
花、実、紅葉と三拍子そろった庭木で、2010年の「イタウバハウス」でも採用しました。
何と言っても、ご主人お手製のルーバーがポイントですが、遊び道具でもあり、正面のマンションからの目隠しでもあります。
ジューンベリーというくらいですから、この時期に実をつけます。
収穫し。
ジャムになった写真を送ってくれたのです。
3~4mの擁壁の上に建つ「高台の家」。
こちらのご主人も、建物と同様、庭木にもこだわりのある方でした。
シンボルツリーは中央のヤマボウシ。
「サロンのある家」と同じく、減額で植栽工事がなくなったのですが、近所の庭木屋さんに通い、こつこつと植樹されたのです。
多様な木々を上手く組み合わせ、配置されています。
何本かあるスラッとして、葉がカールしたような木はハイノキ。
常緑樹にも関わらず葉が細やかという点ではソヨゴと合せて貴重な存在です。
こちらのクライアントに教えて貰いました。
初めは砂場だったところはミニ農園となりました。
「高台の家」の植栽図面の一部です。
植栽計画を私がした訳ではありませんが、伺った時にメモをとり、図面化しておきました。
樹木名の後に、落葉か常緑か、広葉樹か針葉樹か、花の時期と花の色が書いてあります。この図面では外していますが、内部資料には100点満点での評価付けもしています。
プロとアマの違いは、それに掛けられる時間の量、すなわち仕事として選ぶのか選ばないのか、その一点だけのような気がします。
これだけ自在に情報が手に入る時代なので、こだわりの家を建てようかというクライアントは、私以上に知識を持っていることは普通にあります。
インテリアに詳しい奥さんなら「今の流行は○○ですよね」と尋ねられ、その言葉を知らないこともありました。
しかし、最終目標はクライアントにとって幸せな建築を創造することですから、私が知っていても、奥さんが知っていても、どちらでも構いません。
重要なのは全てを踏まえ、何を選択するかです。建築は多くの部位があるので、その選択は組み合わせによって無限に変化もするのです。
初めは不安ばかりだった植栽計画ですが、今はむしろ楽しみにしています。最後の仕上げといった感じでしょうか。
そもそも悪い庭木などないので、余程うがった見方をしなければ、失敗などあり得ないのですが。
お代を頂いて設計、デザインをさせて貰っているクライアントから、学ばせて貰ったことがどれだけ沢山あったことか……
ビヨウヤナギを見かけてはYさんを思いだし、ジューンベリーを見てはTさんを思い出し、ハイノキをみてはHさんを思い出します。
プロとアマの違いは、仕事として選ぶかどうかだけと書きました。もう一点だけ付け加えるなら、悪い木などないと知ることでしょうか。
結果を出す為に皆が全力を尽くし、結果が出ないということの方が矛盾するのです。
■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に
巻頭インタビューが掲載されました
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【News】
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■2月13日 『Best of Houzz』を「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
■2月3日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載 続きを読む プロとアマの違い‐1703‐