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巨匠やさしく‐1926‐

今朝は早起きして、阪急電車で「逆瀬川」へ。

今津線に乗るのも久し振りです。

西宮北口で乗り換えましたが、よく来ていたのはもう24年も前のこと。

北に1駅行くと「門戸厄神」があります。

その駅前にある「Spoon Cafe」を設計させて貰ったのが27歳の頃でした。

先日、ついに店名が変わったようですが、それでも長く当初のコンセプト通りに使ってもらい、感謝しかありません。

「仁川」を過ぎると弁天池越しの甲山が見えてきました。

高校時代の同級生が「逆瀬川」に住んでいたので、一度だけ降りたことがあるかもしれません。

このあたりまで来ると、かなり山も近くに感じます。

目的は宝塚市役所。

市庁舎は1980年完成。大阪が誇る巨匠、村野藤吾 89歳での作品です。

村野は93歳まで生きましたが、まさに最晩年の仕事なのです。

開口部は外壁いっぱいではなく、奥まったところにあります。

それが、この時期に日射対策には特に有効です。

1階部にも回廊がめぐらされています。

贅沢とも言えますが、北東面で接する武庫川からの風が、とても気持ちよいのです。

この象徴的な円筒の空間は市議会室のようで、またの機会に見せて貰えるか交渉しようと思います。

開庁とともに入り、確認申請関係の届け出を終えたら11時になっていました。

10分程歩いて駅まで戻りました。

駅前の商業施設が一体となっていますが、昭和感満載でした。

おしゃれではないですが、こんな雰囲気の方がしっくりくるのは年代でしょうか。

「千葉の柏駅もこんな感じだったな」とか、「愛知の名鉄にもこんな駅があったな」とか考えながら歩くのが楽しいのです。

この時期の昼の日差しはまさに焼け付くよう。

先の回廊を帰り掛けにものぞくと、テーブルに突っ伏して、昼寝をしている男性がいました。

村野が巨匠と呼ばれる所以は、作品の質と共に、その多作もあると思います。

多くの人を魅了し、設計の依頼があったのは、その優しさだったのでは……などと考えながら大阪に戻りました。

長く働いてくれたスタッフが辞め、やるべきことは満載ですが、「移動すること」=「刺激」であることは間違いありません。

巨匠の優しさにそっと触れた時、この仕事の奥深さを改めて感じるのです。

■■5月13日『住まいの設計6月号』「おいでよ House」掲載

■6月16日 『ESSE-online』「おいでよ House」掲載

■ 『ESSE-online』にコラム連載

6月18日「シンボルツリー」
6月5日「擁壁のある土地」
4月11日「リビング学習」
2月27日「照明計画」
2月14日「屋根裏部屋」
2月1日「アウトドアリビング」
1月4日「土間収納」
12月6日「キッチン・パントリー」

■■1月6日『Best of Houzz 2022』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■6月11日『homify』の特集記事に「R Grey」掲載
■1月8日『homify』の特集記事に「光庭の家」掲載
■1月7日『homify』の特集記事に「白馬の山小屋」掲載

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