11月3日は文化の日で祝日。
この日は一日掛けてショールームを回っていました。
御堂筋と中央大通りが交差するのが「久太郎3」の交差点。
その南西角にトーヨーキッチンがあります。
御堂筋が通行止めになっていたので、スタッフの人に聞くと、この日から「OSAKA光のルネサンス」が始まるとのこと。
トーヨーキッチンは、岐阜が創業の地で、元はスプーンやナイフを作っていた会社です。
それらの加工技術を生かしてキッチンを作り始めたのですが、かなり前衛的な試みをしてきたメーカーだと思います。
キッチンをリビングダイニングの中央に押しだしてきた功績は大きいと思うのです。
飾り気の少ない、質実剛健といって良いデザインが、ミニマルな建築に良く合います。
私も「下町のコンクリートCUBE」をはじめ、2000年代の作品にはかなり採用しました。
しかし、最近縁がなくショールームも5年振りだったようです。
最近は、流氷をイメージした「アイス仕上げ」と呼ばれる天板の人気が高いそうです。
さらにインテリアにも力を入れており、こちらは馬の照明。
このあたりにも「我が道を行く」感が出ています。
当社もそうですが、選ばれるためには何かしらの理由が必要です。
マジョリティでないなら何かを仕掛けて行くしかないのです。
まずデザインの方に目が行くのですが、大きなシンクを立体的に使えるよう考えられた「3Dシンク」は、キッチン業界に一石を投じたと思います。
まだSNSなどがない時代ですが、それを教えてくれたのは、目の肥えたクライアントでした。
この日案内してくれたのは、社会人2年目の溌剌とした女性で、非常に好感が持てました。
「仕事、好きそうだね」と聞くと「ハイッ!」と答えてくれたのですが、私が仕事を始めた頃に生まれたのか……などと思っていました。
15時から17時まで案内して貰い、プランがまとまりました。
ただ、この日は3メーカー回ったので、どこになるかは金額も含めてクライアントと相談の上です。
ショールームを出ると、イルミネーションが点灯されていました。
消費が冷え込む中、どのメーカーも決して楽ではないはずです。
四半世紀にわたり建築の世界で生きたので、様々な隆盛を見てきました。
例えばトーヨーキッチンを例にとれば、「デザイン」、「機能」、そして「新しい」が認知の後押しをしたと思います。
それを自分に置き換えた時、若い時なら別ですが、私が「新しい」ということはありません。
殷の名君湯王は、たらいの底にこのような言葉を刻み、毎朝顔を洗う度に戒めたそうです。
まことに日に新たに、日々に新たに、又日新たなり
24、5歳の彼女に、気持ちの「新しさ」だけは負けないつもりなのです。
■■■9月11日発売『リフォームデザイン2020』に「回遊できる家」掲載
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【News】
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に巻頭インタビュー掲載
■2月13日 『Best of Houzz』を「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました