土曜日の朝はあまりにも気持ちのよい天気。
「そうだ、棚田を見にいこう」と思い立ちました。
国道309号線、内環状線を南へ走ります。
富田林を抜けると大阪府下唯一の村、千早赤阪村です。
「太平記の名場面 赤阪城の戦い」という案内を見つけました。
鎌倉時代末期、倒幕を呼びかけた後醍醐天皇に応じたのが楠木正成です。
倒幕を企てた後醍醐天皇は、幕府によって配流されますが、その意思を継ぐ護良親王を正成は赤阪城で守ります。
30万もの幕府軍を、奇襲奇策を使って500名の兵で戦ったとありました。
駐車場もあったので、ここから歩いて行きます。
棚田は傾斜地に田をつくるので、中央にあるこの道路は完全な等高線。
まったくアップダウンがなく、極めて歩きやすいのです。
快晴の空が背景で、想像を上回る美しさでした。
標高もあってか、そこまで暑さも感じません。
そう思っていたら、自転車やウォーキングの人とすれ違いました。
皆思うことは一緒です。
等高線上の道に沿って進むと、赤阪城址という石碑が見えてきました。
高台にあった城から、巨石を落とし、熱湯を浴びせ、糞尿をまきちらして敵を撃退したそう。
兵糧が尽き、最後は城を放棄したそうですが、現存していたなら是非見てみたものです。
現在は遠くにPLの塔、さらにあべのハルカスを望みます。
700年前も、素晴らしい眺めだったことでしょう。
現在は「日本の棚田100選」にも選ばれた下赤阪の棚田が眼下に広がっています。
ここで糞尿をまきちらしたと考えると少し笑ってしまいますが。
モノレールのような乗り物がありました。
みかん畑などでよく見かけるあれですが、棚田の収穫にも使われるようです。
すぐ近くに、農産物直売所があったので寄ってみます。
ほとんど売れてしまったそうで、残っているものをかき集めて買って帰りました。
味見用に数粒のブドウが残っており「お兄さん、味見して行ってよ」と声を掛けられました。
「娘が大のブドウ好きなので、持って帰ってもいいですか」と聞き返しました。
裏手に回って、さらに数粒持ってきてくれ「今度は朝一番に来てよ。ブドウがとっても美味しいから」とお土産にくれたのです。
リモート、ネットショッピングの時代ですが、やはりその場に行かない、面白い事も面倒なことも起こりません。
だから私は野外と旅が好きなのだと思います。
田には豊富な水が必要です。
水がスムーズに供給されるよう、また崩落しないよう、緩やかに連続する田の曲線は、極めて優しい風景をつくり上げます。
自然と生活を美へと昇華させたものだと言って良いでしょう。
棚田に日本の美の源泉を見る思いがしたのです。
用水路にはヒキガエルの子供が。
シオカラトンボも沢山飛んでいました。
行く夏を惜しむように鳴くツクツクボウシ。
つい先日まで、シャワーが水でも浴びれそうな水温でした。
「水ぬるむ季節」という表現がありますが、丁度その反対の時期でしょうか。
長かった今年の夏もいよいよ終わりのようです。
■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に
巻頭インタビューが掲載されました
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【News】
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■2月13日 『Best of Houzz』を「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
■2月3日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』で「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
■「トレジャーキッズたかどの保育園」が
地域情報サイトに掲載
■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました