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千早赤阪村で夏の終わりを知る‐1728‐ 

 土曜日の朝はあまりにも気持ちのよい天気。

 「そうだ、棚田を見にいこう」と思い立ちました。

 国道309号線、内環状線を南へ走ります。

 富田林を抜けると大阪府下唯一の村、千早赤阪村です。

 「太平記の名場面 赤阪城の戦い」という案内を見つけました。

 鎌倉時代末期、倒幕を呼びかけた後醍醐天皇に応じたのが楠木正成です。

 倒幕を企てた後醍醐天皇は、幕府によって配流されますが、その意思を継ぐ護良親王を正成は赤阪城で守ります。

 30万もの幕府軍を、奇襲奇策を使って500名の兵で戦ったとありました。

 駐車場もあったので、ここから歩いて行きます。

 棚田は傾斜地に田をつくるので、中央にあるこの道路は完全な等高線。

 まったくアップダウンがなく、極めて歩きやすいのです。

 快晴の空が背景で、想像を上回る美しさでした。

 標高もあってか、そこまで暑さも感じません。

 そう思っていたら、自転車やウォーキングの人とすれ違いました。

 皆思うことは一緒です。

 等高線上の道に沿って進むと、赤阪城址という石碑が見えてきました。

 高台にあった城から、巨石を落とし、熱湯を浴びせ、糞尿をまきちらして敵を撃退したそう。

 兵糧が尽き、最後は城を放棄したそうですが、現存していたなら是非見てみたものです。

 現在は遠くにPLの塔、さらにあべのハルカスを望みます。

 700年前も、素晴らしい眺めだったことでしょう。

 現在は「日本の棚田100選」にも選ばれた下赤阪の棚田が眼下に広がっています。

 ここで糞尿をまきちらしたと考えると少し笑ってしまいますが。

 モノレールのような乗り物がありました。

 みかん畑などでよく見かけるあれですが、棚田の収穫にも使われるようです。

 すぐ近くに、農産物直売所があったので寄ってみます。

 ほとんど売れてしまったそうで、残っているものをかき集めて買って帰りました。

 味見用に数粒のブドウが残っており「お兄さん、味見して行ってよ」と声を掛けられました。

 「娘が大のブドウ好きなので、持って帰ってもいいですか」と聞き返しました。

 裏手に回って、さらに数粒持ってきてくれ「今度は朝一番に来てよ。ブドウがとっても美味しいから」とお土産にくれたのです。

 リモート、ネットショッピングの時代ですが、やはりその場に行かない、面白い事も面倒なことも起こりません。

 だから私は野外と旅が好きなのだと思います。

 田には豊富な水が必要です。

 水がスムーズに供給されるよう、また崩落しないよう、緩やかに連続する田の曲線は、極めて優しい風景をつくり上げます。

 自然と生活を美へと昇華させたものだと言って良いでしょう。

 棚田に日本の美の源泉を見る思いがしたのです。

 用水路にはヒキガエルの子供が。

 シオカラトンボも沢山飛んでいました。

 行く夏を惜しむように鳴くツクツクボウシ。

 つい先日まで、シャワーが水でも浴びれそうな水温でした。

 「水ぬるむ季節」という表現がありますが、丁度その反対の時期でしょうか。

 長かった今年の夏もいよいよ終わりのようです。

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
巻頭インタビューが掲載されました

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【News】
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
■2月3日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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