2016年4月の熊本地震の後、飛行機で現地へ向かいました。
JIA(日本建築家協会)が被害認定調査の支援活動参加者を募ったのです。
空からみた第一印象はやはり「水の国」でした。
私が担当した震源地すぐ近くの嘉島町も、水が豊かで本当美しいところでした。
実際、町営の湧き水プールがあるのです。
当時は凄惨過ぎてこの写真はUPしませんでした。
一緒に調査をした町役場の方たちは、日常を取り戻しておられるのか……
今回の豪雨では、日本三大急流に数えられる球磨川が氾濫しました。
球磨川は熊本市の南にある八代市に流れ込んでいます。
九州上空で、大きく旋回したあたりのような気がします。
火の国であり水の国である熊本に、一日も早く、平穏な日々が訪れることをただただ願うのです。
昨日、建築士試験の監理員というものを初めて経験しました。
新型肺炎の影響で、席の使用率を50%まで減らすことになり、会場が変更になりました。
使用部屋数が増えると、必然的に監理員も多く必要になり、普段の体制では人手が足りなくなったそうです。
建築士会の分科会から、監理員が足りていないという連絡があり、お手伝いすることにしました。
会場は大阪経済大学。
大阪市内にも関わらず、明るく、緑も多い。
こんな機会でもなければ、訪れることは無かったと思います。
昨日は2級建築士の学科試験でした。
私は1級を25年前に一度受けただけなので、記憶があまりないのですが、学科試験は午前は3時間、午後3時間。
受験者はヘトヘトになっていました。
私達は3人の監理員で90名程を担当したのですが、ベテラン監理員の方が「午後は結構辛いよ~」と言っておられました。
私はむしろ新鮮で、6時間かけてじっくり真剣な受験者を観察させて貰いました。
個人情報に関わることは勿論書きませんが、学校を卒業してすぐの若者世代が一番多くはありますが、上は同年代の方々まで。
幅広い年齢層が、同じ条件での国家試験に挑みます。
一番驚いたのは、左利きの人が8%もいたこと。
私達の時代なら、書くのは右と矯正されたのが、現在はそこまでしないのだろうと想像していたのです。
いくらかの謝金と共に、お昼はトンカツ弁当。
非常に美味しかったですが、オペレーションの関係で11時が私の昼食時間でした。帰る頃にはかなりお腹が鳴っていたのです。
学科試験の発表は8月末あたりで、合格者は二次試験となる製図試験に臨みます。
合格率は1級で8~12%、2級で20~25%となっていました。
2級、木造建築士と、規模や種別に制限のあるものもありますが、業務独占資格と言われるものです。
ある規模以上の建築物を建てるには、建築士が必ず設計しなければなりません。
業務独占資格なので、免許さえとってしまえば、いくらでも仕事があるかと言えば勿論そんなことはありません。
車の運転免許証と同じで、運転しても宜しいと言って貰っているだけで運転が上手いとは限りません。
もっと言えば、2種免許を持っているはずのバスの運転手でも、運転が下手な人はいくらでもいるのです。
1級建築士について尋ねられた時は、いつも「普通運転免許証と同じレベルです」と答えてきました。
建築設計を仕事としたいなら、持っていて当たり前なので、謙遜している訳ではありません。
これまでは「これが、弁護士資格や医師免許なら違うのでしょうが」と付け加えていました。
現在進んでいる計画の半分が医師の方なのですが、「医学部に行っても、国家試験を通らないと、ただの体に詳しい人で終わってしまうんです」と笑っていた方が居ました。
聞いた時に私も笑ってしまいましたが、なるほどその通りです。医師として生きるには必須ですし、持っていれば名医ともなりません。
あくまでも必要条件なので、資格を語る人は最低ラインを見ているのだということが分かってきました。
約90名のうち、何人が製図試験に進むのでしょうか。
大変そうな顔をしている受験者に、「ちょっと視線を上げてごらんよ。必ず合格するから」と伝えて上げたかったのですが、勿論そんなことは出来ません。
天災が起った時は、特に気が引き締まります。
建築は幸せを実現する為にあるものですが、非常時にはクライアントとその家族の命と財産を守るという役割も担います。
物創りにおいて、建築設計において、妥協など一切許されないのです。
そうそう、同年代の受験者に安藤百福さんの言葉を贈ります。
人生に遅すぎるということはない
彼がチキンラーメンを発明したのは48歳ですから。
■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に
巻頭インタビューが掲載されました
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