タグ別アーカイブ: リノベーション

トンビに撃墜されない範囲で、‐2112‐

土曜日は、日本でオーロラが観測されたというニュースがありました。

自然の話と言えば、温暖化、記録的豪雨など、聞き難いものが多い中、何とも夢のあるニュースでした。

強力な太陽フレアが連続して発生したのが要因で、北海道から能登半島までの日本海側で観れたとありました。

被災された北陸の皆さんにとって、一服の清涼剤になったと思いますし、改めて自然の奥深さを感じたのです。

同じ土曜日に、「下北山村の古民家〈リノベーション〉」のゲンバ日記をスタートしました。

初回は計画の説明の前に、私の下北山村愛がほとばしる内容になってしまいましたが、よければのぞいてみて下さい。

下北山村はニホンカモシカから熊まででるところですから、猿、鹿は普通に会います。

前回七色ダムへ行った際も、水面近くまで降りてきて、新芽なのか花弁的なものなのか、ムシャムシャ食べていました。

ドローンで撮影する時は、国交省に飛行許可を申請すると共に、ダムの管理者、電源開発の方にも許可申請を提出しています。

5月5日も、ゲンバ日記用に池原ダムで撮影していました。

この日は天気がよく、ドローンが飛んで良い空域、150m近くまで高度を上げました。

あたりにはトンビも多く生息しています。

風を受け、空中でくるりとターンする様子は気持ちよさそうですが、上空から人間の食事を狙っていることもあります。

以前、長男が食べていたバナナを上空から狙われ、音もなくかっさらわれました。

あの鋭い爪でバナナを捕まえた瞬間、バサリと羽が私の顔に当たりました。

子供に怪我がなかったのが何よりでしたが、皆さん是非ご注意下さい。

実は、これ程近くに飛んできたのには訳があります。

トンビはドローンを自分の制空権を犯す侵入者とみなします。いつもなら、この辺りで暮らす住人がすぐに威嚇してくるのです。

しかし、この日は近くに居なかったようで、順調に撮影していたのですが、ある瞬間音もなく現れ、こちらに滑空してきました。

それで急いで高度を落としたのです。

すでに何機かのドローンが撃墜されているそうで、あやうく新機を破壊されるところでした。

下北山村の自然に対する愛情は、ひとかたならぬものがあるのですが、常に片思い。何とも切ないものです。

「バカの壁」の著者、養老孟司は、戦後日本は「都市化」したと考えると理解しやすくなると言いました。

車が走り難いからアスファルトを敷き、雨が降ると買い物がし辛いと屋根を架けました。

ジャングルで石に躓いても誰も怒りませんが、ニューヨークで歩道に穴がありそこで怪我をしたら、市を訴えるのです。

コントロールできないものをどんどん排除し、文明は発展してきました。しかしその弊害として「何事も人のせいにする人が増えた」そうです。

この話、稀代の論客が鋭く現代人を考察しており、身につまされる思いがします。

魚が釣れないのは、誰のせいでもなく自分の知識と技術の至らなさ。

熊やトンビに駆逐されない範囲で、「言い訳」という錆を削り落としたいと思うのです。

■■■2月14日『Best of Houzz 2024サービス賞』受賞

■■■1月29日発売『日本一わかりやすい 一戸建ての選び方がわかる本2024-25』「回遊できる家」掲載

■■8月1日プールのある「ささき整形外科 デイケアセンター」オープン

10月27日『houzz』の特集記事
「滋賀の家」掲載

10月11日『homify』の特集記事
「白馬の山小屋<リノベーション>」掲載

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第3ラウンドは上町で勝負‐2111‐

昨日、ゲンバ日記で「(仮称)あまがさき ずっと元気クリニック」をスタートしました。

アニメーションもUPしているので、よければ【ゲンバ日記チャンネル】も合わせてご覧ください。

前回はゴールデンウィーク後半のことを書きましたが、前半は谷町六丁目へ現地調査へ行っていました。

今年の2月上旬に見に行った中古物件を、縁あって購入したのです。

地下鉄の駅から地上に出ると、谷町筋と長堀通が交差しています。

長堀通を東へ少し歩くと、今度は上町筋と交差。

南を見ると、上本町駅の「近鉄」の看板が小さく見えています。

丁度このあたりが上町台地の尾根筋にあたり、長堀通はここまでが上りでここからが下りです。

さらに上町台地を東に下って行くと、古いビルも結構残っています。

上手くリノベーションしているカフェなども色々あるのです。

購入した建物は、こじんまりした鉄骨4階建て。

1階は店舗でした。

2階、3階が居住スペース。

1階は、来客用と自分の車の駐車場にする予定で、2階がアトリエ。

3階が居住スペースなので、私達の寝室は4階になると思います。

街中なら、屋上は欲しいなと思っていました。

この1年で見た中古物件の中で、最も希望に近かったので、思い切って購入しリノベーションすることにしました。

どんな縁があったか、どんな計画になるのかは、またゲンバ日記にUPしていくので、少しお待ちください。

半日ほどかけて測量は終了。

夜や朝の周辺環境も知りたかったので、寝袋持参で泊まることにしていました。

測量終わりで、夕食を取る店を探すために周辺を歩いてみます。

クライアントから教えて貰ったのですが、このあたりにはミシュランの星付きのレストランがいくつかあるそうです。

この日は、感じのよさそうな店を見つけたので入ってみました。

長屋を改修した、ビストロ リベルテは夫妻で営むフレンチレストラン。

ただ、ビストロとある通り、気軽に入って貰えるよう意識しているとのことでした。

穏やかなご夫妻の雰囲気通り、とても優しいお味でした。

大変おいしゅうございました。

現在は、外食をすることがあまりないのですが、移転すれば少しは機会ができるでしょうか。

帰りは、隣駅の玉造まで歩いてみました。

こちらは下町の雰囲気が色濃く、ザ・大阪といった感じ。

どちらも楽しみです。

天王寺で創業して5年、地元の平野で22年、第3ラウンドは上町で勝負することにしました。

どんなご縁があったか、なぜこの地が良かったか、この建物の課題は何か、そしてなぜ移転するのか。

ゲンバ日記に、全て包み隠さず公開していくつもりなので、またのぞきに来てください。

秋までの移転完了を目指します。

■■■2月14日『Best of Houzz 2024サービス賞』受賞

■■■1月29日発売『日本一わかりやすい 一戸建ての選び方がわかる本2024-25』「回遊できる家」掲載

■■8月1日プールのある「ささき整形外科 デイケアセンター」オープン

10月27日『houzz』の特集記事
「滋賀の家」掲載

10月11日『homify』の特集記事
「白馬の山小屋<リノベーション>」掲載

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池原→七色→池原‐2110‐

ゴールデンウィーク後半。

前回は、仕事だけでお預けだった池原ダムへ。

う回路を回って3時間15分かけてやってきました。

ボートを駐艇しているトボトスロープへ。

ボートの昇降ができない水位まで下がっており、降ろすことができませんでした。

1年に1回あるかないかの為に、牽引の許可は取っています。

しかし、ボートを繋ぐと全長が12m程になり、運転はかなり神経を使います。

特に、バックでボートを湖に入れるときは、慣れていないので難易度マックスなのです。

しかし、ここまでやってきてそうも言っておられず、南にある七色ダムへ。

スロープ60は、若いときはかなりお世話になりました。

何とか湖に浮かべるところまで済ませひと段落です。

「下北山村の古民家リノベーション計画」もかなり進んでおり、現場に寄って撮影をしてきました。

この日は、早めにバンガローに戻ってワーケーションです。

翌日は早朝から湖上にでました。

池原ダムと同じ熊野川水系にありますが、七色ダムは景色が随分違います。

水位変化が少なく、景色が優しいのです。

名物、発電所跡.

穏やかな水面の上を疾走します。

今回は、ボートのシステムを色々やり替えたので、テストの意味合いもありました。

しかし上手く機能せず、釣りはせずに再びトボトスロープにボートを戻しました。

折角戻ったので、全国のトボトスロープファンにお届けします。

上空115mからの空撮です。

今朝、大阪に戻ったのですが、ゴールデンウィーク最終日は生憎のお天気になりました。

それでも、紀の川を通ると、多くの鯉のぼりが風に泳いでいました。

子供が小さい時、長期休暇は本当に全国を走り回っていたことを思い出しました。休暇の過ごし方も、歳と共に変化していくものです。

明日からはフルスロットルで疾走します。

■■■2月14日『Best of Houzz 2024サービス賞』受賞

■■■1月29日発売『日本一わかりやすい 一戸建ての選び方がわかる本2024-25』「回遊できる家」掲載

■■8月1日プールのある「ささき整形外科 デイケアセンター」オープン

10月27日『houzz』の特集記事
「滋賀の家」掲載

10月11日『homify』の特集記事
「白馬の山小屋<リノベーション>」掲載

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4時間の山道はワクワク時間だった‐2106‐

金曜日の仕事が終わり、急いで大阪を発ったのが20時半頃。

南阪奈道を五條ICで降りて、十津川から新宮へ抜ける168号線を南下します。

そのまま熊野市まで行って311号線に乗り換え、169号線で瀞峡の横を抜けるように北上すると下北山村です。

下北山村の池原ダムに到着したのは24時頃。3時間半ほど掛かりました。

仮眠して、翌朝トボトスロープから湖上にでるのが私の休日ですが、今回釣りはお預け。仕事にやってきたのです。

最後に来たのが昨年11月だったので約半年振り。

知り合いと何人かに会い、いそいそと準備をする姿を横目に、所要を済ませて現場へ向かいます。

この計画の相談を受けたのは、コロナが明けた3年前の春でした。

本当に様々な課題を乗り越えて、ようやくここまでやってきたのです。

先日クライアントから、着工時の写真を送って貰いましたが、この日は建築会社の社長も交えた3者での定例会議1回目でした。

重機が搬入されていました。

会議は13時からなので、現場の様子をカメラ、ビデオで撮影します。

半日撮影の時間を取れることは稀で、ある意味贅沢ともいえます。

重機がもち込まれ、電気屋さんは配線を外しているところでした。

天気は最高で、早速ドローンで周辺を、そして内部も撮影します。

リノベーションは出来上がっていく過程がダイナミックで一番面白いのです。

『 建築家・守谷昌紀TV』にUPするつもりなので、よければご覧下さい。

15時過ぎまで打ち合せして、そのまま大阪に戻ります。

帰りは距離的にショートカットできる425号線で十津川まで抜けることにしました。

一度通ったことがあるので、快走ルートではないがどうしようもない酷道(ひどい道路という意味)ではないことは把握していました。

それでも、アップダウンはかなりあります。

頂上付近、1車線の白谷トンネルを抜けると一気に視界が開けました。

快晴なら気持ちよさそうなところです。

気温も低く、まだ桜が咲いているところもあります。

ガードレールが老朽化していたり、それなりの大きさの石が転がっていたりもします。

この付近はやや広いですが、狭いところも結構ありました。

時間は少し早くなりますが、私的には大回りの311号線、瀞峡経由かなと思っていました。

30年前に池原ダムに通い始めたころは、169号線も工事中のところばかりで、川の西側から対岸の仮道路へ誘導されたり、1車線のところもあったりで、4時間近く掛かっていたと思います。

2003年に伯母谷ループ橋が完成してから、一番厳しい峠越えがなくなり、2時間時代にはいりました。

時間が掛かることが嬉しいとまではいえませんが、ゆっくり考え事をする時間を、3時間半貰ったと考えれば、それはそれで価値があります。

何より、若い頃は4時間の山道運転を大変と思わず、むしろワクワクしながら通っていたことを思い出していました。

色々な経験をし、喜びが目減りすることを「知恵の悲しみ」といいます。

そういった部分も勿論ありますが、心はできるだけフレッシュでいたいものです。

どのくらいの頻度で通えるかは分かりませんが、折角なので、仕事と釣りを織り交ぜて書いていければと思っています。

■■■2月14日『Best of Houzz 2024サービス賞』受賞

■■■1月29日発売『日本一わかりやすい 一戸建ての選び方がわかる本2024-25』「回遊できる家」掲載

■■8月1日プールのある「ささき整形外科 デイケアセンター」オープン

10月27日『houzz』の特集記事
「滋賀の家」掲載

10月11日『homify』の特集記事
「白馬の山小屋<リノベーション>」掲載

■ 『ESSE-online』にコラム連載

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テレビの中は歳をとらない‐2023‐

梅雨明けはまだのようですが、今日は快晴の一日でした。

夕焼けに、どことなく夏の気配を感じます。

兵庫県太子町の「ささき整形外科ク デイケアセンター」の現場へ通うようになって、半年以上が経ちます。

不思議に思うのですが、大阪より季節が遅いのです。

田植えの時期など、2週間くらいは遅いでしょうか。

田んぼをのぞくと、おたまじゃくしが沢山泳いでいました。

大阪市平野区はまだ田んぼが残るので、夜はカエルの大合唱です。

すっかり成長した大人のカエルの大きな鳴き声。

うるさいと言えばうるさいですし、夏の風物詩とも言えます。

何より、全く水の無い秋、冬、春をどうやって生き抜いているのでしょう。本当に逞しいものです。

現場の方は、天候に悩まされながらも順調に進んでいます。

本日、動画をUPしたので良ければご覧ください。

プールも全容をあらわし、現場も終盤です。

水を貼った場面を見るのがとても楽しみ。

終盤に入ると、劇的な変化は減ってきますが、繊細な仕事が増えてきます。

クロス屋さんの仕事などはその代表格でしょうか。

劇的と言えば、日曜日にBSで『大改造!!劇的ビフォーアフター』が放送中と、メールをくれた人がいました。

「住之江の元長屋」 を私が担当したのは、丁度11年前。

この現場が始まる際に、工事関係者の人たちに、テレビ番組のDVDを渡しました。

こんな仕事をしてきたということを知って貰いたいのと、話のネタにでもなればと思ってのことです。

ただ、現場所長に「若いですねえ」と言われてしまいました。

テレビの中では歳をとらないので、さすがに41歳と52歳では随分違います。

それは致し方がありませんが、できるだけ元気で、心は若くありたいとは思います。

下の子供が大学を出る時に、60歳になる計算です。

そんな事情もあり、まだまだバリバリ働きます。


『建築家・守谷昌紀TV』 ■

■■■4月6日 『かんさい情報ネットten.』 浅越ゴエさんのコーナー に出演
■■6月9日 『住まいの設計チャンネル』 「おいでよ House」公開
■6月16日 『ESSE-online』「おいでよ House」掲載

■ 『ESSE-online』にコラム連載

10月11日「テレワーク時代の間取り」
9月18日「冷蔵庫の位置」
6月18日「シンボルツリー」
6月5日「擁壁のある土地」
4月11日「リビング学習」
2月27日「照明計画」
2月14日「屋根裏部屋」
2月1日「アウトドアリビング」
1月4日「土間収納」

■11月28日『homify』の特集記事に「回遊できる家<リノベーション>」掲載
■11月17日『homify』の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載

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建築家・守谷昌紀TV 四代に渡って住み継ぎたいと思える「薪ストーブのある入母屋の家」〈リノベーション〉

『建築家・守谷昌紀TV』 ■

■■■4月6日 『かんさい情報ネットten.』 浅越ゴエさんのコーナー に出演
■■6月9日 『住まいの設計チャンネル』 「おいでよ House」公開
■■5月13日『住まいの設計6月号』「おいでよ House」掲載
■6月16日 『ESSE-online』「おいでよ House」掲載

■ 『ESSE-online』にコラム連載

10月11日「テレワーク時代の間取り」
9月18日「冷蔵庫の位置」
6月18日「シンボルツリー」
6月5日「擁壁のある土地」
4月11日「リビング学習」
2月27日「照明計画」
2月14日「屋根裏部屋」
2月1日「アウトドアリビング」
1月4日「土間収納」

■11月28日『homify』の特集記事に「回遊できる家<リノベーション>」掲載
■11月17日『homify』の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載

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4年に及ぶ物語、ここに完結‐1954‐

昨日の日曜日は、絶好の撮影日和。

近鉄石切駅あたりから見た空は、全く雲の無い快晴でした。

四代住み継ぐ「薪ストーブのある入母屋の家〈リノベーション〉」の撮影だったのです。


予定日の天候が悪かったり、コロナの感染拡大と重なったりと、2度の延期を経て実現しました。

常緑ヤマボウシが紅葉し、明るい庭のタイルと青空に映えています。

軒が深いので、玄関扉は無垢のナラ材で製作しました。

素材の選択にはかなりこだわっています。

室内の壁は全て漆喰塗りで、床は無垢のナラ材です。

そこに薪ストーブとステンレスのキッチンが、キリッとアクセントになっています。

司令塔のような位置にあるのがこのキッチンです。

中庭を望む配置としましたが、ここからの景色が一番よいとのこと。

奥さんに「普段使うキッチンや、お風呂にこだわってとても良かった」と言ってもらいました。

洗面脱衣にある、メジャーリーグのロッカーをイメージしたクローゼットです。

その横に洗面。

そして浴室が続きます。

鋳物ホーローのバスタブと大判タイルが優雅な空間を演出してくれるのです。

芝生の手入れは意外に簡単ではありません。

それで、ある程度面積を抑えましょうとなりました。

それも功を奏したのか、青々と根付いています。

その奥にあるのは砂場。

お子さんが大きくなれば、家庭菜園としても使えるよう考えました。

屋根裏に続く通路は橋のような空間です。

トップライトからの光が、建物中央の一番暗い場所を照らしてくれるのです。

屋根裏空間も、子供さんが小さい間は遊び場に最適なはずです。

昼の部の撮影を終えたのが13時頃で、17時前に再訪しました。

夕景の撮影がスタートです。

スロープにはアッパーライトも備え、視認性を高めています。

夜は照明を暗めにすると、山小屋のような趣になるそうです。

薪ストーブに火が入る季節は、なお雰囲気があるでしょう。

こちらの計画は、2018年の10月にスタートしました。

総打合せ回数45回、現場打合せは22回。

紆余曲折あり、ここに来るまでに4年の歳月が経過しました。

計画がスタートした時には2歳前だったお子さんが来年は小学生。本当に時が経つのは早いものです。

ただ、ご家族の成長をつぶさに見せて頂いたことで、多くのことを設計に織り込むことが出来たと思っています。

4年に及ぶ物語はここに完結しました。

その時間が、空間の密度に現れていると思うのは私だけなのか、そうではないのか……

それはまた世の中が判断してくれるはずです。

仕事に終わりはあるようで、やはり無いものだと思うのです。

■■5月13日『住まいの設計6月号』「おいでよ House」掲載

■6月16日 『ESSE-online』「おいでよ House」掲載

■ 『ESSE-online』にコラム連載

10月11日「テレワーク時代の間取り」
9月18日「冷蔵庫の位置」
6月18日「シンボルツリー」
6月5日「擁壁のある土地」
4月11日「リビング学習」
2月27日「照明計画」
2月14日「屋根裏部屋」
2月1日「アウトドアリビング」
1月4日「土間収納」
12月6日「キッチン・パントリー」

■■1月6日『Best of Houzz 2022』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■6月11日『homify』の特集記事に「R Grey」掲載
■1月8日『homify』の特集記事に「光庭の家」掲載
■1月7日『homify』の特集記事に「白馬の山小屋」掲載

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コラム「建てるため」の土地探し‐1853‐

通勤にコートや手袋が必要になってきました。

そろそろマフラーも準備しておいた方が良いかもしれません。

通りがかった公園で、ネコが何かを見上げています。

何か小動物でも見つけているよう。

つられて顔上げると、葉を黄色に変えた立派なイチョウが目に入りました。

この時期、日の光を受けたイチョウの美しさは格別です。

眩いばかりの金色です。

先週、Webサイトをリニューアルしましたが、COLUMNというコンテンツを追加しました。

この日記で、家を建てるにあたって注意すべき点、工夫できることは一通り書いてきたつもりでいましした。

しかし、今回で1853回目になるので、必要な記事を見つけて貰うのは至難の業です。新たにまとめ直しては?とアドバイスを貰ったのです。

第1回目は-どこに住もうか?-というタイトルで、9月末にUPしておきました。

本日-「建てるため」の土地探し - をUPする予定でしたが、まだシステムを完全に把握できておらず……

初心に帰って、こだわりの家を建てたい人に役立つ情報を、月に1本くらいのペースで書いていきたと思います。ここで先に蔵出しします。

「建てるため」の土地探し

1. この中古物件買っていいですか?

土地や中古物件を探すには、まずは情報が必要です。
Webサイトや、広告などで情報を探すことからスタートします。

候補をしぼり、若いご夫妻と直接現地へ向かいました。
その場で、「守谷さん、この中古物件買っていいですか?」と尋ねられました。

コンマ数秒迷いましたが「新築を視野に入れないなら、いいと思います」と答えました。

こうして「神戸の高台の家」は計画がスタートしました。

2. 「リノベーション一択なら」

裏手に擁壁があり、現行法規の下で建替えをするなら、その部分を全てやり替える必要があります。数百万は掛かると考えたので、「リノベーション一択なら」と答えたのです。 

後にも書きますが、擁壁や高低差のある土地は、特に事前調査が大切なのです。

何千万もの買物を左右するアドバイスなので、重圧を感じなくはありません。
しかし、それを実務で経験させて貰ったからこそ私も鍛えられます。

建築基準法において、建物と土地の両方の安全を担保することを求められます。

上物だけに意識がいってしまうと、土地の調査がおろそかになり、「新築なら非常にコストが掛かる」または「建てられない」という最悪のケースまで起こり得るのです。

3. この土地買ったのですが

関西では北側に山が多く、南から日を受けるゆるやかな斜面地が多くあります。

南に向かって土地が下がっていくので、隣地の陰にならず、光環境は非常に恵まれます。

しかし、擁壁があったり、傾斜がきつかったりする場合には、土地の安全を担保しなければならないのは先の話の通りです。

バギーを押して、小さなお子さんと3人で見えたご家族は、すでに北摂の南斜面にある土地を購入されていました。

(写真と本文は関係ありません)

擁壁の上にあるとても見晴らしの良い土地で、不動産仲介会社からは「このくらいの家が建てれます」という、簡単な間取り図を貰っていました。

(写真と本文は関係ありません)

ただその擁壁の高さが5m以上あったので、「土地の安全ついての説明は受けましたか?」と尋ねると、「受けていません」と。

「プランの提案をして貰えますか?」という相談だったので、「まずはこの土地にこの大きさの建物が建つかの調査から始めてみます」とお答えしました。

写真で見る限り、擁壁の質があまり良さそうではなかったので、気になっていたのですが、調べていくと、完全にプライベートな擁壁だと分かりました。

4. 擁壁のメリットと絶対に気をつけるべきポイント

プライベートな擁壁とは何かを説明します。

例えば、山の斜面を住宅地として開発する場合は、半分を削り、半分を埋めたてることが殆どで、少なからず擁壁部ができます。

この擁壁が安全なものであるという、公的な照明書があれば問題なく建てることがで出来ます。しかし、これがなければこの擁壁に全く圧を掛けないように離して建てるか、荷重を掛けないような対処策を施さなければなりません。

先のご家族が購入されていた土地は、調査をしても安全を照明書できるものはなく、何かしらの対処をしなければ、予定していた建物が建たないことが分かりました。

出来るだけ安く地盤を補強する方法は見つけたのですが、それでも300万円程掛かります。それでは聞いていた話と違うということで、結局仲介会社と裁判をすることになってしまいました。

その為に資料を、できるだけ安価で製作することしか私には出来なかったのです。

反対に、「高台の家」ではこの擁壁が安全だという資料が役所に保管されていました。

それで、擁壁ぎりぎりまで建てることができたのです。

土地を売ることが専門の人と、土地に建てるのが専門の人の知識や意見が同じということはありません。

それは仕方がないのですが、さあこれからという、若いご家族がこのような目に会うケースを見るのは本当に忍びないものです。

私は「もし候補のひとつと思って下さるなら、遠慮なく相談下さい」と伝えます。

土地探しから新居を建てるという計画がスタートし、完成、そして生活が始まるまでは、夢の島を目指す長い航海のようなものです。

航海図を描いたり、船員を選んだり、舵を切ったりして、航海を成功させるのが、建築家の仕事だと思っているのです。


というのが、第2回目のコラムです。

バギーを押してこられたご家族から、その後の連絡はありません。

他の建築家と建てられたのか、注文住宅はやめたのか、そもそも一戸建てを諦めたのかは分かりません。

傾斜地が候補になった時、今でもあのご家族を思い出します。

そんなこともあり、初期調査にはかなり時間を掛けるようになったのです。


■■■ 8月17日『建築家・守谷昌紀TV』を開設しました ■■■

■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載

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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記


アドレナリン大量分泌‐1819‐

東京オリンピックが開幕し、今日で6日目。

水泳、卓球混合ダブルス、ソフトボール、柔道、体操、スケートボードと、これまでに見たことのないメダルラッシュが続きます。

サッカーはメキシコ、フランスを撃破。

大谷選手はホームラン王独走と、日々テンションが上がるニュースばかりなのです。

さあ今日も頑張ろうと、10時ごろ会社を出ました。

最近お気に入りの新御堂筋。

通称・新御(しんみ)は、混む道路の代名詞でもあります。

ただ、午前中の北向きはあまり混んでおらず、景色の変化も楽しい快走ルートです。

千里中央あたりまでやってくると、さらに車は減ってきます。

お気に入りの箕面有料道路を抜けると。

もう大阪とは思えない景色が広がっているのです。

リノベーション候補の下見は、なかなかに責任があります。

その物件を購入するのかしないのか、私の意見が大きく影響するのですから。

万全の体調でのぞみたいところですが、実はかなりのバッドコンディションでした。

昨日の夕方、2度目のワクチンを接種。

「元気な人ほど副反応はきついらしい」とは聞いていましたが、まさかこれほどとは。

朝方は38.3℃まで熱が上がっていました。

昨晩、家族が51度目の誕生日を祝ってくれたまでは良かったですが、深夜頃から、まるでインフルエンザに感染したような悪寒が走り出します。

節々は痛いわ、寒いわで、冬用の毛布まで引っ張り出して貰いました。

テンションが低かったりして、クライアントに失礼があってはいけないと思い、先に体調のことを伝えしました。

今日もかなりの暑さでしたが、調査を始めると調子がでてきて、建物の評価や、見るべきポイントを説明して行きます。

昼過ぎに現地を出る頃には、「あれっ、体調悪かったっけ」くらいの感じだったのです。

しかし、会社に向かって車を走らせると、再び倦怠感が襲ってきます。

15時からは、遠方のクライアントとリモート打合せだったので、同じように、まず体調のことを伝えてから、ミーティングをスタートしました。

ところが、始まると全く倦怠感など感じず、気が付けば3時間が経っていました。

次回のアポイントをとり、リモート打合せを終了したのです。

前日あまり寝ていなかったとしても、絶対言わないようにしようと決めたのが35歳くらいだったでしょうか。

言い訳から入ると、絶対に結果が良くなることはありません。

今回のコロナで亡くなった志村けんさんは、遅刻を非常に嫌ったそうです。

その理由を、元お弟子さんが語っていました。

遅刻をすると「すみません」という謝罪から一日が始まってしまう。一日がマイナスから始まってしまうことを、志村さんは最も嫌った。

どちらの話しも頭をよぎったのですが、それなりの副反応だったので伝えてしまいました。結論で言うとやはり不要だったと思います。

ボクシング選手が、試合中にパンチを貰っても痛くないのは、アドレナリンが分泌されるからだと言います。

クライアントとの打合せは、私にとっては全く同じ。多量のアドレナリンが分泌されるのだと思います。

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』を「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』に「回遊できる家」掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

◆メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

オープンデスク日本一‐1773‐

 昨日は大阪でも小雪がちらつき、今日は氷点下を記録したようです。

 しかし一昨日は暖かく、一日現場を回っていました。

 先週からオープンデスクに参加している21歳の学生君も一緒に連れて行きました。

 この環境下で、行動を起こす勇気や良し、です。将来の自分の仕事にするべきかと、真剣に現場を見ていました。

 1件目は、まだ現場日記に公開していないリノベーション計画。

 これまでも劇的に風景を変えてきたつもりですが、こちらの計画もなかなかに歯ごたえがあります。詳細についてはまた追々。 

 2件目は、新築計画の現場まで20分程移動しました。

 こちらは間もなく現場日記にUPするつもりですが、現在解体工事が始まったところです。
 

 内部をのぞくと、土壁の下地、小舞が置いてありました。 

 50年前の人の手跡を感じるのです。

 奈良盆地から、生駒山地の北端を走る163号線で大阪平野に戻りました。

 そのまま「かやしま写真スタジオOhana」へ向かいます。

  Ohanaは残念ながら道路計画によって収容となることが決まっています。
 
 数年前からそれは聞いていたのですが、昨年の初めから本格的に建て替え計画を進めていました。

 ウクレレ大好き、カメラマンの石井さんも現Ohanaが大好きだと言ってくれます。

 寂しいのは寂しいですが、前に進んで行くしかありません。いよいよ新Ohanaの競争見積りに入りました。

 それで、新敷地をスタッフと再度確認しに寄った次第です。

 4つ目の現場へ向かう途中、門真のPanasonic本社前を通りました。

 創業者、松下幸之助翁の銅像が見えます。

 創業100年の2018年にオープンしたパナソニックミュージアムが面白いと聞いているのですが、日曜が休館日につき未だ訪れたことがなく……

 新Ohanaの工事中に、何とか訪れたいと思っているのです。

 隣あうさくら広場は安藤忠雄の設計だったはず。

 満開の時期なら尚楽しいでしょう。

 淀川を渡り、「The Longing House」の現場に到着しました。

 こちらでは、電気設備の位置決め最終回。

 学生君にも手伝って貰い、みっちり4時間の打合せを終えたのが18時。

 体の頑丈さには自信がありますが、帰りの車では少し眠かった。電車移動なら昼寝が出来ますが、車はそれが出来ないのが難点です。
 
 21歳の時、自分の将来をどう考えていたのだろうと思い出してみます。

 高校生の時に、建築家として生きて行きたいと決めたので、職業は決めていました。

 ただ、具体的に誰に師事したいかなどは、明確なイメージを持てていませんでした。それで、父の友人に紹介して貰った建築家の下へ弟子入りするのですが、これが完全に失敗でした。

 自分の意思で決めた訳ではないので、言い訳が先に立つのです。

 「でも……」「だけど……」「仕方がない……」

 全部NGです。

 以来、悔いのない決断をすることを心掛けてきたつもりなので、この話はオープンデスク生によくしています。

 学生君が「所長から、ネガティブな言葉は聞いたことがないですね」と言ってくれました。

 それはそうです。特にりっしんべんに亡くなるという日本語は絶対使わないようにしています。英語で言えば ”busy” のあれ。(英語はOKということではないのですが)

 ハリー・ポッターで言えば「ヴォルデモート」みたいなもので、使えば使う度、心を亡くしていくと教えて貰ったからです。

 以前は嘆いてばかりでしたが、全ては仕事が教えてくれました。嘆いていても誰も助けてくれませんし、それなら一つでも二つでも手を打つべきです。

 今、Yahoo!で「オープンデスク」と検索すると当社は6位にでてきました。一時は1位だったので、よく「オープンデスク日本一」と言っていたものです。

 どんなことでもそうですが、誰かが必ず一番になります。私がその一番に絶対なれないという法律はありません。そんな気持ちで、いつも自分を、チームを鼓舞してきました。

 失敗することを恐れるよりも、真剣でないことを恐れたい。
-松下幸之助- パナソニック創業者

 さあオープンデスク君、どちらが真剣か、僕と真剣勝負だ。何せウチは、オープンデスク日本一だから。

 こんな感じが嫌いでない学生は遠慮なく応募下さい。

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

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【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に巻頭インタビュー掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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