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続・梅田ダンジョン④<大阪駅前第1ビル地下2階は設計ミス?編>‐2216‐

昨日の日曜日は、自転車で梅田へ。

大阪城の西側にある大阪府警察本部の前を横切り、谷町筋へ向かってゆるやかに下ります。

庁舎は2008年の完成で、設計は黒川紀章。

黒川は2007年に亡くなっているので、完成を見ていないのです。

天神橋を渡り、大川の北側にでます。

天満橋のOMMビルが東に見えていますが、このビルがランドマークになっているのがよく分かります。

西にキタのビル群が近づいてきました。

このあたりが丁度真ん中です。

2号線沿い、大阪駅前第3ビルの南側までやってきました。

のんびり走って20分くらいだったでしょうか。

目的は釣り道具の補充でした。

平野からは、フィッシングエイト本店に通っていましが、上町からはここが一番近い系列店になります。

第3ビルの西隣は第2ビルです。

「seven dreamers Umeda Osaka」は、2019年の経営破綻で閉鎖されました。

その場所を訪れると、現在はクリニックが入っていました。

渾身の仕事だっただけに寂しいことですが、致し方ありません。

丁度、動画をUPしたところだったので、ここにも貼っておきます。

はす向かいにあった大阪マルビル跡も、関西万博会場行きのバスターミナルになっています。

昨年の2月に、梅田ダンジョン①<大阪駅前ビル編>を書いた時には解体中だったマルビル。

時代の趨勢は誰にも止められないことを実感するのです。

ですが、昭和の香り漂う第1ビルの地下2階で、昼食でも取ろうと店を探してみます。

第1ビルの地下2階だけ天井がかなり低く、通路が極めて狭いのには訳があります。

元々、地下2階は倉庫等に使う予定で、店舗用には設計されていないのです。

しかも、JR大阪駅からは地下1階で接続する予定だったのを、後で地下2階で接続するよう計画が変更されました。

大阪駅と繋がるディアモール大阪の勾配が、かなり急で長いのはそのせいです。

梅田界隈は地盤が弱く、広大な地下街を作るには強度の問題から、より深くする必要があると後で分かったからのようです。

それを証明するように、第1ビルの地下2階は、大阪駅に最も近い北側中央には空間がありません。

店舗にするなら、その場所こそが最も人が訪れるのは間違いないのに、です。

第2ビルの地下2階で、日曜日にも関わらず定食を750円や800円で出している店を見つけました。

「金明飯店」の麻婆麺ミニ炒飯セットは800円。

豪華とは言いませんが、金額を考えるとかなりお得で、十分美味しかったです。

3回シリーズで一旦終わった「梅田ダンジョン」シリーズ。

またネタがあれば、「続・梅田ダンジョン」シリーズでUPしてみたいと思います。

昨日は母の日。

妻に長男からこんなLINEが届きました。

20歳になった長男から、こんなプレゼントがある訳ですから、時代が変わっていくのは必然で、昭和は遠い昔になっていきます。

少し寂しさを感じたあなたは、 大阪駅前第1ビル第2ビル の地下2階へどうぞ。

ほぼタイムマシンですから。

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彼女は17年前の私‐1555‐

 先週まで、大学4回生の男の子が手伝いに来てくれていました。

 夜は飲食店のアルバイトをしながらで、大変そうな時もありましたがよく頑張ってくれました。

 また、2月からもオープンデスク生を1人受け入れます。

 1日で辞めた学生も含めて、70名程を受け入れてきました。その卒業生の1人から手紙が届きました。

 彼女は働き始めて6、7年目になったと思います。設計の仕事に就いており、時々手紙をくれるのです。

 年末年始にカンボジアを訪れ、アンコールワットなどを見て回ってきたとありました。

 彼女の手紙は、いつも丁寧な文字でしっかりと書かれています。

 設計者として建築の考察、またスケッチが描かれていることもあります。

 写真も同封されており、「懐かしいなあ」と思いながら手紙を読ませて貰ったのです。

 私がカンボジアを訪れたのは31歳の時でした。

 当時、酷い鬱に苦しんでおり、どんな経緯で海外へ出たのかは、この日記の1000回目に書きました。

 宿を取らずに海外へ出たのは初めてで、タイ、カンボジア、ベトナムをあてもなく放浪しました。

 まずはバックパッカーの聖地、バンコクのカオサンロードで安宿を探し、ビザなどを取得していきました。

 アユタヤなども回りながら旅の試運転を終え、カンボジアへ向かったのです。

 アンコール・ワット観光の拠点となるのは、シェムリ・アップという街です。

 観光で潤っていることもあり、治安がよく温暖でリゾート地の雰囲気もあります。

 「微笑みの国」タイと言いますが、カンボジア人はさらに優しく穏やか。

 仕事に疲弊し、ボロボロの状態で海外へ出た私にとって、まさに救いのオアシスでした。

 この街で少しゆっくりすることにしたのです。

 アンコール・ワット、アンコール・トム、タ・プローム等、遺跡群は全て回りましたが、時間だけはあるのがバックパッカーです。

 また観光地とはいえ、遺跡以外は何もありません。

 仕事が欲しいカンボジアの若者は、「日の出が世界一美しいから見にいこう」と売り込んできます。

 で、世界各国の観光客が、遠くにトレンサップ湖だけを望む、何もない平原で日の出だけを見るという構図です。

 卒業旅行に来ていた女子大生が、「40kmくらい先に、ベンメリアという秘境の遺跡があるらしいんですけど、皆でいきませんか」と声を掛けてくれました。

 トラックを1台チャーターしてきて、皆で割り勘。海外で会う日本人女性は行動力の塊です。

 砂埃を巻き上げながら走るトラックの荷台で、1時間ほど揺られたでしょうか。

 ベンメリアは外国人へ開放されたばかりで、内戦時の地雷も残っているので、不用意に道から外れてはいけないと言われました。

 また、少し街を離れると悪名高いポル・ポト派の残党がでるとの話しもありました。

 旅の危険自慢ほど下品なものはありませんが、正直、好奇心に勝てませんでした。

 熱帯の木々の強い生命力と、建築の最期を見せつけられたのです。

 当時は写真に重きをおいておらず、持って行ったカメラは「写ルンです」を3つだけ。

 残っている写真は僅か数枚で、勿体ないことをしたなと思います。

 しかし旅は体感が全て。その方が良かったのかもしれません。

 その後ベトナムへ向かいました。

 経済発展が著しいと聞きますが、当時は社会主義国独特の雰囲気がありました。

 ホー・チミンのゲストハウスの屋上から、市街地で上がる旧正月を祝う花火を見ました。

 そして「結局自分には建築設計しかないんだ」と日本に戻ることを決めたのです。

 私が訪れた時から17年が経ちました。

 変わったところも沢山あると思いますが、トレンサップ湖の水上生活者や、バイヨンビールの味はそんなに変わらないのだと思います。

 この旅の中で、自分が写っている写真が2枚だけありました。

 ベンメリアか、その近くの街で子供と撮った写真だったと思います。

 彼女の手紙には、エネルギーのある20代のうちに行っておこうと思ったとありました。

 当時の私と2つ歳の差はありますが、仕事の壁にぶつかり、社会の軋轢に悩み、今後の人生のことを考える年齢だと思います。

 年長者として、同職の先輩として達観してみている訳ではありません。

 誤解を恐れず言えば、彼女は当時の私です。

 彼女のことを十分理解しているとか、凄く分かっているという意味ではありません。

 人はそんなに変わらないし、自分だけが特別なことなど殆どないと思っているのです。

 ゲーテがモチーフとしたように、若いということは悩みが多いということです。

 多くの選択肢がある、可能性があるから悩むのです。

 反対に、決めるということは他の選択肢を捨てるということです。

 捨てるということは決してネガティブなことではありません。これが31歳の私と今の私の違いだと思います。

 人生は一本道です。折角みつけた目の前の道を、一歩一歩進んでいくしかありません。

 だから一休和尚は「迷わず行けよ」と励ましているのだと思うのです。

 この世にタイムマシンはありませんが、彼女の手紙が、ひと時、私を17年前のベンメリアに連れていってくれたのです。

■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました

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