タグ別アーカイブ: 天王寺

ザ・天王寺、いっかい入ったら 慣れますよー‐2197‐

前回は、日曜日にリニューアルオープンした大阪市立美術館を訪れたと書きました。

かなり久し振りで、天王寺動物園の入口脇にできたてんしばイーナも初めてみました。

一番奥には、アドベンチャーパークなるものがあります。

かなり本格的なフィールドアスレチックのような感じで面白そう。子供が小さかったら、必ず来ていたと思います。

建物内には、オリンピック種目になったクライミングの設備が色々見えていました。

松原スケートパークよろしく、史上最年少金メダリスト、第2の西矢椛(にしやもみじ)選手がここから生まれるかもしれません。

そのまま、あべのキューズモールまで戻ってきました。

日用品の買い物を済ませると丁度昼時に。

キューズモール北側、ヴィアあべのウォークで店を探してみました。

建物外と建物内のどちらにも飲食店があります。

グリルマルヨシが入っているのは知っていました。

しかし、以前の裏路地の奥にあり、安価に子牛の脳のフライを食べさせてくれた店とは、かなり雰囲気が変わっている感じ。

どうしようかなと歩いていると、なかなか賑やかな店がありました。

「花屋*カフェ*ビストロ」ニコ フラワーガーデン。

その前に「入りにくい? 大丈夫‼ いっかい入ったら慣れますよー」とコメントが。

ちょっと笑ってしまいました。

夜は、ワインや日本酒にも力をいれているそうです。

妻はパスタランチ1100円(バケット無し)。

ビフカツ、クリームコロッケのランチが990円。

リーズナブルな上、この上なく美味しかったのです。

ビフカツ、クリームコロッケ共最高でしたが、パスタの味が濃厚なこと……

完全に「当たり」です。

私達が入ったタイミングでランチは品切れで終わり。

最後の客になったので、スタッフの方に了承を得て撮らせてもらいました。

実際、入った瞬間になれました(笑)

開業して7年目と聞いたと思いますが、「順調なんですよね?」と尋ねると「いえいえギリギリですよ~」と。

謙遜なのか本音なのか分かりませんが、海鮮にも力が入っているようで、3拍子も4拍子も揃った店に見えます。

これは夜も是非来てみたいと思える店でした。

そうそう、キューズモールの戻ってすぐに、人だかりができていました。

のぞいて見ると、大阪プロレスが観戦無料のイベントを開催しています。

選手名は分かりませんが、覆面レスラーがマッチョタイプの選手にウラカンラナを決めると、ひと際大きな歓声が上がっていました。

あきらかに普段プロレスを観ていなさそうな人が、あんなに驚くんだというのは、昔からのプロレスファンからすると嬉しい限りです。

ちびっこプロレス教室も開催されたようなので、第2のスペル・デルフィンがこの地から生まれるかもしれません。親としては喜ばしいのか微妙なところですが。

安くて美味しい洋食と大阪プロレス。ザ・天王寺を満喫しました。

最近テレビで頻繁に流れるACジャパンの広告に、お笑いタレント、さらば青春の光の森田が出演している「ありがとー。って、ええなぁ。」があります。

大阪地域キャンペーンだそうです。

でも「いっかい入ったら慣れますよー」は、より大阪的かもしれません。

大阪って、ホンマええなァ、と。



■■■2月12日(水)大阪市中央区上町1-24-6に移転しました
「上町のアトリエ付き住宅〈リノベーション〉」
電話、faxは変更ありません■■■

■9月17日(火)「尼崎園田えぐち内科・内視鏡クリニック」開業■

■8月30日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋<リノベーション>」掲載■

名品珍品大公開‼の中に、本当の名品見たり‐2196‐

昨日は小雨の降る中、天王寺に寄ってきました。

ハルカスに春霞、はまだ気が早いでしょうか。

3月1日(土)にリニューアルオープンした大阪市立美術館。

オープニングイベントは「What’s New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開!!」です。

東は天王寺動物園を見下ろし、鳥の声ならぬ動物の声を聞き、通天閣を眺めるアプローチは圧巻です。

これはリニューアル前から変わりませんが。

かなり久し振りなので、エントランスホールが以前とどう変わったのかが分かりません。

それでも、気持ち良い空間なのは間違いありません。

今回、画期的なのは一部を除いて撮影可なのと、ラベリングしてあることです。

佐伯祐三の「教会」はもちろん「名品」。

上村松園の「晩秋」も勿論のこと「名品」。

多くの「名品」が出展されていましたが、北大路魯山人の黄瀬戸もありました。

「珍品」は、平野区から。

6世紀とあるので、その創造性に驚きます。

こちらは「鳥人」ならぬ「羽人(うじん)」。

このイベントのマスコット的存在です。

「名品」「珍品」のダブルラベルとは、なかなか楽しませてくれます。

そもそも、アートにラベリングするという発想が凄いのですが。

非常に多彩な展示会ですが、陶器も充実していました。

こちらは、樂家三代目の道入(どうにゅう)。

別名「のんこう」として知られる、樂家随一の名匠です。

赤樂の深い色合いと、手びねりの風合いが特に椀の端部に表れています。

九代目、樂了入(りょうにゅう)の黒楽も並んで展示されていました。

その艶めかしさは際立っています。

京都の樂美術館には何度か通いましたが、一度で良いので手で触れてみたいものです。

ここまでは、以前から好きなものが大半でしたが、この青磁には思わず見入ってしまいました。

その美しさが、写真では伝わらないことに、逆に迫力を感じます。

大正10年(1921年)富本憲吉の「青磁 長頸瓶」とあります。

楽焼とは対照的に、厚みをもち、しっかりエッジの効いた口まわりが品格を漂わせています。

紹介を見ると、「自らの理念・思想を実現するために陶芸家を志した」とあります。

昭和55年(1980年)に人間国宝認定第一号となった陶芸家でした。

美しいはずです。

赤い九谷の絵皿も圧巻でした。

焼き物は、楽焼や備前焼が好みでしたが、こんな多彩な人がいるのかと感心しました。

展示会の魅力は、自分の好きなもの以外を見れることだと痛切に実感したのです。

あわせて、アート全般に興味を持っていたつもりですが、人間国宝第一号をしっかり見たことが無かったことにも、若干のショックを受けました。

今回のチケット、実は貰い物。

ただ、一見の価値ありとお勧めいたします。

■■■2月12日(水)大阪市中央区上町1-24-6に移転しました
「上町のアトリエ付き住宅〈リノベーション〉」
電話、faxは変更ありません■■■

■9月17日(火)「尼崎園田えぐち内科・内視鏡クリニック」開業■

■8月30日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋<リノベーション>」掲載■

髪を伸ばす、ハットをかぶる‐2107‐

御堂筋線の天王寺駅は、ほぼあべのハルカスの直下にあります。

その駅近くにある天王寺のekimo。

駅横の好立地もありますが、色々なお店がトライできるスペースがあるようです。

結構頻繁に店が変わっている気がします。

消費者としては色々なものがみれるので大歓迎です。

思い切ったデザインで、他のショッピングモールと差別化をはかっているのも好印象を受けます。

すぐ横にレトロなチンチン電車の駅があるのも天王寺の魅力。

店舗の中に帽子屋さんがあります。

髪は長い友達ということで、昨年から外出時には帽子をかぶっています。

キャップやニット帽は若い時からかぶってきたので、基本的に帽子大好きです。

ただ、通勤時にかぶるならやはりハットタイプ。

ということで昨年から3つほど購入しました。

また、年齢のこともあり、30年振りに髪を伸ばしはじめました。

すると、20歳頃はこんなにくせ毛じゃなかったのに、と思うほどくせ毛になっていました。ずっと、かなり短髪だったので全く気付かなかったのです。

セットをしないと、ちょっと手に負えないほどのくせ毛なのです。

ここでも帽子の良いところが活きてきます。

「下北山村の古民家リノベーション計画」がスタートしたと前回書きましたが、遠方につき前の晩に移動することになります。

セットをして仮眠するのはしんどいので、しなくても良いのはかなり助かります。撮影も帽子ありですることにしました。

その後の室内での打合せはどうするのか。出先でセットするのは大変なので、そこは課題なのですが。

久しぶりに髪を伸ばし始めたこと、新たにハットを買い始めたことは、とてもポジティブな気分になりました。

いくつになっても、積極的に変わっていくべきだなと思います。

■■■2月14日『Best of Houzz 2024サービス賞』受賞

■■■1月29日発売『日本一わかりやすい 一戸建ての選び方がわかる本2024-25』「回遊できる家」掲載

■■8月1日プールのある「ささき整形外科 デイケアセンター」オープン

10月27日『houzz』の特集記事
「滋賀の家」掲載

10月11日『homify』の特集記事
「白馬の山小屋<リノベーション>」掲載

■ 『ESSE-online』にコラム連載

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変わる天王寺、西成。ただ、オールのっぺり反対派‐2057‐

近年、変わり続けてきた天王寺エリア。

2011年には「あべのキューズタウン」が開業。あべの筋を挟んだ東側の「あべのハルカス」は2014年にオープンしています。

そして43号線を挟んだ北側に広がるのが「てんしば」です。

2015年10月1日に有料だったエリアを、芝生広場を中心として無料解放しました。

それまでは、有料ゲートの前で将棋をする年配の方が多くいて、下町風情が醸し出されていました。

それが現在の景色はこうです。

店舗も立ち並び、完全におしゃれスポットです。

青々とした芝生は、実は養生中のもの。

遠く西側に通天閣が見えていますが、散水しての手いれ中でした。

実際の芝生広場はこうでした。十分気持ち良いですが。

天然芝は気持ちよいですが、こういったメンテナンスが大変です。

ただ、こういったお金の使われ方なら、多くの人は納得でしょう。とても良い変化だと思います。

これらのエリアに囲まれるように建つのがアポロビルです。

村野藤吾の設計で、竣工は1972年。

近鉄グループと関係が深かった村野は、天王寺に多くの作品を残しています。

間もなくパネル展がはじまるようです。

この界隈にも多くの名作が残りますが、 アポロビルは私が2歳の時に完成しているので、よく映画を見に行きました。

久し振りに写真を撮ってみると何だか違和感が……

その点については、最後に触れてみたいと思います。

アポロビルの前を走る43号線を西に望むと、大きく道が下っているのが分かるでしょうか。

上町台地西端にあたり、このあたりが天王寺区と西成区の境になります。

西に歩いて行くと雰囲気は一変。

まず単純に物が安くなります。ラーメン600円。

日本広しといえども、1泊1500円の宿はそうないはず。

元はドヤ街ですが、現在は海外からのバックパッカー御用達です。

ただ、インバウンドが盛り返してきたので、それ目当てのホテルも多くあります。

着物を貸してくれるのでしょうか。

それで4000円ならやっぱり安い。

このディープ大阪のど真ん中にある駅が阪堺電鉄の新今宮駅。

駅前にもかかわらず、寝転がってリラックスしている人が時々います。

それは見えていないことにしてスルーしましょう。

あいりん地区のシンボルと言えるあいりん労働福祉センターは建て替えが決まっています。

ここが建て替わればかなり印象が変わると思います。

はじめに紹介したアポロビルですが、これは2015年8月に撮った写真です。

てんしばがオープンする直前のタイミングですが、ガラスのカーテンウォールの横、袖壁に和を連想させる模様がデザインされています。

大阪が誇る巨匠、村野お得意の無国籍感が醸し出されるディティールですが、その部分がノッペリとなっていました。

安全の為にそうしたのでしょうか。何だか残念です。

あいりん労働福祉センターの北側に、星野リゾートの「OMO7大阪」もチラと見えていたのですが、何故かあまり写真を撮る気になりませんでした。

安い、汚い、危ない西成が、大きく変わることを、どこか心が拒んでいるのかもしれません。

勝手なこと言いますが、どこもかしこもおしゃれスポットになってしまうと、それこそ町がのっぺりしてしまう気もするのです。

超ディープ大阪は、なかなかに面白いですが、それなりに危険も起こり得ます。

若干緊張感をもって遊びに行って下さい。

■■■8月1日プールのある「ささき整形外科 デイケアセンター」オープン

■■4月6日 『かんさい情報ネットten.』 浅越ゴエさんのコーナー に出演

10月27日『houzz』の特集記事
「滋賀の家」掲載

10月11日『homify』の特集記事
「白馬の山小屋<リノベーション>」掲載

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第二の故郷、天王寺でブラモリタニ‐1886‐

月曜日は、「大阪が大大阪になりえた理由」をレポートしました。

日曜日に大阪歴史博物館で勉強してきたのですが、谷町四丁目の設計事務所で私の仕事人生はスタートしました。

そして就職の3年後、天王寺でアトリエmを創業します。

久し振りに天王寺で買い物でもとやってきたのです。

JR天王寺駅の北側、緑の看板右に見えるマンションを意識して貰えると、地理が分かりやすいかもしれません。

初めてのアトリエは、この裏あたりにある4畳のワンルームマンションでした。

本当に懐かしいのですが、周辺は戦前からの街並みが残る、なかなかにディープな場所でもあるのです。

空撮が分かりやすいでしょうか。

天王寺・あべのエリアは東西のあびこ筋と、南北に走る谷町筋、あべの筋の交点となる「近鉄前」が中心です。

JR天王寺駅は、その北東角にあります。

4つのエリアは「あべの」の「a」をかたどった歩道橋で繋がれています。

北西エリアは、てんしば、天王寺動物園、そして通天閣と続きます。

南東エリアには近鉄百貨店が入る、シーザー・ペリ設計のあべのハルカス。

そして南西エリアにはキューズモールがあります。

このあたりは、最後の色街といわれる飛田新地もある山王エリアまで、細い路地が迷路のように入りくみ、繋がっていました。


これは2009年5月の写真です。

こうなる前にもっと写真を撮っておくべきだったと悔いが残ります。

蛍光灯なのに味わいのある居酒屋「明治亭」。

牛だったか、羊だったかの脳みそのソテーを安価で食べさせたグリル「マルヨシ」。

餃子の「珉珉」脇から入り、こんなところにあるの?というくらい路地の奥にあったのですが、とにかく安くて美味しかった。

そのグリル「マルヨシ」の耐火煉瓦が、大阪歴史博物館の展示の中にありました。

現在は、あべのキューズモールの中で出店しているそうですが、いまだに足が向かず……

思い出のままでもいいのかなと思っています。

2枚目の写真あたり、JR天王寺駅の北エリアまで歩いてきました。

天下一品横から、阪和商店街とあるアーケード内に入ってみます。

はじめに書いた、ディープ大阪エリアです。

こんな景色も最近めっきり少なくなりました。

閉まっている店もありますが、営業している店もそこそこあります。

立ち飲み屋が、これほど似合う街もなかなかないはず。

公衆便所の看板は、間違いなく昭和20年代の風情。

扉巾は45cmでした。

妻が「使うのはちょっと」と言っていましたが、これは見て楽しむものなのです。


この居酒屋「新力」は全皿350円。

若い頃、本当によく行きました。

コロナ下の社会では考えられないくらい、隣席と密着して飲んでいたのですが。

アーケードを抜けると、新しい店もできていました。


このあたりを裏天王寺と言うのでしょうか。

この店の向かいにあった「別人倶楽部」はパティオのある、なかなかに洒落たイタリアンでした。

残念ながら閉店し、駐輪場に変わっています。

生レタスがのった、ミラノ風の生地が薄いパリパリピザを知ったのもこの店でした。

普段使いの「新力」。よそ行きの「別人倶楽部」があれば、20代の私には十分だったのです。

老舗料亭の後ろに建つのが、2枚目で紹介したマンションです。

そのすぐ近くに私がアトリエにしていた(住んでいた)マンションがあります。

ハルカスがすぐそばに見えるのですから、25年という時間は、あっと言うまであり、膨大だとも感じます。

ちょっと裏路地をのぞいたとき。

「ダメモトで勝負してみる?」

これは、昭和世代だけの楽しみなのかもしれません。

折角食べるならと、口コミをみて精度を上げるのもよいですが、失敗もネタ的にはありです。

影の部分があってこそ、明るい部分はよりくっきりと、映えてくるのですから。

第二の故郷、天王寺でブラモリタニ。楽しんで貰えたでしょうか。

我ながら、「やっぱり街歩きが好きなんだな」と、つくづく思うのです。

■■■ 『ESSE-online』にコラム連載開始■■■

2月27日「照明計画」
2月14日「屋根裏部屋」
2月1日「アウトドアリビング」
1月4日「土間収納」
12月6日「キッチン・パントリー」

■■ 8月17日『建築家・守谷昌紀TV』を開設しました ■■

■1月6日『Best of Houzz 2022』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞■

■1月8日『homify』の特集記事に「光庭の家」掲載
■1月7日『homify』の特集記事に「白馬の山小屋」掲載

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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

走る、曲がる、何より止まる!‐1723‐

 前回は創業の地、天王寺について書きました。

 そもそも天王寺へ行ったのは、自転車引き取りの為です。

 修理しながら、騙し騙し乗っていましたが、いよいよブレーキの効きが悪くなっていました。

 近所の自転車屋さんを2軒回るも「うちでは修理できません」とつれない返事。

 それで、購入した「MOVEMENT」まで車で運び、修理をお願いしていたのです。

 お盆期間を挟んでいたので、10日振りに帰ってきました。

 593年に、聖徳太子によって建立されたは四天王寺は、日本最古の官寺です。

 一般的に「天王寺さん」と呼ばれることが、あたりの地名となりました。

 四天王寺は朱色の五重の塔でも知られます。

 その南にある、「阿像」と「吽像」が守る仁王門。

 ここから南に下ったあたりに「MOVEMENT」はあります。

 そこまで行って購入したのには訳があります。

 創業と共に購入した無印の自転車に18年乗りました

 しかし、携帯を見ながら自転車を運転していた女の子がぶつかってきたのが致命傷となり、仕方なく乗り換えを決めました。

 色々探しましたが、希望の自転車が見つからず、こちらのお店に相談。この自転車を紹介して貰ったのです。

 2013年のことです。

 ところが1年前くらいに、焦る表情を浮かべながら、完全な信号無視で私に急に飛び出してきた、若いお母さんの自転車がありました。

 衝突を避けるために急ブレーキ。その時、前輪のワイヤーが切れてしまったのです。

 詫びるどころか、止まりもせずに行ってしまいました。

 衝突は何とか回避しましたが、ワイヤーが短くなったのでブレーキまで届かない。

 何ともやりきれない気持ちで、出勤したのです。

 その後、ギリギリまで引っ張ってブレーキと繋ぎ、無理やり乗っていたのですが、今度はディスクを挟むパッドの部分も擦り切れてしまったよう。

 後輪のブレーキもたるんだワイヤーを引っ張り、引っ張りしているとこの通りに。

 今回、前輪はワイヤー、パッドとも新品に。

 後輪のワイヤーも付け替えて貰いました。

 帰り道、上町台地からは下る一方で、暑さなど全く気にならない快適ライドです。

 ペダルも軽く、軽量のアルミボディにつきハンドリングも軽やか。

 何より適切に効くブレーキがこれ程心地よいものだったとは!

 ルンルン気分で、20分程かけて自宅へ戻ったのです。

 MOVEMENTの店長さんも言っていましたが「こんな時期なので、有り難いことに自転車の需要が増えているんです」と。

 街でも、電動自転車を見る比率もかなり増えました。

 今回は致命傷になりませんでしたが、マナーの悪い運転で危険な目にあったことがある人も多いと思います。

 人間の体は、自分が走れるスピード以上の衝撃に耐えれるようには出来ていません。

 世界記録、ウサイン・ボルトでも時速37.5kmです。

 住宅の3階の高さを8mと仮定し、地面まで落下した速度を計算してみます。

 自由落下の公式は以下の通り。

・v[m/s]=gt  (t[s]:時間)

・y[m]=1/2gt2

・g=9.8[m/s2]

 yに8を代入してみます。

・8[m]=1/2*9.8[m/s2]*t2 t=1.28[s]

・v[m/s]=9.8[m/s2]*1.28[s]=12.544[m/s]

 これを時速に直すと45km/h。

 2階からなら36km/hで、それ程怖さを感じないのは、人は敏感に本能で分かっているからだと思っています。

 スマホ見ながらのお嬢さん。暴走お母さん。

 自転車は人を傷つける可能性のある乗り物です。性能が上がった今は、生死にかかわることも稀ではありません。

 是非自分が止まれるスピードでとどめて貰うようお願いします。

 天王寺の仁王門から、MOVEMENTの店長……でなく、

 「阿像」那羅延金剛力士がにらみをきかしていますよ。

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
巻頭インタビューが掲載されました

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【News】
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
■2月3日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
■9月30日発売『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』「回遊できる家」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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逢坂へ逢いに行く‐1722‐

 週末、天王寺へ行く用事がありました。

 谷町筋から少し東に入った、悲田院にあるマンション。

 1996年にアトリエmを設立した際、初めに借りたワンルームマンションです。

 ハルカスの北側に位置します。

 1999年まで、このマンションをアトリエとしていたのですが、5畳弱のワンルームでとにかく狭かった。

 結局ここで寝泊りして働くことになるのですが、いったい何処で寝ていたのか……

 懐かしいなと思い、エントランスまでのぞいてきました。

 天王寺界隈も、谷町筋を一本入れば静かな街です。

 当時からあった立ち飲み屋さん。

 この日も昼から満員のよう。時期的にどうかと思いますが、そこは天王寺ですので。

 すぐそばにある、老舗料亭はマンションの谷間に沈んでいるかのよう。

 何だか寂しい気もするのです。

 25号線を西に歩くと道は下りだします。

 上町台地の西端にあたり、通天閣を見下ろすここは「逢坂(おうさか)」。

 大津の逢阪の関になぞらえたとも、聖徳太子と物部守屋の二人が信じる方法を比べ合わせた「合法四会」に近いことにより合坂と名付けられたとも言われているとありました。

 最も南にある、天王寺七坂のひとつです。

 逢阪に面して建つ安居神社は、日本一の兵と呼ばれた真田幸村終焉の地でもあります。

 家康をあと一歩のところまで追い詰めましたが、愛馬・月影とともにこの地で果てました。

 最も精神的に辛かった時期に読んだ、池波正太郎の「真田太平記」はどうにも忘れられない作品なのです。

 安居神社も、上町台地に西端に位置し北側は崖と言ってよい高低差です。

 階段を下りきったところにあるのが天神坂。

 安居神社が、菅原道真公を祭ることからこう呼ばれています。

 この坂を上らず、反対に西に下ると、バイクや人形で知られる松屋町筋に出ます。

 天王寺七坂の殆どは、上町台地の頂部を走る谷町筋と、西に下り切った位置にある松屋町筋を結ぶ東西の坂なのです。

 一本北にあるのは清水坂。

 上りきると、清水寺の門がありました。

 京都に似た名前のお寺がありますが。

 清水寺舞台があるところまでそっくりなのです。

 境内の中にある「玉出の滝」は大阪市内唯一の滝だそう。

 パワースポットという言葉を簡単に使いたくはありませんが、なにやら良い空気感なのは間違いありません。

 あたりには井戸も多く、上町台地に降った雨がここから噴出してくるのでしょうか。

 暑い日だったので、しばらく水音を聞いていました。

 北隣には大阪星光学園、さらに北には大江神社。

 その脇にある愛染坂を上ると縁結び、商売繁盛の神様で知られる愛染さんです。

 正確には、勝鬘院(しょうまんいん)で、聖徳太子の建立とありました。

 境内にある多宝塔は、1597年に秀吉によって再建された市内最古の木造建築です。

 正直、一番驚いたのはこの一等地に建つ大阪星光学園の大きさです。

 流石に、市内トップ私学の名は伊達ではありませんでした。

 アトリエmにとって、天王寺は創業の地と言えるのですが、当時は生きるのに精一杯で、ろくに周辺を歩いたこともありませんでした。

 天王寺の路地を歩いていると、25、6歳の頃の記憶が一気に蘇ってきます。

 能力もないので、移動のつなぎはいつも走っていました。

 暑い暑いと言っていても、朝夕はすでに秋の気配です。

 夏季休暇も終わり、現場も一気に4計画程進みだします。企画の提案、実施設計もまだまだ続きます。

 四半世紀前は頑張りたくても、知識も技術もありませんでした。

 今は自分の頑張り次第で、多くのことは解決しますし、質も上がります。

 25年前と考えると夢のようだと言っても間違いないのです。

■■■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行
巻頭インタビューが掲載されました

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【News】
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
■2月3日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
■9月30日発売『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』「回遊できる家」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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天使の面、鬼の顔‐1196‐

 前回に続いて、もう少しだけ教育について。

10 - コピー

 小5の長男は塾に行っていますが、昨日はテストでした。

 続ける、辞めると、何度も騒動を起こしながら、何とか通っています。

 昨日は、妻の予定が合わず、私が天王寺へ迎えに行きました。

13 - コピー

 テストの日は、ご褒美の外食にしているよう。
 
 あべちかにあるラーメン屋「古潭(コタン)」は、昔ながらの札幌みそラーメンという感じ。しかしこの店も古い。

 学校がある日は、塾からの帰りが夜の10時半の日もあります。

 日曜もテストがあったりと、我が子ながら日本の小学生は、勉強しすぎの気もします。

21 - コピー

 勉強のほうは何とかかんとかですが、野球のほうは熱が入っています。

 「打つも、投げるも回転だから、軸をしっかり」

 「待つんじゃなくて、自分から捕り易い位置に動け」

 どうせならと、私も力が入ってしまいます。

 まずは褒めて伸ばすと言いますが、京セラの名誉会長、稲盛和夫さんはこう言っていました。

 「コンサルタントに聞けばそう言うが、間違ったらその場で叱らなければ意味がない。

 後で、社長室に呼んでなどという、時間なんて無い。烈火のごとく叱ってよい。

 しかし、肩を落として帰っていく社員の背中に向かって、この会社に居てくれて有難うと、手を合わせなさい」

 初めてストンと腹に落ちました。

 褒めて、楽しく出来れば最高です。しかし、耳心地よい話だけで、人は成長することはないのは間違いありません。

17 - コピー

 夜は、実家で姪っ子と妻の誕生日会。

 誕生日が同じで、母が準備をしてくれました。

 寝屋川の中学生の事件は、痛ましい結果になってしまい、強い憤り、危機感を感じます。

 しかし多くの童話の題材になっているように、悪魔はいつも天使の面を被り、擦り寄ってくるのです。

 それを、どうやって子供達に理解して貰うのか。

 伝える側は、常に嫌われる勇気が居るようです。 

 松下幸之助、本田宗一郎が、ニコニコと工場を回っていた等という話は聞いたことがありません。

 天使は、鬼の顔をしています。こちらは面ではない本当の顔。だから怖いのです。