昨日は心斎橋に出ていました。
交差点の正式名称は「新橋」ですが、「心斎橋」のほうが通りは良いでしょう。
南を見ると、左側に大丸が見えます。
その先には、ナンバヒップス。
パチンコ施設ですが、設計者は高松伸さんです。
4年前に偶然会食する機会を頂きました。
大規模建築であればあるほど、オリジナリティを発揮する建築家と言って良いと思います。
中央の砂時計のような空間には、当初はフリーフォールがあり衝撃的でした。
反対に「新橋」から北を見ると、左手に黒いビルが見えます。
マリオット・インターナショナルが展開するラグジュアリーブランド「W大阪」は間もなく開業のようです。
デザイン主導で設計するという言葉通り、なかなかに切れ味鋭いデザイン。
設計は日本設計ですが、設計顧問に安藤忠雄が就いているとのことで、オープンが楽しみなところです。
敷地調査にやってきたので辺りを歩いたのですが、周辺は大阪屈伸の高級ブランド街でもあります。
ファッションだけでなくフェラーリの店舗もありました。
W大阪の足下まで来ました。
ホテルはある程度最大公約数をとらざるを得ないケースが殆どだと思います。
オープン前なので、これが最終形なのか分かりませんが、内部が全く見えないとはなかなか思い切っているなと感じていました。
それで今日調べてみると、そのコンセプトが分かったのです。
「ハコもの」という言葉はバブルの弊害と言ったニュアンスが含まれていると思います。
また住宅は指さない言葉でしょうか。
ただ、建物は植物ではないので勝手に生えてはきません。間違いなく誰かの意思と意図が反映されているのです。
そのまま御堂筋の西へと入っていくと、オーガニックビルが見えてきます。
大阪で最も面白いビルのひとつでしょう。
この日も、小牧ナンバーの車を止めて一眼レフで撮影している女性が居ました。
設計はイタリア人建築家、ガエターノ・ペッシェ。
他に類がないように、日本人ではここまではなかなか思い切れないことを、施主である昆布の老舗、小倉屋山本の経営者は見抜いていたのでしょうか。
施主の叔母が、作家・山崎豊子さんと知り、やはり血筋というものはあるのだろうと思っていました。
色合い、コンセプトとも唯一無二のものだと思います。
同じ創り手として、名作には多少嫉妬心が入るのですが、ここまでくると全くそういった感情が湧いてこないから不思議です。
久し振りにこの辺りも歩きました。
私も一眼レフを持っていたので、職業柄パシャパシャとやってしまいます。
あんなところにmarimekkoの店舗があったのか、とか。
このあたり、アメリカ村の北にあるのでカナダ村と呼ばれていたこともあるそうです。
フェラーリの店舗から一本中に入ると300円の餃子屋さんまで。
これこそがミナミの真骨頂でしょう。
写真を撮っていて思ったのですが、良い季節は御堂筋のイチョウが写るので、多少日が長くなった今こそ、ハコもの撮影日和かもしれません。
15年程前に受け入れたオープンデスク生にこう言われたことがあります。
「住宅だけを設計だけしている人を、僕は建築家だとは思いません」
カチンときましたが、反論するのも大人げないので「そうだね。それが君の考え方ならそうなんだろうね」と答えました。
その彼は、大手ディベロッパーにアルバイトとして就職したことを喜んでいました。1年間頑張れたら、正社員に昇格するというオプション付きだそうです。
仕事を始めてすぐに大きな仕事がくることはありません。
どんなに小さなリノベーションの仕事でも、私の仕事を求めて下さり、その条件を受け入れてくれたクライアントの為に、命以外の全てを捧げて来たつもりです。
少しずつ認知して頂き、店舗、クリニック、オフィスなど、住宅以外の仕事も依頼頂くようになりました。
住宅がハコものより簡単であることはありません。懸命に働いたお金で建てる訳ですから、非常にシビアな目で設計者も選ばれるはずです。
その方々に選んで貰えるよう、自分なりに精進してきたつもりです。
建築家と言う国家資格はありません。それは誰かに与えて貰うものではなく、宣言するものであり、生き方です。
元オープンデスク君。今君が建築家なら、今度はミナミのハコもので勝負だ。心しておきなさい。
そんな事を今でも覚えていることが大人げないのかもしれません。
ただ、もしかすると本気で反論した方が、彼の為には良かったのかもと思いだすこともあるのです。
■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』を「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』に「回遊できる家」掲載
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に巻頭インタビュー掲載
■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました