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エゴ無し、無私無欲、利他の心のMV3‐2161‐

3連勝のあと1敗はしましたが、今年のロサンゼルス・ドジャースは強かった。

今日も5点差をひっくり返すビッグゲームで、大谷翔平選手は移籍1年目でワールドチャンピオンとなりました。

日本人ファンとしては、レギュラーシーズンの活躍が凄まじかっただけに、ワールドシリーズ第2線の左肩の怪我が残念でなりません。

その大谷選手が本調子でなくても、過去にMVP受賞者のフリーマン、ベッツと役者がそろっている上に、メンタリティの違いも感じました。

期待の若手、セカンドを守るギャビン・ラックス選手は、昨日の会見でこう語っていました。

「彼らにはエゴがない。ただ勝ちたいという気持ちしかないと思うし、ワールドチャンピオンが僕たちの最終目標であることも分かっている。3人が球界最高の選手であることは間違いなく、そこに秘密なんてものはない。しかし、同時にエゴが全く存在せず、無私無欲であり、ただ勝ちたいだけなんです」

また、シーズン途中に移籍してきたジャック・フラーティ投手は、ラックス選手の会見前にこう語っていました。

「彼らは利他的なんです。彼らはずっとそうしてきた。スポーツ界のトップにいる選手と同じです。彼らはこれからもっとMVPを獲るかもしれないが、努力もしています。そのことは学ぶべきことであり、周りの選手全員にも伝わっていると思う」

フラーティ投手も今シーズン13勝をあげる、エース級の活躍でしたが、やんちゃ坊主感が見え隠れするところも、魅力です。

地区シリーズで、ダルビッシュ有投手所属の、サンディエゴ・パドレスの主砲、マニー・マチャドとトラッシュ・トーク(口喧嘩)をやりあっている場面は、褒められたものではありませんが盛り上がりました。

MLBをポストシーズンまで観たのは今年が初めてですが、かなり面白かったです。

キャラクターが立っている選手が多く、誤解を恐れずいえば最上級のプロレスを観ている感じ。

ティム・ヒルの投げ方、ジアンカルロ・スタントンの打ち方、エリー・デラクルーズのユニフォームの着こなし、そしてフェルナンド・タティスの髪型も本当個性的です。

超一流選手が、更に個性を際立たせるのですから、このあたりは、日本のプロ野球も見習って良いのではと思いました。

もっと言えば、大谷翔平選手、山本由伸選手の出場で、地上波で世界基準を観てしまった以上、そこが競争相手になることを意識しなければならないと思います。

私はABEMAの有料会員なので、ドジャースの試合の2/3くらいは観ることができました。

しかしポストシーズは有料会員用の中継がなく、ドジャース戦は3試合くらいだったと思います。

これは大変と、ポストシーズンを唯一日本語解説で全試合観れる、SPOTV NOWにこの1カ月加入したことは以前書きました。

結果的には、フジテレビが地上波で中継した、ワールドシリーズだけは無料で観れました。

しかし、パドレスとの地区シリーズ、ニューヨーク・メッツとのリーグチャンピオンシップはかなり面白かったので、加入して良かったと思っています。

特に、最終戦までもつれ込んだパドレスとのマッチアップは最高でした。

38歳、ダルビッシュ有のピッチングは素晴らしく、その後の大谷対策を世界中継してしまったようなものでしたが。

しかしやはり大谷選手です。前日、遅くまで働いていても、翌朝試合が観れると思うと、頑張りもきくというものです。

来年は2刀流復活なので、2/3で我慢するか、開幕したらSPOTV NOWに加入するか今はまだ決めていませんが、本当に楽しい、観ているファンに元気を与えてくれる素晴らしい1年でした。

ただ、本当に面白いものは、有料でなければ観れない時代に入ったようです。

尊敬する京セラ名誉会長だった稲盛和夫さんが、最も多く口にする言葉は「利他の心」でした。

それが、やんちゃ坊主フラーティ投手から、今年最後に聞くとは何だか感慨深いものがあります。

確かに、スーパースタークラスの選手でも利他心をあまり感じない選手もいます。

才能ある人間にエゴが無く、無私無欲で、利他の心を持っている。そして努力を惜しまない。勝てない理由を探す方が難しそうです。

MVPが3人でMV3。今年のMV3は最高でした。

楽しませて貰ったことに感謝し、今度は自分の仕事で利他心をもって頑張らなければなりません。

ただ、数日はMV3ロスに悩まされると思います。

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楽しむ境地の深さには及ばない‐1815‐

先週まで、アトリエにはテレビがありませんでした。

ですが、大谷翔平選手がMLB(メジャーリーグベースボール)のオールスター戦に二刀流で出場すると決まりました。

さらに地上波で中継されるという報道も。

何とかリアルタイムで観てみたい!


打合せ時、お子さんに観て貰うためのDVDプレーヤーでテレビが見れることが分かり、急いでケーブルを買ってきた次第です。


丸1日経過した今日も、まだまだ語りつくせないとばかりに報道は続いています。

それ程までの歴史的「事件」だったのです。

オリンピック、サッカーのワールドカップなどのビッグイベントを、何度か録画して観たことがありますが、ライブの高揚感には遠く及びません。

大谷選手の活躍はまだまだ続くと思いますが、元野球少年として、この瞬間だけはどうしても立ち会いたいと思ったのです。

まずは、一昨日13日(火)に開催されたホームラン競争。

両リーグ通じての最多、33本を打っているので第1シード。しんがりで登場しました。

残念ながら1回戦で負けてしまいましたが、延長、延長で球場を最も沸かせていました。

そして、昨日14日(水)のオールスター戦では、まずは先攻の1番DHとして登場。

打者としては2打数0安打でしたが、投手として投球がすごかった。

1番打者として、ナショナル・リーグで最も本塁打を打っているタティスJr.が登場。

この時点での本塁打王同士が対決するというのですから、漫画でもそんな設定は見たことがありません。

1番、2番と、危なげなく打ちとりました。

3番打者は本塁打王3回をほこるアレナド。昨年まで地元コロラド・ロッキーズのスーパースターだったそうで、登場とともに凄い声援でした。

そのアレナド選手を追い込みました。

三振を取りに行く場面では、160km/h超の速球を連発。最後は伝家の宝刀スプリットで仕留めたのです。

今年のオールスターゲームのパンフレットは、冒頭に大谷が選手が登場し「ミスターエブリシング」と紹介されているそうです。


 ”Mr. Everything”

「何でもできる人」という意味です。

「MLBの顔になる選手が、通訳が必要というのは良くない。MLBにとってマイナスだと思う」と発言し、大炎上したというニュースがありました。

コメントする必要もありませんが、英語の素晴らしい部分があるのも事実です。

流石に50歳でアスリートとして一流になれるとは思っていませんが、こと自分の仕事においては「何でもできる人」でありたいものです。


私も ”Sho Time” を十分楽しませてもらったのです。


7月8日、産経新聞のコラムで、藤井聡太棋聖と共に、本業以外にあまり興味がないことが紹介されていました。


大谷は飲みに行くより練習が好きだというし、藤井にいたっては趣味が「詰め将棋」というのだから。持って生まれた才能はもちろんのこと、わき目もふらず一つのことに打ち込むことができる性格と集中力こそが天才を作る。人を育てるヒントになろう。


大谷選手の活躍を見ながら一杯……では駄目なのです。

再度、渋沢栄一の「論語と算盤」から引いてみます。

人はその務めを果たす上で、ぜひ「趣味」を持って欲しいと思う。「理解することは、愛好することの深さには及ばない。愛好することは、楽しむ境地の深さには及ばない」とある。「趣味」の極致といってよいだろう。

彼はオールスターの大舞台でも常に笑顔で、実際に「楽しかった」というコメントを残しています。


この日使用したレガースやスパイクが、早速野球殿堂博物館へ寄贈されました。


誰もが成しえなかったことを、笑顔で実現するのですから、世界中の野球ファンを虜にするのは必然です。

仕事を愛し、楽しむ。最高のイメージを持たせてもらいました。

論語読みの論語知らずにならぬようにと、希代の天才は柔和な表情で教えてくれるのです。 
 

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サヨナライチロー‐1573‐

 イチロー選手が引退しました。

 3月20日、21日と、MLBの開幕戦が日本で行われると聞いたとき、多くの人が想像していたと思います。

 第1戦はテレビ中継の終了に間に合わず。

 春分の日にあった第2戦。試合が始まる頃、「イチロー引退」の一報が流れました。

 何とかリアルタイムで観ておきたいと、急いで家に帰ると、7回の第3打席に間に合いました。

 バットを前にかざし、バット、バックスクリーン、バットと視線を変え、視力を研ぎ澄まします。

 確か、そう説明していたと思います。

 最近は、白いものが目立つようになりました。

 厳しい自己管理で、守備力、走力はまだまだ一級品だと思いますが、打力の衰えは致し方ありません。

 返す返すも、昨年のフロント入りの時間が残念でならないのです。

 この打席は、腰が引けた状態での見逃し三振。

 第4打席は凡打だったようですが、地上波ではこれが最後の雄姿となりました。本人が何より残念だったでしょう。

 世界の王貞治が、リアルタイムで見ておかなくてはと言った引退会見。

 こちらも地上波放送があったのか分かりませんが、翌日のダイジェストを見ました。

 多くのメディアで取り上げられているので、私が触れる必要もないのですが、「元イチロー」のくだりには興味があります。

 今後のことを訊ねられ、こう答えたとあります。

 何になるんだろうね。そもそもカタカナのイチローってどうなるんですかね。「元カタカナのイチロー」みたいになるんですかね。あれ、どうなんだろ。「元イチロー」って変だよね。いやイチローだし、僕。音が一朗だから。書くときどうなるのかな。どうしよっか。何になる。うーん……。でも監督は絶対無理ですよ。絶対がつきますよ。人望がない。本当に。人望がないですよ、僕。

 茶目っ気たっぷりでしたが、イチローというのは、あくまでプロ野球選手であることが前提だと分かります。

 指導者、監督という声も聞こえてきますが、本人が言う通り、避けた方がよいのかもしれません。

 人望がどうとかいうレベルではなく、例えプロとは言え、彼の考え方についてこれる人が25人も集まる可能性は低い気がするのです。

 中田英寿松井秀喜の引退の時も、私なりの感謝の気持ちを綴りました。

 当たり前ですが、スポーツ選手は現役であってこそ、その輝きを放つものです。

 そう考えると「イチロー」はもう居ないのかもしれません。

 一郎が最もイチローであった時の言葉を聞けたことに、心から感謝します。玉のような言葉ばかりで、励みにしてきました。

 最後に、心に残っているものを2つピックアップしてみます。

『イチローの言葉』

 「体がでかいことにそんなに意味はない。僕は見てのとおり、大リーグに入ってしまえば一番ちいちゃい部類。日本では、中間クラスでしたけども、大きな体ではない。そんな体でも、大リーグでこういう記録を作ることができた。これだけは、日本の子供だけではなく、アメリカの子供にも言いたい。

 『自分自身の可能性をつぶさないでほしい』――と。

 あまりにも、大きさに対するあこがれや、強さに対するあこがれが大きすぎて、自分の可能性をつぶしてしまっている人がたくさんいる。そうではなくて、自分自身の持っている能力を生かすこと、それが可能性を広げることにもつながる」

『内野安打』

 先週はじめ、イチローが9年連続200本安打を達成しました。長いMLB(メジャーリーグベースボール)の歴史の中で、誰もがなしえなかった記録です。

 この記録が、アメリカではほとんどで取り上げられていないと伝わってきますが、そんな事はどうでも良い事です。彼が日本人であるだけで、誇らしいのですから。

 その特集番組を録画していました。一昨日それを見て、拳に力が入ると言うか、自分に激を飛ばしました。彼がずば抜けた結果を出すのは、能力は勿論ですが、その考え方から来ていると痛感したのです。

 2004年の年間262安打は世界記録と言って良いでしょう。この記録こそ、イチローが世界一のヒット職人であることを示しています。

 その彼は番組内で言いました。

 「唯一、数字で目標をあげるとすれば、安打数、200本ということになるでしょうか。もし打率を目標にすると、この打席は立ちたくない、向かいたくないと言う場面が必ず来ると思います。しかし、安打数を目標にすれば、そんな気持ちにはならない。打席に向かいたくなる。いつも楽しく野球が出来る」

 彼のヒットのうち、1/4近くが内野安打です。一般的に内野安打とは、投手に打ち取られ、詰まった打球になり、一所懸命走った結果それが安打になったという感じです。

 しかしイチローは、詰まらせてヒットにする技術があると言います。事実、難しい球はそうやってヒットにしているのです。

 ボールを捉える技術、一塁まで掛け抜けるスピード、共にメジャートップレベル。その彼が、誰もがその感覚を嫌う、詰まった当たりの内野安打までも、積極的に狙っていったなら……

 一本でも多く安打を打つのが目的なら、イチローにとっては当たり前の事なのかもしれません。しかし彼は、世界で初めて、本気で内野安打をも狙った一流打者では、と思ったのです。

 そう考えると、年間262安打、9年連続200本安打も、必然のストーリーなのかもしれません。彼はこうも言います。

 「重圧には弱いほうだと思います」

 今年3月にあったWBCの不調を指しての言葉でしたが、それでも最後には結果を出しました。何故この記録が達成できたかという記者の問いに

 「野球が好きだった事と、常に今がベストだと言える状況で、臨んでいる事が僕の強みでしょうか」

 と答えました。

 あらゆる可能性を捨てず、限界まで追求する。これを実行するのは、簡単ではありません。

 5年程前に、MLB経験のある現、楽天の中村紀洋選手がイチローに「セーフティーバントみたいな、せこい事をするな」とメッセージを送っていました。彼の意見も分からなくはありません。しかし、どちらが目的に純粋かは明らかです。

 彼は、常々準備が大切と言います。「ベストの状態で臨んでいる」と発言する事は、「言い訳しない」と言っていると同じことです。彼こそ侍。

 MLBの100年を超える歴史の中で、誰よりも目的に純粋だったのがイチローだったのでは、と思ったのです。

 有難う、そしてサヨナライチロー。

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