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かわいい不分律‐1782‐

 金曜日には、大阪でも桜の開花宣言がでました。

 ソメイヨシノの満開はもう少し先のようですが、街のあちこちで花が開き始めました。

 濃いピンクはヒガンザクラの一種でしょうか。
 
 遅咲きの八重桜まで合わせて、1ヵ月くらいは楽しませて貰えそうです。
 

 土手に咲く野草も色鮮やか。

 中でも、淡い紫のハナニラがお気に入りです。

 ニラに似た匂いからついた名のようで、あくまで見た目重視。

 別名には、イエス・キリストの誕生を知らせたという「ベツレヘムの星」を持つという記事もありました。その高貴な名に恥じない美しさなのです。

 翌土曜日は春分の日。太陽が真東から顔をだしました。

 大阪なら東は生駒山です。

 日の出の時刻は6:02となっていましたが、実際は6:30近くでした。

 もしかすると、山の高さは計算に入っていないのかもしれません。

 この道は東西に走っているので、影も道に真っすぐに伸びています。

 暦のない太古の時代でも、大阪平野なら生駒山と正反対に伸びる影を見て「そろそろ暖かくなってくるな」と分かったでしょう。

 最も分かり易い春分、秋分の日を中心に、1年のスケジュールを考えたはずです。

 その日を、煩悩の川を越えた先にある悟りの世界、「彼岸」と例えたことが、どれ程特別な日だったかを想像させてくれるのです。

 春分の日には、娘が卓球の試合に出ていました。

 未経験者の新人戦という位置付けで、優勝を狙えるかもと頑張っていたのですが、この時期なので観戦は不可。

 残念ながら準優勝だったのですが、いきなり優勝よりよかったかもしれません。

 勉強もその位頑張ってくれると嬉しい……というと嫌味になってしまうのですが。

 面白いことを教えて貰いました。

 試合の後は、どんな展開だったか順に聞くのですが、11対0という試合がありませんでした。

 卓球は11点先取ですが、相手を0で終わらせない不分律(unwritten rules)があるそうです。

 実力差がかなりある時に限られる訳ですが、テニスで言うラブゲームは駄目で、何かしらの方法で相手に1点を取らせてあげるのです。

 アメリカのMLB(メジャー・リーグ・ベースボール)にも多くの不分律(unwritten rules)が存在します。

 大差の時に、3ボールから打ったり盗塁をしてはいけないや、ホームランを打った後にバットを投げる等のオーバージェスチャーもご法度です。

 もしそういった行為をすると、その後主力バッターに対してデッドボールでの報復行為があり、それが暗に認められているのです。

 卓球においてなら、張本君の実力は間違いないと思いますが、点数が入った時などに大きな声を上げるのも、似た行為だと感じていました。

 長男にそう伝えると「勝てば何でもいいやん」と言うので、「勝つことも相手がいるからできることで、自分が優位に立った時にそういう行為をするのは、スポーツマンとして駄目だと思う」と伝えました。

 すると長男は「お父さんが張本君より強いなら分かるけど、そんなん自由やん」と。
 
 その通りですが、だからトップ選手は自分に厳しくなければならないのです。

 多くの子供が見ており、その影響は大きいものがあります。しかし、卓球だけではなく、強いという価値はいつか衰え、無くなります。

 はっきり言えば、世の中に良い影響を与えないなら、プロ選手として存在する価値はないと思っているのです。

 アマチュアとは言え、もしかすると優勝できるかもと言う試合で、娘も真剣だったはずです。

 ある試合の終盤、相手に1点も奪われていないという状況になったとします。

 すると「あっ、失敗した!」のような感じで、わざとネットに掛けたり、オーバーしたりするのです。

 全く知らなかったので、その情景を想像すると笑ってしまいました。

 迷いや苦しみのない悟りの世界を彼岸とするなら、多くの人はたどり着くことの出来ない理想の世界です。

 しかし、卓球におけるかわいい不分律は、彼岸の景色の一端をうかがわせてくれるもののような気がするのです。 

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

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