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絶妙な距離感を‐2062‐

先日、「黒壁の家」へ伺っていました。

自転車置場の屋根が、建物と斜めにつながっています。

その一番手前には80cm角の、開口を設けました。

直下にある、ブルーベリーに光と雨を落とすためですが、葉も色付き、元気に育ってくれていました。

この駐輪場と庭木は、道路との距離感を保つ役割も担っています。

また昨日は、春に竣工した「没頭できる家」の撮影に行っていました。

こちらも、お隣の紅葉が色付き始めています。

丁度、極彩色のタイミングで、これぞ日本の秋、といった風情。

配置を決める際は、それらが借景となるような距離感を探りました。

みっちりと夕景まで撮影してきました。

ご家族も皆さん元気そうで、このお家を楽しんでくれているのが、良く伝わってきます。

近いうちに、その様子をゲンバ日記にUPしたいと思っています。

ご家族の幸せの形を実現するのが私の仕事ですが、思わずため息をついてしまう、心痛いニュースが飛び込んできました。

スケートで2大会連続金メダルの羽生結弦さんが、夏の結婚から105日での離婚を発表したというニュースのことです。

最大の要因は、一般人である結婚相手の方が、家を一歩も出られない程の、取材、スト―カー行為とありました。

2度目の満票によるMVPを獲得した大谷選手、結果を出し続けるサッカー日本代表、パリ五輪出場を決めた男子バレーボール……とスポーツ選手によって、私も含めて多くの国民が楽しませてもらい、日々の活力を貰っています。

それが、トップアスリートに対して、この行為とこの結果です。日本の民度が疑われる程の大事件だと思うのです。

こういった話を聞くと、松井秀喜選手がニューヨークを愛する理由を語っていた話を思い出します。

2009年、名門ニューヨークヤンキースでワールドチャンピオンに輝いた松井選手は、ワールドシリーズMVPも獲得しました。

その日の夜、いつものレストランへ行くと、普段とは全く違った雰囲気で、居合わせたお客さんが皆立ち上がり、拍手で迎えてくれたそうです。

いつも他のお客さんと変わらず、静かに食事していたので、「皆、ヤンキースの選手ということに気づいていないのかな?」と思っていたそうです。

しかし実際には違っており、ニューヨークの人たちは「絶妙な距離間」で接してくれていたと分かりました。

確かこのような内容だったと思います。

過度に、ニューヨークに対する憧れはありませんが、流石は世界一の都市だと、私も感激しました。

日本人同士なら、快適に思っているか、不快に思っているか、目を見るだけで十分わかると思います。

偉大なスケーター、羽生選手の奥さんが、どんな人なのか気にはなると思いますが、ニューヨーカーのようなふるまいができなければ、全てのカテゴリーにおける、超一流の人たちは日本を出ていくことになると思います。

今回の事件が、一部の良識のない人の行為だと思いたいですし、もし「知る権利」などという間違った大儀を振りかざすマスメディアの人がいたとするなら、即刻その職を辞して欲しいと思うのです。

トップアスリートではありますが、28歳の普通の青年でもあります。その幸せを奪う権利は誰にもある訳がありません。

「絶妙な距離間」

私も心しておきたいと思います。

■■■8月1日プールのある「ささき整形外科 デイケアセンター」オープン

■■4月6日 『かんさい情報ネットten.』 浅越ゴエさんのコーナー に出演

10月27日『houzz』の特集記事
「滋賀の家」掲載

10月11日『homify』の特集記事
「白馬の山小屋<リノベーション>」掲載

■ 『ESSE-online』にコラム連載

メディア掲載情報

着こなし、住みこなし‐1766‐

 

 昨年秋のことですが、「黒壁の家」を訪れました。

 南から日を受けてマッシブ(塊的)な外観が青空に映えています。

  2014年完成ですが、敷地がかなり特徴的でこのようなプランになりました。

  下が南ですが、建物は南に対してどう開くかが重要です。

 西側正面からの外観は、当社の作品の中でも「格好いいランキング」を付けたなら、かなり上位に入ると思います。

 正面は来客用の駐車スペースで、その横にある自転車置場の屋根が、この建物の印象を決定づけていると思います。

 計画の当初、奥さんは「私あまり植物を育てるのが得意じゃないんです」と。

 それなら「そんなに水やりを気にしなくて良い方法を考えます」と提案したのが、この屋根の開口部です。
 

自転車置場の屋根が全てここに落ちるよう考えたもの。



 現場へ出したスケッチが図面に貼り付けてあります。

 その効果があったのかなかったのか。ブルーベリーは立派に育っていました。

 いずれにせよ、結果良ければ全て良しなのです。

 室内も、とても美しく保たれていました。

 庇の位置、大きさも入念に検討しました。

 人は感情に左右されますが、太陽の動きは常にルール通り。

 
 旗竿敷地に、F型プランはとても相性が良いのです。 

 久し振りに寄せて貰ったのですが、家族が増えていました。 

 これだけ好きな色が統一されていると気持ち良いのですが、まさかワンチャンの毛色まで一緒とは。

 奥さんが「守谷さんが、好きな色があるなら合せていくのもひとつの方法ですと言っていたので」と。

 言うは易し、行うは難しなのです。 

 中庭にあるのはイロハモミジです。

 

 とても良い感じに育っていましたが、お隣との目隠しは、正面の窓に対してだけでした。

 出来ればもっとプライバシーを保ちたいとのことで、建築会社と一緒に訪問したのでした。

 その塀が完成したので遊びに来て下さいと声を掛けて貰い、土曜日に再訪しました。

 打って変わって雨模様でしたが、晴れ空とは違った趣があります。

 この日は、ご主人、お子さんとも会えました。

 完成時は3歳だった娘さんが小学5年生。お兄ちゃんは中学2年生で、見違える程背が高くなっていました。

 近況報告を兼ねて、ご夫妻と色々な話をしていましたが、「近所の人は、中がどうなってるんだろうと思っているみたいですよ」と言う話が一番面白かったです。

 あっという間に1時間半が経ち、昼ご飯前には失礼することにしました。

 

 帰り際、服や靴が大好きなご主人のコレクションを見せて貰ったのですが、さらに充実度が増しています。

 建物に拘りのある方は、おしゃれな方が多いのですが、ファッションなら「着こなし」という表現があります。

 ご家族の為だけに設計しているので、必ずフィットすると思っていますが、その表現を借りるなら、「住みこなし」というの言葉がぴたりとくるかもしれません。

 拘りはあるが、良いと思えば人の意見も素直に聞ける。そういったご夫妻のキャラクターが、この幸せの景色を作っているんだろうな、などと考えていました。

 物創りこそが我が人生です。

 「さあ現場!」と気合を入れ、そのまま移動したのです。

■■■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載

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【News】
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に巻頭インタビュー掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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