タグ別アーカイブ: ひと色

人間はひと色じゃない‐1473‐

 明後日の土曜日、毎日放送『住人十色』「羽曳野の」が放映されます。

 番組のwebサイトには、

 築46年の実家をリノベ!
 4人の子どもが のびのび育つ家

 と紹介されていました。

 過去には、「光庭の家」「松虫の長屋」を取り上げて貰ったので、今回で3作目です。

 5:00pm~5:30pmですので良ければご覧ください。

 先週日曜日は、「トレジャーキッズたかどの保育園」の内覧会でした。

 青空の下、沢山の方に参加いただきました。

 プライバシーのこともあるので、人無しの写真にしていますが。

 園長のお母さま、ご主人も見えていました。

 園庭にある古タイヤは、そのご主人が用意してくれたもの。

 「同じ大きさより、大・中・小がいいんじゃない」と提案してくれたそうです。

 ひとつひとつの思い入れが、建物に物語を塗り込んで行くのです。

 園児室には家具が入っていました。

 ここは2階の5歳児室。

 0歳児室のトップライト下には、マットが敷かれていました。

 柔らかい光の下で、0歳児君がハイハイする姿が目に浮かぶようです。

 「こもれびひろば」前には「ごにゅうえんおめでとう」の張り紙が。

 桜、五月人形が、華やかに飾り付けられていました。

 楽しい式典になったでしょうか。

 エントランスには500色の色えんぴつがようやく壁に埋め込まれていました。

 これは通販の大手、フェリシモの人気商品です。

 実はこの色えんぴつをエントランスに飾りたいと聞いたのは、着工後でした。

 正直言えば、こういったことは先に聞いておきたいところです。

 しかし、自分がコントロールできない事を嫌がってしまうと、結果が良くなることはありません。

 経験的に言えば「トラブルは楽しんでしまえ」という感じです。(トラブルは言い過ぎかもしれませんが)

 再度練り直したコンセプトは、一度現場日記に書きました。

 実際、「白木の園」と「自分色を見つけてほしい」というコンセプトが、より強く繋がったと思っています。

 この日は来園者の方へ、こんな案内が手渡されました。

 コンセプトを知って下さっていたんだなと思っていたら、「全く聞いていないんです」と園長。

 「文章はぜんぜん得意じゃないんです」という園長が、前日に考えたそうです。

 創り手のひとりよがりや、押しつけがましいデザインは常々嫌だと思っています。

 この建物に入り、同じことを思って貰ったことがとても嬉しいのです。

  人間はひと色ではない。この役はこうだと決めつけず、役の中に何色も塗り込んでいく。

 これは、鎌田行進曲で演出家・つかこうへいに薫陶を受け、世に出して貰ったという俳優・風間杜夫の言葉です。

 全ての新入生、新社会人を応援します。

 そして、私たちもまだまだ塗り込んでいかなければならないのです。

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映

■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました

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【Events】
■4月1日「トレジャーキッズたかどの保育園」開園

【News】
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『関西の建築家とつくる家 Vol.2』2月1日発売「阿倍野の長家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載
『homify』6月2日「イタウバハウス」掲載
『houzz』5月28日の特集記事「あちこちでお茶できる家」掲載

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記<</a

2016年 暮れは元気にご挨拶‐1338‐

 昨日で役所も御用納め。

 しかし今日も現場は動いています。午前中は「北摂の家」の現場へ行ってきました。

 建築と農作業は似ていて、一足飛ばしが出来ません。よって年末年始は正直堪えます。

 しかし土曜休みなどないのが職人の世界。たまの休みには英気を養ってもらいましょう。

 2016年の日記も今日で最後。1年間を振り返ってみます。

1月 日に新た‐1235‐
 01

 2014年9月27日に噴火した御嶽山。

 麓のスキー場で年明けを迎えました。

 今年のテーマは「日に新た」。本田宗一郎の言葉です。

02-2

2月 とどめの一撃‐1247‐

 芥川賞の選考委員をしていた作家・開高健は受賞作を選ぶ基準をこう表現しました。

 その作品に『鮮烈な一言半句』はあるか?

 「クー・ド・グラース(とどめの一撃)」とも表現しています。

 「高台の家」で、私が目標にしていた、賞をとることは出来ませんでした。再度、戦いを挑む覚悟です。

03-2

3月 朝焼けの中で‐1259‐

 3月27日(日)は、「SEIUNDO」の写真撮影でした。

 深夜0時まで夜景を撮り、仮眠をとって5:00amから撮影再開。

 写真家は、何時であろうと最高のカットを求めます。

04-1

4月 火の鳥のように‐1265‐

 4月14日(木)21時26分に熊本で最大震度7の地震が発生しました。

 しかし、火の国・熊本。不死鳥のように蘇ると信じます。

05-3

5月 枯れて石庭、燃えて金閣‐1275‐

 観光シーズン真っただ中の金閣寺。

 夕日を受けて黄金の軒裏が、池からの反射を受け輝いていました。

 5月には『住まいの設計07・08月号』の「阿倍野の長屋」が掲載。

 3月にも『住まいの設計05・06月号』に、「滋賀の家」が掲載されました。

06

6月 10年待てば必ず実がつく‐1281‐

 弁護士・宇都宮健児は言いました。

 1年2年じゃ花も咲かなきゃ芽もでない

 でも10年待てば必ず実がつく

07

7月 積年の澱‐1289‐

 熊本地震の被災地支援活動に、初めて参加しました。

 建築の専門家として、これらの活動に参加できていなかったことが、常に引け目としてあったのです。

08

8月 フィンランドの旅① -ヘルシンキ、ユバスキュラ編 -‐1299‐

 憧れの建築家、アルヴァ・アアルト。

 作品群をみにフィンランドへ。25年来の恋人は、私の想像より美しく、逞しいものでした。

09

9月 近鉄特急で行く名古屋の旅‐1309‐

 名古屋と言えば、櫃まぶし。

 娘との2人旅でした。

10

10月 一滴のしずくが川となるように‐1321‐

 10月末、『住人十色』「阿倍野の長屋」を取り上げてもらいました。

 快く出演を引き受けてくれたクライアントこそが、私達の一番の強みなのです。

11

11月 さらば、緑のディスカバリー‐1327‐

 5年半乗った、休日の相棒とお別れしました。

 建築も車も物ですが、機能という血管に、愛情という血液が流れだした瞬間、心が通い始めるのです。

12-1

12月 大阪の宝‐1333‐

 織田作之助は、大阪人を「紋切型を嫌う、永遠の新人」と言い表しました。

 私も大阪人のはしくれ。その意地をみせたいと思います。

 日曜日の新聞に、俳優・風間杜夫の記事がでていました。

 「鎌田行進曲」などで、その才能を発掘してくれた演出家・つかこうへいはこう言ったそうです。

 「舞台ではおまえの幼児性も正義感もストイシイズム(禁欲主義)も一緒くたに出せ!」

 人間はひと色ではない。この役はこうだと決めつけず、役の中に何色も塗り込んでいく。

 風間杜夫は、役者を最高にかっこよく見せてくれるつかこうへいを指して「こういう人を天才というのかと思いました」と言っていました。

 リーダーとして、身につまされる思いがします。

 ひとりで出来ることは限られている。人はひと色ではない。

 今年最後の自戒の言葉にしたいと思います。

 今年一年、この日記、並びに現場日記にお付き合い頂き、本当に有難うございました。

 来年も素晴らしい一年となることを確信しております。

 2016年12月29日 守谷昌紀