タグ別アーカイブ: 釣り

子供ってのは、預かりもの‐1480‐

 連休明けの月曜日、大阪はしっかり雨が降りました。

 そのぶん、ゴールデンウィーク後半は天気に恵まれ、絶好の行楽日和でした。

 私たちは、奈良の池原ダム近くのバンガローを取っていました。

 いつもは夜に走る東熊野街道(169号線)も、昼に走ると新緑が目に痛いほどです。

 少し余裕があると全く違う景色が見えてきます。

 前回に続いて釣りですが、今回は多少趣きが違います。

 家族の反対を押し切って、船を乗り換えた結果を出さなければなりません。

 結果とは「楽しませる」と「釣らせる」です。

 子供たちはスピード大好きなので、湖面を滑走するだけで喜んでいました。

 むしろ、そっちの方が楽しいようですが。

 長男と同船するのはいつ以来か。

 受験、中学に入ってのクラブ活動と忙しく、3年振りくらいでしょうか。

 今回は幸先よく、1尾を手にしてくれました。

 「魚はお父さんの大事な友達なので」とずっと言ってきたので、リリースは丁寧です。

 今回は家族に楽しんで貰う釣行です。

 昼は早めに上がって、ぱぱっとパスタを作りました。ソースはレトルトですが。

 夕方の部は、妻と長男。

 妻と釣りをするのも、2005年に長男の生まれる前以来です。

 ということは13、14年振り。

 それまでは結構一緒に行っていたものです。

 僅かの時間でしたが手早く2尾をキャッチ。

 母親の面目躍如です。

 夜は、家族3人を温泉に行かせ、本気モードで、最速、最善を尽くして食事の準備をしました。

 たかが炭火焼、されど炭火焼です。

 渾身の焼き鳥とステーキを、3人とも喜んで食べてくれました。

 2日目の朝の部も、長男、娘と早起きして湖上にでました。

 以前はそこまで熱心でなかった長男ですが、中学生になって色々なことの呑み込みが早くなった感じ。

 今回の最大のサイズをキャッチ。全て自力で釣りあげました。

 こうなってくると娘に釣らせなければ、ヘソを曲げてしまうパターンです。

 多少裏技を使ってまずは1尾。

 そしてもう1尾は、正真正銘、全て自分で釣りあげました。

 これで最低限の任務は完了です。

 船上で湯を沸かし、インスタントラーメンと、お父さん特性のチーズレタスサンドの昼食です。

 娘はカップラーメンが辛すぎて嫌いなのですが、何とか食べられると分かったのがチキンラーメン。

 安藤百福さんに感謝です。

 反対に、長男はカレーヌードル大好き。これも日清とは、やっぱりすごいメーカーです。

 バックウォーター(最上流部)での冒険アトラクションも忘れてはなりません。

 オールを使っての急流下りも必須なのです。

 サルなどが出てきてくれると、更に雰囲気は盛り上がります。

 この時期は子ザルが多いので、出会える確率がぐっと上がるのです。

 私は自然の中に居るのが好きだし、この大自然を子供に見せてやりたいと思っています。

 また、深く自然と関われる釣りの楽しさも伝えたいとも思っています。

 現地で話した、同年代の子供を持つ男性が「釣らせたいから、もっとこうしなさい、ああしなさいというと、最終的には一緒に来てくれなくなった」と言っていました。

 よく分かります。

 親とはそういうものです。

 ビートたけしは、こんなことを言っていました。

 子供ってのは、預かりものだと思わないと。

 出来ているかどうかは別にして、この感覚もよく理解できます。子は自分の所有物ではないのです。

 神様なのか、天からなのか、お預かりし、何とか世の役に立てる人にしてお返しする。

 それが親としての究極の理想だと私も思います。

 長男の身長が160cmになり、足のサイズは私を超えました。

 中学2年生と言えば14歳になる歳です。大学で家をでるなら、一緒に暮らすのはあと5年弱。

 預からせて貰う時間も、終盤に入りました。

 力みすぎるでなく、達観するでなく、自分にできることをしたいと思うのです。

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映

■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【Events】
■4月1日「トレジャーキッズたかどの保育園」開園

【News】
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『関西の建築家とつくる家 Vol.2』2月1日発売「阿倍野の長家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載
『homify』6月2日「イタウバハウス」掲載
『houzz』5月28日の特集記事「あちこちでお茶できる家」掲載

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記<</a

いちばん小さな海‐1479‐

 前回は、仕事のことを書きました。

 今回、次回はゴールデンウィークモードでいきたいと思います。

 久し振りに父の船で釣りに行ってきました。

 大阪湾と友ヶ島の間にある紀淡海峡。潮流が速く、魚も豊富です。

 岸和田から出船し、1時間程かけてやってきました。

 今回は、父、私、娘、弟、甥っ子の5人で釣行です。

 小5の子供が2人なので、いわゆるファミリーフィッシング。

 確実に釣れる、根魚狙いです。

 娘も釣りは久し振りですが、早速ベラを釣り上げました。

 ベラ、ガシラが飽きない程度にポツポツと上がってきます。

 甥っ子は子供たちの中で一番の釣り好き。マイロッドまで持っていました。

 2人で楽しんでくれたなら何よりです。

 今回一番大きい魚は私の釣ったアジ。

 40cmくらいでしょうか。

 で、夜の食卓へ。

 船上で父が〆てくれたので、身が引き締まって歯ごたえが別次元。

 娘はアジの刺身が何よりも好物で、その歯ごたえを満喫していました。

 ガシラとベラは、から揚げに。

 淡白な白身に旨みが増すので、私この食べ方が一番好き。

 開高健は「顔のヘンな魚ほどうまいものだよ。人間もおなじ。醜男、醜女ほどおいしいのだよ」といいました。

 こんなことを書くと、ガシラとベラが夢にでてくるかもしれません。

 肉より、魚のほうがいい年齢になりましたというか、なってしまったというか……

 これも豊かな海の恩恵です。

 生命はこの海から40億年前に誕生しました。最後は、ちょっとロマンティックに締めたいと思います。

 なみだは人間の作るいちばん小さな海 -寺山修司-劇作家

 全ての源である母なる海。ひととき波間を眺め、心静まるのを待ちます。

 私の体の中にも海があるのです。

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けいこ不足を、幕はまたない‐1432‐

土曜日の夜、娘と大阪を発ちました。

助手席で寝ているあいだに、奈良県下北山村に到着。

日曜日は1月並の寒波到来で、寒い1日になりました。

早朝は2度くらいだったでしょうか。

娘と2人で釣りにやってきましたが、防寒対策はスキーウェア。

こんな中でも付き合ってくれるのです。

日中は晴れ間が広がり、良い天気になりました。

奈良県下北山村は常緑樹が多いのですが、ところどころにあるヤマモミジが真っ赤に染まっています。

釣りのほうは、何とか午前中に1匹手にすることができました。

しかしこの時娘は休憩中。

朝は一緒に出船したのですが、やっぱり寒いからと一旦車に戻っていました。

休憩時は本を読むんだと、沢山の本を持ち込んでいます。

寝袋に入り、サンルーフのシェードを開け、青空を見上げながらの読書タイム。

本当に本好きで、飽きることなく読んでいるのです。

折角ここまで来たのだからと、昼食後、再び一緒に出船しました。

で、何とか1匹釣りあげました。

外道(狙っていた対象ではない魚)のニゴイでしたが、これが45cmの大物。

娘は大満足で、これにてストップフィッシング。帰路についたのです。

帰り道は2時間半のドライブですが、いろんな話をしました。

とても成長したなと思ったり、小学4年生もなかなか大変だなと思ったり。

面と向かい合って話すより、流れる景色を見ながらのほうが、気楽だし話が弾むものです。

1983年、梅沢富美男の『夢芝居』という曲がヒットしました。

『夢芝居』 歌:梅沢富美男 作詞・作曲:小椋佳

 けいこ不足を 幕はまたない

 恋はいつでも 初舞台

恋だけでなく、子育ても同じです。

娘の父をするのは初めてですし、もし次女がいたとしても、次女の父をするのも初めてです。

子供は2人目ですが、全くパーソナリティが違います。

そう考えれば、何事も全て初めてとも言えそうです。

初めてなので、間違ったり、正解したりしながら親子とも生きていくのです。子には申し訳ないのですが、全問正解はないのです。

仕事においても、フレッシュな目で見たほうが、よりよい判断ができるのではと最近思うようになりました。

経験から経験を捨てることを学んだような気がします。

「夢芝居」の作詞作曲は小椋桂でした。

けいこ不足を 幕はまたない

これぞ小椋節。いい詞だなと思うのです。

静寂は幸せへのキーワード‐1422‐

 今週は秋雨前線が停滞するようです。

 明日は地鎮祭があるので、式典中だけでも止んでくれると嬉しいですが。

 昨日は、丸1日休みだったので、奈良県下北山村の池原ダムへ行ってきました。

 冷たい雨が降る中、レインウェアを着て一日湖に浮いているなど、正気の沙汰ではありません。

 しかし、そんな変わり者がこれだけ。

 遠くは名古屋ナンバーもありました。

 惚れて通えば千里も一里。雨が降ろうが矢が降ろうが、各地から集まってくるのです。

 状況は厳しめでしたが、かわいいサイズの魚は顔をだしてくれました。

 岩場を悠々と歩くニホンザル。

 繁殖期はアピールもあって、特に赤くなるそうです。

 立派な体躯は堂々としたものでした。

 仕事がら、いつが休みになるのか分からないので、私の遊び相手は専ら家族かモノ。

 小さくはありますが、この愛艇のおかげで自然を満喫できるのです。

 車も同じ。

 当たり前ですが、文句も言わず付き合ってくれます。

 モノですが、それ以上の愛着をもっているつもりです。

 ある音楽家が、「車を運転する時間は耳を休める時間なので、音楽をかけないんですよ」と言っていました。

 それを聞いてから、何もつけない時間をとってみることにしました。

 風をきる音だけが聞こえ、ただ山道に合せてハンドルをきる時間。それが意外に心地よいのです。

 モノの本質は沈黙にあります。だった、と言ったほうがよいかもしれません。

 給湯器が「お湯張りが終わりました」と喋るようになりました。

 そのうち冷蔵庫が「牛乳の賞味期限がきれています」と教えてくれるようになるそうです。

 人工知能が発達し、モノ発信でトラブルを回避してくれるようになります。

 しかし、問題が少ないことと、幸せは必ずしも一致しない気がするのです。

 情報が洪水のように押し寄せてくる時代です。

 静寂は幸せへのキーワードなのだと思うのですが、それは好みによるものなのでしょうか。

おおいなる野外へ‐1396‐

 今日は海の日で祝日。

 今年も恒例の釣り合宿でした。

 奈良の最南端、池原ダムへ。

 長男と釣りにくるのは昨年の海の日以来。実に1年振りです。

 小6と中1では身長も随分違います。大きくなりました。

 暑いのは人も魚も一緒。

 水の冷たい最上流部からチェックします。

 かなり小さくはありますが、狙い通りの1匹を釣り上げました。

 釣りは自然が相手なので、いつも同じとはいきません。

 季節、天気、水温などの情報から、魚の居場所を想像し、釣りなが絞り込んでいきます。

 サイズを測ってリリースするだけですが、自分の仮説が正しかったとき、何とも言えない満足感と、清々しさを感じるのです。

 長男がテニスもしたいと言い出しました。

 高校のとき2、3ヵ月テニス部に属していただけですが、子供の相手くらいなら何とかなります。

 嫌というほど汗をかいて、夏の1日を満喫しました。

 野外好きは小さい時からで、中学生になると電車に乗って遠出するようになります。

 中2の夏、リュックにテントを詰め、釣り道具をもって4人で淡路島へ出掛けました。

 適当な浜にテントを張り、釣ってきた魚を調理し、それなりの食事をつくって2泊くらいしたでしょうか。

 ひもじそうにみえたのか、近所のおばさんが、飲み物や食べ物を差し入れてくれたのです。

 夜はすることもないので、ずっと流れ星を探していました。

 高校1年の夏、兵庫県の香住でテントを張って寝ていると、急に豪雨になりました。

 近くの高級そうなカニ旅館に駆け込み、1人2千円で食堂に雑魚寝させてもらったこともありました。

 翌朝は、少しカニ飯をサービスしてくれたのです。

 社会人2年目だったか、広島の山奥にあるダムがよく釣れると聞き、3人で向かいました。

 スロープから船を下ろして1日釣りをしたのですが、確かによく釣れるのです。

 釣りの最中、岸から半島のように張り出し、平坦な所がある場所を見つけました。

 元々どこかで野宿するつもりだったので、ここに泊まれば、夜も朝もいくらでも釣りができると思い、上陸してテントを張ることにしたのです。

 思う存分釣りを満喫し、食事をつくりビールを飲んで、大の字で寝ていたのですが、深夜に揺り起こされました。

 「いっぱいの目がこっちをみてる」と。

 テントから顔をだしてみると、真っ暗闇の中、無数の獣の目だけがこちらを見ているのです。

 こんなこともあろうかと持参していた「かんしゃく玉」を足下に叩きつけると、夜露に濡れたか蚊の鳴くような音。

 結局、追っ払えたのかも忘れてしまったのですが。

 昨今の熊情報を聞くとゾッとしますが、今こうして生きているので、全て笑い話で思い出です。

 ダラダラとした休日の午後。どんよりとした屋内ほど苦手なものはありません。

 野外へ出かければ何かしら問題が起こり、それなりに解決し、笑い話になり、少しの充実感を得る。間違いなくそうなるのです。

 開高健はこう書きました。

 木のように立ったままで私は頭から腐っていく。

 部屋の壁が倒れかかってくるように感じられる瞬間がある。

 白い紙が鋼鉄の罠に思えてくる。

 空白と沈殿で指一本持あげることもできなくなる。

 指紋で意識が混濁し、萎えきってしまう。

 そんなときである。

 だからだ。おおいなる野外へ出ていくのは。

-開高健- 『オーパ、オーパ!! 国境の南』より

 私も感性の錆を落とし、心の澱を洗い流すのが習慣になりました。

 そう、おおいなる野外へ。

頭で勝負するしかない‐1291‐

 今日は海の日。

 ですが湖に来ています。

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 昨年に続き、夏の釣り合宿は奈良県の池原ダム。

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 昨年は4人で来ましたが、娘がピアノの発表会で、長男と2人旅です。

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 宿は湖の見えるバンガローと、もう釣り漬けの2日間です。

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 しかし、残念なことに釣りは私の趣味。

 特に長男は、小さくても一匹釣れれば満足というタイプなのです。

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 自然を体感してくれれば十分だとは思っています。

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 しかし、何が楽しいのかオールで遊んでみたり。

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 船の上げ下ろしに、凄く興味を持っていたり。

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 昼休憩に沢木幸太郎の「深夜特急」を渡したら、釣りに行かずにここで本を読んでいると。

 本好きは嬉しいのですが、折角だからと誘い出すのです。

 沢木幸太郎は2年前からのリベンジなので「面白い」と言ってくれたのは嬉しいのですが。

22

 今回、私は前回つかんだ感触からのテーマを持っていました。

 その甲斐もあって、釣った魚は全て40cm以上。

 分かったことは、目先の結果にとらわれず、正しいと思ったことはやりきるべきということ。

 やりきらないと、正しいのか正しくないのかが分からないのは、仕事も趣味も全く同じでした。
 
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 今日は長男にも37cmがでて、任務終了。

 夕方には塾があるので、昼前に現地を出ました。

29

 今朝、ボートの上で朝ごはんを食べようと、バナナをだしました。

 すると目の前を疾風が吹抜け、顔を麦藁帽子でバッシと叩かれたような感覚。

 手のバナナが無くなっていました。トンビが奪い去ったのです。

 あの鋭い爪でバナナだけを捕らえ、木の上で悠々と朝食をとっていました。

 一瞬何が起こったか解らず呆然としましたが、まず横でバナナを食べていた子供でなくて良かったと思いました。

 大きな羽が私の目をかすり、今も結構痛いのです。

 取られて瞬間は「ブンッ」とすごい音でした。手には一切触れませんでしたが、あの鋭い爪に手が一緒に捕まれたらと、ゾッとします。

 カラスを見て怖いなと思ったことはありますが、トンビに恐怖を感じたのは初めてでした。

 近頃、クマが人をエサとして認識しているという物騒なニュースもあります。

 今月だったか、池原ダムのすぐそばで登山者がクマに襲われたという記事も見ました。野生の動物から見れば人は何と無力なことか……

 人が人である理由はこの大きな頭があること。

 頭の良し悪しなど全く関係なしに、頭で勝負するしかないのだと改めて思わされました。トンビにさえ何の対抗手段も持っていないのです。

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 頑張れ長男。そして祝日も勉強する受験生。君たちはきっと報われるから。 

働きものだった国、日本‐1266‐ 

 この日曜日は、長男と久し振りに釣りに行きました。

 奈良県下北山村の池原ダムへ。

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 明け方から強い雨と風。

 長男が風邪気味だったこともあり、午前中は車の中で昼寝。野外での昼寝ほど気持ちの良いものはありません。

 睡眠不足を一気に解消です。

 昼からは雨が上がり、スカッと晴れてくれました。満を持しての出船です。

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 山深いだけあり、まだ桜が満開です。

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 この時期、魚はバックウォーター(最上流部)に集まる傾向があります。

 産卵の習性からですが、いきなり大物がルアーを軽くバイト。しかし残念ながらフッキングせず。

 2時間程釣って、他の支流へ移動。池原ダムは4本の川からなる山上湖なのです。

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 この日は風が強く、白波が立って来ました。

 バックウォーターに行くのはあきらめて、辺りを見ていると、風裏になっている岬を発見。

 流れのアウトサイドにある、張り出しの大きい岬。この時期の一級ポイントです。

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 見事に当たりました。ここでまとめて4匹。

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 昨年の11月以来の魚です。

 湖に浮いているだけで満足とは言え、やはり釣れてこそ。この気持ちを何と表現して良いのか。

 これでまた一カ月頑張れるのです。

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 長男にもアタリ。

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 ここで2匹釣らせることができました。

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 十分に満足したとのことで、この日は4時半に終了。

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 長男は、週の半分以上塾に行き、帰りは夜の10時半を過ぎます。

 月に1回は日曜日にテスト。中学受験をするなら、皆このくらいはやっているようです。

 親の私が見ても楽じゃないと思うので、半ば強引に誘いました。

 楽しかったと言わせたら私の勝ち。親的にも、ガイド的にも納得の一日でした。

web調べ程度ですが、近年の日本の平均労働時間は15位だそうです。

1  メキシコ  2,226時間
2  韓国  2,163時間
3  ギリシャ  2,034時間
4  チリ  2,029時間
5  ロシア  1,982時間
6  ポーランド  1,929時間
7  イスラエル  1,928時間
8  エストニア  1,889時間
9  ハンガリー  1,886時間
10  トルコ  1,855時間
11  アメリカ  1,790時間
12  スロバキア  1,785時間
13  チェコ  1,784時間
14  イタリア  1,752時間
15  日本  1,745時間
16  ニュージーランド  1,739時間

世界平均  1,725時間

 調査35ヵ国中ではありますが、韓国より、アメリカより、イタリアより働かない国、日本。これが事実のようです。

 前回、働き者と書いたところですが、「だった」としなければならないかもしれません。

 成果は質×時間ですから、長い方が良い素晴らしいとは思いません。

 しかし、先日のシャープ買収を見ても、物作りにおいて、日本が一番前を走っていた時代は終わったのかもしれません。

 まじめで器用な日本人だから、時間は短くてもいい。本当にそう思っていて良いのか……

 この表を見て、将来を危惧するのは私だけなのでしょうか。

 頑張れ未来の大人。まだ3、40年は現役で頑張りますがあとは頼んだぞ。 

人間なんだからナ‐1180‐

 食、自然、ルアーフィッシングをこよなく愛した作家、開高健。

 1930年生まれで、1989年59歳で亡くなりました。今年で生誕85年。幼少期は大阪市東住吉区で過ごしています。

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 現在、西長堀の中央図書館で、生誕85年を記念して「オーパ!世界の旅人 開高健」展が開催されています。

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 「オーパ!」シリーズは、世界の巨大魚を釣り歩く旅行記です。

 雄大な風景を写す為にプロの写真家を、最高美味しく獲物を食する為に、プロの料理人を伴っての旅で、釣りファン以外にも人気のシリーズとなりました。

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 友人で辻調理師専門学校の創設者、辻静雄に料理人を求めたところ、選ばれたのが谷口博之教授。

 展示のほとんどは、「オーパ、オーパ!!」の取材に同行した、谷口教授の物です。

 アラスカで吊り上げたオヒョウの姿造りを、ドアに乗せて食している写真は圧巻です。

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 氏は、開口から釣りの指南も受けました。

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 多くの道具をプレゼントして貰ったそうです。

 開口がこよなく愛した、スウェーデンの釣具メーカー、アブ・ガルシア。

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 ルアーは、ラパラのスウィッシャーでしょうか。

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彼の釣り冒険記は、ブラジル、アラスカ、コスタリカ、カナダと各地にわたります。

 モンゴルで吊り上げた「淡水の女王」イトウの剥製もありました。

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 ヒットルアー、メップスのスピナーが口に付けられています。

 モンゴル釣行は、1986、87年とあったので、亡くなる3年前です。

 この回は、テレビ放送もありました。後にビデオが発売、すぐに購入しましたものです。

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 サントリーの宣伝に使われたこのカットは本当にかっこよかった。いつも憧れの人でした。

 自由な後半生を送る前、1958年、27歳の時に「裸の大様」で芥川賞をとっています。

 この時点では壽屋(現・サントリー)でコピーライターをしていたのです。

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  「人間」らしく
  やりたいナ

 トリスを飲んで
  「人間」らしく
  やりたいナ

 「人間」なんだからナ

 柳原良平の描く「アンクル・トリス」と共に、開口健のコピーは新聞広告飾ります。その広告活動が、1958年毎日産業デザイン賞を受賞。

 広告を、文化にまで高めたと評価されたのです。

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 「オーパ!」シリーズでは、谷口博之教授へ、旅ごとにエプロンへサインをしました。

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 心に通ずる道は 胃を通る

 1986年6月、下北山村大字上池原とありますが、私も愛する池原ダムです。

 「オーパ、オーパ!!」番外編でここを訪れたのです。

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 アメリカ等の、大物ブラックバスで有名な湖を釣り歩いたもの、釣りあげることが出来ず。

 50cmオーバーを求めて、国内の「聖地」にやってきました。その際に、カヌーで案内したのが、ロコアングラー浜松光さんです。

 この方は、1996年私が大物を釣り上げた時、釣り新聞、釣り雑誌に紹介してくれた人です。

1996_08basser3のコピー

 後で知ったのですが、私と開口を繋ぐ唯一の糸で、もっと話を聞いておけば良かったと、歯噛みしたのです。

 開口は、数こそかなり釣り上げましたが、20cmクラスの小物ばかり。落ち込んで帰って行きました。

 20cmクラスなら、うちの娘でも釣り上げます。

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 あの大きな体を丸め、しょぼりと帰る姿を想像すると、ちょっと笑っていまいます。

 幾ら文豪といえ、何でも上手くいく訳ではありません。

 人間なんだからナ。

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 しかしこんな笑顔の50代、そうはいません。

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 人前で、豪快に食うことをためらわない人もそういません。

 木のように立ったままで私は頭から腐っていく。部屋の壁が倒れかかってくるように感じられる瞬間がある。

 白い紙が鋼鉄の罠に思えてくる。空白と沈殿で指一本持あげることもできなくなる。指紋で意識が混濁し、萎えきってしまう。そんなときである。

 だからだ。おおいなる野外へ出ていくのは。

 -開高健- 『オーパ、オーパ!! 国境の南』より

 今回の展示で、中学まで住んでいたのが駒川1丁目と知りました。事務所から自転車で10分くらいの所です。

 早朝から釣りをして、早目の昼休憩。

 車のバックシートを倒し、蚊帳を吊るして昼寝。

 全ての喧騒を忘れて眠りに落ちる。これより、幸せな時間を私は知らない。

 だからだ。おおいなる野外へ出ていくのは。

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湖底でキュウリを刻むように

 夏休みを終えてから、何組かの方が建築相談に来所しました。

 詳細は控えますが、ある夫妻は関東から車で。片道8時間を、交代で運転しながらとの事でした。今後の事は別にしても、感動すら覚えます。

 先週の土曜日、その夫妻は3時間程の打合せの後、夕方に大阪を発ちました。見送った後、車が止まっていた下に、茶色の液体が少し落ちていました。スタッフに「流しておいて」と頼み、次の打合せの準備を始めたのです。

 全ての仕事が終わり、帰宅しようと事務所を出ると、先程流したところに、少し雨が浮いていたのです。もしかすると車のオイルかなと思ったのですが、その時は、次回会った時に伝えないと、位に思っていました。

 翌日メールがあり、あれはエンジンオイルで、ディーラーが点検の際に蓋を閉め忘れていたとの事。それで噴出していたのです。

 帰路の高速道路でエンジンから異音が聞こえだし、サービスエリアに入ってその事実が分かりました。自宅まであと100kmで、本当に事故等にならずに良かったと思います。

 自宅に戻ったのは日曜日の朝だったそうです。

 先週も事務所に見えました。今度は新幹線で来て、帰りは飛行機にしましたと笑っていました。

 気を遣って貰い、お土産を2つ頂いたのです。ひとつはハチミツ。

 加えて、原宿焼きショコラ。
 
 「こんなトラブルも、家を建て終ったあと、あんな事もあったなあ、という思い出になればいいなあ、と思っているんです」と。

 そうです、そのくらい前向きな感じで考えられると、とっても良い家になりますよ、と話していたのです。

 家に大切なのはストーリーですから。

 この出来事から思う事があったので、少し書いてみたいと思います。

 私は釣りが好きで、若い頃はかなりのめり込んでいました。今江克隆というプロアングラーが居るのですが、彼の本にこんな事が書いてあったと思います。

 重いルアー(疑似餌)で底の魚を狙う時。湖底をトントンと叩きながら、丁度キュウリを刻むようなイメージで動かしてくる。すると、僅かにフッと軽くなったり、反対に重くなったりする瞬間がある。そんな時、魚はルアーに対して何らかのリアクションを起こしている。

 大切なのは一定のリズムで。同じリズムをキープしていれば、その違和感を感じやすい。

 この記述で、釣り方が想像できる人は、かなりの釣りマニアですが、伝えたいのは釣りの話ではありません。

 いつも掃除をしているから、駐車場の床の変化に気付けたと思います。また、折角その違和感を感じていたなら、先に何らかの連絡を入れれば、もしかすると、エンジンオイルが無くなっていくという事故は防げたかもしれません。ジョブズの言う「直観を信じる勇気を持て」です。

 家を建てるという事は、非日常の行為と言えます。しかし、私達にとっては日常の積み重ね。

 毎日やるべきこと、例えば、掃除を、高い意識で、同じようにする事は、非常に重要な事だと、改めて感じたのです。出なければ、クライアントの心の機微を感じる事などできません。

 若い頃は、大きな夢を持ちます。今、それが目の前にある日常と直結している、と解ります。

 今日はカラッと気持ち良い朝。しっかりトイレ掃除します。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』■■■ 7月8日(日)「匠」として出演しました

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