カテゴリー別アーカイブ: 02 ことば・本

思考の整理学

 昨日は横浜へ行っていました。

 車窓からは、街あり、海あり、田圃あり。日本の景色は変化に富んでいて、飽きることがありません。

 帯に「東大・京大で一番読まれた本(2008年大学生協調べ)」とあるのが「思考の整理学」。

 順番を少し後ろにしていましたが、読み出すと、エッセイとしても面白いのです。

 しかし、出だしの章から強烈です。「グライダー」を要約してみます。

 人間には、受動的に知恵を得る『グライダー能力』と、自分でものごとを発明する『飛行能力』がある。

 前者を欠いていては知識を習得できないので、独力で飛ぼうとするとどんな事故になるか分からない。

 現実的にはグライダー能力が圧倒的で、飛行能力はまるでなし、という「優秀な」人間がたくさんいる。

 そういう人も「翔べる」という評価を受けている。

 学校はグライダー人間をつくることには適しているが、飛行機人間を育てる努力は少ししかしていない。教育が整備され、ますますグライダー人間を増やす結果になった。

 また、

 プロの棋士には、中学までの義務教育がじゃまになっていると言う人もいる。

 一番頭の発達する時期に、学校でグライダーの訓練なんかさせられては、ものにならないという。

 著者の外山滋比古さんは大学の教授で、教授の書いたこの本を、東大生と京大生が最も読んでいる。

 この現実をどう考えれば良いのか。ちょっと悩みます。

 しかし、これを物語る場面は実際に起こります。例えば、新卒の学生が当事務所に入って来た時。概ねこんな感じです。

 どんなことにも、正解がある。それを一つずつ、教えて貰おう。

 仕事に正解なんかありません。自分が正しいと思う所へ向かうだけです。その葛藤こそが人生で、その軌跡が仕事の結果なのです。
 
 でも心配いりません。全ては現場が教えてくれます。あとこの本が。

住まいの設計 2010年9月・10月号

 ゴールデンウィーク明けの5月9日。雑誌の取材がありました。

 「サロンのある家」だったのですが、昨日発売の『住まいの設計 2010年9月・10月号』に掲載されました。

-そう、欲しかったのはこんな暮らし 家にいるだけで幸せになれる家 CASE:1 料理を楽しむ、お気に入りのキッチンがある家-

 これが「サロンのある家」の副題です。

 こちらのクライアントはタレントさん。紙面には料理をする姿も映っていますので、是非ご覧下さい。

 家を建てる時、どんな方法で、誰をパートナーに計画を進めるのか。一番悩むところだと思います。出来るだけ多くの情報を公開し、比べて貰い、その上で「相談してみたい」建築家でありたいと思います。

 しっかり時間をかけ、対話し、家創りの過程を、存分に楽しんで貰いたいと思うのです。

 この雑誌も、多くの方に見て欲しいと思います。そして、また同じ目標に向かって、全力で仕事が出来るクライアイントと出会えることを楽しみにしています。

P.S. webサイト版『SUMAInoSEKKEI PLUS』では、公認コラムニストに認定してもらいました。良ければ一番上を見てみて下さい。

ジャングルに潜水艦

火曜日に「南米のエクアドルで、麻薬密輸用の潜水艦が見つかった」というニュースがありました。

 長さおよそ30m。

 ジャングルの奥深くに密輸専用の潜水艦とは絶句します。そんなものが、非合法に、裏社会で作れるものなのでしょうか。

 中央アジア、南米の麻薬の生産は、国際社会の暗部です。

 その莫大な利益に群がる輩の気迫たるもの、正気の沙汰ではないと言うとことでしょう。

 南米を舞台に書かれた「山猫の夏」という小説があります。

 ある日本人が、ブラジル北東部のある街に現れます。

 山猫と呼ばれる彼は、対立する街の有力者に私兵として雇われ、非合法な仕事をするという船戸与一の作品です。

 ディティールは随分忘れましたが、南米の蒸し暑さ、裏社会の息苦しさが、伝わってくるような、小説だったことは良く覚えています。

 高校時代、浪人時代、冒険小説を良く読みました。

 志水辰夫の「裂けて海峡」、ジャック・ヒギンスの「鷲は舞い降りた」 、ギャビアン・ライアルの「深夜プラス1」、ディック・フランシスの「反射」などなど、何れも刺激的で、当然勉強そっちのけで読みました。

 船戸与一を誰に紹介して貰ったかさえ忘れましたが、もしかすると、内藤陳の「読まずに死ねるか!」で知ったのかもしれません。

 コメディアンでもある彼は、1981年に日本冒険小説協会を設立して会長に就任。冒険小説の紹介をライフワークにしていたのです。

 南米のジャングル奥深くに潜水艦。

 このニュースを聞いて、冒険小説をかく作家は、皆ソワソワしているのでは。

真っ赤に流れる

 5月31日の新聞に、アンパンマンの作者、やなせたかしさんの記事が載っていました。

 1919年(大正8年)東京生まれ。4歳から両親の郷里、高知で暮らします。現千葉大学工学部を卒業、兵役を経て三越の宣伝部にデザイナーとして入社しました。

 1953年(昭和28年)に退社。その後、漫画、舞台美術、作詞など多くの仕事を経験します。昭和48年に「詩とメルヘン」を創刊。30年間編集長を務めました。

 「正義はすぐにひっくり返るが、パンをあげる行いはいつも正しい」

 1973年(昭和48年)、54歳の時に初めてアンパンマンを発表。63年にアニメ化され、人気漫画家になったのです。現在91歳で現役。引退しようかなと思った頃に受けたのがアンパンマンの仕事です。今はこれが天職だと思うとありました。

 「なんのために生まれて、なーにをして生きるのか」

 テーマソングもやなせさんの作詞ですが、テーマは非常に重いものです。

 そこに至るまでの道のりは平坦でなかったようです。退社後は漫画の仕事がなく、何でも引き受けたとありました。その中の一つが「手のひらを太陽に」の作詞。

 「あれは漫画の仕事がほとんどなくて辛い時代に、夜、懐中電灯で手のひらを透かしてみたら血管が浮き上がって見えたことからできたんです。自分は元気がなくても血は赤いんだなあって。懐中電灯ではさまにならいから、太陽にしたんですが、まさかあんなに売れるなんて思ってもみなかったですよ」

 気分に関係なく、いつも真っ赤な血が流れているのです。

身近な建築家

 本日、モダンリビンングの別冊『身近な建築家70』という本が発売されました。

 5月24日発売となっていますが、先週末からアマゾンではすでに発売されていました。

 アマゾンの紹介文は以下の通りです。
  
内容紹介
「ML+VIEW」は、モダンリビングの別冊。その第1弾「身近な建築家70」では、雑誌未掲載分を含め、全国70人の建築家が手がけた住宅を一挙に公開します。テイスト別にカテゴライズし、地域別インデックス、70人全員の詳細建築家プロフィール、さらに家づくりのノウハウを解説した「初めての家づくりBOOK」付きで、webだけではわからない、建築家情報が得られる、保存版!の一冊です。

 70人の建築家が取り上げられているので、その中の一人です。文字通り、One of them です。

 大勢の中の一人で居たい事はありませんが、他の建築家と比べて貰うのは、とても嬉しいことです。

 現在事務所の体制では、コンペには挑戦できていません。今後の課題です。しかし、家を建てたい人が何人か建築家と合い、それぞれにプランを出して貰うことになったら、これこそ本当のコンペだと思っているのです。真剣勝負。

 「相談料を」とか「企画の提案料を」とは言いません。コンペですから。

 実現することだけをイメージしています。その案が支持されなかったら、こちらの力量不足、情熱不足だと思っていますから。

 「初めから負けるつもりで勝負するヤツがいるか!バチン(ビンタ)」アントニオ猪木

 例えはもうひとつですが、そんな気分です。ちょっとカッコ付けすぎですか?

コラム

 今日は昭和の日で祝日。ゴールデンウィークの初日です。快晴で最高の出だしになりました。

 花の主役は桜からハナミズキへ。

 紅が新緑に映えます。

 3日、4日、5日は三連休にして、出かけるつもりですが、未だホテルはキャンセル待ち。どこに行くかは決まっていません。

 仕事上、住宅雑誌は良く見ます。様々なタイプが発刊されていますが、これからはwebとの両立を目指すようです。

 創刊50年を迎える老舗雑誌「住まいの設計」も、webサイトを3月23日にリニューアルしました。

 2、3の「ゲツモク日記」と「現場日記」をUPして数日経った頃、編集部から連絡がありました。「公認コラムニストとして記事を書いてみないか」というものでした。

 コラムとしては「現場日記」の「伊東内科クリニック編」のみですが、始めに声を掛けて貰ったのは単純に嬉しいことです。現在はトップページにも告知が出ています。

 コラムとは元々建築の用語で円柱のこと。それが縦に囲まれた記事を意味するものに転じ、決まった型をもつ記事となったようです。

 条件はいくつかあるのですが、内容が相応しく無い場合は打ち切りもあるとのこと。しかし、あまり考え過ぎず、感じた事を脚色せずに書きたいと思います。

 プロフィールには「公認コラムニスト」の文字も。気恥ずかしくも、誇らしくもあります。 

マーフィーの法則

 そう呼ばれるものには、2つあるようです。

 一つは、ウキペディアにもある、若干ネガティブなもの。もう一つは、ジョゼフ・マーフィ博士の成功法則。

 「あなたの人生はあなたの心に思い描いたとおりになる」

 という限りなく前向きなものです。

 自己啓発セミナーみたいですが、順に進めると納得できるかもしれません。正確に言うと思うだけでは駄目で「心に描き、それが潜在意識に受け入れられれば」実現するという考えです。その手順まであり、方法は以下の通り。

A. 自分の望むことをうまく想像すること(image)
B. その事を考えつづけること(think)
C. 実現を信じること(believe)
D. 行動すること(do)

 加えて注意点もあります。

a. 潜在意識は休みなく働いている。
b. 潜在意識には善悪の区別が無いので、判断、選択はできない。

 よって、間違った考え方が、潜在意識化されると……恐ろしい結果になるのです。

 以前の繰り返しになりますが、潜在意識はフロイトによって、その存在が証明されました。氷山に例えれば、心という海の水面上にあり、意識できるのが顕在意識。水面下にあるのが潜在意識です。マーフィ博士はこの比率を1:9としました。

 思い描いたものが潜在意識に受け入れられたなら、常に9人力で実現に向かっていることになります。

 成果を残している人たちは、発言、行動にいつも筋が通っています。もしこの法則を信じるなら、潜在意識まで、その考えが至っているからと言えるでしょう。

 ある時はポジティブに、ある時はネガティブにとはならないのです。

出物

 家の近くに出物ヤという店があります。今風に言えばリサイクルショップですが、そんな呼び名は似合いません。

 朝の10時半頃に店は開きますが、アバウトな感じです。

 外観は閉鎖的ですが、入ってしまえば魅力的な空間です。

 一輪車、何かの剥製、壷、電動ドリル、スピーカー、釣竿、ミュージックテープと何の規則性もなく、並んでいます。

 たまに入るのですが、もう少しで怪しいギターに手を出すところでした。誘惑も一杯なのです。

 時代はエコロジー(生態学、環境)ですが、何でも大切に使うことならすぐ出来ます。出物ヤは素晴らしいのです。

 現在ならオークション等、需要を感じますが、20年前ならエコノミー(経済)一辺倒。よく生き残っているなと思います。余計なお世話ですが。

 略せば共にエコ。少し調べてみると共通点が出てきました。いくつかのサイトをまとめると、エコロジーとエコノミーはギリシャ語の「oikos(オイコス)」が語源とありました。

 「オイコス」は家、氏族などを意味し、管理を意味する「ノミア」とつけると、暮らしを合理的に営むからエコノミー。論理を表す「ロゴス」をつけると、それらを成立させる論理から
エコロジーとなったのです。

 どちらも家、家族が基本でした。最善は近いところにありそうです。

問題が解決する瞬間

 ここのところ、寒い雨が続いていましたが、今日はすかっと晴れました。
 
 先日、こんな言葉を教えて貰いました。

 「問題は、引き受ける覚悟をした時に解決する」

 現在30代だとして、20代から10年以上問題を持ち越し、今なお山積みだと言う人はいません。仕事であれ、家庭であれ、問題は必ず起こります。しかし、全ては解決します。逃げない、引き受けると決めれば。

 コロンブスの卵的な言葉ですが、今は信じます。もうどうしようもないと思った事でも、腹さえくくれば、何とかなってきたからです。

 覚悟をするとはどういう事か。退路を絶つことだと考えます。「二郎握り」で有名な寿司職人・小野二郎さんはこう言っていました。

 「仕事は、与えられたら天職だとおもって、没頭すること。私は7歳から口減らしの為、料亭へ奉公へ出されました。ゲンコツ貰ったからと言って、帰るところはない。頑張るしかなかったのです」

 7歳から退路を絶たれ、70年以上働き詰め。その結果、世界最高齢の3星シェフとなったのです。

脳の鍛え方

 先週末、webで見て釘付けになった記事がありました。バンクーバー五輪の開幕に合せて、再掲載されたようで、北島康介選手に関するものでした。

 彼に脳のしくみを教え、アドバイスをした脳科学者、林成之氏の記事で、その著書もすぐ買いました。「勝負脳の鍛え方」は2006年初版となっていますが、北京五輪の試合後、北島選手は「勝負脳を鍛えたおかげ」と発言しているのです。

 林氏の記事を要約するとこうでした。テーマは-「集中力」が増す3つの仕かけ-。五輪選考会を見に来て欲しいと言われた場面から始まります。 

 北島選手は五輪選考会で、ラスト10mまで世界記録を体半分上回っていた。結果は0.43秒及ばず。脳は「ゴール間近だ」と思った瞬間に機能が低下し、運動機能も低下する。「自分へのごほうび」をモチベーションに働く部位があり、ここが活発に働かないと脳は活性化しない。

 重要なのは、ごほうびが得られそうだという「期待」によって起こる点で、結果を手にしたと思うと、むしろ機能は低下してしまう。

 それを伝えると、平井コーチと北島選手は、壁にタッチした後、振り向いて電光掲示板を見た瞬間をゴールだと考える訓練を重ねた。このアドバイスから1カ月後、見事世界記録を塗り替える。

 一流のスポーツ選手は「まだまだ努力が足りない」「たくさんの課題がある」という。一流になればなるほど、謙虚というより自然に口にする。彼らは、コツコツ努力するとは決して言わない。

 根源的な脳の3つの本能に「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」がある。「生きたい」から派生する、第二の本能と言うべきものに「自分を守りたい」がある。コツコツ努力するという言葉の背後には、「失敗しないよう慎重に事を運ぼう」という意識が隠れている。「失敗するかもしれない」という否定語は、この第二の本能を過剰反応させ、脳の働きにブレーキをかける。それゆえ、コツコツやるという人は、自分が現在持っている以上の力を発揮することが難しい。

 反対に、長距離走の場合でも、短距離走のつもりで全力疾走を繰り返すことで、あるところから人間の能力はぐーっと伸びる。ふと気付くと、到底超えられそうもなかった壁を突破しているものなのだ。

 アドバイスで難しかったのは、ブレンダン・ハンセン選手について。ハンセンは当時の世界記録保持者で、最大のライバル。人間は結果を求めると、持てる能力を十分に発揮出来ない。スポーツで言えば、「敵に勝とう」と思った瞬間、能力にブレーキがかかる。

 根源的な本能に逆らうと、脳のパフォーマンスは落ちる。「敵に勝つ」は、「仲間になりたい」という本能に真っ向から逆らう考え方。地球の歴史の中で絶滅した生物の共通点は、周囲にいる仲間とうまくやっていけなかったことである。

 「ハンセンをライバルだと思うな。自分を高めるためのツールだと思へ。そして、最後の10mをKゾーン(北島ゾーン)と名づけ、水と仲間になり、ぶっちぎりの、感動的な泳ぎを見せる舞台だと思いなさい」ハンセンとも水とも「仲間になれ」とアドバイスした。結果は北島は金メダル、ハンセンは4位に沈んだ。

 結果を求めるあまり能力を発揮できない愚を避けるには、目標達成の「仕方」にこだわるのがいい。勝負でなく、達成の仕方に勝負を懸ける。そして、損得抜きの全力投球をする。そんな時、人間は信じられない集中力を発揮する。損得勘定とは、結果を求める気持ちにほかならないからである。

●point 1:ゴールを決めない
●point 2:コツコツやらない
●point 3:結果を求めない

 最近ゴシップで騒がせたタイガー・ウッズ。このパットを決められれば自分が負けるという場面でも、ボールがカップに近づいた瞬間「入れ!」と心の中で叫ぶそうです。

 北島選手も、否定的な言葉を使わない、自己ベストを3割上回ることだけを考えたとありました。

 ウッズはその考え方を経験で得たのか、アドバイスでそうなったのか。一流選手は、考え方が一流なのです。