
昨日は、晴れたり曇ったりの一日でした。
アトリエから、歩いて難波まで行ってみました。
妻のペースで25分くらいだったので、ひとりなら20分くらいでしょうか。

目的は、難波の高島屋で開催中の「北欧のあかり展」です。
チケットは1200円とそこそこしますが、沢山の人が訪れていました。

近代照明の父と呼ばれる、ポール・ヘニングセンがPHランプを考案してから100年を記念しての開催とあります。

入ってすぐの空間で、彼がデザインした、ペンダント、スタンド、フロアスタンドが出迎えてくれます。
この展示会は、一部を除いて、写真も動画もOKなのも嬉しいところ。
海外と比べて、日本はNGが多かったのですが、SNS時代に入り、そこは無視できないのだと思います。

ひと際美しいのは、やはりPH5です。
我が家でも愛用しているペンダントライトですが、いつまで見ていても飽きません。

アルネ・ヤコブセンのコーナーもありました。

冬が長く、日の出ている時間が極端に短くなる北欧。優れた照明や家具が数多く生まれました。
PH5、アリンコチェア、AJフロアランプ……
必要は発明の母と言ってしまえばそれまでですが、理にかなった上で、極めて美しい名作が、これ程生まれた地域は稀だと思います。

当社の打ち合わせのチェアは白のセブンチェアですが、こちらもアルネ・ヤコブセンのデザインです。
セブンチェアは色や素材のバリエーションも楽しいのです。

そしてフィンランドの国民的建築家、アルヴァ・アアルトのコーナーも。

私が最も好きな建築家のひとりです。
彼は照明デザイナーとしても、家具デザイナーとしても極めて優れているのです。

自邸の写真が飾られていました。

好きすぎて、フィンランドへも行ってきました。
2016年の8月にヘルシンキの自邸を訪れた際の写真です。
自分も含めてそうなのかもしれませんが、現在の建築家にはない、暖かさや遊びにあふれています。
もしかすると、不完全さと言ってもよいのかもしれません。世界の巨匠に恐れ多いのですが。
会場の冒頭にあったパネルにはこう記されていました。
「暗さを良しとして受け入れる」
暗さの中でこそ、その美しさは際立ちます。
それは分かっているのですが、住まい手に「暗い」と言われたくないという気持ちも、大きいのは事実なのです。

高島屋前の桜はほぼ満開でした。
谷崎 潤一郎の名著『陰翳礼讃』で、谷崎は日本人の感性を称えています。
軒の深い日本家屋の奥深くで、金襖や金屏風がほのかに光るさまに、日本の美を見出だしたのです。
光と陰。
そのドラマティックな要素を、いかに扱うかが、空間の質に大きく影響を与えるのです。
ふらっと出かけたのですが、とても刺激になりました。
照明は空間の最後の仕上げだと思っています。暗さと不完全さを恐れず、最上の空間を目指したいと思うのです。
■■■2月12日(水)大阪市中央区上町1-24-6に移転しました
「上町のアトリエ付き住宅〈リノベーション〉」
電話、faxは変更ありません■■■
■9月17日(火)「尼崎園田えぐち内科・内視鏡クリニック」開業■
■8月30日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋<リノベーション>」掲載■