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ブランドの盛衰とリアル無印‐1609‐

 今日から8月です。

 全国的にも暑い日が続きます。

 入道雲を見ると、やはり海へ行きたくなるのです。

 旧暦で言えば、落ち葉が舞い落ちるから葉月。

 旧暦と新暦ではズレがあるので、新暦なら葉が青々として葉月でしょうか。

 心斎橋筋商店街は、大阪で最も人の密度が高い場所のひとつです。

 娘の服を探すのに、心斎橋から難波まで歩きました。

 心斎橋側の入口横にはユニクロの旗艦店があります。

 2010年の完成で、設計は藤本壮介。同年代の建築家で、やはり刺激になります。

 ファーストリテイリング社の柳井さんへプレゼンテーションした際、即決だったとありました。

 新聞に流通業界の売り上げランキングが載っていましたが、イオン、セブンアンドアイに次いでユニクロ要するファーストリテイリング社は3位。

 三越伊勢丹を抑えてで、このブランドがどれだけ日本に浸透しているかが分かります。

 ここは小売の甲子園とも言える場所なので、勢いのあるブランドを感じることもできます。

 学生時代は沢山あったDCブランド等は、撤退しているところもありました。

 ドンキホーテの観覧車もすでに道頓堀名物。

 50年以上この場所を死守しているグリコにも、反対の凄みを感じるのです。

 この鞄屋さんも全く変わらずでした。

 高島屋前まで1.5kmくらいでしょうか。

 高島屋前で90度東に向きを変え、なんば南海通りに入ります。

 少し進めばなんばグランド花月。

 新喜劇座長の酒井藍とすっちーが居ました。

 いずれも着ぐるみですが。

 角の「たよし」も40年以上前からあると思います。

 時期が時期だけに、あちこちでカメラが回っていました。

 笑福亭仁鶴、中田カウス・ボタンから、大木こだま・ひびき、そして矢野・兵頭、テンダラーまで。
 
 吉本新喜劇ともに、揺れに揺れる、吉本ブランドを長年支え続けてきた強者たちの金看板が並びます。

 ブランドの語源は、自分の家畜を見間違わないよう押した焼き印、「Burned」からきていると言われます。

 そこから派生して、銘柄を表す「brand」となりました。元の意味にブランド=高品質は含まれていません。

 しかし、「ブランド=過去への信頼」と言う事はできそうです。

 当社にも、軽い感じで「ブランディングしますよ」のような電話が掛かってきます。

 私の知らないこともあるでしょうが、食べ物ならいくらブランディングしても、美味しくなければ見放されてしまいます。

 面白くない芸人など論外。戦略の前に質があるのは間違いないでしょう。

 若いということは、反発することに等しく、世間という実態の分からない巨人と戦ってきたという感はあります。

 面白いことに、建築という極めて高価なものだからこそ、実績の無い私にもチャンスがあったような気がします。

 比率で言えば少数派でしょうが、これは実感としてあるのです。

 それを20年以上続けてきた今、自社がブランドを目指しているのか、あくまで少数派でよいと思っているのかは微妙です。

 建築には「定礎」という物があります。大きなビルなどの基礎部分に「○○年○月竣工 設計○○ 施工○○」などの記載がある石板がそれです。

 それらが美しさを損なうなら、不要だと私は考えてきました。

 となれば、やはりブランドは目指していないのでしょう。

 ただ、あの建築の設計者は誰なんだとなったとき、見つけて貰えるくらいの発信力は必要です。

 言うなれば無印良品のタグを外した、本物の無印良品を目指すことになるのです。

 そのハードルが高いことは承知していますが、そんな気持ちが心の底のほうにあるから、モチベーションが落ちることがないのだと思います。

 暑い夏。更に情熱を込めて。

 暑苦しいのは承知の上なので、ご容赦下さいませ。

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載

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【News】
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
■『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました
大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

山芋焼きを食べて練り歩く

 日曜日の夕方は、ミナミへ。妻の同僚だった友人家族が、来阪したのです。

 転勤が多く現在は岡山在住。久しぶりの大阪なので夕食は「お好み焼き」となったのです。

 お店もリサーチ済みで、道頓堀の「美津の(みづの)」へ。

 かなり人気店のようで、5:00pmに現地集合。少し待ちで席を確保出来ました。

 帰る頃には10人程の行列が出来ていました。

 支持されるには理由があります。

 小麦粉の全く入っていない山芋焼きは、フワフワとした食感で、長男もかぶりついていました。

 やや酸味のあるソースが美味しいので、お好み焼き、焼きそば、どれも流石の味。

 「三代続く」のうたい文句は伊達ではありませんでした。

 長男と1歳違いの子供さんは、とてもウマが合うようで、帰りは肩を組み、道頓堀を闊歩していたのです。

 彼に「宿泊先まで遊びにきてよ」と声を掛けてもらい、そのまま滞在先のホテルへ。

 夫妻が大阪にいたのは5年程で、そのうち妻が一緒に働いたのは1年です。

 それでも当時の話は尽きることがなく、滞在先のホテルを出たのは10時でした。

 ご主人は、一流企業の幹部候補です。興味があったので、何故モチベーションが保てるのか聞いてみました。

 「どれだけ深い悲しみを知っているか、かなと思うんです」

 意外でしたが、納得できます。悲しみ、苦労の種類はいろいろあります。それが無いほうが良いとも言えますがそんな人生はありません。

 自分の無力感を知った人が、仕事に対して、生きることに対しして謙虚になれるのだと思うのです。

 よく話し、よく笑い、よく飲んだ夜でした。