タグ別アーカイブ: 地すべり資料館

もう、すべらせない!!亀の瀬地すべり見学会‐1937‐

前回、風の吹き抜ける峠のブドウ屋さんのことを書きました。

買ったブドウは、子供たちが一瞬で平らげてしまいましたが。

大和川へ向かって山を下っていくと、ちょっと不思議な景色になります。

後ほど、亀の瀬地すべり資料室で、地すべり対策のために大量の排土をしたエリアだと分かりました。

亀の瀬は、手前にある亀岩があるので亀の瀬と呼ばれます。

古来から繰り返し起った地すべりによって、大和川に大きく張り出しているのが分かります。

亀の瀬地すべり資料室 ではすぐに見学の受付をしてくれました。

DVDも見れますが、資料の展示も見応えがあります。

一番下にある硬い地層の上に粘土層があり、ここがすべり面となります。

その深さが70mもあるところがこの地域の特徴で、被害を大きくしてきたようです。

万葉集に「畏(かしこ)の坂」として登場するほど、地すべりで恐れられてきたのですが、交通の要所であることは現代も同じ。

亀の瀬が地すべりを起こすと奈良盆地は浸水します。

また、その土砂ダムが決壊すると大阪平野に甚大な被害を与えることから、国が直轄してこれらの対策をしてきました。

滑る土塊を取りさり、集水井戸を掘り、最下の排水路に流すのです。

ガイドの方が、まず1号トンネルという排水路を案内してくれます。

内部はかなり涼しく、20℃くらいでしょうか。

上が溶岩層で水を通します。

硬い地層の上に乗っており、地層の境目から多くの水が湧きだしてくるのです。

排水路に対して直角に掘られた井戸がありました。

その井戸に対して、また排水トンネルに対して、放射状に集水ボーリングと言われる管が四方に伸びています。

地中の中から、くまなく水を集めてくるのです。

その量は、1日で25mプール2杯分が大和川に排出されているそうです。

とても澄んだ水で、それこそプールにでも使えないのかなと思っていました。

少し大和川側へ下ったところにもトンネルがあり、こちらもガイドの方が案内してくれます。

1号トンネルより下に位置する新たな排水路を掘り進めると、旧大阪鉄道亀瀬隧道が見つかりました。

明治25年に完成したのですが、昭和6年の地すべりで大部分が崩壊しました。

それで大和川の対岸に鉄道が移設されたのです。

しかし平成20年、地すべり対策工事中に、隧道の一部が良好な状態で残っているのが発見されました。

イギリス積みと呼ばれる方法で積まれたレンガのトンネルは、天井には煤がのこります。

レンガの厚みは50cm程でしょうか。

裏には硬そうな岩盤が見えます。明治25年にはどんな機械があったのでしょう。

当時の金物も見つかっていますが、その精度を見ると難工事だったことは間違いないと思います。

そうしてみると、極めて美しい文化遺産であり、貴重な建造物です。

ひとしきり感激して外にでてきました。

この鉄橋は、JR大和路線の第四大和川橋梁ですが、鉄道ファンの間では有名なものだそうです。

普通は川に対して直角に鉄橋を掛けるものですが、橋を支える下のトラスが斜めになっているのが見えるでしょうか?

昭和6年の地すべりによって、対岸への移設を余儀なくされますが、その大工事をわずか半年で完成させています。

工期短縮のため、このトラスはどこからかそのまま移設されたそうです。

明日香村にある亀石が動くと奈良盆地が泥沼になってしまうという伝説は、ここから来たのではとのことでした。

確かに、この亀岩が動く程の地すべりが起きたなら、大変なことになるでしょう。

ずっと気になっていた「亀の瀬地すべり見学会」。

あまりにも興味深かったので、長男にも「是非行ってみたら」と言うと、「受験生にはきつい名前やね」と。

なるほど。

「もう、すべらせない!!」を掲げているので、思い切って行くのもアリだとも思いますが。

これら大人の社会見学は全て無料。

絶賛し、お勧めします。

■■5月13日『住まいの設計6月号』「おいでよ House」掲載

■6月16日 『ESSE-online』「おいでよ House」掲載

■ 『ESSE-online』にコラム連載

6月18日「シンボルツリー」
6月5日「擁壁のある土地」
4月11日「リビング学習」
2月27日「照明計画」
2月14日「屋根裏部屋」
2月1日「アウトドアリビング」
1月4日「土間収納」
12月6日「キッチン・パントリー」

■■1月6日『Best of Houzz 2022』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■6月11日『homify』の特集記事に「R Grey」掲載
■1月8日『homify』の特集記事に「光庭の家」掲載
■1月7日『homify』の特集記事に「白馬の山小屋」掲載

メディア掲載情報

龍田古道沿いにある、風が心地よい、峠のブドウ屋さん‐1936‐

買物と気分転換を兼ねて大和川沿いの道を東へ向かいます。

前日の雨で、空が澄んでいます。

一方、大和川は濁っていますが。

石川との合流地点を過ぎると、川幅が一気に狭くなってきました。

左岸沿いの道を更に東へ行くと、道幅まで狭くなってきました。

なかなかの急こう配を登ってくると、急に大きな集落が現れます。

柏原市雁多尾畑は「かりんどおばた」と読むそう。

後ほどですが、古来このあたりは製鉄で栄えていたと分かりました。

西には大阪平野を望みます。

東には奈良盆地を一望できる、まさに峠の頂点に位置します。

そんな所にあるブドウ屋さん、マルキ農園を目指してやってきました。

日本最古の官道とも言われる「龍田古道」沿いにありますが、難波宮と平城京を結ぶ、重要な街道だったのです。

駐車場の上にもブドウが成っており、日よけになっていました。

マルキ農園は心地よい良い、風が吹き抜ける場所にあるのです。

龍田大社の風神が降臨された地のすぐ下とのことでそれも納得。

ツクツクボウシの鳴き声を聞きながら、奈良盆地を一望できるロケーションはもう最高でした。

製鉄で栄えた旨は、お店の方に教えてもらいました。


品揃えのピークはお盆あたりだそう。

ピオーネとベリーAを買って帰りました。

今回は、もうひとつ目的がありました。

亀の瀬地すべり資料館です。

確か以前は平日予約のみ見学可能でしたが、日祝は予約無しでも見学が可能になっていました。

明日香村の亀石伝説も、実はこちらの亀石から……

かなり面白かったので、こちらは次回にUPしたいと思います。

■■5月13日『住まいの設計6月号』「おいでよ House」掲載

■6月16日 『ESSE-online』「おいでよ House」掲載

■ 『ESSE-online』にコラム連載

6月18日「シンボルツリー」
6月5日「擁壁のある土地」
4月11日「リビング学習」
2月27日「照明計画」
2月14日「屋根裏部屋」
2月1日「アウトドアリビング」
1月4日「土間収納」
12月6日「キッチン・パントリー」

■■1月6日『Best of Houzz 2022』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■6月11日『homify』の特集記事に「R Grey」掲載
■1月8日『homify』の特集記事に「光庭の家」掲載
■1月7日『homify』の特集記事に「白馬の山小屋」掲載

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