タグ別アーカイブ: サミュエル・ウルマン

吽像のライオンに、安藤と渋沢をみる‐1775‐

 北浜と言えばやはり大阪証券取引所です。

 初代会頭となった五代友厚像とともに、北浜のランドマークとなっているのが難波橋のライオン像です。

 別名ライオン橋。
 
 阿(あ)と吽(うん)の石像2体が東西に鎮座します。

 阿像は、その咆哮が聞こえてきそうな程の迫力。
 

 橋の上から北西方向に見えるのは中央公会堂。その後ろには大阪市役所も見えます。

 ロマネスク様式のヴォールト屋根と、レンガ色と白のゼブラ柄が印象的。
 

 その向かいにあるのが京阪なにわ橋駅の入口。安藤忠雄の設計です。

 内部はガラスブロックが積まれており、夜間はライトアップされます。

 再びライオン橋のすぐそばまで戻ると、さらに2つの出入口があり、これらも安藤の設計。

 これら3つの出入口に囲まれる位置にあるのが「こども本の森 中之島」です。

 高速道路からは見えていましたが、訪れたのは初めて。

 東西に延び、北へ向かって緩やかに湾曲しているのが分かります。

 エントランス西面の壁には模型が飾られていました。

 大阪市役所、中之島図書館、中央公会堂、東洋陶磁美術館の東隣に、木で製作されたこの図書館が見てとれます。

 まさに大阪の中心に建つこの建物は、安藤忠雄が寄贈したもの。  

 館の趣旨として、とにかく子供を優先したいとあるので、内部見学はもう少し先にします。

 入口にはバギーが沢山止まっていました。

 開口からのぞくと、安藤の希望通り小さなお子さんを連れた家族が見えました。

 そして、兵庫県立美術館にもあった「青いりんご」も。

 サミュエル・ウルマンの詩「青春とは人生のある期間ではない。心のありようなのだ」から着想したのがこのオブジェです。

 私が22歳で私がこの世界に入った時、安藤が丁度今の私と同じ年齢だったことになります。

 まさに乗りに乗っていた時期で、天保山のサントリーミュージアム、兵庫県立木の殿堂など、年にいくつも大きな作品を発表していました。

 一方、私が勤めていた設計事務所の所長は「建築家はクライアントの太鼓持ちみたいなものだから」と言っていました。多くの建築家から「この仕事は儲からないから」という言葉も聞きました。

 しかし、安藤はこの図書館を始め、合計3件の図書館を寄贈すると言います。利益がでていなければ、寄贈も寄付も勿論できません。

 若い頃からずっと、この違いは一体何なのだろうと思っていました。

 今は、志の違いだとはっきり分かります。

 安藤も響いたという、私も大好きなウルマンの詩にもこうあります。

 「希望ある限り若く 失望と共に老い朽ちる」

 安藤が鉄鋼王カーネギーが図書館を寄贈する姿を見て図書館を寄贈したいと思ったそうです。

 同じように、私も安藤の背中を追って働いてきました。

 まだ自分の家さえ建てていませんが、高い志を持ち、図書館を寄贈できるまで身を粉にして働く覚悟です。

 大阪証券取引所の初代会頭は五代友厚ですが、それを後援したのが、次の1万円札となる渋沢栄一です。

 渋沢は「道徳経済合一」を説きました。論語と算盤は両立できる、またさせなければならないのです。

 誰よりも働いているのに、全く利益がでない。この世の中はそんな理不尽なものではないはずです。

 阿像の対となっている吽像のライオンは口を閉ざしていますが、吽(うん)はその上で漏れた音を指すそう。

 なのに今日もベラベラと書いてしまいました。男は歯を食いしばって結果をだすだけなのに。
 
■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

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【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に巻頭インタビュー掲載

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

灰色の巨塔‐1669‐

 フッターに書きましたが、2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞しました。

 Houzzの人から、案内等も含めて電話がありましたが、建築家のうち3%の受賞だそうです。

 多いのか少ないのか分かりませんが、選んで頂けることはやはり嬉しいことです。

 先週「ゴッホ展」に訪れた兵庫県立美術館は2002年の開館で、安藤忠雄の設計です。

 案内図をみていると「Ando Gallery」とありました。

 館の人に聞くと、一昨年に増築されたとのこと。

 早速のぞいてきました。

 こちらは1/200の住宅模型。

 六甲の集合住宅は木製模型でした。

 出世作、住吉の長屋は1/10のコンクリート製模型。

 茨木市の光の教会も同じくコンクリート製でした。

 鉄筋は入らないと思うので、少しクラックが入っていましたが流石の迫力です。

 長男は「ゴッホ展」より面白かったと言っていました。

 松下幸之助もマッカーサーも愛したという、サミュエル・ウルマンの詩「青春」をモチーフにしたオブジェも安藤忠雄がデザインしたものとあります。

 実物は丁度海側に見えていました。

 青春とは人生のある期間だけでなく、心の持ちかたを言う。薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな肢体ではなく、たくましい意思、ゆたかな想像力、炎える情熱をさす。青春とは人生の深い泉の清新さをいう。

 青春とは怯懦を退ける勇気、安易を振り捨てる冒険心を意味する。ときには、20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。年を重ねただけでは人は年老いない。理想を失うとき初めて老いる。

 私も大好きな詩で、色々な翻訳を読んだことがありますが、今回は「Ando Gallery」版を記しておきます。

 帰ってから調べると、「Ando Gallery」の設計、施工費用の約5億2千万円は安藤事務所の負担で、市に寄贈されたとありました。

 安藤に憧れこの仕事を選び、RC打ち放しの建築でも、真っ向勝負と頑張ってきたつもりです。

 私を選んでくれるクライアントがいる以上、絶対に負けないつもりですが、彼はどこまでも走り続けるのです。

 私にとってはまさに灰色の巨塔。

 間もなく現場が2つスタートするので、現場日記の準備をしていました。

 ヘッダー画像をランダムに表示する機能があると分かり、何パターンか作ってみました。






 作品も80作に近付いてきました。

 模型もかなりの数を保管してあります。個展もしてみたい、作品集も出してみたい、そして美術館を設計してみたい。

 安藤さんとは29歳違いなので、現在78歳のはず。

 能力が足りない分は時間で補います。仕事がある限り、命が続く限り、現役で頑張るつもりです。

 理想を失わなければ年老いないとサミュエル・ウルマンが教えてくれてたのですから、それを信じるのみなのです。

■■■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

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【News】

■2月3日 『Houzzの特集記事』「阿倍野の長屋」が取り上げられました
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
■9月30日発売『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』「回遊できる家」掲載
■7月21日BS朝日『大改造!!劇的ビフォーアフター』「住之江の元長屋」再放送
■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました
■4月1日発売『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

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