タグ別アーカイブ: サッカー

成功と勝利の淡い香り‐1565‐

 庭の梅は、今週初めがピークでした。

 今年は1月末からポツポツと咲き始めました。

 今日の雨でひとまず終わりでしょうか。

 小さな花びらは、桜とは違った美しさがあります。

 丁度ひと月楽しませて貰いましたが、淡い梅の香はまた11ヵ月後です。

 家に帰ると粒の大きな苺が食卓に置いてありました。

 妻の実家からのお土産だったそうでが、すでに2つほど無くなっています。

 おそらく苺大好きの娘でしょう。

 梅も苺も、香りがその存在を知らせる大きな役割を担っています。

 先月から今月にかけて、サッカーのアジアカップが開催されていました。日本は惜しくも準優勝。

 本田、長谷部らが退いても、大迫、南野、堂安と若い才能が続くことに、サッカーというスポーツの人気を感じさせます。

 しかし、次回ワールドカップ開催国、カタールの優勝は見事でした。

 キャリアの終盤に、ビッグネームがJリーグを選択したことはこれまでにもありました。

 しかしイニエスタ選手はまだ34歳。これまでに来日した中でも、ひときわ大きな存在です。

 バルセロナと「無敵艦隊」と言われたスペインの司令塔を務め、2010年のワールドカップ南アフリカ大会では優勝。

 オランダとの決勝戦、延長で決勝ゴールを決めたのも彼でした。

 新聞に見開きで紹介されていました。

 「やるか、やらないかのところで、まずやると踏み出す。そして少しずつでいいから良くなる努力を重ねる。

 最終的にいい結果をもたらしてくれるのは、日々の行いしかないと思います」

 記事にも「人柄そのまま、飾りも、てらいもない」とあります。

 ですから、なおさら前半の言葉に惹きつけられます。

 やるか、やらないかのところで、まずやると踏み出す。

 言葉は単純ですが、ここが成否の9割を占めている気がするのです。
 
 人は人生の中で多くの人と出会います。

 赤い果実と香りだけで、苺の味が想像できるように、それまでの経験を基に、言葉、表情から相手が信用に値するかを判断するのです。

 サッカーでは、「ゴールへの嗅覚」という言葉がでてきます。

 それは、誰にでも嗅ぎ取れる訳ではない香りがあるからこその表現だと言えます。

 勝利や成功にも、同じようなことが言えそうです。

 確かに、淡い香りがあるような気がするのです。

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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

サッカーとワールドカップの魅力‐1497‐ 

 火曜日は多くの人と同様に、早朝3:00に起きました。

 前日は21:00に寝たので睡眠は6時間。準備万端です。長男は定期考査中にも関わらず、4:00起きで後半から一緒に応援しました。

 結果と内容は私が書くまでもありませんが、本当に惜しい、悔しい試合でした。

 優勝候補の一角で、FIFAランキング3位。フランスとオランダ、ドイツに挟まれた人口1100万人のベルギー。チョコレートとビールで知られ、東京都民より少ない国民の代表は、史上最強の呼び声通り本当に強かった。

 多くの選手がプレミアリーグ等のトップチームで主力を張り、それが控え選手までに及んでいるというチームです。

 日本も、控えに本田圭佑がいるという時代になりましたが、層の厚みは明らかに違いました。

 4年掛けて準備し、成熟してきた、史上最強の代表チームに、2ヵ月前に監督が交代し、戦術が変更された日本が、ここまでやれたことは、奇跡に近いのではと思います。

 もしこのワールドカップを戦った主力メンバーが、より多くの時間を共有し、その関係をより成熟させていたなら……

 「たら」「れば」を積み重ねても仕方がありませんが、和を尊ぶがゆえ、決断が遅くなるという傾向を、日本サッカー協会と私たちは理解しておく必要がありそうです。

 香川、柴崎、吉田、昌子と多くの功労者が居る中でも、乾のインタビューを聞いていると、本当に真面目なんだろうなと感じます。

 そして、やはり努力は報われるんだと思えます。

 本気の本田圭佑の言葉が聞けなくなると思うと、寂しい限りですが、中田英寿が引退した時とはまた違う印象もあるのです。

 それぞれが、4年先を見据えてまた高みを目指して頑張って欲しいし、私たちも日々頑張らなければと思えます。

 サッカーというスポーツが、なぜこれだけ多くの人たちを魅了するのか。またワールドカップに熱狂するのか。

 裸足でもボール1つあれば出来るこのスポーツは、多くの人に平等に機会を与え、また差も与えます。

 極めて単純なルールの中でも、人類の進化にとって最も重要だった手の使用を禁じたことが、最大の要因でしょう。

 元日本代表監督だった、イビチャ・オシムはこう言っていました。

 例えば日本人はバスケットボールでは、アメリカのレベルに達するのは難しいだろう。

 それは現時点で日本人が体格的に劣るからだ。

 しかしサッカーは違う。

  サッカーなら日本人にも不利なく戦える。

 また、日本が目指すべきところについてはこう語っていました。

 いつも自分の家に帰りなさい。

  必ず他の場所へ行けばいいというものではない。

 自分の家に帰って、もっと自分のこと、つまり日本のことをもっと考えるべきなのだ。

  欧米でのテレビやドラマをみて海外に憧れをいだくかもしれないがそれはよくない。

 模倣すれば模倣以上のものは生まれないからだ。

 極めてシンプルであるからこそ、工夫と哲学を必要とするスポーツが、オシムという思想家を育くむのでしょう。

 この哲学は、前回書いた明治、大正の思想家、岡倉天心の言葉とほぼ同じです。

 「4年後も目指す」と宣言した、岡崎のパーソナルトレーナーは、同じ番組内でこう語っていました。

 彼は、オリンピックの400mリレーで、6位入賞の経験がある生粋のアスリートです。

 サッカーでなければ、通用しない。

 それ程、元々の身体能力が高かった訳ではなかったという意味です。

 しかし、地道なトレーニングによって、2年前にプレミアリーグでの優勝に大きく貢献する選手となりました。

 それが起こり得るのがサッカーです。

 人は生きるために闘争本能を持っています。武器を使わない戦争の言葉通り、国と国の威信をかけた真剣勝負に人は魅了されます。

 選手はリスペクトしあえる仲間と、頂点を目指して戦うこと以上に達成感のあることはないでしょう。

・元々の能力より日々のトレーニング。

・個の能力だけでなく、チームとしての総合力。

・同じ目的を共有できたとき、最高のパフォーマンスが発揮される。

 こう並べると、日々の仕事と全く同じです。サッカー=仕事と置き換えても何ら問題ありません。

 更に、その目的を最も高い位置に設定すれば、ワールドカップを目指す、ナショナルチームと同じになります。

 仕事も、サッカーも、プライベートも、どこにも境界などありません。

 それをつくっているのは、いつも自分の小さな都合だと思うのです。

 先日訪れた、京都国立近代美術館にはピカソがありました。

 折角やるなら世界一。

 折角見るなら、本物を見るべきです。

 本当に良いものを見せて貰いました。

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映

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サッカーも、人生も、実に単純だ‐1493‐ 

 サッカーのワールドカップ、ロシア大会が始まりました。

 日本代表は19日(火)のコロンビア戦を「歴史的勝利」で飾るという最高のスタートを切りました。

 海外メディアも大番狂わせという報道です。

 1人少ないとは言え、強豪相手に引き分けで終わらなかったことが、日本のサッカー文化をまた一歩前進させることになるのでしょう。

 後半25分に出てきて、すぐに大迫の勝ち越しゴールをコーナーキックで演出した本田圭佑。

 「プロフェッショナルとはケイスケ・ホンダ」

 そう言うだけの迫力はみせてくれます。

 随分前の新聞ですが、名選手3人の言葉が載っていました。

 サッカーは実に単純だ。俺がシュートを全て止めればチームが負けることはない。

  ジャンルイジ・ブッフォン

 イタリア代表のゴールを20年間守ってきた大ベテランは、ロシア大会を最後に引退を表明していました。

 しかし、優勝4回を誇るイタリアは今大会の出場を逃しています。

 ボールをキープしていれば、相手は得点できない。

  ヨハン・クライフ

 近代サッカーの開拓者で、トータルフットボールを体現した名選手であり、名監督。強豪オランダも今回は予選で敗退しています。

 サッカーは単純だ。22人がボールを奪いあい 最後はドイツが勝つ。

 ゲーリー・リネカー

 1986年のメキシコ大会で得点王となり、選手としてのキャリアを名古屋グランパスで終えたイングランドのストライカー。

 ワールドカップになると、滅法の強さを発揮するドイツを指したアイロニックジョークですが、2014年ブラジル大会は、リネカーの言葉通りとなりました。

 ヨーロッパ人独特の言い回しなのかもしれませんが、どことなくネガティブな印象も持ってしまうのです。

 話のスケールが、ワールドから急に半径3mになります。

 前回、友人の店で朝方まで飲んでいたと書きました。

 滅多にないことが続くもので、翌日の夕方からOhanaでのBBQに呼んで貰っていました。

 近畿の駅100選に選ばれた京阪萱島駅。

 その近くにある写真スタジオで、竣工は2009年です。

 人の身長ほどしかなかったオリーブが、ここまで成長しました。

 年1回、ここに訪れる機会を楽しみにしているのです。

 買い出しも準備も、すべてカメラマンの石井さんが済ませてくれていました。

 親族がドイツから直接持ち帰ってくれたというビールまで。

 本当に幸せな時間でした。

 設計終盤は、何とか金額を合わせるのに精一杯でしたが、粘り強く打合せをして良かったと思います。

 石井さんはとにかく明るく、めげない人で、そのパーソナリティに随分救われたと思います。

 勝負事において「もし」は禁句ですが、日本代表の監督交代がなければ、本田選手のアシストの場面はやってこなかったかもしれません。

 やはり、幸運はどこまで行っても前向きな人の所にやってくるし、自力で引き寄せるしかないのだと思います。ネガティブな言葉を発すれば、少なくとも良い側へ転ぶことはありません。

 多くの成功者がそうするのを見て、ネガティブな言葉は限界まで使わないよう、私も心掛けているつもりです。

 昨日寝てない、頭がちょっと重い……そんなことは、周りの人からすれば、知ったことではありません。

 大体遊びなので、嫌なら行かなければ良いのですから。

 そんなことを書いている時点で、私のスケールが知れてしまいますが、そう心掛けるだけで、この日も素晴らしく楽しかったのです。

 誰からも、どんな事からも学ぶことはできます。

 やはり、サッカーも人生も、実に単純だと思うのです。

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
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スターマニア

 今日は現地調査の日。

 まずは神戸に来ています。梅雨ながら天気に恵まれ有難い限り。

 麻耶山のふもとギリギリまで迫る住宅地。

 神戸がいかに住みよい、また、住みたい街であるかを物語っているようです。

 道が狭いので、パーキングに止め歩いて現地へ向かいました。

 近くに、見覚えのある煉瓦つくりの家が。

 学生時代、何度も寄せて貰った先輩の家でした。

 最後に訪れたのは20年前。夜景が素晴らしかったのを覚えています。

 今回のテーマは「屋根裏を狙え」です。

 一昨日、サッカーの日本代表が2014年ワールドカップ出場を決めてくれました。

 後半はテレビで見たのですが、流石は本田。やってくれました。

 香川、ザッケローニ監督とも「違いをつくれる選手」と、最大の賛辞を送っています。

 しかし選手は「更なるレベルUPが必要」と口を揃えました。元日本代表監督、イビチャ・オシムが少し前に、日本の課題を語っていました。

 厳しい内容ですが、まとめてみます。

 日本もスペインもバスを回すスタイルだが、スペインはチャンスと見るとゴール前までスプリントし、ゴールを狙う。遠藤、俊介、憲剛は、後ろに残ったままで、シュートへの意欲を持たなかった。

 彼らはアグレッシブさを欠いており、パスを出すのが自分たちの仕事で、シュートは他の選手がすべきことと思い込んでいるふしがあった。思うに彼らは、あまりに早く人気者になってしまったのではないか。それが彼らのキャリアに大きな影響を与えた。

 どんなに才能に恵まれていても、美辞麗句を並び立てて賞賛されたら選手は自分を見失う。真面目に練習しなくなるし、プレーにも真剣味がなくなる。遠藤のような選手が、そのために最高のキャリアを築けないとしたらとても残念なことだ。

 日本には、ある種のスターマニアの傾向がある。スターには触れることができない。彼らにもできないことがあるのは傍から見て明らかにもかかわらず、そのことに触れないし批判もしない。彼らは守られている。

 批判を受け入れることが進歩のための唯一の道だが、日本では批判することもされることも嫌う。誰も批判されることを喜ばないのはどこでも同じだ。誰もが愛されながら生きたいと願っている。だがそれでも、進歩のために批判を受け入れている。

 「スターマニア」という言葉には、はっとさせられました。正解や方法論は一つでありませんが、オシムの言葉には説得力があります。

 今回視聴率は38.6%。ワールドカップは世界で最も愛されるスポーツイベント。その舞台で、日本代表を見れることは本当に幸せです。

 本田が言うように、優勝を狙うなら……

 誰もが愛されながら生きたいと願っている。だがそれでも、進歩のために批判を受け入れる。

 頑張れ日本代表、そして自分たち。