今日は9:30amに両国駅に到着しました。
大阪から大きな段ボール箱をもって、キッズデザイン賞の審査会場までやってきたのです。
会場は、墨田川を都心側に渡ってすぐの所にあります。
育成中だった芝も立派に育ってくれました。
移動中に動いてしまった家具や人間を修正します。
2階にある「あおぞらえほんしつ」と「もりのひみつきち」には、本物の材を貼り付けました。
おなじく「こもれびひろば」にも。
建築は本物を持ち込む訳にはいかないので、模型を任意で提出できます。
物創りが好きでこの仕事を始めたので、模型の質、スピードともに自信はあります。
しかし、私が模型を作っていたのでは仕事が滞ってしまうので、スタッフまたはオープンデスク生などに作って貰います。
現在は人手不足で産休中の田辺さんに、育児の合間をぬって手伝いに来て貰いました。
躯体は概ね組み上げてくれたので、最後の仕上げを私がしました。本格的に模型を触ったのは15年振りくらいでしょうか。
出発の前夜、深夜まで作っていましたが、これは仕事というよりは趣味寄りだなと思っていたのです。
審査会場は入らせて貰えずで、スタッフの人が内部に搬入してくれました。
両国駅だけにこんなものが飾られていました。
目の前が両国国技館ですが、その隣には……菊竹です。
江戸東京博物館は菊竹清釧の設計で、1993年の完成。彼らしい思い切った提案です。
しかし、完成した当時から賛否両論でした。
今回が初訪問ですが、九州国立博物館を思わせる大きさと奔放さです。
いわゆる名建築は「意外と小さいな」と感じることが殆どですが、菊竹は例外です。
北九州博物館も、吉野ケ里遺跡のゲートも、小倉の競輪場も「大きい」のです。
だから名建築ではないと言う訳ではありませんが、江戸東京博物館は一目瞭然の建物でした。
これだけの1枚スラブが持ち上げられている建物を私は見たことがありません。
最上階は巨大な一室空間。
もうプランも何もなく、単純明快。その思い切りが菊竹らしいのです。
江戸の街並みを再現した模型が人気でした。
双眼鏡が置いてあり、それでみると江戸時代をのぞき見しているような気分になります。
こちらの籠は、雅という言葉がしっくりくる籠。
江戸から近代東京まで網羅しているこの館はなかなか見応えがありました。
江戸東京博物館から、少し東に行くと「すみだ北斎美術館」があります。
北斎がこの地に暮らしたからですが、2016年の完成です。
設計者は、SANAAとしてプリツカー賞も受賞している妹島和世。
外壁に切り込んだ開口部がいくつもあり、色々な方向からアプローチできます。
開かれた館を目指しているのですが、コンセプト通りに多くの人でにぎわっていました。
思い切った形に反して、光はとても柔らかい。
1階ホールは出入りが自由で、外国人観光客ものんびり過ごしていました。
特にこのスリットが印象的でした。
4階の常設展だけのぞいてきました。
展示室が撮影可なのは、空間を観に行っている私としては嬉しいところです。
先の江戸東京博物館にも、北斎の家を再現していましたが、リアリティはこちらの比ではありませんでした。
本当に人かと思う程の仕上がりで、正直、ちょっと気持ち悪かったのです。
北斎と言えば富岳百景です。
その分かりやすくダイナミックな浮世絵は、印象派の巨匠たちの心をとらえました。
いわゆるジャポニスムです。
モネ、ゴッホ、ゴーギャンが学んだと聞けば日本人として誇らしくもあります。
2つの館は設計者が違うので比較になりませんが、四半世紀経ち、日本の建築はこうまで変化しました。
妹島の洗練された美しさは、妖艶であり清潔です。プリツカー賞受賞は伊達ではありません。
しかし、菊竹のダイナミズムも忘れてはいけないものかもしれません。
展望室からはエキスパンドメタル越しのスカイツリーが見えました。
確か、SANNAがニューヨークで手掛けた出世作も、アルミエキスパンドメタルで覆われていたはずです。
建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞は今年の磯崎新の受賞もあり、この10年で4人の日本人が受賞しています。
現代におけるジャポニスムと言ってもよいかもしれません。
同じ仕事をするものとして、とても誇らしいですが、私は妹島ではありません。
もしプリツカー賞を取りたいなら、全く規模の違うアワードですが、それでも一歩ずつ歩を進めていくしかありません。
久し振りに気合十分で作成した模型ですが、本物を貼り付けた、小さな仕掛けを審査員の人が気付いてくれれば……
発表は8月23日。吉報が届くとよいのですが。
■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
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【News】
■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
■『homify』5月7日に「碧の家」掲載
■『houzz』4月15日の特集記事 に
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
■「トレジャーキッズたかどの保育園」が
地域情報サイトに掲載されました
■大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
■ 『住まいの設計05・06月号』3月20日発売に「回遊できる家」掲載
■『homify』6月29日に「回遊できる家」掲載