月曜日の文化の日は、夕方まで友人家族と遊びました。
別れてから、TOTOシーウィンドウ淡路へ。
洲本から26号線を北上すると、志筑の手前で、一瞬だけ車からも見えます。
アプローチは山の裏側から。
およそ9m角の直方体が、崖の上から海へ向かって突き出しています。
低い天井のエントランスから中へ進むと、いきなり下へ向かって空間が開けて行くのです。
この建物は衛生機器のメーカーTOTOの研修センターとして設計されました。
しかし、現在は宿泊施設となり誰でも泊まることが出来ます。
一昨年にヴェネティアで見たプンタ・デラ・ドガーナを初め、各地で安藤建物を見て回りました。
淡路島にも、淡路夢舞台、本福寺水御堂などの安藤建築があります。
その中でもこのロケーションは際立っています。
海側に回るとようやくその全景が分かってくるのです。
90年代後半から2000年頃は、安藤が最も勢いのあった頃でしょう。この建物の竣工は1998年。
その頃私は28歳で、長野県での山小屋の改修計画に取り組んでいました。規模こそ違え、希望に燃えていたのです。
必要なものを最小の手数で、仕上げるのが安藤の真骨頂。
言ってみれば、日本料理で出される刺身のようなものです。そういった抑えの効いた美学が、海外でも高く評価されてきたのです。
どこに行っても、建物を見る楽しみがある幸せ。
また、どこに行っても1つや2つはある安藤の凄さを感じながら、秋風吹く淡路島をあとにしました。
未知の大海へ航海にでる時、海図やコンパスを頼りに進路を決めます。人生に例えるなら、教育だったり、先輩からのアドバイスにあたるでしょうか。
しかし、航海にでる動機は、教えられたものではありません。夢や憧れがなければ、危険を冒してまで船を出す理由がないのです。
正規の建築教育を受けずに、頂点まで上り詰めたのが安藤忠雄。言ってみれば落ちこぼれのヒーローです。常に憧れの存在でした。
ふつふつとたぎるものを感じながら、また新たなプロジェクトに望みます。
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