明治の女性と炭火アイロン‐1785‐

 3月下旬、ユキヤナギが咲きだしたなと思っていたら、あっという間に今日から4月。

  新年度が始まりました。

 今日が入学式なら何とか桜も持ちそうです。

 会社の近くで、随分立派な建物を見つけました。

 前川國男を連想させるレンガ色の建物は、平野区画整理記念会館とあります。

 会社の近所なのですが、この道は通ったことが無かったよう。

 中に入って尋ねてみると、区画整理事業が終わった際に残った予算で建てられたもので、簡単に言えば貸し部屋業をしていますと。

 南面したホールは、この規模の吹き抜け。 

 開口部から、平野郷の模型がちらと見えており、それもあって入ってみたくなったのです。

 ホールには所せましと展示があります。

 脱穀機は数十年間に、この地域で実際に使われていたものだそう。

 こちらは長原古墳群のコーナー。

 実際に出土した子供用の棺です。

 一番目を引いたのが近代の生活用品の展示群です。

 まずは炭を入れて暖をとる炬燵。

 足焙りは炬燵と同じ使い方でしょう。

 火鏝は灰の中で熱し、布類のしわを伸ばす道具です。

 こちらは炭火アイロンとあります。

 明治頃のもので、中に炭を入れ、更にその下には水を入れて使用したのだそうです。

 私が興味津々なのを見て、館の方が実際に開けてくれました。
 

 2階も案内してくれたのですが、吹抜けに面する廊下にはこの立派な機織り機が置いてあります。

 何故こんな場所に押しやられているのか尋ねてみました。以前は右下に見えるキューブ状の空間が展示室だったそうです。

 しかし館の運営を考え、賃貸しすることになったということでした。

 面白い展示が沢山ありましたが、日当りが良いので劣化するのでは、と危惧していると。経営が成り立ってこそ存続できる訳で、何となく微妙な気持ちで会社に戻ったのです。

 日々のアイロン掛けを妻にやいやい言わなくて良いように、Yシャツは多めに買っています。

 100年前の炭火アイロンと比べると断然性能は良いはずですが、それでも時間がない、時間がないと。

 明治の女性はそんな事を言っていたのでしょうか。

 多分言っていたのだと思います。で、男のほうはこう思っていたはずです。

 「火鏝よりは随分便利になっただろうに」と。

  もし、小声でもそんな事を言ったなら間違いなくこうなります。

 「それなら自分でしなさいよ!」

 それはそうです。この自由で平等な時代、女性がアイロンを掛けるという決まりはありません。

 ですので、しっかり働いて沢山Yシャツを買います。間違っても「早くアイロンをかけてよ」と言わなくてよいように。

 Yシャツ代、税金、子供の学費と、働き甲斐はおつりがくるくらいあります。
 
 今年の標語は「絶対に下がらない」。2021年度は絶対に下がらない覚悟です。 

■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

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