まだ5月中旬ですが、近畿地方も梅雨入りしました。
統計史上最も早いそうで、外構を残す現場が3つもあるのに……と嘆いても仕方ありません。

反対に5月の前半は晴れが多かった気がします。
「おいでよhouse」は4月の竣工ですが、正面の塀は引っ越し後にと要望があったようです。
ようやくハシゴが完成したと聞き、先週末見に行ってきました。

ハシゴを製作すると結構な金額になるので、既製品へと減額になるケースが多いのです。
ただ今回は完全に主役で、何とか残して貰えました。

子供さんたちは、理由もないのにここを登りたがると言って貰いました。
ご主人も、ここにテレビを置こうか思案中と。
子供も大人も、ロフトはワクワクするのです。

壁面収納やダイニングテーブルの材と合わせて、スチールの黒フレームにナラの集成材で仕上げています。
セブンチェアのカラードアシュブラックもピタリと決まり、写真撮影が楽しみです。
知らない車が止まっているなと思っていたら、丁度ピアノの調律をしているところでした。

なかなかに熱心な調律師さんで、ピアノの構造から、調律の仕方まで、丁寧に教えて貰いました。
私が質問責めにしたとも言えますが。
アップライトピアノの中を見たのは初めてで、この狭いエリアにびっしり機能が詰まっています。ハープの弦を鍵盤が叩いて音を出しているというような構造でした。
弦楽器であり、打楽器であるという表現をしていたのですが、面白いものを見せて貰いました。
このピアノは背板がスピーカーの役割を果たしているそうで、オーディオ機器につなぐとかなり良い音がでるそうです。

次男君がピアノを習っているのですが「基本は私が好きなんです」という奥さんの言葉を聞き、凄く納得できました。
「楽しんで貰いたい」より「自分が楽しむ」のほうが、強いのは間違いありません。
そんな姿を見れば、子供は自然と好きになっていくのでしょう。

スタディコーナーにも、机と椅子が入り、雰囲気がでてきました。

長男君の部屋は黄緑。

次男君の部屋は紫のロールスクリーンが付いていました。
今日が引越しなので、いよいよ新しい暮らしが始まるという高揚感が充満していました。

帰り際、奥さんからプレゼントを頂きました。
右が私のもので、左は奥さんのもの。
大津市の吹きガラス工房「glass imeca」の作家さんに、この家のイメージを伝え、製作して頂いた一点物のペーパーウェイトです。
吹きガラスという工法で製作するのですが、その工程上、四角いものを内包するのは難しいそうです。
「そこは何とか」とお願いし、ガラスの中にこの「おいでよhouse」が封じ込められ、周囲を気泡や金粉が彩りを添えているのです。
プレゼントして下さる気持ちも嬉しいですが、そこまでこのお家を思ってくれることが、創り手としては一番嬉しいのです。
大津市のwebサイトで作家さんが紹介されていました。
初めて勤めた会社が、観光地にあるガラス専門の販売店とあったのでプロフィールを見ると小樽の北一硝子でした。

打合せエリアにおいてあるペン立てですが、学生時代に北一硝子で買ったもので、もう30年越しの戦友です。
スキー部の合宿は、北海道で3ヵ月程過ごすので、フェリーが発着する小樽は何度も訪れました。
中でも、先輩に教えて貰った北一硝子は特にのお気に入りでした。
合宿が終わった安堵感と、いよいよ信州での試合が始まるという高揚感とが、昨日のことのように蘇ってきます。
夕暮れ時、運河は灯りを映し、何ともセンチメンタルな気分になるのです。

「砂上の楼閣」は、実現できそうもないものだったり、脆いものを指す言葉です。
「ガラスの中のおいでよhouse」は全くの正反対の意味。
ガラスは幸せの瞬間を、永遠に封じ込めるものだと今よく理解できたのです。
■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』を「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
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【News】
■12月28日発売『suumoリフォーム(関西版)』にインタビュー記事掲載
■10月23日『homify』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■9月11日発売『リフォームデザイン2020』に「回遊できる家」掲載
■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました