タグ別アーカイブ: ザハ・ハディド

この素晴らしい自由‐1650‐

 大阪平野から東に見える生駒山地。

 紅葉で全体が朱に染まり、さながら西遊記にでてくる火焔山のようです。

 行ったことは無いのですが(笑)

 久し振りに、信貴生駒スカイラインを走りました。

 料金所で「片道ですか」と聞かれたので「真ん中あたりで戻ってきます」と。

 それでも往復料金となり1950円だそうです。

 意外とするんだなと思いながらも、そこはニコッと笑顔で。

 紅葉のピークは過ぎていましたが、落葉してすぐのようです。

 真っ赤な絨毯が敷き詰められているようで、それはそれで美しいものでした。

 山の稜線を走るので、どちらにも景色が開けています。

 大隅半島先端の佐田岬もこんな景色だったかなとか、淡路島の鳴門岬の景色も良かったと思い出していました。

 途中、鐘の鳴る展望台という場所があります。

 プラス12mということは4階建ての建物くらい。

 一番張り出した先端に展望台があるのですが、もう下を見れずで……

 アングルを考える余裕もありませんでした。

 まずは北を向いて、何とかシャッターを切りました。

 続いて西の大阪平野。

 景色は最高ですが、高い所が苦手な私には刺激が強すぎました。

 帰り道の途中に「とっくりダム」と言う名のダム湖を見つけました。

 面白い名前だなと思い立ち寄ってみると、こちらは紅葉を湖面に映して2倍の美しさ。

 晩秋から初冬にかけての景色もまもなく終わりです。

 火焔山は中国新疆ウイグル自治区のトルファンに実在する山です。

 中国はこういった辺境の地の抗議活動を弾圧し、再教育の名のもとに強制収容していると報道されています。

 10月中旬に香港へ行った際に訪れた香港理工大学です。

 この時点でも反抗の張り紙が敷き詰められていました。

 私はザハ・ハディド設計の建物を見るのが目的でした。

 建物、空間共に圧倒されましたが、この建物を実現させた香港の豊かさも、併せて実感させられます。

 それは香港の自由貿易がもたらしたものに間違いありません。

 先だって、警察は構内に立てこもる学生を強制排除するという実力行使にでました。

 新疆ウイグル自治区の事も含めて、世界が中国に目を向けざるを得ない状況となっています。

 京セラ名誉会長の稲盛さんから、先の大戦について、こんな話を聞かせて貰いました。

 戦時中、アメリカは自由主義だといっても男も女もチャラチャラしている。

 勇敢に戦うのは日本人だけだであって、アメリカ人なんてちょっと脅かしたらすぐに逃げていく。だから竹槍でも十分戦えるんだと教えられた。

 しかし実際のアメリカ軍は強く、日本は敗戦、降伏することになります。

 戦後、終盤の激戦の中でもアメリカ兵が体を張って突撃していく実写フィルムを見たそうです。

 実際には満足に英語を話せない者さえいるアメリカ軍を一つに集結させたものは何だったのか。アメリカ人に聞いてみたそうです。

 すると「このアメリカほど自由な国はない。英語が話せなくても、肌の色が違っても住むことができる。この素晴らしい自由を失ってもいいのか、という大義名分があった」と。

 この話を聞いて、初めて日本が負けたことに納得しました。

 香港に人とお金が集まったように、人は自由が大好きです。

 強制や、規制が好きな人など居ません。それが持続することがないのは、歴史を見れば明らかです。

 人は権力を握ると、そんなことまで忘れてしまうのか、自分だけが特別だと思いたいのか……

 しかし、自由と責任は表裏一体です。

 感謝と覚悟をもって「この素晴らしい自由」を謳歌したいと思うのです。

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『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

香港・マカオの旅④ <さよなら香港、人と街と建物編>‐1633‐

 月、木、金とUPした「香港・マカオの旅」ですが、今回で最終回です。

 4日目、10月14日(月)は朝早くにホテルを出ました。

 前日のデモ時は地下鉄が運休したので、動かない可能性もあると思っていました。

 チェックアウトを済ませモンコック駅に向かうと、交差点にはパンクし、落書きされたバスが放置されたまま。

 警察がやってきたところでした。

 バリケード跡などは残っていますが、地下鉄は動いているよう。

 しかし、火はいけません。

 モンコックから一駅南のヤウマティまで移動。シャトルバスでカオルーン駅へ向かいます。

 そこからエアポート・エキスプレスで30分程。

 スムーズに空港までやって来れました。

 脱出は大げさですが、まずは空港にたどり着きほっと一息です。

 香港国際空港は世界屈指のハブ空港で、そのスケールは凄いものがあります。

 全番号のゲートがある訳ではないにせよ、500番台には驚きます。

 設計は、サー・ノーマン・フォスター。

 どうりで格好良い訳です。

 チェックインまで済ませれば更に一息。

 ちょっとゆっくり朝食です。

 「点心」の文字がある店にしました。

 メニューでロブスターとエビが入っていることまでは分かりましたがそこまで。

 兎に角熱く、かつとても美味しかったです。

 こちらも「お勧め料理」の中にあったもの。

 貝は分かりましたがその他は分からずですが、素晴らしく美味しかったのです。

 四川料理と北京料理は食べましたが、上海料理、広東料理なども機会があれば是非食べてみたいものです。

 100%満足し、機上の人となりました。

 香港は、神戸とニューヨークとホーチミンを足して3で割ったような街でした。

 マーケットの種類は香港が一番だったでしょうか。

 庶民の料理も色々食べましたが、麺よりワンタンかお粥です(笑)

 現代建築は、目を見張るものがあります。

 カオルーン南東部にあるザハ・ハディド設計の香港理工大学は、完全に映画の世界レベルです。

 エントランスで圧倒されてしまいます。

 アンビルドの女王にビルドさせる訳ですから、どれだけ香港が裕福かが分かります。

 建築というよりは、巨大な高級車といった感じ。

 旧警察本部や監獄をリノベーションした「大館」は香港島の中環(セントラル)エリアにあります。

 設計はヘルツォーク&ド・ムーロン。

 こちらの外壁は、元のレンガのサイズに合わせてデザインされているそうです。

 展示は現代美術なので、それらを邪魔する訳にはいきません。

 見せ場はほぼ階段しかないのですが、その階段が凄い。

 「階段を狙え」は日本の巨匠、村野藤吾の言葉だったと思いますが、機能あるものをアートのレベルに高めています。

 ヘルツォーク&ド・ムーロンの作品は初めてだったのですが、流石に世界でトップを走る実力は伊達ではありません。

 2度も3度も美味しいのが香港です。
 

 100万ドルの夜景は、定番ですがビクトリア・ピークから。

 高い建物が苦手なのが一番の理由です。

 I・M・ペイ設計の「中國銀行ビル」には何度も触れました。

 実はライティングも秀逸でした。

 強調された光のラインが付いたり消えたりする単純なものですが、それが余計にインパクトを与えています。

 香港に居る間、この高層ビルが気になって気になって仕方がありませんでした。

 こちらは香港名物、竹の足場です。

 工事をしている所は一度も見れませんでしたが、本当にこれで工事をするのでしょう。

 狭い土地の中で少しでも大きくと、古いビルは何とか張り出そうと必死の形相です。

 新しい建築が張り出していないところをみると、法的にはアウトなのでしょう。

 しかしこの張り出しが、まるでアーケードのような役割をしており、雨の日はとても有効。街を歩く人に優しいのです。

 乗り物はトラムが一番気に入りました。

 2階建てチンチン電車ですが、のんびりと風を感じながら乗っていると、つい居眠りしてしまう程。

 デモは激化する一方なのは聞いていましたが、今すぐの天安門事件のような状態になることはないと判断し、渡航しました。

 しかし、実際に警察がデモ隊を本気で追う姿をみると正直ドキドキしました。

 余程の事があってもゴム弾しか使わないようで、私も行くことに決めたのですが、それは現地とて同じ。

 警察が舐められている感は否めませんでした。

 旅の友はCANONの5DMARKⅡですが、一緒に随分色々なところへ行きました。

 それなりに重いですが、いざというときは武器にするくらいの覚悟はいつもしています。

 2016年と比べると一気に老眼が進み、マップの小さな文字が読めずでかなり慌てました。

 建築マップに付いていた、ルーペ付きしおりを持ってきて本当に助かったのです。

 いまさらハズキルーペを買うのもやや気恥ずかしいので、空港にあったルーペ眼鏡?を購入しました。

 新しく旅の友になって貰います。

 私が体感したことのない国が、まだまだいくらでもあります。

 旅の直後はいつもですが、出掛ける気力と英語を勉強する気力が満々なのです。

 来年、子供の受験が終わったら皆で海外へ出ようかという話になりました。

 今回のサブテーマは「僕らの深夜特急」です。

 沢木耕太郎のこの小説に触発され、海を渡った人はどのくらい居るのでしょうか。久し振りに第1巻を読み返してみました。

 あとがきの対談で、海外へ出る適齢期は26歳と結ばれていました。

 私が海外へ初めて出たのは24歳なので少しずれがありますが分かる気がします。

 子供にも、自分が稼いだお金で、1ドルを惜しんで旅して欲しいと思うのです。

 ただ、もし娘が行きたいと言ったら、行って来ればと言えるのか……

 まだそれは先なので考えないでおきます。

 これにて香港・マカオの旅はおしまい。旅日記はつい長くなってしまい失礼しました。

 次回はウィーンかアムステルダムかニューヨーク再訪か。またここでお付き合い下さい。

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香港・マカオの旅② <マカオ、100万ドルの夜景編>‐1631‐

月曜日は、香港に到着した10月11日(金)の夕方までをUPしました。

翌12日(土)は早起きして、まずは朝食。

「粥」と言う文字がみえたので入ってみました。

香港と言えばお粥。

麺と違ってこちらは外れなしでした。ピータン入りで30香港ドルくらい。

 ホテルのあるモンコックエリアはデモ運動が激しいようで、アンダーパスの壁にもそれらしき張り紙だらけでした。

 結局このあたりで、警察との衝突と遭遇することになるのですが、それは後程に。

 バスにのって香港理工大学のへ向かいました。

 2016年に亡くなった「アンビルド・アーキテクトの女王」と言われたザハ・ハディドの建物を見るためです。

 ここにも「反抗」の文字が。大学はそういった運動の拠点と常になる訳です。

 建物は正直凄かったのです。

 後でもう一度触れようと思っていますが、高級車のこだわりを細部にまで織り込んでいるとでも言えばよいのか。

 これはそう簡単に実現しないだろうと、納得しました。

 そのまま香港島のフェリーターミナルへ移動。

 香港は天気が悪い予報だったのと、土曜日はデモが激しいと思い、急遽マカオに行くことにしました。

 チケットは150香港ドルくらいなので2千円ちょっと。

 1時間くらいで到着します。

 マカオも同じ中国のはずですが、入国という扱いになるようです。

 市街地は比較的近く、何となくでバスに乗りましたが概ねイメージ通りの場所に着きました。

 マカオの由来となったと言われるマッコミュウ。

 このあたりは中国文化が色濃くでています。

 昼になったので食堂に入りました。

 何が特産か分からないのでひとまず「マカオのビールを」と言うと、そのままマカオビールでした。

 気温は30度を超えていたと思うので、どんなビールでも美味しいのですが、やはり地元の物に限ります。

 とても飲みやすいビールでした。

 マカオの市街地は広い範囲が世界遺産に指定されています。

 ポルトガルの統治時代の雰囲気が残るセナド広場。

 下町は香港とよく似た雰囲気です。

 マカオは観光地としてかなり人が増えているよう。

 カジノで有名ですが、私はあまり興味がないので街を見てまわります。

 結局、ヨーロッパの強国はアジアにおいての覇権を争うことになります。

 あまりダイレクトには書きにくいですが、その際にキリスト教の布教を活用しているのは間違いありません。

 信仰の自由は、誰にも認められているので良い悪いはありません。

 しかしそういった事実を踏まえ見ると、街歩きはより面白いと思っています。

 セナド広場のど真ん中、南欧の雰囲気が最も残るメインストリートに「中国建国70周年!」のような飾り付けが、派手派手しくなされていました。

 住民の気持ちはいかばかりかと思いますし、その不満が香港で今まさに噴き出しているのです。

 マカオの旧市街地はとても面白かったのですが、現代建築は目を見張るものがありました。

 カジノの街に相応しくなのか、ほぼすべて金ピカ。

 それも徹底的にです。

 帰りのバスから辛うじて撮ったこの建物。

 写真では伝わり切らないと思いますが、もう絶句する金ピカ具合だったのです。

 夕方になるので、香港に戻ったのですが、もう少し時間をとってみて見たい街でした。

 フェリーターミナルからトラムに乗って、「大館(2018年)」という施設をのぞいてきました。

 旧警察本部や監獄をリノベーションした施設で、2001年にプリツカー賞を受賞したヘルツォーク&ド・ムーロンの設計です。

 東京・青山のプラダの設計者と言えば分かりやすいでしょうか。

 こちらもまた後日に。

 そこまで天気が悪くなかったので、ピークトラムにのって香港を見下ろせる展望台を再訪します。

 やや霞が掛かっていましたが、なんとか100万ドルの夜景を収めることができました。

 ここでもペイの中国銀行ビルは目をひくのです。

 駆け足で、この日イメージしていたところを回り、最後は廟街にやってきました。

 深夜特急の作者、沢木耕太郎が香港に長居することになった要因となったのがこの場所です。

 どんな街でもそうですが、市場やマーケットは人を惹きつけるものがあります。

 一人旅なので、ならなおさらなのかもしれません。

 また、食事は屋台に限ります。

 何となく頼んだおそらく豚肉料理と、青島ビール(チンタオビール)。

 見た目とは裏腹に、酢のタレも含めてとっても美味しかったのです。

 街の屋台でその土地のビールを飲んでいる時、なんだか全てが報われるように気持ちになるのは私だけでしょうか。

 廟街ではつらつと働く女性です。

 ある映画監督が、ITをさして「虚業」と表現したことに対して、それらで成功した有名実業家は強く非難しました。

 その通りだと思います。

 ただ、夜の屋台でけなげに働く姿をとても美しいものに感じます。

 そういった場面を見る機会が、どんどん減っていることは私も危惧するのです。

 この夏、長男が海外へ出る際に「スマホは持っていかない」という約束を破りました。

 それで、帰国時に私はかなり怒りました。

 不便、不安、分からない。

 こんな価値ある体験をできるのは海外だけです。

 今回もスマホは持って行きましたが、ローミングも切り、ポケットWi-Fiの契約もしませんでした。

 バックパッカー卒業宣言を2016年の旅の際にしましたが、心はいつもバックパッカーです。

 それは、お金がなくてそうしてきたというのもありますが、それがどれだけの刺激や、充実を与えてくれるかを知っているからでもあります。

 とはいえ、ホテルに帰ると無料Wi-Fiがあり、メールチェックも、写真を上げることも可能ではあったのですが。

 金ピカマカオと100万ドルの夜景編、楽しんで頂けたでしょうか。

 明日からは、2、3話になると思いますが、旅の後編を続けてUPして行きたいと思います。

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